受精から着床までは何日かかる?体調の変化や気をつけるべきことを解説
公開日:2024.12.25更新日:2024.12.25
受精から着床までは、わずか10日あまりです。短い期間に驚くべき変化が凝縮されています。数億個の精子の中から選ばれし精子が卵子と出会い、分裂を繰り返しながら子宮へと向かいます。子宮内膜というふかふかのベッドに潜り込むことで着床します。
この記事では、受精から着床までの流れや体調変化、気をつけるべきことも解説します。記事を読めば、着床率を高めるためにできることも解説しているので要チェックです。
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受精から着床までの流れ
受精から着床までの流れとして、以下を解説します。
- 受精のメカニズム
- 受精卵の分割と移動
- 胚盤胞の形成
- 着床のプロセス
受精のメカニズム
受精は、精子と卵子が出会うことで始まります。数億個もの精子が、卵子を目指して長い旅をします。卵子の周りには「透明帯」というバリアが存在し、すべての精子が卵子に出会えるわけではありません。選ばれし精子だけが、酵素を巧みに使ってバリアを突破し、卵子の中へと入っていくことができるのです。
精子と卵子の核が融合し、新しい命が誕生する瞬間が「受精」です。
受精卵の分割と移動
受精卵は、卵管の中で細胞分裂を始めます。細胞分裂は「卵割」と呼ばれ、受精卵は卵割を繰り返しながら、卵管の壁を波打つように動き、子宮へとゆっくりと移動していきます。移動には約4~6日かかります。
卵管での着床が最も多く、卵管が破裂する危険性もあるため、早期発見と適切な対応が重要です。受精卵が子宮まで無事にたどり着けるかどうかは、妊娠の成立において重要なポイントです。
胚盤胞の形成
子宮にたどり着く頃には、受精卵は「胚盤胞」と呼ばれる状態になっています。胚盤胞は、将来赤ちゃんになる部分(内部細胞塊)、胎盤になる部分(栄養膜)、羊膜になる部分から構成されています。最新の研究では、多能性ヒト幹細胞から作成された「胚様体」が、この胚盤胞発生と着床のプロセスをモデル化するために利用されています。
胚様体研究は、ヒトの初期胚発生のメカニズム解明に大きく貢献しています。胚盤胞の形成過程における遺伝子発現や細胞間の相互作用などが詳細に解析され、着床障害の原因解明や新たな不妊治療法の開発に役立つことが期待されています。
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着床のプロセス
子宮にたどり着いた胚盤胞は、子宮内膜というふかふかのベッドに潜り込みます。根を張るようにくっつき始めるプロセスが「着床」です。着床が始まると、胚盤胞は子宮内膜から栄養を受け取り、さらに成長を続けます。着床は、受精後約7日目頃から始まり、約5日間かけて完了します。
胚着床は、着床能を獲得した胚盤胞と受容性の高い子宮内膜との密接な相互作用によって行われ、「着床窓」と呼ばれる限られた期間にのみ起こります。期間を逃すと、着床は失敗に終わります。着床が成功すると、お母さんの体の中では、妊娠を維持するためのホルモンが分泌され始め、新しい命が本格的に芽生え始めるのです。
受精から着床までの期間の体調変化
受精から着床までの期間の体調変化について、着床前後の症状を解説します。
着床前の症状(おりもの、体温など)
受精卵が子宮内膜へ着床する前の数日間は、自覚症状がほとんどない方が多いです。注意深く観察すると、おりものや基礎体温の変化に気づけます。おりものの量や質の変化は、着床前のサインの一つです。サラサラとした水っぽいおりものが増えたり、粘り気が強くなって、卵白のようなおりものが出たりすることがあります。
子宮内膜が受精卵を受け入れる準備を進めているサインです。子宮内膜は、受精卵が着床しやすいように厚みを増し、ふわふわの状態になります。変化に伴い、おりものの分泌量も変化します。基礎体温を毎日測定している方は、高温期が続くことで妊娠の可能性に気づくことが可能です。
排卵後には基礎体温が上昇し、高温期が約2週間続きます。妊娠した場合、高温期が生理予定日を過ぎても継続します。基礎体温は、ホルモンバランスの変化を反映するため、妊娠の早期発見に役立ちます。ストレスや睡眠不足などによっても影響を受けるので、正確な判断には、日々の記録が不可欠です。
その他にも、ごく少量の出血(着床出血)や軽い腹痛、眠気やだるさなどの症状が現れる場合があります。妊娠以外の原因でも起こりうるため、必ずしも妊娠のサインとは限りません。
着床時の症状(着床出血、痛みなど)
着床が始まると、受精卵は子宮内膜に根を張り始めます。子宮内膜の毛細血管を傷つけることで、少量の出血が起こるのが「着床出血」です。
着床出血は、生理よりも出血量が少なく、色は薄いピンク色や茶色っぽいことが多いです。持続期間も短く、1~3日程度で治まるのが一般的です。個人差があるため、出血が続く場合は、医療機関を受診するようにしてください。
着床時には、子宮が収縮することで、下腹部に軽い痛みやチクチクとした痛みを感じる方もいます。「着床痛」と呼ばれ、生理痛に似た痛みを感じる方もいます。着床痛も個人差が大きく、全く感じない方もいれば、生理痛と同じくらいの痛みを感じる方もいます。
つわりは、妊娠初期によく見られる症状で、吐き気や嘔吐、食欲不振などが主な症状です。つわりの程度も個人差が大きく、全く症状がない方から、日常生活に支障が出るほど重症化する方までさまざまです。
症状がなくても妊娠している可能性は十分にあります。妊娠の可能性があるかどうかを確認するためには、市販の妊娠検査薬を使用するか、医療機関を受診して検査を受けるようにしましょう。
受精から着床までで気をつけるべきこと
受精から着床までで気をつけるべきことは以下のとおりです。
- バランスの取れた食事をする
- 適度な運動をする
- 質の良い睡眠をとる
- ストレスを軽減する
食事は、葉酸、ビタミンD、鉄分など、妊娠に必要不可欠な栄養素を積極的に摂取するように心がけましょう。葉酸はほうれん草やブロッコリー、ビタミンDは鮭やきのこ、鉄分はレバーやひじきなどに多く含まれています。
運動は、軽いウォーキングやストレッチなど、無理のない範囲で行うようにしましょう。激しい運動は、かえってホルモンバランスを乱す可能性があります。十分な睡眠時間を確保することも大切です。睡眠不足は、ホルモンバランスの乱れだけでなく、免疫力の低下にもつながります。
ストレスは、ホルモンバランスを乱す大きな要因の一つです。ストレスを溜め込まないよう、リラックスできる時間を作る、趣味に没頭するなど、自分なりのストレス解消法を見つけましょう。タバコや過度の飲酒、カフェインの摂りすぎは、妊娠に悪影響を与える可能性があるので控えましょう。
着床率を高めるためにできること
着床率を高めるためにできることは、以下のとおりです。
- 基礎体温を測る
- 排卵日を予測する
- タイミング法を試す
基礎体温を測る
基礎体温を毎日測ることで、排卵日を予測できます。排卵日前後に性交渉を持つことで、妊娠の確率を高めることが可能です。基礎体温計の使い方や記録の仕方などは、薬局や産婦人科で相談してみましょう。
排卵日を予測する
基礎体温以外にも、市販の排卵検査薬を使用することで、排卵日をより正確に予測できます。排卵検査薬は、尿中の黄体形成ホルモン(LH)の濃度を測定することで、排卵日を予測します。LHは、排卵の直前に急激に増加するため、排卵検査薬でLHサージを捉えることで、排卵日を予測できます。
タイミング法を試す
タイミング法とは、排卵日を予測して性交渉を持つことで、妊娠の確率を高める方法です。基礎体温や排卵検査薬などを活用し、排卵日を特定しましょう。
まとめ
妊娠は、小さな受精卵の大きな冒険から始まります。約2週間という短い期間ですが、お母さんの体の中ではさまざまな変化が起こり、新しい命が育まれています。妊娠初期は、心身ともに負担がかかりやすい時期です。バランスの取れた食事や適度な運動、質の良い睡眠を心がけ、ストレスを溜め込まないようにしましょう。
基礎体温を測ったり、排卵日を予測したりすることで、妊娠の可能性を高めることもできます。もし何か気になることや不安なことがあれば、一人で悩まずに、医療機関に相談してください。専門家のサポートを受けながら、安心して妊娠期間を過ごせるように願っています。
神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、妊娠の悩みに強みを持つクリニックです。専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。
参考文献
- Zhang S, Lin H, Kong S, Wang S, Wang H, Wang H, Armant DR. “Physiological and molecular determinants of embryo implantation.” Molecular aspects of medicine 34, no. 5 (2013): 939-80.
- Kagawa H, Javali A, Khoei HH, Sommer TM, Sestini G, Novatchkova M, Scholte Op Reimer Y, Castel G, Bruneau A, Maenhoudt N, Lammers J, Loubersac S, Freour T, Vankelecom H, David L, Rivron N. “Human blastoids model blastocyst development and implantation.” Nature 601, no. 7894 (2022): 600-605.