
体外受精の基本がわかる!治療の流れ・対象者・成功率・リスクまで徹底解説
公開日:2024.06.28更新日:2025.08.20
体外受精がどんな治療かイメージできず、不安な気持ちを抱えていませんか?タイミング法や人工授精で妊娠が難しい方が、検討する治療が体外受精です。不妊治療を受ける女性側・男性側の体の状態によっては、早めに体外受精に進んだ方が妊娠率を高められる場合もあります。
この記事では、体外受精の対象となる方や治療の進め方、成功率やリスクについて詳しく解説します。体外受精の基本を知って、自分に合った治療法を冷静に選べるようになりましょう。費用やスケジュール、体への負担などを把握しておくことで、不安を和らげ、前向きな気持ちで治療に臨むことができます。
神奈川県相模原市、淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックは、不妊治療の悩みに強みを持つ婦人科クリニックです。生理不順やPMSなどの女性特有のお悩みはもちろん、男性不妊の検査・治療にも対応し、ご夫婦のお悩みを専門医が丁寧にサポートします。
また、当院は橋本駅の長谷川レディースクリニックと密に連携し、婦人科・不妊治療を提供しています。2つの施設間で検査結果や治療方針を共有することで、よりスムーズな治療体制を整えています。体外受精をご検討の方にも、きめ細かな診療と迅速な対応をご提供していますので、お悩みの方は当院へご相談ください。
体外受精とは体内から取り出した卵子を、体外で精子と受精させる治療
体外受精とは、採卵手術により取り出した卵子と事前に採取した精子を体外で受精させる方法です。体外受精では、排卵誘発剤を使って卵巣を刺激し、排卵が起こるぎりぎりまで卵胞を育てます。受精し分割した受精卵(胚)を子宮内に戻すことで、妊娠成立をめざす方法です。
体外受精の対象者は体内での受精が難しい方
タイミング法や人工受精などの一般不妊治療が無効な場合や、男女の一方もしくは両方に受精の過程で問題がある場合は体外受精の対象となります。以下のいずれかの状態にあてはまる場合には体外受精を検討します。
- 卵管が詰まっている、卵管の周囲が癒着を起こしている
- 精子の奇形率が高い、精子の数が少ない、運動性が乏しい
- 女性側に精子に対する抗体*がある
検査をしても原因がわからず、なかなか妊娠が成立しない方も体外受精を検討する場合があります。それぞれの不妊の原因について詳しく解説します。
*抗体・・・体内に入ってきた異物を認識して攻撃するたんぱく質
卵管性不妊
卵管は卵子と精子の通り道なので、卵管に異常があると妊娠しにくくなります。卵管のトラブルとして、以下が挙げられます。
- 骨盤内癒着:炎症などで子宮や卵管が周りの組織とくっついてしまい、排卵した卵子を卵管へピックアップするのが難しくなる状態
- 卵管狭窄・卵管閉塞:卵管が狭くなったり詰まったりすることで、卵子と精子が出会いにくくなり、受精が難しくなる状態
- 卵管水腫:卵管の閉塞した部分に膿や水が溜まり、その膿が子宮に流れ込んで炎症を起こし着床環境を乱す状態
骨盤内癒着や卵管狭窄が起こる主な原因は、クラミジアや淋菌などの性感染症、虫垂炎などお腹の手術、重度の子宮内膜症による炎症です。卵管にトラブルがある場合には自然妊娠が難しいため、体外受精の対象となります。
男性不妊症
不妊症の原因は女性だけでなく、約半数は男性にも原因があると言われています。男性不妊で一番多い原因は、精子をうまくつくることができない「造精機能障害」です。造精機能障害では、精子の奇形率が高い、精子の数が少ない、運動性が乏しいといった特徴がみられます。
WHOでは自然妊娠に必要な精子濃度を1600万/mL以上、運動率42%以上としており、基準を下回る場合には、体内での受精が難しいため体外受精の検討が必要です。造精機能障害のほかにも、勃起や射精がうまくできない性機能障害が男性不妊の原因になります。
免疫性不妊
女性の体内で、精子を外敵とみなし攻撃してしまう抗精子抗体や、精子の動きを止めてしまう精子不動化抗体が見つかった場合には、体外受精の対象となります。抗精子抗体が男性側で見つかった場合には、体外受精のうち顕微授精が推奨されます。精子に対する抗体を持っているかどうかは、治療計画に大きな影響を与えてしまうのです。
原因不明不妊症
不妊症の検査をしても明確な不妊の原因が見つからない場合もあります。今ある検査では見つけられないだけで、問題がないわけではありません。現状では、主に以下の2つの原因が関わっていると考えられています。
- 卵管内で精子と卵子が受精しない
- 加齢により、精子または卵子の質が低下している
ヒトの卵子の質は30歳を過ぎると低下し始め、35歳を過ぎると急激に下降すると言われています。一度落ちてしまった卵子の質は元に戻せません。一般不妊治療をしてもなかなか妊娠にいたらない場合には、体外受精を視野に入れてください。

体外受精の流れやスケジュール
体外受精の一連の流れは以下のとおりです。
- 医師からの説明・事前検査
- 卵巣刺激・排卵誘発
- 採卵・採精・受精
- 胚培養・胚凍結
- 胚移植・黄体補充
- 妊娠判定
事前検査から妊娠判定までは、生理周期や卵胞の発育具合によって前後しますが約3か月です。体外受精のスケジュールと選択肢を理解することで、納得して治療を進めることができます。
STEP1:事前検査
体外受精を始める前に、治療方針を決めるための検査を受けていただきます。女性側も男性側もそれぞれ以下の検査を行います。
- 血液検査:一般的な血液検査項目のほか、甲状腺機能や卵巣予備能を調べる検査(AMH検査*)も行う
- ホルモン検査:卵胞の発育や排卵に関係するホルモン(FSH・LH・プロラクチンなど)の分泌状況を調べる
- 感染症検査:肝炎やHIV、クラミジアに感染していないか調べる
- 超音波検査:子宮や卵巣の状態をチェックして、子宮内膜症や子宮筋腫、卵管水腫がないか確認する
- 精液検査:精液に異常がないか調べる
*AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査・・・卵巣内の卵子の在庫量を調べるための検査
事前検査の結果を受けて、医師と治療内容やスケジュールについて相談します。感染症検査については、風疹抗体検査もあわせて行います。
STEP2:卵巣刺激など採卵に向けた準備
通常は1周期に1つの卵子のみが育ち排卵します。体外受精では、薬剤により卵巣を刺激することで複数個の卵子を育てる場合があります。卵巣刺激法は高刺激法・低刺激法・自然周期法がありますが、患者さんの年齢や卵巣機能に応じて選択します。当院で行っている卵巣刺激の特徴は以下のとおりです。
- 高刺激法
- 低刺激法
- 自然周期法
高刺激法では、内服薬に加えて注射薬や点鼻薬など複数の薬剤を使って、卵巣をしっかり刺激します。1回の採卵で10個以上の卵子を目指す方法で、AMH値が高い方や卵巣機能が良好な方に向いています。採卵回数をできるだけ減らしたい方や、受精卵を複数凍結しておきたい方に適した方法です。
低刺激法は、内服薬を中心に比較的やさしく卵巣を刺激する方法です。注射薬の使用も少なく、身体への負担が抑えられます。採卵できる卵子は1〜3個と少なめですが、AMH値が低い方や、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)のリスクがある方に適しています。自然に近いペースで治療を進めたい方にも向いています。
自然周期法は、排卵誘発剤を使わずに、自然に育った卵子を1個だけ採卵する方法です。卵巣への刺激が最小限のため、体への負担が軽いのが特徴です。卵巣機能が低下している方や、ホルモン治療に反応しにくい難治性不妊症の方に選ばれることが多い方法です。
STEP3:採卵・採精・受精
卵巣刺激により卵胞が十分な大きさまで育ったら、女性の卵巣内から卵子を採取します。採卵は経腟超音波を使って卵胞を確認しながら、腟から卵巣に採卵用の針を刺して、卵子が含まれる卵胞液を吸引します。採卵時には静脈麻酔または局所麻酔を行うクリニックが多いです。
精子の採取方法は、体外受精当日に採精する方法と事前に採精して体外受精まで凍結保存する方法の2つです。採精した精子は前処理をして、運動能が高く、より良い精子を集めて体外受精に用います。
卵子と精子を受精させる方法はふりかけ法と顕微授精の2種類あり、違いなどは記事の続きで詳しく解説しています。
STEP4:胚培養・胚凍結
受精が確認できたら、2〜6日ほど培養を続けます。受精卵が4〜8個の細胞に分割すると初期胚となり、培養を続けると胚盤胞という段階まで発育します。胚の状態を見ながら、初期胚と胚盤胞のどちらを移植するかを決定していくのです。採卵周期で胚移植を行わずに、いったん胚を凍結して、別の周期で胚移植を行う場合(凍結融解胚移植)もあります。
STEP5:胚移植
子宮の中に胚を戻すことを胚移植といいます。胚移植には採卵した周期の胚を使用する場合(新鮮胚移植)と、凍結融解した胚を使用する場合(凍結融解胚移植)があります。多胎妊娠を防ぐために、移植に使用する胚の個数は原則としては1個だけです。ただし、35歳以上の女性または2回以上続けて妊娠不成立であった女性などは、2個の胚移植を許容する場合もあります。
STEP6:妊娠判定
移植により着床が成立すると、形成された胎盤からhCGと呼ばれるホルモンが分泌されます。血液検査または尿検査でhCGホルモンを測定し妊娠判定を行います。胚移植後14日前後に妊娠判定することが多いです。
体外受精の費用はいくら?保険適用と助成金制度
体外受精には、1回あたり30〜60万円程度の費用がかかるのが一般的です。検査・薬剤・採卵・受精・胚移植といった各ステップに費用がかかるためです。採卵と胚移植だけでも20〜40万円、さらにホルモン治療や麻酔費用が加わると合計50万円を超えることもあります。ただし、2022年4月からは条件付きで保険適用となり、医療機関によっては3割負担で済むケースもあります。
自治体によっては「不妊治療の助成金制度」があり、所得制限内であれば数万円〜十数万円の補助が受けられることもあります。費用面が不安な方は、事前に医療機関で見積もりを確認し、保険適用の有無や助成制度の対象になるかを確認しておきましょう。
以下の記事では、不妊治療にかかる費用を治療内容別に詳しく解説するとともに、費用の負担を軽減するための具体的な方法も紹介しています。これから治療を検討する方は、ぜひ参考にしてください。
>>不妊治療の費用はいくら?治療内容別の費用と使える助成制度を詳しく紹介
体外受精による受精方法は2種類
体外受精には、以下の2種類があります。
- ふりかけ法
- 顕微授精
それぞれの受精方法の仕組みや特徴を知っておきましょう。
ふりかけ法
卵子の入った培養容器の中に精子を一緒に入れて、精子が自力で卵子の中まで泳いで受精させる方法です。受精するには十分な精子の数と、精子の運動性が良いことが必要です。ふりかけ法はより自然に近い受精で、卵子に対してストレスが少ない方法です。顕微授精と比べると費用は安いです。
顕微授精
培養士が形態・運動性の良い精子を選択し、顕微鏡で確認しながら細いガラス針を使って精子を卵子の細胞質の中に注入し受精させます。顕微授精は、精子の運動率が低い場合や数が少ない場合などに選択されます。精子の自然な力に任せるのではなく、培養士が卵細胞質内に確実に精子を注入する方法のため、精子の状態が不良でも受精が期待できる方法です。ふりかけ法と顕微授精の違いについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
>>顕微授精とは?ふりかけ法と何が違う?メリットやリスク・費用を解説

体外受精のリスクや実態
体外受精では、卵巣過剰刺激症候群や採卵による合併症、多胎妊娠、子宮外妊娠などのリスクがあります。体外受精のリスクや実態について、以下の内容を解説します。
- 妊娠成功率は年代ごとに異なる
- 年齢が上がるにつれて成功率は下がる
- 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を発症する可能性がある
- 子宮外妊娠が起こる可能性がある
- 自然妊娠よりも多胎妊娠の可能性が高い
体外受精のリスクや年代による成功率を理解して、適切なタイミングで体外受精に踏み出せるようにしましょう。
妊娠成功率は年代ごとに異なる
下のグラフは、日本産科婦人科学会から発表された妊娠率や流産率のデータです。年齢が高くなるほど妊娠率が下がり、年齢が上がるほど流産率が高くなることがわかります。
(出典:日本産科婦人科学会2021年調査)
上のグラフから、体外受精・胚移植の治療実績がわかります。年代別の胚移植周期あたりの妊娠率(青い線)を見てください。妊娠率は、30歳頃までは45〜50%程度で一定ですが、30歳を過ぎた頃から徐々に低下を始めます。35歳から妊娠率の下がり幅が大きくなり、30代後半では妊娠率30〜40%、40代を過ぎると妊娠率は20%台となります。
年齢が上がるにつれて成功率は下がる
年齢を重ねると妊娠の成功率が下がる理由は、卵子の質の低下と数の減少が原因です。卵子のもとになる卵母細胞は、お母さんのお腹にいるときが一生の中で一番多く、その後閉経までだんだんと減っていきます。通常の細胞は細胞分裂によって常に生まれ変わっていきますが、卵子の場合は数が増えません。
女性の老化とともに卵子も老化が進み、受精に必要な減数分裂*がうまく行われないことがあります。減数分裂が正しく行われないと、受精したあとに胚盤胞まで育たず流産や染色体異常などのリスクにつながります。年齢が上がることによる卵子の質や数の低下は、妊娠率低下の要因になるのです。
*減数分裂・・・生殖細胞をつくるときに行われる、親の持っている情報(染色体)を半分にする分裂のこと
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を発症する可能性がある
体外受精では、多くの卵子を採取するために排卵誘発を行う場合がありますが、卵巣刺激による卵巣過剰刺激症候群(OHSS)に注意が必要です。卵巣が膨れ上がってお腹に水が貯まり、腹痛、腹部膨満感、血液濃縮、乏尿、血栓症を伴うことがあります。治療を進める中で以下の症状がみられたら、すぐに病院に連絡してください。
- お腹が張る
- 吐き気がする
- 急に体重が増えた
- 尿量が少なくなる
OHSSは、年齢の若い方や多嚢胞性卵巣症候群の方、排卵誘発剤を使用して成熟卵胞が10個以上出現した場合に起こりやすいです。OHSSを予防するためには、低刺激の卵巣刺激を行ったり、血液検査でホルモン量を測定し、排卵誘発剤の量を調整したりするなどの工夫をします。
子宮外妊娠が起こる可能性がある
子宮外妊娠とは、子宮以外の卵管などで受精卵が着床して妊娠してしまう状態です。体外受精を受ける方は、元々卵管に問題があることが多く、自然妊娠に比べると子宮外妊娠の頻度が少し高くなるとの報告があります。ただし、凍結融解した胚盤胞移植を選ぶことで、子宮外妊娠の確率を少しだけ下げられるとの報告もあります。
気になる方は、事前に医師とご相談ください。
自然妊娠よりも多胎妊娠の可能性が高い
体外受精や顕微授精による妊娠では、1度に複数の胚を移植することにより多胎妊娠(双子や三つ子)の頻度が増加します。多胎は母体と胎児両方にとってリスクとなる状態です。母体側は妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病を発症しやすくなったり、帝王切開や切迫早産の頻度が高くなったりする問題があります。
胎児にとっては、低出生体重児が生まれやすく、先天異常による新生児の死亡率も高くなってしまうのです。現在では多胎妊娠による母子のリスクを避けるために、体外受精における移植胚の数は原則1個にすることが推奨されています。移植胚の数を1個に制限した場合でも、子宮内で移植胚が分裂し一卵性の双子になることもあります。
以下の記事では、体外受精に伴う代表的な7つのリスクについて詳しく解説しています。多胎妊娠以外にも、先天的な障害の可能性を含めた注意点にも触れているので、治療を検討中の方はぜひご覧ください。
>>体外受精の7つのリスク!先天的障害の可能性や合併症を詳しく解説
体外受精に関するよくある質問(FAQ)
体外受精に関するよくある質問は以下のとおりです。
- Q1.体外受精は何回くらいで妊娠できる?
- Q2.通院はどのくらい必要?
- Q3.体外受精の治療中も仕事は続けられる?
- Q4.体外受精は痛みを伴う?
- Q5.年齢が高くても体外受精で妊娠できる?
知らないことで不安を感じやすいため、ぜひ疑問点がある方は事前に解消しましょう。
Q1.体外受精は何回くらいで妊娠できる?
体外受精で妊娠するまでの回数には個人差がありますが、多くの方は2〜3回の挑戦で妊娠に至るケースが多いとされています。1回目で成功する方もいれば、5回以上かかる方もいます。成功率は年齢や卵子の質、子宮の状態などに左右されるため、焦らずご自身のペースで進めることが大切です。
医師と相談しながら、毎回の結果を踏まえて方針を調整していきましょう。
Q2.通院はどのくらい必要?
体外受精では、1回の治療周期でおよそ5〜10回ほど通院するのが一般的です。初めに検査を受け、卵子を育てる期間には数日おきの診察があります。その後、採卵・移植・妊娠判定と進みます。病院によっては朝早く診療を行っていたり、土日に対応してくれるところもあるので、仕事との両立を考える方はスケジュールの相談をしてみましょう。
通いやすい環境を選ぶことも、治療を続けやすくするポイントです。
Q3.体外受精の治療中も仕事は続けられる?
体外受精を受けながら仕事を続けている方もたくさんいます。通院の頻度や体調の変化には個人差がありますが、体に強い負担がかかるわけではないため、スケジュールの調整次第で両立が可能です。採卵日や移植日は予定が立てにくいこともあるので、あらかじめ職場と相談しておくと安心です。
在宅勤務や有給休暇を活用しながら、無理のないペースで取り組むことが大切です。
Q4.体外受精は痛みを伴う?
体外受精では、採卵の際に麻酔を使うため、ほとんどの方が強い痛みを感じることはありません。ただし、体質によっては採卵後にお腹の張りや軽い痛みを感じることがあります。不安な場合は事前に医師に相談しておくと安心です。移植の際も痛みはほとんどなく、通常の診察と同じくらいの感覚で行えます。
Q5.年齢が高くても体外受精で妊娠できる?
年齢が高くても妊娠できる可能性はありますが、妊娠率は年齢とともに下がる傾向があります。特に女性は35歳を過ぎると卵子の質が少しずつ低下し、40代になると自然妊娠や体外受精の成功率も下がると言われています。ただし、個人差も大きいため、年齢だけで判断せず、まずは検査を受けて体の状態を知ることが大切です。
卵子の状態やホルモン値を見ながら、医師と一緒に最適な治療法を考えることで、前向きに妊娠を目指すことができます。
まとめ|体外受精を検討している人はまず病院へ
体外受精では、治療を始める前に男性・女性ともに事前検査を受けます。卵巣予備能や卵子、精子の状態を考えて、最も妊娠成功率が高い方法をとっていくためです。一般不妊治療を繰り返しても妊娠が成立しない場合には、体内での受精が難しい何らかの理由が隠れているかもしれません。女性の妊娠成功率は、年齢を重ねるごとに確実に低下していきます。不妊治療がうまくいかずに体外受精を考えているときは、まずは産婦人科に相談してみましょう。
参考文献
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- World Health Organization. WHO laboratory manual for the examination and processing of human semen, 6th ed. World Health Organization, 2021.