体外受精の7つのリスクを解説!体外受精による先天的な障害の可能性にも言及
公開日:2024.06.28更新日:2024.06.28
体外受精は、不妊治療において妊娠、出産できる可能性を広げる治療法です。しかし確実に妊娠できるわけではないですし、体外受精にはさまざまなリスクも伴います。この記事では、体外受精における母体のリスクや胎児の先天的な障害の可能性について詳しく解説します。
体外受精を行う前に知っておきたい7つのリスク
体外受精を行う前に、リスクがあることも十分理解しておくことが大切です。ここでは以下の7つのリスクについて解説します。
- 年齢があがるにつれて妊娠率が下がり、流産率が上がる
- 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を発症する可能性がある
- 子宮外妊娠が起こる可能性がある
- 自然妊娠よりも多胎妊娠の可能性が高い
- 採卵により合併症を発症するおそれがある
- 定期的に通院が必要のためスケジュール調整が大変
- 体外受精を継続するにはコストが必要
年齢があがるにつれて妊娠率が下がり、流産率が上がる
妊娠率や流産率は、女性の年齢が影響することがわかっており、女性の年齢があがるにつれて妊娠、出産に至る確率は下がるというデータがあります。
(出典:日本産科婦人科学会2021年調査)
体外受精の妊娠率は、34歳以下が40%台であるのに対し、40歳以上では20%前後、45歳以上になると数%まで落ちてしまいます。また、流産率は40歳未満では20%前後ですが、41歳以上は37%以上になります。
卵子は女性の胎児期に作られるため、年月とともに老化し、質が低下していきます。体外受精は、いつでもできる治療ではないことの理解が必要です。
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を発症する可能性がある
卵巣過剰刺激症候群は、排卵誘発剤の副作用で起こります。体外受精では排卵誘発剤を使用することがほとんどです。個人差はありますが、過剰に反応する人は、卵巣が膨れ上がったり、ホルモンが増加しすぎたりします。
卵巣過剰刺激症候群を発症したまま妊娠すると症状が悪化し、入院管理が必要になるケースもあるため注意が必要です。排卵誘発剤を使用してお腹の張りや吐き気、急激な体重増加などの体調変化があった場合はすぐに医師へご相談ください。
子宮外妊娠が起こる可能性がある
数%という少ない確率ではありますが、子宮外妊娠になることもあります。子宮外妊娠は、子宮に戻した胚(受精卵)が卵管や卵巣などの子宮以外の場所に着床してしまうことです。胎児は、子宮以外の着床では育つことができないため、子宮外妊娠が起こると妊娠は不成立となってしまいます。
自然妊娠よりも多胎妊娠の可能性が高い
体外受精は、多胎妊娠の確率が自然妊娠の場合よりも高くなります。原因のひとつは、2つの胚(受精卵)を子宮に戻すことです。
多胎妊娠を防止するために子宮に戻す胚(受精卵)の数は原則1個とされていますが、35歳以上の女性の場合や、なかなか妊娠に至らない人の場合は2つの胚(受精卵)を戻すこともあります。また、胚(受精卵)を体外で培養することが多胎になる確率を上げているという調査結果もあります。
多胎妊娠の場合は、切迫早産や妊娠中の合併症など母体への影響はもちろん、未熟児など胎児への影響もあるのです。
採卵により合併症を発症するおそれがある
採卵時の合併症には、出血、腸管損傷、麻酔による副作用などがあります。採卵は、細い針を卵巣に刺して卵子を採りますが、その時に膣壁や卵巣から出血したり、周りの臓器を傷つけたりするリスクがあるのです。
採卵時に使用する麻酔の副作用で血圧が低下したり、アレルギー反応が出たりすることもあります。まれに穿刺の影響で腹腔内感染が起こってしまう可能性もあります。
定期的に通院が必要のためスケジュール調整が大変
通院回数が多いことも不妊治療を続けるのが困難になる理由のひとつです。体外受精の場合、事前検査から妊娠判定まで3か月程度かかります。排卵誘発剤の使用や採卵、胚移植などのために生理1周期あたり4〜5回の通院が必要です。
採卵や胚移植などは、卵胞や子宮内膜のベストな状態に合わせて行うため、決められた日に通院する必要があります。仕事との両立が難しく、仕事を辞めるか不妊治療を諦めるかの選択を迫られてしまう方もいます。
体外受精を継続するにはコストが必要
2022年4月から、条件付きですが体外受精は医療保険適用の対象になりました。
医療保険適用の条件は以下の通りです。
- 法的な婚姻関係にあるか、事実婚であること
- 年齢:女性の年齢が43歳未満
- 回数:子ども一人につき40歳未満は最大6回、40〜43歳未満は最大3回
以前に比べると費用の負担が少なくなったことは事実です。しかし、保険適用外の薬もあり、回数を重ねると数十万円や数百万円単位でコストがかかることもあります。
体外受精は実績や経験があるクリニック選びが重要
ここまでお伝えしたように、体外受精には時間的にも肉体的にも金銭的にもリスクがあります。治療の途中でクリニックを変えるのは難しいため、最初のクリニック選びが重要になります。
不妊治療を受けるなら、不妊治療専門のクリニックや生殖医療専門医を受診することが望ましいです。産婦人科医でも専門分野はさまざまなので、不妊治療を専門としており、実績と経験が豊富で信頼できるクリニックに相談することがとても大切です。
ソフィアレディスクリニックには生殖医療専門医がおり、幅広い不妊治療が可能です。また、女性の健康をトータルでサポートし、安心、安全な医療の提供はもちろん、ひとりひとりに寄り添い、精神的なサポートも行います。不妊治療は夫婦二人の問題のため、男性不妊に対する外来も設けています。男性は不妊治療へ行くのに躊躇する傾向にありますが、お二人で来院し、一緒に相談、治療を受けることが可能です。
体外受精によって先天的障害の可能性は高くなるのか
体外受精を選択した場合、生まれてくる子どもに先天的障害が出るかどうか心配だと思います。前提として、自然妊娠の場合でも一定の確率でASD(自閉スペクトラム症)などの先天的障害が発生します。
海外のデータですが、ふりかけ法の場合は自然妊娠と比べて先天的障害の発生率はほとんど変わりません。しかし、顕微授精(ICSI)ではASDの発生率は2.49倍、発達遅延に関しては1.92倍のリスクがあるとの報告もあります。
今回の報告では顕微授精が原因である可能性も考えられますが、不妊症であるという体質自体が先天的障害のリスクを増やした可能性も否定できません。したがって、「顕微授精だから先天的障害があるかもしれない」と過度に心配して諦める前に、不安なことは医師に相談してください。
体外受精を考えている人は不妊治療に強い婦人科に相談しよう
体外受精を考えている方は、他の不妊治療では妊娠に至らなかった方が多く、精神的な負担を抱えている方が多いです。体外受精にはリスクがあるのも事実です。体外受精を受ける際には、実績と経験が豊富で信頼のできるクリニックで、十分に説明を受けてからご自身に合った治療法を選択するようにしましょう。
ソフィアレディスクリニックでは、来院されたカップルの約70%がお子さまを授かっており、たくさんの感謝の声をいただいております。ひとりでも多くの方が未来の宝物(子ども)を授かるためのお手伝いをしたいと考えています。不妊治療に関して迷われている方でも受診は可能です。気になることがありましたら、まずはお気軽に当院へお問い合わせください。