2022年4月から不妊治療が保険適用に!年齢・回数の制限やデメリットについて詳しく解説

公開日:2024.03.21
更新日:2024.03.21

「子どもを持ちたい」という気持ちに寄り添い、経済的負担の軽減を図るため、2022年4月から不妊治療にかかる費用が保険適用となりました。しかし、不妊治療を保険診療で受けるためにはいくつかの条件があります。この記事では、年齢や回数に応じて変わる不妊治療の保険適用範囲と、保険適用のデメリットについて詳しく解説します。

2022年4月から不妊治療は保険適用になった

不妊治療は2022年4月より、健康保険または国民健康保険が適用される保険診療になりました。保険適用に伴い、これまで全額自己負担だった不妊治療が、条件を満たせば3割負担となります。

2022年3月までは「特定不妊治療費助成事業」という助成制度により、不妊治療を受ける方の費用負担を軽減していましたが、保険適用に伴い廃止されました。しかし、それぞれの制度の違いから、保険適用後に実質負担が増える不妊治療もあります

保険適用の対象は「一般不妊治療」と「生殖補助医療」

保険適用の対象となった不妊治療は「一般不妊治療」と「生殖補助医療」に分けられます。

一般不妊治療の具体的な治療内容は以下の通りです。

  • タイミング法:超音波検査等で推測した排卵のタイミングに合わせて性交する方法
  • 人工授精:精液を注入器で直接子宮に注入し、妊娠を図る方法

生殖補助医療の具体的な治療内容は以下の通りです。

  • 体外受精:精子と卵子を採取し、体外で受精・培養した後、子宮に戻して妊娠を図る方法
  • 顕微授精:体外受精と同様に精子と卵子を採取した後、卵子に注射針等で精子を注入して受精させる方法
  • 男性不妊の手術:手術用顕微鏡を用いて精巣内より精子を回収する方法(顕微鏡下精巣内精子採取術)

このほかにも、胚移植などいくつか保険で行える治療もあります。

保険適用は「年齢」と「回数」で制限がある

保険適用となった不妊治療を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 年齢:治療開始時点での女性の年齢が43歳未満
  • 回数:子ども一人につき40歳未満は6回、40歳以上43歳未満は3回

女性の生理周期を考慮すると、自然妊娠による妊娠の可能性は1年に12回しかありません。

子どもを持ちたいと考えているご夫婦は、早めに不妊治療専門の産婦人科へ相談しましょう

保険診療における「年齢」と「回数」の制限について詳しく解説します。

治療開始時に女性の年齢が「43歳未満」であることが条件

不妊治療を保険診療で受ける条件の一つは、不妊治療開始時に女性の年齢が43歳未満という年齢制限です。

不妊治療の上限回数に達していなくても、治療開始時に43歳以上の場合、保険診療で不妊治療は受けられません。不妊治療開始後、43歳の誕生日を迎えた時点で自費診療に変わります。

「回数」は移植の数でカウントする

保険適用に設けられた回数制限は「採卵」ではなく、「移植」の回数でカウントします。

生殖補助医療の治療は採卵・採精、体外受精、移植で1サイクルです。保険適用の「回数」は、この治療サイクルのうち、「移植」まで行った回数が対象となります。

例えば採卵術で卵子が取れなかった場合は0回、1回の採卵術で採取した卵子を2回移植すれば2回とカウントします。採卵術に保険適用の回数制限はありませんが、培養した受精卵を凍結した凍結胚が残っている場合、すべて融解胚移植しなければ次の採卵術は保険適用されません。

不妊治療が保険適用になることのメリット

不妊治療が保険適用になる大きなメリットは費用負担の軽減です。

主な内容は以下の通りです。

  • 窓口での支払い額が減る
  • 高額療養費制度の適用対象となる
  • 民間の医療保険適用対象にもなる

保険適用に伴い、診療報酬の規定も変更されています。保険適用前は利用できなかった制度も、申請により利用可能となりました。費用負担が軽減されるメリットについて詳しく解説します。

窓口での支払い額が減る

保険適用後は窓口での支払いが3割負担となり、不妊治療の経済的負担は大きく減りました。

2021年3月に報告された調査では、保険適用前の体外受精にかかる費用は、1周期あたり平均50万円と高額です。保険適用前の助成制度では、治療後の申請だったため、窓口では全額自己負担で支払いが必要でした。

経済的な理由で進められなかった高額な不妊治療も、保険適用によって選択できる方が増えたと言えます。

高額療養費制度の適用対象となる

保険適用に伴い、不妊治療は高額療養費制度の対象となりました。高額療養費制度とは、1か月に支払った医療費のうち、上限を超えた金額が還付される制度です。

上限金額は保険加入者の所得金額に応じて変わります。例えば年収370万円〜770万円の方が30万円窓口で支払った場合、1か月あたりの自己負担金額は87,430円です。自己負担額を超えた医療費は、申請後に返還されます。

ただし、不妊治療の中でも保険適応外の治療には、高額療養費制度が適用されません。オプション治療等は保険適用外の場合もあるため、治療開始前に医師に確認しましょう。

民間の医療保険適用対象にもなる

「人工授精」「体外受精の採卵手」「体外受精の胚移植」は保険適用後の診療報酬区分が「手術」に分類されました。「手術給付金」が含まれる民間の医療保険を契約していれば、

請求対象となります。保険適用外の不妊治療でも、先進医療特約のついた民間の医療保険に加入していれば、先進医療給付金を請求できる場合があります。治療開始前に、加入している民間保険の契約内容を確認しましょう。

保険適用後の不妊治療にかかる費用を詳しく知りたい方は、こちらの記事を参照してください。

>> 不妊治療の費用を治療内容別に解説!費用の負担を減らす方法についても詳しく紹介

不妊治療が保険適用になることのデメリット

不妊治療の保険適用は、経済的な負担軽減のメリットを感じる方が多い一方で、反対に費用負担が増加してしまう方もいます。

治療の選択肢がせまくなってしまったり、保険適用では使えない薬があったりします。不妊治療を受ける前に、デメリットについても理解して治療を選択しましょう。

特定不妊治療助成制度の廃止によって負担が増える場合もある

「特定不妊治療費助成制度」とは、体外受精または顕微授精した場合、1回あたり一律で30万または10万円が給付を受けられる制度です。しかし、保険適用に伴い2022年3月で廃止されました。

保険適用後の費用と特定不妊治療費助成制度を受給した場合の費用を比較すると、負担金額が増えるケースが出てきます。体外受精で移植まで完了した治療費の総額が40万円であれば、保険適用後は約12万円の自己負担です。一方、特定不妊治療助成制度では30万円の給付により自己負担額は10万円となります。このように治療内容によっては、助成制度の方が保険診療より実質負担額が低い場合もあります。

医療の標準化が起こる

保険適用によって不妊治療が標準化される点もデメリットの一つです。

保険適用前の不妊治療は自由診療の範囲であったため、夫婦それぞれに合わせた治療の提案が可能でした。保険適用後は費用面を考慮し、保険適用の治療を選択する夫婦が増えています。

しかし、不妊の原因は多岐にわたります。保険適用されている不妊治療で妊娠できる方は問題ありませんが、難治性不妊症の場合、保険適用された標準的な治療では妊娠が難しい場合があります

保険適用外の薬もある

保険適用に伴い不妊治療に対する処方薬も3割負担となりましたが、まだ保険適用されていない薬もあります。原則として、保険診療と自由診療(保険外診療)を同時に受ける場合、保険診療の医療費も全額自己負担です。そのため保険適用の不妊治療中は、使用できない医薬品があります。不妊治療の段階に応じて処方薬は変わるため、治療方針と合わせて不妊治療専門の産婦人科に相談しましょう

保険適用前に受けていた治療や助成金はどうなる?

保険適用前から不妊治療を受けていた方も、2022年4月以降に受ける治療は保険適用されます。保険適用に伴い廃止された特定不妊治療費助成制度で受けた助成回数は、保険適用後の不妊治療の回数制限に含まれません。

現在39歳の方が、35歳から38歳までに特定不妊治療費助成制度で6回の助成を受けていたとしても、体外受精または顕微授精による移植を最大6回まで保険適用で受けられます。

不妊治療について相談したい場合は産婦人科を受診しよう

不妊治療の保険適用に伴い、経済的な負担はかなり軽減されました。しかし、保険診療で治療を受けられる女性の年齢や回数には制限があります。不妊治療の原因によって、治療の内容は大きく異なります。妊娠しづらい可能性を感じ、不妊治療について相談したいと思ったらまずは専門の産婦人科に相談して下さい。