
妊活のために男性ができることを徹底解説!正しい行動とNG行動の具体例
公開日:2025.07.19更新日:2025.07.19
妊活がうまくいかずに悩んでいる夫婦は決して少なくありません。実は、不妊の原因の約半分は男性側にあることをご存じでしょうか。世界保健機関(WHO)によると、不妊に悩む夫婦のうち約半数に男性の要因が関係しており、男性側の協力は妊活成功の鍵を握っています。
男性不妊は自覚症状がほとんどなく「自分は健康だから大丈夫」と考えている男性も多いですが、検査を受けて初めて問題が見つかるケースもあります。生活習慣の改善によって、妊娠の可能性が大きく変わることもあります。
この記事では、男性が今すぐ始められる妊活方法から、絶対に避けたいNG行動までを具体的に解説します。「何から始めればいいかわからない」「本当に効果があるのか不安」という方でも、すぐに実践できる内容です。パートナーと一緒に妊娠という目標に向かって、今日から行動を始めましょう。
神奈川県相模原市、淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックは、妊娠の悩みに強みを持つ婦人科クリニックです。生理不順やPMSなどの女性特有のお悩みはもちろん、男性不妊の検査・治療にも対応し、ご夫婦のお悩みを専門医が丁寧にサポートします。
また、当院は橋本駅の長谷川レディースクリニックと密に連携し、婦人科・不妊治療を提供しています。2つの施設間で検査結果や治療方針を共有することで、よりスムーズな治療体制を整えています。体外受精をご検討の方にも、きめ細かな診療と迅速な対応をご提供していますので、お悩みの方は当院へご相談ください。
妊活中に男性ができる5つの行動
妊活中に男性ができる5つの行動は以下のとおりです。
- バランスの良い食事を取る
- 適度な運動を定期的に行う
- 質の高い睡眠をとる
- リラックス方法や趣味を見つける
- 禁煙と節酒を心がける
バランスの良い食事を取る
食事は、私たちの体を作る基本です。体を作る細胞一つひとつに栄養が行き届くことであり、当然、精子も例外ではありません。食事の内容によって精子の質が変わってきます。バランスの良い食事は、精子の元気をサポートし、妊娠しやすい体作りにつながります。食事の基本は「主食」「主菜」「副菜」をそろえることです。
ポイントは、炭水化物やタンパク質、ビタミン、ミネラルなど、さまざまな栄養素をバランス良く摂取することです。妊活中は以下の栄養素を意識して摂ると、より効果が期待できます。
- 亜鉛: 牡蠣、牛肉、納豆、アーモンド
- ビタミンE: ナッツ類、うなぎ、アボカド
- ビタミンC: ピーマン、ブロッコリー、キウイフルーツ
- 葉酸: ほうれん草、枝豆、いちご
- タンパク質: 肉、魚、卵、大豆製品
上記の栄養素をバランス良く摂取することで、精子の質を高め、妊娠しやすい体づくりを目指しましょう。
適度な運動を定期的に行う
運動不足は、肥満や生活習慣病のリスクを高めるだけでなく、精子の質にも悪影響を与える可能性があります。運動不足の状態が続くと、体内では血行不良や代謝低下が起こりやすくなります。精巣への血流も滞り、精子の生成に必要な栄養や酸素が十分に供給されなくなります。結果、精子の数が減ったり、運動能力が低下したりする可能性があります。
適度な運動は、血行を促進し、男性ホルモンの分泌を促すため、精子の質を高める効果が期待できます。運動によって筋肉量が増加すると、テストステロンという男性ホルモンの分泌が促進されます。テストステロンは、精子の生成を促すだけでなく、男性らしさを保つうえでも重要な役割を担っています。
激しい運動は、逆に活性酸素を発生させ、精子にダメージを与える可能性があるので注意が必要です。ウォーキングや軽いジョギングなど、息が少し上がる程度の運動を週に3回程度、30分を目安に行いましょう。エレベーターではなく階段を使う、一駅分歩くなど、少しの工夫で運動量を増やすことができます。
質の高い睡眠をとる
睡眠は、心身の疲れを癒し、体の機能を回復させるために欠かせません。睡眠中は、日中に活動している脳や体を休ませ、疲労を回復させるだけでなく、成長ホルモンの分泌が促進され、細胞の修復や新陳代謝が行われています。睡眠不足になると、疲労が蓄積し、免疫力が低下するだけでなく、精子の質にも悪影響を及ぼす可能性もあります。
質の高い睡眠は、男性ホルモンの分泌を促し、精子の質を高める効果も期待できます。睡眠不足になると成長ホルモンの分泌量が減少し、精子の質が低下する可能性があると考えられています。睡眠の質を高めるためには、以下のことを心がけましょう。
- 毎日決まった時間に寝起きする
- 寝る前にスマホやパソコンの画面を見すぎない
- 寝る前にカフェインを摂取しない
- 寝室の温度や湿度を適切に保つ
- 寝る前にリラックスする時間を作る
- 朝日を浴びて体内時計をリセットする
睡眠時間は個人差がありますが、7〜8時間を目安に、しっかりと睡眠をとるように心がけましょう。
リラックス方法や趣味を見つける
現代社会では、自分なりのストレス解消法を見つけて、上手にストレスと付き合っていくことが大切です。ストレス解消法として、以下が挙げられます。
- 軽く運動する
- 好きな音楽を聴く
- 趣味に没頭する
- 旅行に行く
- 家族や友人と過ごす
- ペットと触れ合う
- 自然と触れ合う
- 瞑想する
自分がリラックスできる方法を見つけ、ストレスを溜め込まないようにしましょう。
禁煙と節酒を心がける
妊活では、禁煙と節酒が精子の質向上に重要です。タバコのニコチンやタールは精子数・運動率を低下させ、DNAを損傷して奇形精子のリスクを高めます。血管収縮により精巣への血流も悪化し、精子生成が阻害されます。アルコールの過剰摂取も男性ホルモンの分泌を抑制し、精子の数や運動能力を低下させる可能性があります。
禁煙による精子質の改善は数か月で現れ、節酒の効果は数週間〜数か月で期待できます。健康な妊活のために、今日から禁煙・節酒を始めましょう。
以下の記事では、妊活中のお酒との向き合い方を解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
>>妊活を始めたらお酒はやめるべき?アルコールが妊娠に与える影響と対策を医師が解説
妊活中に男性が避けるべきNG行動
妊活中に男性が避けるべきNG行動は以下のとおりです。
- 精子の質を下げる生活習慣をしてしまう
- パートナーへの配慮を怠ってしまう
- ストレスを溜め込んでしまう
日々の習慣を改めることで、妊活の環境を整えられる可能性が高まります。
精子の質を下げる生活習慣をしてしまう
日常の何気ない生活習慣が、精子の健康状態に悪影響を与えている可能性があります。精子は熱に弱く、生活習慣の影響を受けやすい性質もあります。長時間の高温環境にさらされる行動は避けるべきです。以下の生活習慣も、精子の生成に悪影響を与える場合があります。
- サウナや熱い風呂に長時間入浴する
- 膝上でノートパソコンを使用する
- きつい下着を着用する
栄養バランスを無視した食事も大きな問題です。精子の健康維持に必要な栄養素が失われる可能性があります。コンビニ弁当やファストフードを頻繁に摂取する、不規則な時間に食事を取る、野菜不足の食生活を続けるなどの習慣は、控えることをおすすめします。
運動不足の生活を続ける、睡眠時間を削る、夜更かしを繰り返すなどの行動も、男性ホルモンの分泌に影響し、精子の生成に悪影響です。生活習慣を見直すことで、精子の健康状態を改善し、妊活をより良い状態で進めることができます。
なお、精子がまったく確認されない「無精子症」という状態も存在します。見た目や日常生活だけでは気づきにくいため、正確な知識と適切な対応が重要です。以下の記事では、無精子症の特徴や原因、治療法について医師監修のもと詳しく解説しています。気になる症状がある方は参考にしてください。
>>無精子症は見た目でわかる?無精子症の特徴や治療法を医師が徹底解説
パートナーへの配慮を怠ってしまう
妊活は夫婦で取り組むものであり、パートナーへの配慮は意識すべきポイントです。妊活中の女性は身体的・精神的な負担が大きく、男性のサポートが重要です。配慮を怠ることで関係性が悪化し、妊活へのモチベーションに影響を与える可能性があります。
排卵日前後の性交渉を義務的に捉えてしまう、女性の体調や気持ちを軽視した発言をしてしまうなどの行動は避けるべきです。「今日は排卵日だから」といった発言は、女性に大きなストレスを与えてしまいます。妊活の責任を女性だけに押し付けてしまう、検査や治療への参加を拒否してしまうなどの行動も深刻な問題です。
友人や家族からの妊活に関する質問やプレッシャーから、パートナーを守ることを怠ってしまうことも、配慮不足の行動に含まれます。パートナーへの思いやりと協力的な姿勢を持つことが、妊活を円滑に進めるために重要です。
ストレスを溜め込んでしまう
ストレスを溜め込んでしまうことは、男性の生殖機能に悪影響を与えるため避けるべきです。慢性的なストレスは男性ホルモンの分泌を阻害し、精子の生成に悪影響を与えます。免疫機能の低下や全身の健康状態悪化にもつながります。仕事でストレスを溜め込んでしまう行動は以下のとおりです。
- 過度に仕事を持ち帰ってしまう
- 深夜まで残業を続けてしまう
- 休日出勤を頻繁に行ってしまう
仕事とプライベートのバランスを保つことが、心身の健康維持には欠かせません。妊活のプレッシャーを一人で抱え込んでしまう、パートナーとの会話を避けてしまうなどの行動も、ストレスを増大させる原因です。
運動や趣味の時間を削ってしまうこと、ストレス発散の機会を失ってしまうことも問題です。ストレスを溜め込まない生活パターンを心がけることが、妊活を健康的に進めるために大切です。
男性が知っておくべき妊活の基本
男性が妊活に積極的に参加することで、妊娠の可能性が高まり、パートナーの負担も軽減されます。男性が知っておくべき妊活の基本は、以下の3つです。
- 男性不妊の具体的な原因
- 男性ができる具体的なサポート
- 夫婦で築く妊活の協力体制
積極的に妊活に取り組み、パートナーと一緒に幸せな未来を築いていきましょう。
男性不妊の具体的な原因
男性不妊の約90%は精子に関する問題です。具体的には以下の3つが主な原因です。
- 精子の数が少ない(乏精子症):正常な男性の精子濃度(1mlあたり1500万個以上)を下回る状態
- 精子の運動率が低い(精子無力症):前進する精子が40%未満の状態で、卵子まで到達できない
- 精子の形が異常(奇形精子症):正常な形の精子が4%未満の状態で、受精能力が低下
男性ができる具体的なサポート
妊娠・出産は女性にとって大きな身体的・精神的負担です。妊娠中はつわりや体調不良、出産後は育児疲れが続きます。男性が以下のサポートを行うことで、女性がリラックスして妊活に取り組めます。
- 料理や掃除などの家事を分担する
- 妊活に関する情報収集を一緒に行う
- 通院に付き添う
精神的なケアと励ましも大切です。少しでもストレスが解消されるようにサポートしましょう。
夫婦で築く妊活の協力体制
妊活が長期化すると、お互いにストレスが蓄積し、関係がギクシャクしがちです。以下のポイントを意識して、夫婦の絆を深めましょう。
- 定期的に妊活について話し合う時間を設ける
- お互いの不安や悩みを率直に共有する
- 検査結果や治療方針を2人で理解する
- 妊活以外の時間も大切にし、リフレッシュする
妊活は必ずしもスムーズに進むとは限りません。検査で問題が見つかっても、二人で協力して乗り越えていく前向きな姿勢が何より大切です。
妊活を始める前に知っておきたい検査と費用
妊活を始める前に知っておきたい検査と費用について、以下を解説します。
- 精液検査の方法、費用、結果の見方
- ホルモン検査
- その他の検査:超音波検査や染色体検査
紹介する検査を受けることで、自分自身の状態を正しく理解できます。
精液検査の方法・費用・結果の見方
精液検査は、妊活を始める男性にとって基本の検査です。検査では、採取した精液を顕微鏡で観察し、精子の数や運動率、形などを調べます。費用は医療機関によって異なりますが、2,000〜6,000円程度が一般的です。検査方法は、マスターベーションにより採取し、専用の容器に精液を入れます。
検査当日に自宅で採取するケースと、クリニック内の専用の個室で採取するケースがあります。検査結果の数値は、世界保健機関(WHO)が定めた基準値と比較して評価されます。主な項目は、以下のとおりです。
- 精液量:1回の射精で排出される精液の量(1.5 ml 以上)
- 精子濃度:精液1mlあたりの精子の数(1,500万/ml 以上)
- 精子運動率:活発に動いている精子の割合(40% 以上)
- 精子形態:正常な形をしている精子の割合(30% 以上)
これらの数値が基準値を下回る場合、男性不妊の可能性があります。ただし、検査結果が基準値以下でも必ずしも妊娠できないわけではありません。医師が、年齢や生活習慣なども考慮して総合的に判断し、適切な治療法を提案します。
ホルモン検査
ホルモン検査では、血液中の男性ホルモンの値を測定します。男性ホルモンは、精子の生成に大きく関わっており、値が低い場合は、精子の数が少なかったり運動率が低下したりする可能性があります。主な男性ホルモンは以下の3つです。
- テストステロン
- LH(黄体形成ホルモン)
- FSH(卵胞刺激ホルモン)
これらのホルモンは、脳下垂体や精巣から分泌され、互いに影響し合いながら精子の生成をコントロールしています。テストステロンは、筋肉や骨の成長、体毛の増加、声変わりなど、男性らしい体を作るために重要な役割を果たしています。精巣での精子産生を促す役割も担っています。
LHは、精巣に作用してテストステロンの分泌を、FSHは、精巣での精子産生を直接的に促進する働きがあります。ホルモン検査の結果、ホルモン値が低い場合は、ホルモン補充療法などの治療法が検討されます。
その他の検査:超音波検査や染色体検査
超音波検査は、精巣の状態を画像で確認する検査です。精索静脈瘤(精巣から心臓に戻る血管が拡張してしまう病気)などの有無を調べます。染色体検査は、血液から染色体を採取し、その構造や数を調べる検査です。染色体異常があると、精子形成に影響が出ることがあります。
精液検査やホルモン検査の結果や、医師の判断にもとづいて実施されます。
検査費用・保険適用
妊活に関する検査費用は、医療機関や検査内容で異なります。検査によっては保険適用になる場合もありますが、基本的には自由診療となるため、全額自己負担です。精液検査は医療機関によって、保険適用になる場合があります。ホルモン検査や超音波検査も、他の病気の診断目的で行われる場合は保険適用となる可能性があります。
費用が気になる方は、事前に医療機関に確認することをおすすめします。

妊活時の男性の行動に関するよくある質問
妊活時の男性の行動に関するよくある質問として、以下の4つを解説します。
- 男性の妊活はいつから始めるべき?
- 男性が妊活中の性生活で注意すべきことは?
- 男性の妊活がうまくいかない場合の対処法は?
- 男性の妊活にストレスは影響する?
男性妊活に関する不安や疑問は多くの男性が抱える共通の悩みです。正しい知識を持ち、妊活を進めましょう。
男性の妊活はいつから始めるべき?
男性の妊活は、パートナーと妊娠を希望し始めた時点で始めるのが理想です。精子の生成には約74日かかるため、妊活の3か月前から生活習慣を見直すのが望ましいです。特に35歳以上や喫煙・飲酒習慣のある方は早期の準備が推奨されます。性生活では排卵日の2〜3日前から1日おきの頻度が効果が期待できます。
義務感にとらわれず、週2〜3回の定期的な関係とリラックスした雰囲気を大切にしましょう。
男性の妊活がうまくいかない場合の対処法は?
男性の妊活がうまくいかない場合は、規則正しい生活習慣やバランスの良い食事、適度な運動、禁煙・節酒などが継続できているかを見直しましょう。半年から1年程度妊娠に至らない場合は、医療機関での相談を検討することをおすすめします。男性の場合、精液検査から始めることが多く、比較的簡単で負担の少ない検査です。
何よりも重要なのは、パートナーと支え合い、お互いを責めないことです。
男性の妊活にストレスは影響する?
男性の妊活にストレスは大きな影響を与える可能性があります。慢性的なストレスは男性ホルモンの分泌を抑制し、精子の生成量や質に悪影響を及ぼしやすいです。ストレスは免疫機能の低下や血流の悪化も引き起こし、全身の健康状態に悪影響を与えます。ストレスで生じる影響は以下のとおりです。
- 精子の数や運動率の低下
- 性機能の低下
- 男性ホルモンの分泌抑制
- 免疫機能の低下
- 血流の悪化
男性のストレス軽減対策として、以下の5つを挙げます。
- 規則正しい生活リズムの維持
- 十分な睡眠と適度な運動
- 趣味や好きなことを続ける
- パートナーとの良好なコミュニケーション
- 必要に応じてカウンセリングや専門家のサポート
男性がストレスを完全になくすことは難しいですが、上手に付き合うことで妊活を健康的に進めることができます。
まとめ
妊活は女性だけが頑張るものではなく、男性側の協力も不可欠です。不妊の原因は約半分は男性側にあり、精子の質改善が重要です。具体的には、バランスの良い食事、適度な運動、質の高い睡眠、ストレス軽減、禁煙・節酒による効果が期待できます。
精液検査やホルモン検査を受けることで自身の状態を把握し、医師のアドバイスを受けることが大切です。検査費用は保険適用外の場合もありますが、一部保険適用となるケースもあるため、事前に医療機関に確認しましょう。
近年増えている不妊ですが、女性だけでなく男性側にも影響があることが知られています。以下の記事では、医師監修のもと男性不妊になりやすい人の特徴を解説しているのでチェックしてみてください。
>>【医師が解説】男性不妊になりやすい人とは?今すぐチェックしたい5つの特徴と対策
参考文献
Jonathan Fainberg, James A Kashanian. Recent advances in understanding and managing male infertility. F1000Res, 2019,