ソフィアレディスクリニック

基礎体温の測り方と見方を完全解説!妊娠計画に活かす基本知識

公開日:2025.07.19
更新日:2025.07.19

「生理周期が不規則」「妊娠を考えているけれど、いつが良いタイミングかわからない」そんな悩みを抱えている女性は多いのではないでしょうか。基礎体温を毎日測ることで、あなたの体のリズムが見えてきます。

この記事では、基礎体温の正しい測り方から、グラフの読み方、妊活や健康管理への活用法まで、初心者にもわかりやすく解説します。たった5分の習慣で、あなたの体をもっと理解できるようになりましょう。

神奈川県相模原市、淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックは、妊娠の悩みに強みを持つ婦人科クリニックです。生理不順やPMSなどの女性特有のお悩みはもちろん、男性不妊の検査・治療にも対応し、ご夫婦のお悩みを専門医が丁寧にサポートします。

また、当院は橋本駅の長谷川レディースクリニックと密に連携し、婦人科・不妊治療を提供しています。2つの施設間で検査結果や治療方針を共有することで、よりスムーズな治療体制を整えています。体外受精をご検討の方にも、きめ細かな診療と迅速な対応をご提供していますので、お悩みの方は当院へご相談ください。

基礎体温とは朝起きた直後、体を動かす前に測る体温

基礎体温とは、朝起きた直後、体を動かす前に測る体温のことで、一日の中で最も低い状態にある体温です。体温を毎日記録することで、ホルモンバランスや月経周期の変化を把握できます。

基礎体温は0.01度単位で測れる婦人体温計を使用するのが一般的です。最近はスマートフォンと連携し、自動でデータ管理ができる体温計も増えています。さらに、アメリカでは基礎体温やホルモン値を測定して排卵日を推定するウェアラブルデバイスも登場しており、日々の健康管理がより簡単に行えるようになっています。基礎体温を測る手順は以下のとおりです。

  1. 毎晩、寝る前に体温計を枕元に準備する
  2. 朝、目が覚めたら、体を動かす前に体温計を舌の裏側に入れる
  3. 約5分間、体温計の数値が安定するまで待つ
  4. 測定後、記録表やアプリに体温を記録する

基礎体温の測定に必要な準備

基礎体温の測定に必要な準備は以下のとおりです。

  • 婦人体温計を選ぶ
  • 基礎体温表を準備する
  • 測定環境を整える

婦人体温計を選ぶ

基礎体温測定には、小数点以下2桁まで測れる婦人体温計が必要です。基礎体温の変化は0.3〜0.5度と小さいため、普通の体温計では細かい変化を捉えることができません。婦人体温計は0.01度単位で測定でき、基礎体温の微細な変化を正確に記録できます。

婦人体温計には実測式と予測式があります。実測式は正確ですが測定に5分程度かかり、予測式は30秒程度で測定完了します。忙しい朝には予測式が便利ですが、より正確性を求める場合は実測式を選びましょう。目覚まし機能付きやアプリ連動機能があるものを選ぶと、測定忘れを防げて継続しやすくなります。

価格は2,000〜8,000円程度で、機能が多いほど高くなる傾向です。自分の生活スタイルに合った婦人体温計を選ぶことで、正確で継続的な測定が可能です。

基礎体温表を準備する

基礎体温表は紙製かアプリ形式かを選び、継続しやすい方法で記録の準備をしましょう。基礎体温は継続的な記録が重要で、記録方法が使いにくいと途中で挫折してしまいます。体温以外の情報(生理日や体調、睡眠時間など)も一緒に記録することで、より正確な体のリズムを把握できます。

紙の基礎体温表は病院でもらえるほか、インターネットでダウンロードできます。手軽さを重視するなら、スマートフォンのアプリがおすすめです。アプリなら外出先でも記録でき、データのバックアップも自動で行われるため安心です。どちらを選んでも、最低3か月分は記録できるよう準備し、体調メモも書けるスペースがあるものを選びましょう。

測定環境を整える

正確な基礎体温測定のために、枕元に体温計を置き、測定しやすい環境を作ることが大切です。基礎体温は起床直後の安静な状態で測るため、体を動かす前に手の届く場所に体温計があることが重要です。測定環境を整えるチェックリストは以下のとおりです。

  • 枕元の準備:体温計や記録用ペン、スマートフォンを手の届く場所に
  • 睡眠環境:室温18〜24度、エアコンの風が直接当たらない場所へ
  • 寝具の調整:電気毛布の設定温度を維持
  • 時間管理:目覚まし時計を毎日同じ時間にセット
  • 照明:暗い部屋でも体温計が見えるよう小さなライトを準備

室温や湿度などの環境要因も測定値に影響するため、できるだけ一定の環境での測定が必要です。極端に暑すぎたり寒すぎたりしない環境で睡眠を取るよう心がけ、測定のリズムを作ることで正確なデータが得られます。

妊娠計画における基礎体温の役割

妊娠を希望する女性にとって、基礎体温を記録することは重要です。基礎体温の変化から排卵日を予測することで、妊娠しやすい時期を把握し、妊娠の確率を高めることができます。基礎体温表は、婦人科を受診する際にも役立ちます。医師は、基礎体温表から月経周期やホルモンバランスの状態を把握し、適切なアドバイスや治療を提供します。

基礎体温がいつもと違うパターンを示している場合は、ホルモンバランスの乱れや婦人科系の疾患が隠れている可能性があります。体の状態を客観的に判断する貴重な役割を担っているのです。

妊娠したいと考えている方は、普段からの食事や飲酒についても気をつける必要があります。以下では、妊活中に注意すべき食べ物やアルコール摂取に関して記載しているのでチェックしてみてください。
>>妊活中に選びたい食べ物と避けたい食品|妊娠を目指す体づくりに役立つレシピも紹介
>>妊活を始めたらお酒はやめるべき?アルコールが妊娠に与える影響と対策を医師が解説

基礎体温と月経周期の関係

基礎体温と月経周期の関係について、以下の内容を解説します。

  • 低温期と高温期の基本パターンを知る
  • 排卵のタイミングを体温変化で把握する

低温期と高温期の基本パターンを知る

女性の月経周期は約28日ですが、実際には25日〜35日程度であれば正常範囲内とされています。低温期と高温期という2つの時期に大きく分けられます。低温期は月経開始から排卵までの期間で、基礎体温は比較的低く推移します。高温期は排卵後から次の月経が始まるまでの期間で、基礎体温は低温期に比べて高くなります。低温期と高温期の体温差は、通常0.3度以上です。

28日周期の女性の場合、低温期が14日間、高温期が14日間になるのが一般的です。低温期の長さは人によって異なり、低温期が長かったり短かったりすることで、全体の周期も変化します。低温期が短い場合は、卵胞期が短く、卵子の成熟が速い可能性が考えられます。逆に低温期が長い場合は、卵胞期が長く、卵子の成熟に時間がかかっている可能性があります。

排卵のタイミングを体温変化で把握する

基礎体温を測定する大きな目的の一つは、排卵のタイミングを把握することです。排卵は、卵巣から成熟した卵子が放出される現象で、妊娠するためには必要不可欠です。基礎体温は、排卵が起こると低温期から高温期へと移行します。基礎体温が低温期から高温期に変わる時期が、排卵のタイミングである可能性が高いです。

毎日基礎体温を記録してグラフ化することで、低温期と高温期の境目がより明確になります。体温がガクンと下がった後に上昇する日が確認できれば、体温が上昇する前日あたりが排卵日の可能性が高いです。基礎体温のみでは、排卵日を正確に特定することは難しいため、他の方法(排卵検査薬など)と併用することを推奨します。

基礎体温表と併せて、その他の検査結果を総合的に判断することで、より正確な診断が可能です。

基礎体温を記録するためのツール・アドバイス

基礎体温を記録するためのツールとアドバイスとして、以下の内容を解説します。

  • 基礎体温を記録できるアプリやデバイス
  • 基礎体温の記録を続けるためのモチベーションの維持方法
  • 専門医に相談する重要性とタイミング

基礎体温を記録できるアプリやデバイス

基礎体温の記録には、専用のアプリやデバイスを使うのがおすすめです。紙に記録するよりも手軽で、自動でグラフ化してくれるので分析も簡単です。視覚的に変化がわかると、モチベーション維持にもつながります。

「ルナルナ」や「ラルーン」といったアプリは、基礎体温の記録だけでなく、生理日予測や妊娠可能性のチェックなど、女性の健康管理に役立つ機能が満載です。スマートウォッチやスマート体温計といったデバイスも便利です。スマート体温計は、毎朝測った体温を自動でスマホに記録してくれるので、記録忘れを防げます。

一部のスマートウォッチは、睡眠時間や質も記録できるので、体温と合わせて分析することで、より詳細な体の変化を把握できます。自分に合ったツールを見つけて、楽しく記録を続けましょう。

最近では、アメリカを中心に、基礎体温や尿中ホルモンを測定して排卵日を予測できるウェアラブルデバイスが注目を集めています。より正確なタイミングの把握が期待される一方で、こうした機器の精度や費用対効果については、まだ十分に検証が進んでいないのが現状です。今後は、誰もが使いやすく、信頼性の高い技術の開発が求められています。

基礎体温の記録を続けるためのモチベーションの維持方法

基礎体温の記録は、毎日続けることが大切です。モチベーションを維持するためのヒントは以下のとおりです。

  • 目標を立てる
  • ご褒美を設定する
  • パートナーや友人と共有する

「妊娠しやすい時期を知りたい」「自分の体のリズムを理解したい」「生理不順を改善したい」など、具体的な目標を立てると、モチベーションを維持しやすくなります。1か月記録を続けられたら、好きなものを食べる、旅行に行く、など小さなご褒美を設定するのもおすすめです。

基礎体温の記録をパートナーや友人と共有することで、励まし合ったり、アドバイスをもらったりできます。

以下の記事では、基礎体温と妊娠時の高温期の関係性を解説しています。気になる方は是非チェックしてみてください。
>>基礎体温と妊娠した時の高温期の関係性とは?特徴と見分け方を解説

専門医に相談する重要性とタイミング

3か月以上基礎体温に異常が見られる場合や、生理不順が続く場合は、婦人科を受診し、専門医への相談をおすすめします。基礎体温のデータを医師に見せることで、より適切なアドバイスや治療が受けられます。

基礎体温の記録から、ホルモンバランスの乱れや甲状腺機能異常、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの病気が見つかることもあります。早期発見・早期治療のためにも、気になることがあれば、早めに専門医に相談しましょう。婦人科を受診する際は、基礎体温表を持参すると、医師があなたの状態をより正確に把握できます。

基礎体温が乱れる原因と対処法

基礎体温が乱れる原因と対処法について、以下の内容を解説します。

  • 睡眠の質を改善する
  • ストレス管理を行う
  • 体調不良時の対処法

睡眠の質を改善する

基礎体温に最も大きく影響するのが睡眠の質です。睡眠不足や不規則な睡眠は、体内時計を乱し、ホルモンバランスに直接影響を与えます。基礎体温は体が最も安静な状態での体温なので、十分な睡眠が取れていないと正確な測定ができません。

睡眠の質を改善するためには、まず毎日同じ時間に寝起きする習慣を作ることが重要です。休日でも平日と同じ時間に起床し、体内時計を整えましょう。寝る前2時間はカフェインを避け、スマートフォンやパソコンの使用も控えめにします。ブルーライトは睡眠の質を下げるため、寝室は暗く静かな環境を保ちましょう。

どうしても眠れない場合は、医師に相談して睡眠導入剤の使用を検討することも一つの方法です。ただし、薬に頼りすぎず、根本的な生活習慣の改善を心がけることが大切です。

ストレス管理を行う

ストレスは基礎体温を不安定にする大きな要因の一つです。精神的なストレスや身体的な疲労は、視床下部に影響を与え、女性ホルモンの分泌バランスを乱します。その結果、基礎体温のグラフがガタガタになったり、排卵が遅れたりすることがあります。

効果が期待できるストレス管理方法として、まず自分なりのリラックス方法を見つけることが大切です。好きな音楽を聴く、読書をする、軽い運動をするなど、日常的にできるストレス解消法を習慣化しましょう。深呼吸や瞑想も、短時間でできるリラクゼーション法です。

必要に応じて専門のカウンセラーやメンタルクリニックを受診することも検討しましょう。ストレスを完全になくすことは難しいですが、上手に付き合う方法を身につけることで、基礎体温の安定化につながります。

体調不良時の対処法

風邪や発熱、頭痛などの体調不良は基礎体温を一時的に上昇させます。薬の服用も体温に影響を与える可能性があります。体調不良時の基礎体温は、正確な排卵日の予測には使えないため、記録する際は体調の変化も一緒にメモしておくことが重要です。

体調不良時の対処法として、まずは十分な休養を取ることが最優先です。無理をして普段通りの生活を続けると、回復が遅れ、基礎体温の乱れも長期化してしまいます。水分補給を十分に行い、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。

症状が長引く場合や、高熱が続く場合は、迷わず医療機関を受診してください。服用している薬がある場合は、医師に基礎体温測定をしていることを伝え、薬の影響について相談しましょう。体調が回復すれば、基礎体温も自然と安定してくるので、焦らずに体調管理を優先することが大切です。

基礎体温に関するよくある質問

基礎体温に関するよくある質問として、以下の5つを解説します。

  • 基礎体温はいつから測り始めればいい?
  • 毎日同じ時間に測れない場合はどうすればいい?
  • 基礎体温が36度台前半で低くても大丈夫?
  • 口以外の場所で測定してもいい?
  • 基礎体温計が壊れたとき、普通の体温計で代用できる?

基礎体温はいつから測り始めればいい?

生理が始まった日から測定を開始するのが理想的です。ただし、いつからでも始めて問題ありません。最低3か月は継続して記録しましょう。基礎体温は排卵日やホルモンバランスを知る手がかりになります。生理初日から測定することで、月経周期の全体像を正確に把握しやすくなります。ただし、途中から始めても支障はありません。

重要なのは「継続して記録すること」です。最低でも3周期(約3か月)記録を続けることで、自分の体のリズムや排卵パターンが見えてきます。

毎日同じ時間に測れない場合はどうすればいい?

±1時間程度のズレであれば大きな影響はありません。測定時間を記録し、ズレが大きい日は参考値として扱いましょう。基礎体温は起床直後、体を動かす前に測ることで最も正確な値が得られます。理想は毎日同じ時間に測定することですが、現実には難しい場合もあります。

1時間以内の誤差であれば大きな問題にはなりません。測定時間を記録に残すことで、データの精度も保てます。明らかにズレた日はグラフの傾向を見る際に参考程度にとどめましょう。

基礎体温が36度台前半で低くても大丈夫?

基礎体温の高さよりも、低温期と高温期の「二相性」があることが重要です。温度差が0.3度以上あれば問題ありません。体温の絶対値には個人差があります。大切なのは、排卵を境に低温期から高温期へと移行し、約0.3度以上の体温差がある「二相性」が確認できることです。

たとえ体温が全体的に低くても、基準を満たす二相性があれば排卵は行われていると考えられます。ただし、二相性が見られない場合は無排卵などの可能性があるため、注意が必要です。

妊活のベストタイミングが知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
>>妊活のベストタイミングはいつ?成功率を上げるコツを医師が解説

口以外の場所で測定してもいい?

舌下(舌の裏側)での測定が最も正確です。脇の下や額では外気温の影響を受けやすく、正確なデータが得られません。基礎体温は微細な変化を捉えるため、体の深部温度に近い舌下での測定が基本です。特に舌の裏側の中央に体温計を当て、口を閉じて静かに測ります。

脇の下や額は体温の変化に影響されやすく、日々の微妙な違いを正確に記録するには不向きです。正確なグラフを作るには、舌下で毎日同じ方法・時間帯で測定することが重要です。

基礎体温計が壊れたとき、普通の体温計で代用できる?

一時的には代用可能ですが、できるだけ早く婦人体温計を用意してください。通常の体温計では細かい変化を正確に測れません。

基礎体温は0.01度の小さな変化を見るため、婦人体温計(基礎体温計)が必要です。一般的な体温計は0.1度刻みのものが多く、グラフが正確に描けません。やむを得ない場合は代用可能ですが、すぐに正確な計測ができる婦人体温計に切り替えることをおすすめします。デジタル式のものは記録機能もあり、日々の管理にも便利です。

まとめ

基礎体温は、女性の健康状態や妊娠計画を立てるうえで重要な指標です。毎朝の安静時の体温を記録することで、生理周期やホルモンバランスの変化を把握できます。基礎体温は低温期と高温期に分かれ、高温期が10日以上続けば排卵があったと判断できます。

基礎体温記録は、生理不順の改善や妊娠を希望する際の排卵日の予測に役立ちます。また、基礎体温に異常が見られる場合は、ホルモンバランスの乱れや婦人科系の疾患の可能性も考えられます。

基礎体温を記録する際は、専用のアプリ(ルナルナやラルーンなど)やデバイスを活用すると便利です。記録を継続するには、目標設定やご褒美、パートナーや友人との共有、コミュニティ参加などがおすすめです。

気になることがあれば、専門医に相談しましょう。基礎体温の記録は、自分の体と向き合い、健康的な生活を送るための第一歩です。

参考文献

Sarah C Cromack, Jessica R Walter. Consumer wearables and personal devices for tracking the fertile window. Am J Obstet Gynecol, 2024, 231(5), p.516-523.

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