ソフィアレディスクリニック

体外受精のスケジュールを詳しく解説!仕事との両立の難しさや費用についてもご紹介

公開日:2024.05.31
更新日:2024.05.31

不妊治療をステップアップして、体外受精を検討する夫婦が最初に感じる壁は、体外受精のスケジュール調整です。特に採卵周期は通院頻度が多く、不妊治療と仕事の両立ができずに悩む女性は少なくありません。この記事では、事前に知っておきたい基本的な体外受精のスケジュールと期間、採卵周期の各治療工程でかかる費用について紹介します。

体外受精の基本的なスケジュール

一般的な体外受精の治療スケジュールは以下の通りです。

  • 医師からの説明・事前検査
  • 卵巣刺激・排卵誘発
  • 採卵・採精
  • 受精・培養
  • 胚移植・黄体補充
  • 妊娠判定

生理周期のタイミングや卵胞の発育状況によって前後しますが、全治療行程を合わせると約3か月はかかります。それぞれ具体的な治療内容や期間について解説します。

医師からの説明・事前検査

体外受精を始める前に、医師から治療内容の説明を受けて、事前検査に進んでいただきます。治療方針を決めるにあたって、ご夫婦へ各治療工程の内容をお伝えし、体外受精を受けるか決めていただく段階です。

事前検査では、これまでの不妊治療の経過やご夫婦の状況に合わせて血液検査、ホルモン検査、超音波検査、精液検査などを実施します。スケジュールや費用、治療内容について決めるため、医師と相談して不安に思うことを解消した上で事前検査を受けてください。

卵巣刺激・排卵誘発

事前検査で懸念される内容が無ければ、卵巣刺激および排卵誘発に進みます。自然妊娠では1周期に1つの卵子のみが育ち排卵します。体外受精で同時に複数の卵子を採取したい場合や、検査結果によっては排卵誘発剤を使用して、複数の卵子の育成が必要です。

卵巣刺激は月経3日目頃から開始しますが、使用する排卵誘発剤の種類は患者さんごとの卵巣機能に合わせて選択します。

排卵誘発剤に使用する薬剤やスケジュールの違いについては、記事の続きで詳しく解説しています。

採卵・採精

女性の卵巣内で育成した卵胞と男性の精子をそれぞれ採取します。採卵時期は月経12日以降で、経腟超音波を使って卵胞を確認し、膣から卵巣に採卵用の針を刺して卵胞液と一緒に卵子を吸引します。一連の治療は麻酔下で行われるため、採取後は院内で30分から2時間の安静が必要です。

採精は病院やご夫婦の状況に合わせて、体外受精の当日に自宅で採精する場合と、事前に採精して体外受精まで凍結保存する方法があります。

採精した精子の中から、運動性のある元気な精子のみを使用します。

受精・培養

採卵後は卵子を培養し、精子と受精させます。受精方法は卵子と精子を同じ培養液に入れて受精を待つ培精(ふりかけ法)と、卵子に直接針を刺して精子を注入する顕微授精の2種類です。受精後の培養期間は2〜6日ほどで、受精卵の生育状況を見つつ生理周期に合わせて体内にいくつ戻すか、あるいは凍結して次の周期を待つか決めます。

胚移植・黄体補充

受精後の培養で分割が進んだ受精卵は「胚」と呼ばれる状態になり、子宮内に胚を戻す胚移植に進みます。移植時期は採卵周期であれば採卵後2〜6日目、凍結胚の移植なら排卵後に子宮へ移植します。排卵期は黄体ホルモンの影響で子宮内膜が厚くなりますが、採卵周期では採卵時に黄体を吸引してしまっているため、着床しやすい環境をつくるために黄体ホルモンの補充が必要です。

妊娠判定

血液検査または尿検査でhCGホルモンを測定し妊娠判定します。検査のタイミングは移植時の胚の状態により異なりますが、移植後14日前後に妊娠判定する場合が多いです。

排卵誘発剤を用いた卵巣刺激には複数の方法がある

事前検査の結果や過去の治療歴、体質、年齢によって使用できる排卵誘発剤は異なります。排卵誘発剤による卵巣刺激の方法は以下の2つです。

  • 高刺激法
  • 低刺激法

体外受精では排卵誘発剤を使用する場合が多いですが、検査結果によって排卵誘発剤を使用できない方は以下の方法で採卵します。

  • 自然周期法

それぞれの治療法とスケジュールの違いについて解説します。

高刺激法

高刺激法は10個以上の採卵を目的とした方法です。1回の採卵で多くの卵子を採れれば、1回目の胚移植で妊娠ができなかった場合でも、次の月経周期に向けて受精卵を凍結保存できる可能性が高いです。

高刺激法はAMH値や卵巣機能の条件をクリアした方、採卵周期のスケジュール管理や身体的な負担から採卵回数を減らしたい方が選択します。一方で卵巣への刺激が強く、採卵周期の次の月経周期は卵巣を休ませる必要があります。体外受精における採卵のトータル回数を減らせる一方、高刺激法の採卵周期では通院時間と薬剤費用がかかる方法です。

アンタゴニスト法

月経開始の3日前までに検査のため受診し、月経3日目から10日ほどFSH/hMG注射で卵胞を育てます。一定の大きさまで育ったところでGnRHアンタゴニストを使用して排卵を抑え、ホルモン値などの検査結果と合わせて採卵日を決める治療法です。GnRHアンタゴニストは卵胞が未熟な方、他の卵巣刺激法が使えない卵巣過剰刺激症候群のリスクを持つ方も使える排卵誘発剤です。

PPOS法

黄体ホルモン併用卵巣刺激法の略称で、月経3日目から10日ほど続けて使用するFSH/hMG注射と併用して黄体ホルモンを内服する方法です。こちらも月経開始の3日以内までに受診が必要ですが、黄体ホルモンの併用によって卵巣過剰刺激症候群のリスクを下げるメリットがあります。

ロング法

採卵する周期の月経開始7日前頃(高温期)から、採卵2日前までGnRHアゴニスト点鼻薬と呼ばれる排卵誘発剤を使用します。採卵2日前に排卵促進剤のhCG注射をします。高刺激法の中でも薬の使用期間が長い点が特徴です。

ショート法

月経3日目から毎日hMG注射が必要ですが、投薬期間は10日ほどと短い点が特徴です。他の方法と同様に、採卵2日前に排卵促進剤のhCG注射をします。ロング法で十分な効果が得られなかった方にも提案される治療法です。

低刺激法

高刺激法に比べて卵巣刺激が緩やかな内服薬を主に使用する方法です。1回の採卵周期で得られる卵子は1個から多くても3個です。

卵巣刺激過剰症候群の方やAMH値が低い方、年齢や過去の治療から高刺激法で効果が得られなかった方が選択します。月経1日目から採卵までの来院回数は3~4回程度です。卵胞の発育に合わせて追加で内服薬の増量や注射薬を追加する場合があります。

クロミフェン周期法

月経3日目からクロミフェン(薬剤名はクロミッド、セロフェンなど)と呼ばれる内服薬を使用し、卵胞の発育状態を確認しながら採卵できる状態まで育つのを待ちます。クロミフェンのみでは効果が不十分な場合、hMG注射を併用します。

レトロゾール周期法

レトロゾールは卵胞のホルモン感受性を上げるため、FSH値が低い多のう胞性卵巣の方にも向いている治療です。月経3日目からレトロゾールを内服し、卵胞の発育状態を確認しながら採卵できる状態まで育成します。

自然周期法

排卵誘発剤による卵巣刺激をせず、自然周期に合わせて採卵する方法です。自然周期で発育する卵子は基本的に1つなので、採卵できる卵子も必然的に1個となります。排卵誘発剤の効果があまり無い卵巣機能が低い方や、難治性不妊症の方向けの治療方法です。

自然周期に合わせるため、採卵時期の調整ができずにスケジュールを立てにくい点や、高刺激法・低刺激法より排卵時期をコントロールしづらい点から、採卵前に自然排卵した結果、採卵自体がキャンセルになる可能性があります。

受精の方法は「ふりかけ法」と「顕微授精法」の2種類

体外受精は受精方法の違いでふりかけ法と顕微授精法の2種類に分けられます。採卵・採精した卵子と精子を同じ培養容器の中で合わせ、自然に受精を待つ方法がふりかけ法です。

一方、顕微授精は技術者が顕微鏡下で卵子に1個の精子を注入して授精させます。顕微授精は事前検査の結果、精子の運動率や数など、ふりかけ法が適用される条件に合わない場合に選択される治療です。

体外受精の各工程にかかる費用

体外受精の各治療工程でかかる費用の概算は以下の通りです。

治療工程費用
医師からの説明・事前検査1650円~
卵巣刺激・排卵誘発10,000~20,000円(保険診療)
採卵・採精採卵 9,600~21,600円
受精・分割一般体外受精 ¥12,600顕微授精 14,400~38,400円受精する卵子の数によって変動培養 13,500~31,500円
胚移植・黄体補充移植 22,500~36,000円黄体補充8,000~13,000円(自費診療)
妊娠判定1,500~4,200円(自費診療)

治療開始前の事前検査を含め、各治療段階で状態を確認するための検査費用がかかります。2022年4月から保険適用された不妊治療もあり、選択した治療が保険適用か自由診療かでも費用は大きく変わります。

保険適用の範囲について詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。

>>2022年4月から不妊治療が保険適用に!年齢・回数の制限やデメリットについて詳しく解説

当院の費用については以下でご確認いただけます。

>>ソフィアレディスクリニックの治療費一覧

仕事をしながら不妊治療を受けることには難しさもある

2021年に国立社会保障・人口問題研究所が実施した「出生動向基本調査」の結果では、不妊の検査または治療を受けた夫婦の割合は4.4組に1組でした。2015年の同調査では5.5組に1組だったことから、不妊治療を選択する夫婦が5年間で25%増えている状況です。

しかし、厚生労働省が2023年度に行った「不妊治療と仕事の両立に関するアンケート調査」への回答では「仕事と両立している」と回答した人は55.3%と半数以上いる一方、「不妊治療と仕事の両立ができずに仕事を辞めた人」が10.9%でした。

不妊治療を受ける夫婦は年々増えていますが、不妊治療を理由に仕事を辞めている人は10人に1人いることから、仕事との両立は難しい実情が分かります。

スケジュール調整で仕事との両立の難しさを感じる場合もある

体外受精のスケジュールと仕事の調整が難しい理由として、通院回数の多さと通院日を直前まで確定できない点が挙げられます。厚生労働省による上記アンケートで「仕事と治療の両立が難しいと感じたこと」に対する最も多い回答は「通院回数が多い」で53.5%、女性のみの回答結果では67.1%と、3人に2人が仕事と治療の両立が難しい理由に通院回数を挙げています

不妊治療の一般的な通院頻度は女性側に負担が大きく、体外受精を含む生殖補助医療と呼ばれる不妊治療の場合、月経周期ごとの通院日数は4〜10日と高頻度です。特に採卵周期は卵胞の成長に合わせて受診日が決まるため、働き方を変えたり職種によっては仕事を辞める選択をしたりする人も少なくありません。

体外受精のスケジュールについての相談は産婦人科へ

体外受精で不妊治療を受ける際のスケジュールと費用について紹介しました。体外受精の治療は通院や採卵手術が直前に決まるため、仕事と両立する場合には時間的にも体力的にも女性に大きな負担がかかります。

今回紹介した体外受精のスケジュールは、一般的な体外受精の採卵から移植までの流れで、すべてのご夫婦に合う内容ではありません。不妊治療を行っている産婦人科では検査結果だけではなく、ライフスタイルに合わせて治療方針や治療内容を提案します。

ご夫婦に合ったスケジュールを立てるためにも、まずは産婦人科へご相談ください