ソフィアレディスクリニック

40代の生理不順の原因と対策とは?更年期との関係性を解説

公開日:2024.11.22
更新日:2024.12.12

40代に突入し、生理の異変を感じていませんか? 周期の乱れや出血量の変化、今までにない生理痛…。実は多くの女性が経験する更年期への移行期のサインの可能性があります。日本では女性の平均閉経年齢は50~52歳頃ですが、40代前半で閉経を迎える方もいるほど個人差があります。

40代はまさに更年期へのプレ更年期、卵巣機能が低下し始め、女性ホルモンの分泌が不安定になるため、さまざまな生理の異変が現れやすい時期です。この記事では、40代女性の生理不順の原因や更年期との関係、具体的な対策まで詳しく解説します。ご自身の体と向き合い、健やかな毎日を送るためにも、ぜひ読み進めましょう。

神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、生理の悩みに強みを持つクリニックです。専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。

40代における生理不順の4つの原因

40代における生理不順の4つの原因は以下のとおりです。

  • ホルモンバランスの乱れ(エストロゲン、プロゲステロンの減少)
  • ストレス(身体的・精神的)
  • 生活習慣の乱れ(睡眠不足、過度なダイエット、運動不足など)
  • 子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科疾患

ホルモンバランスの乱れ(エストロゲン、プロゲステロンの減少)

40代は、卵巣機能が徐々に低下し始める時期です。女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの分泌量が減少し、ホルモンバランスが乱れてきます。更年期への移行期に見られる自然な現象ですが、放置せず適切なケアを行うことが大切です。

ホルモンバランスの乱れは、生理周期をコントロールする機能に直接影響を及ぼし、生理不順を引き起こします。25~38日周期で順調に来ていた生理が、突然40日以上空いたり、逆に20日を切るほど短くなったりするケースもあります。出血量にも変化が現れ、普段より極端に少なくなったり、逆に大量になったりする方もいます。

ストレス(身体的・精神的)

ストレスは、自律神経やホルモン分泌に大きく影響を与えます。特に40代女性は、仕事や家庭、介護などの多忙さから精神的・身体的ストレスが増えることが多く、生理不順の引き金となる場合があります。慢性的なストレスは体調を悪化させるだけでなく、早期の更年期症状を誘発する可能性も指摘されています。

昇進に伴う責任の増大や、職場の人間関係の悪化、介護や育児の負担、夫婦間の不和、子どもの進学など、40代女性はさまざまなストレスに直面します。ストレスが長引くと、生理が遅れたり早まったり、全く来ないこともあります。

精神的なストレスだけでなく、過度な運動や不適切なダイエット、慢性的な睡眠不足、病気なども身体的ストレスとなり、生理不順を招く可能性があります。

生活習慣の乱れ(睡眠不足、過度なダイエット、運動不足など)

私たちの体は、規則正しい生活によってバランスを保っています。睡眠不足や不規則な食生活、過度なダイエット、運動不足などは、ホルモンバランスを崩し、生理不順を招く原因です。「睡眠時間が5時間以下」「朝食を抜き、昼食はコンビニ弁当で済ませてしまう」といった生活習慣は、体に負担をかけ、生理不順につながりやすいです。

バランスの取れた食事や適度な運動、十分な睡眠を心がけることは、生理周期を整えるだけでなく、心身の健康維持にもつながります。

子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科疾患

子宮筋腫や子宮内膜症といった婦人科疾患も、生理不順の原因となることがあります。子宮筋腫は子宮にできる良性の腫瘍で、子宮内膜症は子宮内膜が子宮以外の場所に発生する病気です。40代に多くみられ、生理痛がひどくなったり、出血量が増えたり、生理不順を引き起こすことがあります。生理の経血量が増え、貧血を起こしてしまうケースもあります。

生理不順が続く場合は、病気が隠れている可能性もあるため、婦人科を受診し、検査を受けることが大切です。早期発見・早期治療のためにも、定期的な健康診断を心がけましょう。

40代女性によくある生理不順の症状5選

40代女性によくある生理不順の症状は以下の5つです。

  • 生理周期が短くなる/長くなる
  • 生理の出血量が増える/減る
  • 生理痛が重くなる
  • 生理が来ない(無月経)
  • 生理不順に伴う不正出血がある

生理周期が短くなる/長くなる

健康な状態では、生理は25~38日周期で訪れます。周期が24日より短くなったり、39日より長くなったりする場合は、生理不順の可能性があります。生理周期が短くなる場合は、出血日数が短く、出血量も少ないことが多いです。長くなる場合は出血日数が長く、出血量も多い傾向があります。生理周期の変化は、ホルモンバランスの乱れやストレス、生活習慣の乱れ、子宮の病気などが原因として考えられます。

生理の出血量が増える/減る

生理の出血量は個人差がありますが、一般的には20~140ml程度と言われています。生理用ナプキンで例えると、昼用ナプキンで十分に対応できる程度の出血量が正常範囲です。夜用ナプキンでもすぐに漏れてしまうほど出血量が増えたり、おりものシートで十分なほどしか出血がないほど減ったりするのも、生理不順のサインです。

出血量の変化は、子宮内膜の状態やホルモンバランスの乱れと密接に関連しています。通常よりも出血量が多く、貧血を起こすほど出血が続く場合は、子宮筋腫や子宮内膜症などの病気が隠れている可能性があります。出血量が極端に少ない場合も、ホルモンバランスの乱れや子宮内膜が薄くなっていることなどが考えられます。若い女性に多い過度なダイエットも、ホルモンバランスを崩し、出血量を少なくする原因の一つです。

生理痛が重くなる

生理痛は多くの女性が経験する症状ですが、40代に入り、急に生理痛が重くなった場合も注意が必要です。鎮痛剤で何とか我慢できていた生理痛が、立っていられないほどの激痛になったというケースも珍しくありません。子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が原因で、生理痛が重くなることがあります。

BMIが低い(痩せすぎ)も生理痛の重症化に関連しているという研究結果も出ています。脂肪組織が女性ホルモンの産生に関わっているため、BMIが低いとホルモンバランスが乱れやすく、生理痛が悪化しやすいためと考えられています。

生理が来ない(無月経)

3か月以上生理が来ない状態を「無月経」と言います。妊娠の可能性がない場合、ホルモンバランスの乱れや子宮の病気、過度なストレス、急激な体重変化などが原因として考えられます。特に40代では、更年期に近づき卵巣機能が低下することで、無月経になることがあります。

更年期は誰にでも訪れる自然な体の変化ですが、無月経が続くと、骨粗鬆症のリスクが高まるなど、健康にさまざまな影響を及ぼす可能性があります。無月経の状態が続く場合は、婦人科を受診し、適切な検査と治療を受けることが重要です。

生理不順に伴う不正出血がある

生理が始まる前や終わった後に、少量の出血がある場合や、生理周期とは関係なく出血がある場合を「不正出血」と言います。「生理が終わったと思ったら、また出血が始まった」「性交後に少量の出血があった」といった症状が該当します。不正出血は、子宮頸がんや子宮体がん、子宮筋腫、子宮内膜症などの病気が原因で起こる可能性があるので、決して軽視すべきではありません。40代になり不正出血が続く場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。

生理不順の原因の一つとして、不正出血が発生することもあります。不正出血のある方は、以下の記事もチェックしておきましょう。
>>不正出血を放置しないで!原因や生理との違い、受診の目安まで徹底解説

生理不順の検査・治療法と対策3選

生理不順の検査・治療法と対策について、以下の3つを解説します。

  • 婦人科で行う検査(問診、内診、血液検査、超音波検査など)
  • 生理不順の治療法(ホルモン補充療法、低用量ピルなど)
  • 生理不順改善のための対策(生活習慣の改善、ストレス管理、サプリメントなど)

婦人科で行う検査(問診、内診、血液検査、超音波検査など)

生理不順の原因を特定し、最適な治療法を選択するために、婦人科ではさまざまな検査を行います。具体的な検査内容と、それぞれの検査で何がわかるのかを確認しましょう。

問診

問診では、現在の生理の状態(周期、出血量、生理痛の有無など)だけでなく、過去の生理の状況、妊娠・出産の経験などを確認します。現在の生活習慣(睡眠、食事、運動)、仕事や家庭でのストレスの有無、服用中の薬などの質問も含みます。直接お話を聞くことで、隠れた問題点や患者さんの不安に寄り添いながら、原因を探っていきます。

内診

内診では、膣から子宮や卵巣の状態を直接確認します。子宮の大きさや形、卵巣の腫れや嚢胞の有無などを調べます。内診台は少し緊張するかもしれませんが、医師は患者さんの負担を最小限にするよう配慮しながら、丁寧に検査を進めるのでご安心ください。内診の結果、予想外に大きな子宮筋腫が見つかり、早期の手術が必要となったケースもあります。

血液検査

血液検査では、女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)の値、甲状腺ホルモンの値、貧血の有無などを調べます。ホルモン値を測定することで、ホルモンバランスの乱れの程度や、甲状腺機能の異常などが明らかになります。更年期への移行期かどうかを判断する材料にもなります。

超音波検査

超音波検査では、子宮や卵巣の内部構造を画像で確認します。子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣嚢胞などの有無や大きさ、位置などを詳しく調べられます。超音波検査は痛みや被ばくがないため、安心して受けることが可能です。40代になると子宮筋腫の発生率が増加するので、生理不順の原因として疑われる場合には、超音波検査が必須です。

検査を通して、生理不順の原因を総合的に判断します。どの検査が必要かは、患者さんの症状や年齢、既往歴などを考慮して決定するので、医師とよくご相談ください。

生理不順の治療法(ホルモン補充療法、低用量ピルなど)

生理不順の治療法は、原因や症状、患者さんのライフステージによって異なります。代表的な治療法をいくつかご紹介します。

  • ホルモン補充療法(HRT)
    更年期に近づき、女性ホルモンの分泌量が減少している場合は、ホルモン補充療法が有効です。不足している女性ホルモンを補うことで、ホルモンバランスを整え、生理周期を正常化します。更年期障害の症状(のぼせ、ほてり、発汗、イライラなど)の緩和にも効果があります。
  • 低用量ピル
    低用量ピルは、女性ホルモンの分泌をコントロールすることで、生理周期を安定させます。生理痛や生理の量の軽減にも効果があります。子宮内膜症の予防効果も期待できます。

生理不順改善のための対策(生活習慣の改善、ストレス管理、サプリメントなど)

生理不順の改善には、医療機関での治療だけでなく、日常生活におけるセルフケアをして対策することも重要です。40代は仕事や家庭で忙しく、自分の健康を後回しにしがちですが、毎日の生活習慣を見直せば、生理不順を改善できる可能性があります。主に、以下の3つを意識しましょう。

生活習慣の改善

バランスの取れた食事や十分な睡眠、適度な運動は、ホルモンバランスを整え、生理不順を改善するうえで重要です。特に、女性ホルモンのバランスを整える働きがある大豆製品や、ビタミン・ミネラルが豊富な野菜や果物を積極的に摂りましょう。

睡眠不足はホルモンバランスを乱す大きな原因となるため、質の良い睡眠を確保することも大切です。毎日7〜8時間の睡眠を確保することを目指してください。適度な運動はストレス軽減にも効果的です。ウォーキングやヨガなど、無理なく続けられる運動習慣を身につけましょう。

ストレス管理

ストレスは自律神経のバランスを崩し、ホルモン分泌にも影響を及ぼします。リラックスできる時間を作ったり、趣味を楽しんだり、自分なりのストレス解消法を見つけ、ストレスをため込まない工夫をしましょう。

サプリメント

栄養不足を補うために、サプリメントを活用するのもおすすめです。サプリメントはあくまで補助的な役割であり、バランスの良い食事を摂ることが大前提です。40代女性の生理不順は、更年期への移行期に起こる自然な体の変化の場合もありますが、子宮筋腫や子宮内膜症などの病気が隠れている可能性もあります。

自己判断せず、生理不順が続く場合は、早めに婦人科を受診し、適切な検査と治療を受けることが大切です。

生理不順と更年期障害の関係性

40代に差し掛かり、生理周期に変化が生じ始めると、「もしかして更年期?」と不安になる方も多いです。40代の生理不順は更年期との関連が深く、更年期障害の初期症状として現れるケースもあります。

更年期と更年期障害、生理不順の関係性について解説します。

更年期とは何か?

更年期とは、閉経を挟んだ前後5年間、つまり閉経の前後5年間を指します。閉経とは、卵巣の機能が低下し、女性ホルモン(主にエストロゲン)の分泌がほとんどなくなり、生理が永久に停止した状態のことです。閉経の平均年齢は50~52歳頃ですが、個人差が大きく、40代前半で閉経を迎える人もいれば、50代後半まで生理が続く人もいます。更年期は卵巣機能の低下による女性ホルモンの減少が主な原因です。

更年期は、誰しもが経験する自然な体の変化です。更年期をどう過ごすかで、その後の健康状態が大きく左右されます。

更年期障害の代表的な症状

更年期障害の症状はさまざまで、人によって症状の種類や程度も大きく異なります。代表的な症状には、ホットフラッシュ(ほてりやのぼせ、発汗)、動悸、めまい、頭痛、肩こり、腰痛、倦怠感(だるさ)、イライラなどがあります。

症状は、良くなったり悪くなったりを繰り返すことがあります。ある日は何でもないのに、次の日は突然顔がカーッと熱くなり、汗が止まらなくなったり、わけもなくイライラしたりする場合もあります。更年期障害の症状は、ホルモンバランスの乱れだけでなく、加齢に伴う身体の変化や環境の変化、心理的な要因などが複雑に絡み合って現れると考えられています。

更年期障害は「不定愁訴(ふていしゅうそ)*」と呼ばれることもあり、検査をしても異常が見つからないケースも多いです。
*不定愁訴とは、身体に明らかな異常がないにもかかわらず、さまざまな症状を訴える状態を指す医療用語

生理不順は更年期障害の初期症状の可能性

更年期の初期症状として、生理不順が現れることがあります。卵巣機能の低下によって女性ホルモンの分泌が不安定になることが原因です。生理不順の症状は実にさまざまで、生理周期が短くなったり長くなったり、出血量が増えたり減ったりします。

40代で生理不順が続く場合は、更年期障害の初期症状である可能性も考えられます。

更年期障害と似た症状の他の疾患との違い

更年期障害の症状は、他の病気の症状と似ている場合があり、自己判断で更年期障害だと決めつけてしまうのは危険です。更年期障害によく似た症状が出る病気には、甲状腺機能低下症や子宮筋腫、子宮内膜症、貧血などがあります。

甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの分泌が低下することで、倦怠感や抑うつ気分、生理不順など、更年期障害と似た症状が現れることがあります。子宮筋腫や子宮内膜症は、子宮にできる良性の腫瘍ですが、生理痛が重くなったり、生理の出血量が増えたり、生理不順を引き起こします。貧血も、だるさやめまいなどの症状を引き起こし、更年期障害と間違われやすい病気の一つです。

更年期障害なのか、他の病気なのかを自己判断するのは難しいため、気になる症状がある場合は、医療機関を受診して医師に相談しましょう。自己判断で放置しておくと、病気が進行してしまう可能性もあります。早期発見・早期治療のためにも、少しでも気になることがあれば、早めに婦人科を受診しましょう。

まとめ

40代女性の生理不順は、ホルモンバランスの乱れ、ストレス、生活習慣の乱れ、婦人科疾患などが原因として考えられます。症状としては、生理周期や出血量の異常、生理痛の悪化、無月経、不正出血などがあります。更年期への移行期に差し掛かる40代では、卵巣機能の低下により女性ホルモンの分泌が不安定になり、生理不順が起こりやすくなります。

更年期障害の初期症状としても現れるため、注意が必要です。生理不順が続く場合は、自己判断せず婦人科を受診しましょう。問診や内診、血液検査や超音波検査などを行い、原因を特定します。治療法にはホルモン補充療法、低用量ピルなどがあります。日常生活では、バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動、ストレス管理を心がけましょう。

生理不順について網羅的に知りたい方は以下の記事をぜひご覧ください。
>>生理不順の原因と治し方とは?放置してはいけない理由や受診の目安も解説

参考文献

  1. Mitsuhashi R, Sawai A, Kiyohara K, Shiraki H, Nakata Y. Factors Associated with the Prevalence and Severity of Menstrual-Related Symptoms: A Systematic Review and Meta-Analysis. International journal of environmental research and public health 20, no. 1 (2022).
  2. Baker FC, Lee KA. Menstrual Cycle Effects on Sleep. Sleep medicine clinics 13, no. 3 (2018): 283-294.
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