不妊治療の費用を治療内容別に解説!費用の負担を減らす方法についても詳しく紹介

公開日:2024.03.21
更新日:2024.03.21

高額なイメージが強い不妊治療ですが、2022年4月から保険適用されたことはご存じでしょうか。不妊治療は種類が多く、治療の段階によっても費用に大きく差があります。この記事では、保険適用された不妊治療の種類と費用についてくわしく解説します。制度を利用した治療費の軽減方法や、妊娠中から出産にかかる費用についても紹介するので、ご自身が活用できる制度や保険を確認してください。

【治療内容別】不妊治療の費用まとめ

不妊治療の費用は2022年4月に、全額自己負担(10割負担)から保険適用(3割)に変更されました。しかし、不妊治療の費用は治療内容によって差が大きく、保険適用となった現在でも1回の診療・治療につき数千円から、数百万円の治療費がかかります。

不妊治療の主な種類は以下の5つです。

  • 人工授精
  • 体外受精
  • タイミング法
  • 顕微授精
  • 顕微鏡下精巣内精子採取術

不妊治療は生理周期に合わせて治療や処置を行います。前回の生理開始から次回の生理開始日までの1周期あたりの治療内容と費用の概算を見てみましょう。

人工授精の場合

人工授精では、採取した男性の精液を病院で処理をし、女性の排卵時期に合わせ子宮内に注入して受精を促します。

「人工」という言葉に抵抗感がある方もいますが、受精方法は自然妊娠と同じです。

人工授精はタイミング法の次の治療ステップとしてはもちろん、精子の濃度や運動率が低い場合、勃起や射精がうまく機能しない場合にも行われます。

1周期あたりの検査・受診にかかる費用は2〜3万円で、人工授精自体の費用は1回につき5,460円です。

体外受精の場合

体外受精は、精子と卵子を体外で受精させ子宮に戻す方法です。

一般的な治療方法では、まず排卵誘発剤を使用し女性の体内で卵子を育て、成熟した卵子を複数個取り出します。取り出した卵子と精子を同じ容器の中に入れ受精を待ち、受精卵になったら数日間培養して子宮に戻します。

体外受精は、排卵誘発剤の使用や採卵が必須のため、女性の身体に負担が大きい不妊治療です。1周期の中に多くの処置が組まれるので、通院頻度が上がり女性側に時間的な負担も増えます。

1周期あたりの検査・受診にかかる費用は、採卵から培養までで10〜15万円、移植が4〜6万円です。2022年4月の保険適用前は全額負担の治療だったため、合わせて45〜75万円かかる高額な不妊治療でした。

タイミング法の場合

タイミング法とは、予測した排卵日に合わせて性交渉のタイミングを取る方法です。

病院で超音波検査やホルモン検査を行い、卵巣内の卵子の成熟具合を確認することで、排卵日を推測します。性交渉を排卵日に合わせるだけでも妊娠する方は多いです。

最も妊娠しやすいタイミングは排卵日の2日前と言われています。精子の生存期間は72時間あるので、排卵日当日だけでなく排卵日の前から2〜3日に一度の性交があれば、さらに妊娠率は高くなるでしょう。

1周期あたりの検査・受診にかかる費用は数千〜1万円です。排卵誘発剤を使用すると3万円程かかる場合があります。

顕微授精の場合

顕微授精では、採取した精子を顕微鏡観察下で卵子に直接注入して授精させます。

精子の数が少ない乏精子症や、精液中に精子が見つけられない無精子症といった男性側に不妊の原因がある場合にも選択できる治療法です。

女性側に問題がなくても、顕微授精のための通院や治療の負担は女性にかかります。人工授精と同様に排卵誘発後に採卵し、顕微授精した受精卵を培養後、子宮に戻し妊娠を待ちます。

検査・受診の費用は体外受精より数万円高く、1周期あたりの合計費用は14〜24万円程です。

顕微鏡下精巣内精子採取術の場合

顕微鏡下精巣精子採取術とは、精巣から精子を採取する手術です。乏精子症や無精子症の場合、精巣の中に精子が残っていれば顕微鏡下精巣内精子採取術で精子を取り出し、顕微授精ができます。

精巣で精子を作り出す能力が低下し、精液の中に精子が確認できない無精子症の方が適応です。顕微鏡観察下で精巣の組織を拡大して、精子を作る能力が残っていそうな部分を見つけ出します。その中に精子が見つかり、採取できれば顕微授精の治療を選択できるのです。

顕微鏡下精巣内精子採取術も保険適用ですが、手術を受けるには医師の診断が必要となります。

診断に必要な検査と手術費用が8.5万円程度、顕微授精時に追加で1.5万円ほどかかります。各病院の初診料や、手術前後に薬が処方されると、合計費用は11万円ほどです。

不妊治療の自己負担額をさらに減らせる3つの方法

不妊治療が保険適用になったとはいえ、回数が増えるほど自己負担額は高くなります。不妊治療で自己負担額を減額するために、活用できる制度は以下の3つです。

  • 高額療養費制度
  • 民間の医療保険
  • 医療費控除

制度の適用条件について詳しく解説します。

高額療養費制度

高額療養費制度とは、1か月あたりに支払った医療費が、上限を超えた場合に利用可能な制度です。

上限金額は保険加入者の所得金額に応じて変わります。例えば年収370万円〜770万円の方が30万円の治療費を自己負担した場合、1か月あたりの上限金額は87,430円です。この金額を超えた医療費は申請後返還されます。

高額療養費制度では「適用期間」と「適用範囲」に注意が必要です。

適用期間は1月なら1月1日から1月31日で期間が区切られます。そのため1月と2月にまたがって高額な治療を受けた場合、それぞれの月に上限が適用されます。

また、不妊治療の中でも保険適応外の治療は、高額療養費制度の適用範囲外です。オプション治療等は特に保険適用外の場合が多いので、各治療前に保険適応の治療範囲を確認してください。

民間の医療保険

「人工授精」「体外受精の採卵術」「体外受精の胚移植」は保険適用に伴い「手術」に分類されました。民間医療保険に加入済みで、手術給付金が契約内容に含まれていれば、請求対象となります。保険適用外の不妊治療でも、先進医療特約のついた民間の医療保険に加入していれば、先進医療給付金を請求できる場合があります。詳しくは加入している民間保険の契約内容をご確認ください。

医療費控除

保険の適用・適用外に関わらず、治療目的の診療や施術は不妊治療の費用として医療費控除の対象となります。

医療費控除とは、1月1日から12月31日までに支払った医療費が一定の金額を超えると、所得控除を受けられる制度です。

医療費控除額の計算方法は、実際に支払った医療費から給付金や高額療養費制度で返還される金額から、さらに10万円を差し引いた額です。

医療費控除は、生計が同一の家族の医療費を合算して申請できます。夫婦で不妊治療を受けた場合は、合算金額をどちらかが確定申告で申請すれば医療費控除を受けられます。

妊娠・出産には平均60万円程度かかる

不妊治療と関係なく、通常の妊娠から出産までにかかる費用は平均60万円程と言われています。妊娠から出産までの間に予定される約14回の妊婦健診は1回あたり3,000〜1万円かかります。

出産時にかかる入院費用は、自然分娩の場合平均で50万円ほどです。分娩時に無痛分娩を選択したり、入院中に個室を利用したりすれば、さらに費用は高額になります。入院費用は地域によっても差があるため、里帰り出産等で妊婦検診を受ける病院と出産する病院が違う方は、妊娠初期から出産予定の病院のホームページ等で費用を確認しましょう。

妊娠や出産で活用できる支援・助成制度とは

妊娠から出産までに活用できる主な制度は以下の3つです。

  • 妊婦検診費の助成制度

住んでいる自治体から、母子手帳と同時に妊婦検診の補助券を受け取れます。

助成金額は自治体によって差があり、補助券以外にも妊娠から出産に関わる助成制度が整った自治体もあるので、申請漏れが無いように注意しましょう。

  • 出産育児一時金

産まれた子ども1人につき50万円が健康保険または国民健康保険から給付されます。

保険機関から病院へ出産一時金を直接支払う「直接支払制度」を利用すれば、退院時の出産費用から50万円を引いた差額のみの支払が可能です。

  • 医療費控除

妊娠と診断されてからの定期検診や検査等の費用、通院費用も医療費控除の対象になります。

2022年4月からの保険適用条件についても確認しておこう

2022年4月から不妊治療が条件付きで保険適用となりました。

保険適用された不妊治療は、人工授精、体外受精、顕微授精です。適用条件は治療開始時点で女性は43歳未満であること、治療適用の回数も年齢によって最大6回と規定されています。現時点で男性側に年齢制限はありません。

保険適用の年齢や回数について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参照してください。

>> 2022年4月から不妊治療が保険適用に!年齢・回数の制限やデメリットについて詳しく解説

「特定不妊治療費助成制度」は廃止になったので注意が必要

不妊治療の保険適用に伴い、2022年3月で「特定不妊治療費助成制度」は廃止になりました。

「特定不妊治療費助成制度」では、体外受精および顕微授精1回あたり30万円、条件が合わず受精を中止した場合でも1回10万円が給付されていました。

この制度の特徴は実費ではなく、一律で30万または10万円の給付がされる点です。

体外受精の費用が40万円であれば、10万円の自己負担で済んでいた治療が、保険適用に伴い3割の12万円が自己負担となり、保険適用後の方が実際に支払う金額が増える治療があります。

不妊治療が保険適用される一方、治療内容によっては特定不妊治療費助成制度よりも負担が増える可能性があります。自費診療の範囲もまだ多くあるため、引き続き不妊治療の選択には注意してください。

不妊治療の費用については産婦人科で相談してみよう

不妊治療は2022年4月から保険適用となりましたが、オプション治療には全額自己負担額の治療もありますし、「特定不妊治療費助成制度」の廃止に伴って実費が増えてしまう場合もあります。

提案される不妊治療は、ご夫婦それぞれの状態はもちろん、病院によっても異なります。

具体的な治療方針や費用は不妊治療専門の産婦人科にご相談ください