
妊活中はお酒を飲んでも大丈夫?妊活中のお酒との向き合い方を徹底解説
公開日:2024.10.31更新日:2024.12.24
「赤ちゃんが欲しいけど、お酒ってどれくらいまで飲んでいいの?」アルコールの代謝能力には個人差があり、少量の飲酒であっても胎児に影響を与える可能性があります。FASDのリスクを避けるためには、妊娠中や妊娠の可能性がある時期には、アルコールを摂取しないことが望ましいです。
この記事では、妊活中のお酒の影響や、上手な付き合い方について具体的に解説していきます。赤ちゃんを守るため、あなたの妊活を成功させるためにも、正しい知識を身に付け、お酒との付き合い方を見直しましょう。
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妊活中のお酒はNG?妊娠への影響を解説
妊娠中だからといって、大好きなお酒を我慢しすぎるのもストレスになってしまいます。妊活中のお酒との付き合い方について、一緒に考えていきましょう。
飲酒が妊娠に与える影響とは
まず知っておきたいのは、アルコールは胎盤をスルスルと通過して、赤ちゃんにダイレクトに届いてしまうということです。お母さんにとってはリラックスできるお酒でも、小さな赤ちゃんにとっては、大人以上の負担になってしまいます。
飲酒が妊娠に与える具体例は以下のとおりです。
- 流産の確率が高くなる:妊娠初期の流産は、誰にでも起こりうるものですが、飲酒によってそのリスクがさらに高まります。
- 早産のリスクが高くなる:赤ちゃんが未熟な状態で生まれてきてしまう可能性が高くなることは、お母さんにとっても、赤ちゃんにとっても、大きな負担となります。
- 赤ちゃんが低体重で生まれてくる:小さく生まれてくるということは、それだけ体の機能が未発達な状態で生まれてくる可能性があり、さまざまなリスクを抱えやすくなってしまいます。
- 赤ちゃんに発達障害が起こる:注意欠陥多動性障害(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)などの発達障害は、早期発見・早期療育が重要です。
飲酒は赤ちゃんにとってさまざまなリスクと隣り合わせです。
妊娠初期の飲酒で増加するリスク
妊娠初期は、赤ちゃんの体が作られる大切な時期です。心臓や脳など、重要な器官が作られるときに、アルコールの影響を受けてしまうと、取り返しがつかない可能性があります。妊娠初期の飲酒で、特に注意が必要なのが「胎児性アルコールスペクトラム障害(FASD)」です。
胎児性アルコールスペクトラム障害(FASD)とは
FASDとは、妊娠中にお母さんが飲酒することで、赤ちゃんにさまざまな障害が起こることをいいます。お母さんが妊娠中に飲酒しなければ、防ぐことができる障害です。FASDの特徴は、下記のようなものがあります。
- 低身長・低体重:成長ホルモンの分泌に影響が出たり、栄養吸収が悪くなったりすることで、発育に遅れが生じることがあります。
- 顔つきが特徴的である:目が小さく、鼻筋が通っていない、上唇が薄いなどの特徴が見られることがあります。
- 学習障害がある:脳の発達に影響が出ることで、読み書きや計算など、学習に困難が生じることがあります。
- 多動性がある:じっとしていられず、落ち着きがない状態が続くことがあります。
- 注意欠陥がある:集中力が続かず、ぼーっとしてしまうことが多くなります。
これらの症状は、成長の過程で、徐々に見えにくくなることもありますが、完全に消えるわけではありません。FASDは、身体的な特徴だけでなく、目に見えない部分にも影響を及ぼします。
相手の気持ちを理解したり、自分の気持ちを伝えたりすることが難しく、対人関係に苦労することがあります。些細なことで激しく怒ってしまったり、泣いてしまったり、感情のコントロールが難しいです。
アルコールの代謝能力には個人差があり、少量の飲酒であっても胎児に影響を与える可能性があります。FASDのリスクを避けるためには、妊娠中や妊娠の可能性がある時期には、アルコールを摂取しないことが望ましいです。
妊活中のお酒との上手な付き合い方
妊活中のお酒との上手な付き合い方について解説します。
飲酒量を減らす
妊活中でもお酒を完全にやめるのが難しい場合、無理のない範囲で、少しずつ飲酒量を減らしていくことが大切です。週に何回お酒を飲んでいるか、一回でどれくらい飲んでいるかを記録しましょう。自分がどれくらいお酒を飲んでいるのかを把握することで、減らすべき量が見えてきます。
ビールなら中瓶1本(500ml)を350mlに減らしたり、週に3回飲んでいる人は2回に減らしたり、できることから始めてみましょう。
ノンアルコール飲料を楽しむ
最近では、ノンアルコールビールやノンアルコールワインなど、お酒のような味わいの飲み物もたくさんあります。お酒を飲んでいるような気分を味わいながら、飲酒量を減らすことができるのでおすすめです。ジュースやお茶など、ノンアルコール飲料も積極的に試しましょう。
ストレスを溜めない方法を見つける
お酒を控えようとすると、ストレスが溜まってしまうこともあります。妊活中は、ストレスを溜めないようにすることが大切です。軽い運動やヨガ、好きな音楽を聴いたり、アロマを焚いたりするのも良いでしょう。自分にとってリラックスできる方法を見つけて、ストレスを上手に発散しましょう。
パートナーと協力して妊活する
新しい命を授かるには、パートナーの協力が不可欠です。妊娠は、健康な卵子と精子が出会い、受精することで成立します。パートナーの体作りも、妊娠の可能性を高めるうえで重要です。妊活はデリケートな問題で、どう伝えるか悩む方も少なくありません。パートナーとの向き合い方について解説します。
パートナーへ妊活における飲酒の影響を伝える
パートナーにお酒を控えてもらうように伝える際は、無理な禁酒の強制ではなく、協力をお願いする形で伝えることが大切です。「赤ちゃんが欲しい」という希望を共有しながら、飲酒の影響について具体的に説明し、一緒に妊活を進めていく姿勢を示しましょう。
そのうえで「一緒に協力して、赤ちゃんを迎えたい」という気持ちを、率直に伝えてみてください。
その際に、「アルコールが妊娠に与える影響」について具体的に説明することも大切です。胎児性アルコールスペクトラム障害(FASD)のリスクが高まることも、パートナーに理解してもらう必要があります。「まさか、自分のお酒が原因で…」と、パートナーが責任を感じてしまわないよう、飲酒量を減らすことのメリットを伝えましょう。
「お酒を減らせば、精子の質が向上する可能性がある」「妊娠しやすい体作りにつながる」など、前向きな言葉で伝えるように心がけましょう。
周囲のサポートを得る
妊活中は、周囲の理解とサポートが大きな支えになります。しかし、デリケートな問題であるため、誰にでも相談できるわけではありません。信頼できる友人や家族に、状況に応じて相談してみましょう。「なかなか妊娠しなくて…」と、一人で抱え込まずに、気持ちを打ち明けてみることも大切です。
周囲に相談しづらい場合は、専門機関を利用するのも一つの方法です。不妊治療専門のクリニックや、妊活サポート団体など、相談できる窓口はたくさんあります。専門家のアドバイスを受けることで、不安や悩みを軽減できるでしょう。
専門家への相談
妊活や妊娠に関する情報は、インターネット上にもたくさんありますが、中には信憑性のない情報も多いです。正しい情報を得るためには、専門家に相談するのが一番です。婦人科や産婦人科の医師に相談することで、個別の状況に合わせたアドバイスを受けることができます。「いつから禁酒すれば良いのか」「お酒の代わりにどんな飲み物を飲めば良いのか」といった具体的な質問にも答えてもらえます。
パートナーと一緒に相談に行くことで、お互いの理解を深め、より良い妊活を進められるでしょう。妊活は、焦らずマイペースに進めていくことが大切です。パートナーと協力し、周囲のサポートも得ながら、新しい命の誕生を心待ちにしていきましょう。
神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、妊活に強みを持つクリニックです。妊活について何もわからない状態でも、専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。

まとめ
妊活中のお酒は、少量であっても胎児に影響を及ぼす可能性があり、可能な限り控えることが推奨されます。ただし、飲酒の頻度や量による影響には個人差があるため、具体的な指導が必要な場合は専門家に相談しましょう。
特に、妊娠初期の飲酒は胎児の発育に大きな影響を与える可能性があり、胎児性アルコールスペクトラム障害(FASD)の発症リスクが高まる可能性があります。そのため、妊娠の可能性がある場合や妊娠中は、アルコール摂取を控えることが重要です。パートナーと協力し、飲酒の危険性を理解し、妊娠しやすい体作りを目指しましょう。
妊活を始めた方の中には「不妊症」のことも気になっている方もいるのではないでしょうか。不妊症について網羅的に知りたい方はぜひ以下の記事も合わせてご覧ください。
>>不妊症とは?定義やなりやすい人の特徴・割合についても解説
参考文献
Le Daré B, Lagente V, Gicquel T. Ethanol and its metabolites: update on toxicity, benefits, and focus on immunomodulatory effects. Drug metabolism reviews 51, no. 4 (2019): 545-561.