精子の運動率を上げるにはどうすればよいですか?(39歳・女性)

公開日:2024.02.27
更新日:2024.02.27

昨年9月から不妊検査をはじめました。
私は高プロラクチン血症とのことで薬を服用しています。
ただ主人の精子の運動率がとても低く一桁のときもあり、人工受精は3度試してだめだったので今度は顕微受精をします。
できることはなんでもしたいのですが、精子の運動率を高くするにはどうしたらよいのでしょうか?

運動率低下の原因は調べましたか?精子無力症でも原因によっては治療に反応するケースもあります。特に尿路感染の有無とホルモン値の測定は重要です。

男性側に原因のある場合を男性不妊と言い不妊症カップル全体の40%を占めますので決して少ない訳ではありません。

うち25%は男女双方に原因があるとされています。

しかし男性側の症例で精液検査に問題があった場合に、医学的にはっきりした原因が特定できない群〔特発性〕が約59%を占めますが、原因が発見される症例のうち20~30%は精巣静脈瘤と言って睾丸の表面に蔦が這ったように静脈が浮き出ている病気が存在し、5~10%に精子を運ぶ道〔精子輸送路〕の異常が見られ、そのほか性機能障害〔ED〕やホルモン的異常、性染色体異常〔XXY症候群〕耳下腺炎に併発した精巣炎や、体内に睾丸が残った停留睾丸などがあげられます。

これらの原因がご主人にあるか否かを一度主治医か泌尿器不妊専門医に相談して原因の究明は一度行っておくべきでしょう。

WHOの基準値では精子濃度は2千万/ml以上で精子運動率50%以上を正常としていますが、特に頻度が多いのは、精子の数が少ない乏精子症と、運動率の低下している本例のような精子無力症です。

これらの精液に異常を認める原因で90%は精子形成不全〔睾丸で精子が上手く作られないこと〕で、その根本原因は特発性といって原因不明の症例が半分を占め、臨床的には漢方薬、循環改善薬薬、ビタミン剤などが経験的に使われていますが、その効果は20%程度ですので、治療に困難を感じられる場合には早めに人工授精から体外受精、顕微授精へとステップアップも考慮すべきでしょう。

しかし前立腺炎や尿道炎、副睾丸炎などの細菌による感染症での精子機能低下症や運動能の低下症例には抗菌剤投与が有効です。

最近では、内分泌的原因の下垂体ホルモン分泌不全である低ゴナドトロピン性の性腺機能低下症には純粋なFSHの自己注射による治療も保険診療に認められ、自己負担分も公費での補助が認められるようになってきたので、患者さんにとっては福音となっています。

いずれにしてもきちんとした男性不妊の原因究明が早めの妊娠成立に結び着きますので、ご夫婦での同時並行的検査治療をお勧めいたします。