基礎体温と妊娠した時の高温期の関係性とは?特徴と見分け方を解説
公開日:2024.11.22更新日:2024.12.12
妊娠を望んでいる方にとって、基礎体温の変化は気になるポイントです。高温期が長くなったり、体温が高くなったりすると、「もしかして…」と期待と不安が入り混じる瞬間があります。妊娠成立時の基礎体温の高温期は個人差が大きく、必ずしも劇的な変化があるとは限りません。
この記事では、妊娠成立時の基礎体温の高温期の特徴、妊娠検査薬の適切な使用時期、妊娠していない時との違いを詳しく解説します。正しい基礎体温の測り方や便利なアプリ情報も紹介するので、妊娠への理解を深め、自分の体のリズムをより正確に把握するためのヒントが得られます。
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妊娠成立時の基礎体温の高温期:特徴と平均期間
妊娠成立時の基礎体温の高温期について、平均期間や特徴、妊娠検査薬を使うタイミングなどを解説します。基礎体温は妊娠の可能性を知る重要な手がかりの一つですが、個人差が大きいため、自身の通常のパターンを把握することが重要です。
妊娠高温期の特徴
妊娠した時の高温期の特徴として、「高温期が長くなる」「体温が高くなる」というイメージがありますが、必ずしもそうとは限りません。以下の点に注意が必要です。
- 妊娠していても、いつも通りの高温期で推移する人も多い
- 高温期の長さや体温の高低は個人差が大きい
妊娠高温期の特徴は個人によって差があり、上記の特徴は参考程度に留めることをおすすめします。
自然な家族計画法(FABM:Fertility Awareness-Based Methods)では、以下のようなさまざまな兆候を観察することで、妊娠しやすい時期を予測します。
- 月経周期の長さ
- 基礎体温
- 尿中ホルモン測定
- 子宮頸管粘液
基礎体温もその一つですが、他の兆候と合わせて総合的に判断することが重要です。FABMは上記の兆候を観察して解釈できる人には、自然な家族計画の方法として有効です。
基礎体温の変化だけでなく、他の身体的変化や症状も合わせて観察し、必要に応じて医療機関に相談することをおすすめします。
高温期の平均期間
高温期の平均期間は個人差が大きく、一般的には12〜16日程度と言われていますが、実際には以下のような幅があります。
- 短い場合:10日以下
- 長い場合:18日以上
- さらに長い場合:20日近く
重要なのは、自身の通常の高温期の長さを把握することです。卵胞期の長さにも影響を受けるため、排卵が遅れると高温期に入るのも遅くなりますが、高温期自体の長さは変わらないこともあります。他の人と比較せず、自身の平均的な高温期の長さを知ることが大切です。
妊娠した時の基礎体温の変化
妊娠した時の基礎体温の変化も個人差が大きいです。いつも通りの高温期だけでなく、以下のようなパターンも見られます。
- わずかに高温期が長くなる
- 体温が少し上昇する(例:36.8℃から37.0℃へ)
- 生理予定日頃から体温が一気に上昇する
基礎体温はホルモンバランスを反映しているため、変化の注意深い観察は妊娠の可能性を判断するうえで重要な情報です。ただし、基礎体温の変化だけで妊娠の確定診断はできないため、他の症状や妊娠検査薬の結果も合わせて判断する必要があります。
妊娠時と排卵後の高温期の見分け方
妊娠していない時の高温期と、妊娠している可能性のある時の高温期の違いについて解説します。基礎体温の変化は妊娠の可能性を知るための手がかりの一つです。
妊娠の可能性がある基礎体温の特徴
妊娠が高まると、排卵後の特徴とは違う特徴が現れます。
- 通常より2~3日以上高温期が延長する
- 高温期が16日以上続く
ただし、以下の点に注意が必要です。
- 基礎体温はさまざまな要因で変動する
- 排卵日のずれにより高温期が長く感じる場合がある
- 基礎体温だけでは妊娠の確定診断はできない
妊娠の可能性を感じた時は、市販の妊娠検査薬を使用するか、産婦人科を受診し相談することをおすすめします。
排卵後の高温期の特徴
排卵後の高温期は、卵巣から分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響で体温が上昇します。このホルモンは子宮内膜を厚くし、受精卵の着床に適した環境を整えます。
高温期の一般的な特徴
- 期間:通常12~16日間
- 体温:36.7から36.9度程度まで上昇
- 個人差:10日以下の短い場合や18日以上の長い場合もある
重要なのは、自身の通常の高温期の長さを把握することです。
- Aさん:通常の高温期が14日間
- Bさん:通常の高温期が10日間
Bさんの場合、14日間の高温期はいつもより長いと判断できますが、Aさんにとっては通常の状態です。
基礎体温に影響を与える要因
妊娠以外にも基礎体温に影響を与える要因があります。
- 体調
- 睡眠時間
- ストレス
- 月経周期における内因性性ホルモンの変動
- 食事のエネルギー摂取量
最近の研究によると、月経周期における内因性ホルモンの変動が、栄養状態を含むさまざまな生理学的プロセスに影響を与えることが示唆されています。そのため、基礎体温を毎日同じ時間に計測し、自身のパターンを理解することが重要です。
月経前の基礎体温の変化
月経前は黄体ホルモンの分泌が徐々に減少し、基礎体温も低下します。基礎体温の低下は高温期から低温期への移行を示しています。一方、妊娠した場合は黄体ホルモンの分泌が維持されるため、基礎体温は高温のまま推移します。
高温期が短い・長い原因
高温期の長さは黄体ホルモンの分泌量と期間に影響されます。高温期が短い場合は以下の原因や特徴、影響などが考えられます。
- 原因:黄体機能不全の可能性
- 特徴:黄体ホルモンの分泌量不足または分泌期間の短縮
- 影響:子宮内膜が十分に厚くならず、受精卵の着床が困難になる
- 発生頻度:20代~30代の女性に多い
若年層の高温期が短い場合、黄体機能不全の可能性があります。高温期が長い場合の主な原因として、妊娠している可能性が挙げられます。他の要因としては、ストレスや生活習慣の乱れ、睡眠不足や過度な運動などが考えられます。
「妊娠高温期の特徴」でも記載したように、自然な家族計画法(FABM)では、基礎体温以外にも下記の要素を観察します。
- 月経周期の長さ
- 尿中ホルモン測定
- 子宮頸管粘液の変化
上記の兆候を総合的に判断することで、より正確に妊娠しやすい時期を予測できます。
月経周期を把握し、自身の基礎体温の変化の理解は、妊娠の可能性を検討するうえで重要です。日々の基礎体温記録を通じて、自分の身体と向き合う習慣を身につけましょう。
妊娠検査薬の適切な使用時期
妊娠検査薬は、尿中のhCGホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)を検出することで妊娠の有無を判定する方法です。効果的に使用するためには、適切なタイミングを選ぶことが重要です。
基本的な使用時期
一般的に、妊娠検査薬は生理予定日以降に使用することが推奨されています。生理予定日とは、前回の生理開始日から数えて、個人の平均的な生理周期分が経過した日を指します。生理周期が28日の場合は、前回の生理開始日から28日目が生理予定日です。また生理周期が30日の場合、前回の生理開始日から30日目が生理予定日となります。
hCGホルモンと検出可能時期
hCGホルモンは、受精卵が子宮内膜に着床した後に分泌され始めます。通常、着床は排卵後6〜12日頃に起こります。研究によると、hCGホルモンの分泌量は妊娠初期に急速に増加し、妊娠4週目(最終月経の開始から数えて)には、ほとんどの女性で検出可能なレベルに達します。
- 妊娠2週目(受精時):5 mIU/mL未満
- 妊娠3週目:5〜50 mIU/mL
- 妊娠4週目:5〜426 mIU/mL
- 妊娠5週目:18〜7,340 mIU/mL
- 妊娠6週目:1,080〜56,500 mIU/mL
上記のよう週毎に少しずつ増加していることがわかります。しかし記載されている数値は参考値であり、個人差があります。あくまで一つの目安にしましょう。
最適な検査タイミング
生理予定日の1週間後以降が検査の妥当な時期です。ほとんどの妊娠で十分な量のhCGホルモンが検出可能です。ただし、使用する妊娠検査薬の取扱説明書を確認し、指示に従って適切な時期に使用してください。
以下の点には注意が必要です。
- 生理周期が不規則な場合
- 排卵日がずれた場合
- ストレスや体調変化で生理が遅れている場合
上記の状況では、生理予定日も変動する可能性があるため、検査時期の調整が必要になることがあります。
妊活のベストタイミングが知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
>>妊活のベストタイミングはいつ?成功率を上げるコツを医師が解説
検査結果の解釈と注意点
妊娠検査薬で陽性反応が出た場合、妊娠している可能性が高いですが、以下の点に注意が必要です。
- 偽陽性の可能性
hCG注射後や特定の医薬品使用時に偽陽性が出ることがあります。 - 異常妊娠の可能性
子宮外妊娠や化学流産の場合でも、一時的に陽性反応が出ることがあります。 - 検査の精度
一般的な妊娠検査薬の精度は97〜99%とされていますが、使用方法や検査時期によっては正確な結果が得られないこともあります。妊娠検査薬の精度は、製品や使用時期によって異なるため、取扱説明書の指示に従うことが重要です。
妊娠検査薬で陽性反応が出た場合は、速やかに産婦人科を受診し、超音波検査などでの確認を受けることが重要です。また、陰性反応が出ても、症状が続く場合は再検査や医療機関での診察を検討してください。
妊娠検査薬は簡便で有用なツールですが、その結果を絶対視せず、適切なタイミングでの使用と、必要に応じた医療機関での確認が妊娠の早期発見と適切な管理につながります。
まとめ
基礎体温の高温期は妊娠の可能性を知る重要な手がかりですが、個人差が大きいため、自身の通常のパターンを把握することが重要です。高温期の平均期間は12〜16日程度ですが、10日以下や18日以上の場合もあります。妊娠時の基礎体温変化は個人差が大きく、変化が少ない場合もあります。以下のポイントも意識しましょう。
- 基礎体温以外の兆候も合わせて総合的に判断することが大切
- 妊娠検査薬は生理予定日の1週間後以降に使用するのが最適
- 正確な基礎体温測定と記録の継続が、自身の体調管理におすすめ
基礎体温の変化を注意深く観察し、必要に応じて医療機関に相談しましょう。
妊娠したいと考えている方は、普段からの食事や飲酒についても気をつける必要があります。以下では、妊活中に注意すべき食べ物やアルコール摂取に関して記載しているのでチェックしてみてください。
>>妊活中に注意すべき食べ物は?妊活で摂りたい栄養素やおすすめレシピも紹介
>>妊活中はお酒を飲んでも大丈夫?妊活中のお酒との向き合い方を徹底解説
参考文献
Rogan MM, Black KE. Dietary energy intake across the menstrual cycle: a narrative review. Nutrition reviews 81, no. 7 (2023): 869-886.