精液検査でわかることとは?検査内容と結果の見方
公開日:2024.11.22更新日:2024.12.12
精液検査の内容がわからず不安を感じていませんか?精液検査はご自身の体の状態を知るための重要なステップです。
この記事では、精液検査で何がわかるのか、検査結果の見方、結果を踏まえた具体的な対処法を解説します。検査を受ける前の不安や疑問を解消し、自信を持って検査を受けましょう。
神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、不妊治療に強みを持つクリニックです。男性不妊に関するお悩みにも、専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。
精液検査でわかることや結果の見方
精液検査でわかることや結果の見方を項目ごとに解説します。検査結果を正しく理解して、精液検査を検討する材料としましょう。
精液量
精液量は、1回の射精でどれくらいの量の精液が出てくるかを示す指標です。世界保健機関(WHO)の基準では1.5ml以上が正常範囲とされています。小さじ1杯が5mlなので、小さじスプーンの約3分の1の量に相当します。精液量が少なくなる原因は以下のとおりです。
- 精液の通り道が狭くなっている
- 精巣で精液が十分に作られていない
- 逆行性射精
逆行性射精とは、精液が膀胱側に逆流する状態です。精液量が少なすぎると、精子が卵子までたどり着くのが困難になる可能性があります。
精子濃度
精子濃度は、精液1mlの中にどれくらいの数の精子がいるかを示す指標です。WHOの基準では1,600万/ml以上が正常範囲とされています。精子濃度が低い場合、精子を作る精巣の機能の低下が原因です。
精子濃度が足りないと、卵子と出会える確率が下がるため、妊娠しづらくなります。
運動率
運動率は、精子たちがどれくらい元気に泳いでいるかを示す指標です。WHOの基準では、前進運動率(直進する精子の割合)が42%以上が正常範囲とされています。運動率に問題がある場合、精子の運動能力の低下や精子のエネルギー源の不足が考えられます。
運動率が低いと、精子が卵子までたどり着けず、不妊の原因になるため注意が必要です。
以下の記事では、精子の運動率について解説しているのでチェックしてみてください。
>>精子の運動率とは?定義と生活習慣、必要な栄養素について解説
正常形態率
正常形態率は、精子たちの形がどれくらい正常かを示す指標です。WHOの基準では4%以上が正常範囲とされています。
精子が作られる過程での異常や、酸化ストレスによる精子のDNA損傷などが原因です。正常形体率が低いと、精子が卵子までたどり着いても受精がしにくくなります。
検査結果に影響する要因
精液検査の結果は、体調や生活習慣によって変化する場合があります。風邪を引いて発熱しているときや、寝不足が続いているときなどは、精子の状態が悪化しやすいです。ストレスや不規則な食生活、喫煙、飲酒なども精子に悪影響を与える要因です。
精液検査を受ける前には、正確な結果を出すために2〜7日間の禁欲期間を設けましょう。禁欲期間が短いと精子濃度が低く出てしまう可能性があります。禁欲期間が長いと精液量が増加する一方で、精子運動率や形態に影響が出る可能性があります。検査を受ける際は、医師の指示に従って適切な準備を行いましょう。
精液検査を受ける前に知っておきたいこと4選
精液検査を受ける前に知っておくと安心できるポイントを4つご紹介します。検査をスムーズに受けるために、参考にしてください。
精液検査の目的と費用
精液検査の目的は、精子の状態を詳しく調べることです。精子の状態が良くないと妊娠しにくくなる可能性があるため、不妊治療の前に精子の状態を調べる必要があります。
具体的には、1回の射精でどれくらいの量の精液が出て、どれくらいの数の精子がいて、どれくらい元気に動いているかなどをチェックします。検査結果は、不妊の原因を探り、どんな治療法が合うのかを判断する重要な材料です。
費用は、保険診療の場合1回あたり2,000円程度です。自由診療の場合はクリニックにより値段が異なりますが、1回あたり数万円ほどの場合が多いです。検査項目によって費用が変わる場合があるので、事前に確認しておきましょう。健康診断の一環として精液検査を実施している自治体もあります。
検査を受けられる場所
精液検査は、不妊治療専門クリニックや男性不妊専門クリニック、一般的な婦人科、泌尿器科などで受けられます。どこで受けるか迷う場合は、かかりつけの医師に相談しましょう。
最近は郵送で検査できるキットも販売されているので、忙しくて病院に行く時間がない方は検討してください。自宅で手軽に検査できるのは便利ですが、結果について医師からの詳しい説明がないため、不安が残る可能性もあります。それぞれのメリット・デメリットを比較して、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
検査前に必要な準備と注意点
精液検査を受けるにあたって、いくつか準備と注意点があります。検査前に2〜7日間、精液を出さないようにする「禁欲期間」が必要です。精子の状態を一定に保ち、正確な検査結果を得るため、必ず守ってください。禁欲期間が短すぎたり長すぎたりすると、正確な結果が得られない可能性があります。
風邪をひいたり、熱が出たりしているときは、検査結果に影響が出る可能性があります。体調が良いときに検査を受けましょう。さらに、ストレスも精子の質を下げる原因になるため、普段からストレスをためないように心がけてください。
精液検査の結果は日によって変化することがあります。1回の検査だけで判断するのではなく、複数回検査を受けることでより正確な状態を把握できます。
よくある質問:禁欲期間、精液採取方法など
精液検査でよくある質問についてお答えします。禁欲期間は2〜7日とされていますが、最適な期間は個人差があるため、医師と相談して決めましょう。
精液の採取方法は、基本的にマスターベーション(自慰)です。クリニックで採取も可能ですが、自宅で採取したものをクリニックに持ち込むことも可能です。自宅で採取する場合、時間経過とともに精子の状態が変化してしまうため、採取後できるだけ早くクリニックに提出することが重要です。持ち込みの場合は、クリニックの指示に従って適切に保管・運搬しましょう。
検査を受ける際には、プライバシーが守られた環境で、リラックスして採取することが大切です。精液の採取に抵抗がある方もいるかもしれませんが、医療スタッフは皆さんの気持ちを理解した、サポート体制を整えているのでご安心ください。
男性不妊の対処法
男性不妊は決して特別な問題ではなく、多くの方がさまざまな形で向き合っている課題です。検査結果を理解し、具体的な対策を講じることが重要です。男性不妊の対処法を解説します。自分の状態を正しく理解し、適切な方法を選択しましょう。
精子の質を改善する方法
精子の質は、日々の生活習慣と密接に関係しています。食生活や運動、睡眠、ストレス、喫煙などは精子の質に大きな影響を与える可能性があります。
栄養バランスの取れた食事は、精子の健康を支える基盤です。特に、抗酸化作用のあるビタミンC、E、亜鉛、セレンなどは、精子の質の向上に寄与すると言われています。朝にフルーツ、昼にマグロの刺身、夕にブロッコリーを食べるなど、具体的な献立をイメージして、日々の食生活を見直しましょう。
適度な運動も、血行促進や精巣機能の活性化につながり、精子の質を高める効果が期待できます。ウォーキングやジョギングなど、無理なく続けられる運動を週に数回行うことが理想的です。過度な運動は逆効果になる場合もあるため、無理せず心地よく続けられる運動を行いましょう。
睡眠不足はホルモンバランスを崩し、精子の質の低下につながる可能性があります。毎晩7〜8時間の睡眠時間を確保し、質の高い睡眠を心がけましょう。寝る前のカフェイン摂取を控えたり、リラックスする時間を作ったりするなど、具体的な工夫を取り入れてみてください。
ストレスは万病の元と言われるように、精子の質にも悪影響を及ぼします。趣味やリラックスできる活動を通して、ストレスを発散する時間を積極的に作りましょう。
喫煙は精子の運動率や数を減少させることが知られています。禁煙は精子の質改善のためには欠かせません。本数を減らす、禁煙外来を受診するなど、できることから始めてみましょう。
精液検査以外の不妊調査
精液検査は男性不妊の原因を調べるための重要な検査ですが、精液検査だけではすべてはわかりません。精液検査で異常が見つからなかった場合でも、他の原因が隠れている可能性があります。
より詳細な原因を特定するために、ホルモン検査、超音波検査、遺伝子検査など、さまざまな検査を組み合わせることが重要です。ホルモン検査では、男性ホルモンの値をチェックすることで、精巣機能の低下やホルモンバランスの異常などを調べます。
超音波検査では、精巣や精路の状態を画像で確認し、精路の閉塞などの診断が可能です。遺伝子検査では、染色体異常や遺伝子変異など、先天的な要因を調べられます。
検査結果を踏まえた不妊治療を受ける
検査結果を基に、医師と相談しながら適切な不妊治療の選択が重要です。治療法には、タイミング法や人工授精・体外受精などがあり、それぞれにメリットやデメリット、妊娠率、費用、身体的負担などが異なります。
軽度の男性不妊の場合、タイミング法や人工授精といった比較的負担の少ない治療法から始めるケースが多いです。しかし、重度の男性不妊や他の不妊要因が合併している場合は、体外受精が選択されるケースもあります。
体外受精は、精子と卵子を体外で受精させる高度な生殖補助医療技術です。精子の数が少ない場合や運動率が低い場合、あるいは無精子症の場合でも、体外受精によって妊娠の可能性を高められます。無精子症の場合、精巣内から直接精子を採取する「精巣内精子採取術(TESE)」を併用することで、体外受精が可能になるケースもあります。
治療法を選ぶ際は、医師とよく話し合い、納得したうえで治療を進めていくことが大切です。ご自身やパートナーの状況、身体的・金銭的負担などを総合的に考えてください。
まとめ
精液検査は、精液量、精子濃度、運動率、正常形態率の4つの指標で精子の状態を評価し、男性不妊の原因究明に役立ちます。精液量は1.5ml以上、精子濃度は1,600万/ml以上、前進運動率は42%以上、正常形態率は4%以上が基準値です。上記の数値が低いと妊娠しにくくなる可能性があります。
検査前に2〜7日間の禁欲期間が必要で、費用は保険適用で1回2,000円程度です。検査は不妊治療専門クリニック、泌尿器科などで受けられます。精子の質改善には、バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレス管理、禁煙が重要です。
精液検査以外にも、ホルモン検査、超音波検査、遺伝子検査などがあり、総合的な検査で原因を特定します。治療法は、タイミング法、人工授精、体外受精などがあり、精子の状態や他の要因を考慮して選択します。医師と相談しながら、ご自身にあったものを選びましょう。
以下の記事では、男性不妊になりやすい人の特徴についてまとめています。ご自身に当てはまらないか、心配な方はぜひチェックしてみてください。
>>男性不妊になりやすい人の特徴とは?原因や治療法も解説
参考文献
- Cocuzza M, Alvarenga C, Pagani R. “The epidemiology and etiology of azoospermia.” Clinics (Sao Paulo, Brazil) 68 Suppl 1, no. Suppl 1 (2013): 15-26.
- Fadhil EB, Mohammed MM, Alkawaz UM. “Impact of coenzyme Q10 as an adjuvant therapy to letrozole on spermiogram results and sex hormone levels in Iraqi men with infertility: randomized open label comparative study.” F1000Research 12, no. (2023): 1093.