【医師監修】妊活に葉酸が必要なのはなぜ?効果やおすすめの食べ物を解説
公開日:2024.10.31更新日:2024.12.24
「葉酸」という栄養素を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。妊娠を希望する方や妊娠初期の方にとって、葉酸は赤ちゃんの成長とママの健康に欠かせない重要な栄養素です。葉酸を多く含む食品を摂取したり、効果的な調理を行ったりすることが重要になります。
この記事では、妊活中に葉酸が必要な理由、葉酸の効果、葉酸を効率的に摂取する方法について詳しく解説していきます。赤ちゃん、そしてあなた自身の健康のために、葉酸について正しい知識を身に付けましょう。
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妊活中に葉酸が重要な3つの理由
葉酸は、赤ちゃんが元気に育つために、そしてママが健康な妊娠生活を送るために、とても重要な役割を担っています。葉酸が重要な3つの理由を具体的にご紹介します。
妊娠中の神経管閉鎖障害のリスクを軽減する
葉酸は、妊娠中の「神経管閉鎖障害」のリスクを軽減することが期待されています。神経管は、赤ちゃんがお腹の中で成長する過程で、脳や脊髄になるために重要な器官です。この神経管は、妊娠初期の段階で形成されますが、もし葉酸が不足していると、神経管がうまく閉鎖せず、神経管閉鎖障害のリスクが高まってしまうのです。
神経管閉鎖障害には、二分脊椎など、さまざまな種類がありますが、いずれも赤ちゃんの一生涯にわたる健康に影響を及ぼす可能性があります。妊娠を希望する女性や妊娠初期の女性は、葉酸を十分に摂取することでリスクを減らし、赤ちゃんが健康に生まれてくる可能性を期待されています。
DNAの合成をサポートする
葉酸は、新しい細胞を作るために欠かせない「DNAの合成」をサポートする役割も担っています。私たちは、毎日新しい細胞が生まれては古い細胞と入れ替わることで健康を保っています。
妊娠中のママのお腹の中では、赤ちゃんがすくすくと成長するために、細胞がものすごいスピードで分裂を繰り返しています。この細胞分裂がスムーズに行われるためには、葉酸が十分に存在することが重要です。
DNAは、体の設計図のようなもので、細胞分裂の際には設計図をもとに新しい細胞が作られます。葉酸は、このDNAの合成に必要不可欠な栄養素なのです。例えば、細胞分裂が活発な組織である骨髄において、葉酸が不足すると、赤血球の生成がうまくいかず、貧血を引き起こすことがあります。これは、葉酸がDNA合成だけでなく、細胞の成長と発達にも重要な役割を担っていることを示しています。
細胞の成長と発達を助ける
葉酸は、細胞の成長と発達を助ける役割も担っています。細胞は、私達の体を作る最小単位であり、赤ちゃんの体もたくさんの細胞が集まってできています。葉酸は、この細胞の一つひとつが正常に成長し、分裂していくために欠かせません。
妊娠初期には、赤ちゃんの脳や心臓などの重要な器官が形成されるため、細胞の成長と発達は特に重要です。葉酸は、これらの器官が正常に発達するために欠かせない栄養素です。
葉酸は、特に妊娠初期に必要とされる栄養素ですが、妊娠前から十分な量を摂取しておくことが推奨されています。妊娠中の葉酸不足は、胎児の成長や発達に影響を与える可能性があるため、日頃から葉酸を意識した食生活を心がけましょう。
葉酸を効果的に摂取して妊活に生かすために
葉酸は、私たちの体内で作ることができないため、食事やサプリメントから摂取する必要があります。ここからは、葉酸を効果的に摂取するための知識や方法をお伝えします。
葉酸を多く含む食品
毎日の食事の中で、葉酸を多く含む食品を積極的に摂るように意識することも大切です。以下の表では、葉酸を多く含む食品と摂取量の目安をご紹介します。
食品 | 葉酸含有量(㎍/100g) | 摂取量の目安 |
鶏レバー | 1300 | 約20g(鶏レバー一切れ) |
豚レバー | 840 | 約30g(鶏レバー1.5切れ) |
牛レバー | 640 | 約40g(鶏レバー2切れ) |
茹で枝豆 | 260 | 約90g(枝豆のさやを半分ほど取った量) |
茹でモロヘイヤ | 140 | 約180g(軽く両手に乗るくらいの量) |
茹でほうれん草 | 110 | 約220g(3分の1束程度) |
茹でブロッコリー | 120 | 約200g(5分の1株程度) |
卵 | 48 | 約5個 |
いちご | 60 | 約400g(大粒のものなら約1パック) |
これらの食品をバランス良く食事に取り入れれば、効率的に葉酸を摂取することができます。食品だけで十分な量の摂取は難しいため、サプリメントも併用するのも選択肢の一つです。妊娠中の女性だけでなく、妊娠を希望する女性や、普段から野菜不足を感じている方なども、これらの食品を積極的に食事に取り入れてみましょう。
食事のポイント
葉酸は水溶性ビタミンなので、調理方法によって損失量が大きく変わります。葉酸を効率的に摂取するためには、以下のポイントを押さえましょう。
- 生で食べられるものは、なるべく生で食べる
サラダなど、生野菜として食べる場合は、葉酸を効率的に摂取できます。 - 加熱時間は短くする
炒め物や電子レンジ調理など、短時間で調理できる方法を選びましょう。 - 汁ごと食べる
スープや鍋など、汁ごと食べる料理は、水に溶け出した葉酸も余すことなく摂取できます。
調理法を工夫して、葉酸を効率よく摂取しましょう。以下の記事では、妊活中に注意すべき具体的な食べ物にフォーカスしています。おすすめのレシピも紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
>>妊活中に注意すべき食べ物は?妊活で摂りたい栄養素やおすすめレシピも紹介
葉酸サプリメントの種類と選び方
葉酸を効率よく摂取するためには、サプリメントの利用も検討してみましょう。葉酸サプリメントを選ぶ際には、以下の点を参考にすると良いでしょう。
- モノグルタミン酸型葉酸を選ぶ
葉酸には、「合成葉酸」と「天然葉酸」の2種類があります。合成葉酸は、体内での吸収率が良く、安価であるというメリットがあります。一方、天然葉酸は、食品から抽出された葉酸で、吸収率は合成葉酸に劣りますが、より自然な形で摂取したい方におすすめです。 - 信頼できるメーカーの製品を選ぶ
医薬品と同等の品質管理基準をクリアしたGMP認定工場で製造された製品を選ぶようにしましょう。 - 他の栄養素とのバランスも考える
葉酸は、ビタミンB12など、他のビタミンB群と一緒に摂取することで、より効果的に作用します。そのため、複数のビタミンB群が配合されたサプリメントを選ぶこともおすすめです。葉酸はビタミンB12とともに、赤血球の生成に不可欠な栄養素です。ビタミンB12が不足すると、葉酸の働きが阻害され、貧血のリスクが高まります。バランスの取れた食事を心がけ、必要であればサプリメントも活用しながら、葉酸とビタミンB12を一緒に摂取するようにしましょう。
摂取量と摂取時期
妊娠を希望する女性は、妊娠1か月以上前から、食事から摂取する葉酸240μgに加えて、サプリメントから400μgの葉酸を摂取することを推奨します。妊娠が判明してからでは、すでに神経管閉鎖障害のリスクが高まっている可能性があるため、妊娠前から摂取しましょう。
妊娠中期以降は、サプリメントからの摂取は不要ですが、食事から480μgの葉酸を摂取しましょう。葉酸の過剰摂取は、貧血などの健康被害を引き起こす可能性も懸念されています。サプリメントで摂取する場合には、1日の摂取上限量である1000μgを超えないように注意が必要です。食事からの葉酸摂取には上限量は設けられていませんが、バランスの取れた食事を心がけてください。
妊娠中の葉酸摂取は、胎児の発育に関わる栄養素の一つです。妊娠を希望される方は、これらのポイントを踏まえて、葉酸を積極的に摂取するように心がけましょう。
葉酸不足で起こるリスク
葉酸不足は、お腹の赤ちゃんだけでなく、お母さん自身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。葉酸不足で起こるリスクと具体的な症状例を紹介します。
葉酸不足で起こるリスク | 具体的な症状例 |
神経管閉鎖障害 | ・二分脊椎:脊髄を包む脊椎骨が閉鎖せずに、脊髄が体表面に露出してしまう病気。 ・無脳症:脳の大部分が形成されない病気。 |
貧血 | ・疲れやすい ・息切れしやすい ・顔色が悪い |
胎児の成長発達への影響 | ・低出生体重児 ・早産 |
妊娠高血圧症候群 | ・高血圧 ・尿蛋白 |
妊娠糖尿病 | ・高血糖 ・口渇、多飲、多尿 |
その他 | ・先天性心疾患のリスク増加 ・口唇裂や口蓋裂のリスク増加 |
葉酸は水溶性ビタミンであるため、体内に蓄積しておくことができません。そのため、毎日こまめに摂取しましょう。
妊活中の栄養相談のススメ
食事の内容や栄養バランスについて不安がある場合は、一人で悩まずに専門家に相談してみましょう。産婦人科やクリニックでは、妊活中や妊娠中の栄養相談を行っているところも多くあります。食事に関する不安や疑問を解消して、安心して妊活生活を送れるように、専門家のサポートを活用してみましょう。
まとめ
妊娠を希望する女性や妊娠初期の女性にとって、葉酸は赤ちゃんの発育に欠かせない栄養素です。葉酸は細胞分裂やDNA合成を助ける働きがあり、神経管閉鎖障害のリスク軽減や赤ちゃんの健やかな成長をサポートします。
葉酸はレバーや緑黄色野菜に多く含まれていますが、水溶性で熱に弱いため、調理方法に注意が必要です。食品からの摂取に加え、サプリメントも活用し、妊娠前から積極的に葉酸を摂取しましょう。
妊活はタイミングも重要です。妊活のベストタイミングが知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
>>妊活のベストタイミングはいつ?成功率を上げるコツを医師が解説
参考文献
- Ferrazzi E, Tiso G, Di Martino D. Folic acid versus 5- methyl tetrahydrofolate supplementation in pregnancy. European journal of obstetrics, gynecology, and reproductive biology 253, no. (2020): 312-319.
- e-ヘルスネット