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不妊治療の成功率は?不妊治療しても授からない確率も合わせて解説

公開日:2024.07.29
更新日:2024.10.30

不妊治療を考えている方や治療中の方、周りでサポートしている方で、不妊治療の成功率が気になる方は多いです。

「本当に赤ちゃんを授かることができるのか」「どれくらいの確率で成功するのか」といった疑問をお持ちではないでしょうか。不妊治療の成功率は、年齢や治療法、患者さんの状態などさまざまな要因が絡み合って決まります。

本記事では、統計データをもとに成功率を解説し、成功率を高めるための方法やリスク、費用面についても詳しく説明します。記事を読めば、正しい知識を得られ、より前向きに治療に取り組むことができるでしょう。

不妊治療の成功率と要因

ここでは、不妊治療の成功率について、統計データと成功率を左右する要因を解説していきます。

不妊治療の成功率の統計データと傾向

不妊治療の成功率は、治療法や年齢、体の状態など、さまざまな要因が複雑に絡み合い、個人差も大きいため一概に断言できません。過去のデータからある程度の傾向を把握することは可能です。

体外受精や顕微授精などの高度生殖医療における一回あたりの妊娠率は、凍結胚移植で約34%、新鮮胚移植で約20〜23%となっています(厚生労働省の調査(令和2年度))。10人中3〜4人、あるいは10人中2人が妊娠する確率です。

治療の継続で妊娠率は上昇する傾向があり、治療開始から1年後の出産率は約15〜20%、3年後には約25〜30%に達すると報告されています。

不妊治療の成功率を左右する要素と考えられる要因

不妊治療の成功率は、さまざまな要因で左右されます。主な要因は、年齢や治療法、患者さんの状態です。

年齢

年齢を重ねるにつれて、卵子の質と量が低下していくため、妊娠率は徐々に低下する傾向です。35歳を過ぎると妊娠率の低下が顕著になり、40歳を超えると、さらに妊娠が難しくなると言われています。若い頃の卵子はフレッシュで元気ですが、年齢を重ねるにつれて、少しずつ質が低下します。

治療法の選択

不妊治療には、タイミング法や人工授精、体外受精など、さまざまな方法があり、高度な治療ほど妊娠率は高くなる傾向です。タイミング法は、自然妊娠をサポートする治療法で、体への負担が軽いメリットがあります。

体外受精は、体外で卵子と精子を授精させる高度な技術なので、妊娠率は高いですが、体への負担や費用も大きいです。

患者さんの状態

子宮内膜症や卵管の異常など、基礎疾患を持っている場合は、妊娠率が低下することがあります。ストレスや生活習慣なども、ホルモンバランスや卵子の質に影響を与える可能性が高いです。子宮筋腫は、子宮内にできる良性の腫瘍ですが、子宮内腔が変形して妊娠しにくくなります。

他にも、病院の技術力や経験、患者さん自身の努力も、成功率に影響を与える可能性があります。

不妊治療にかかる費用と保険適用

ここでは、不妊治療にかかる費用と内容・保険適用について解説します。

不妊治療にかかる費用

不妊治療の費用は、治療法の種類や治療期間、使用する薬剤などによって異なります。治療法は、ステップアップ方式を採用しているクリニックが多く、段階が上がるごとに費用も高額になる傾向です。治療法やその内容、費用相場は以下のとおりです。

  • タイミング法:排卵のタイミングに合わせて性交渉を行う
    費用相場:数千円~2万円
  • 人工授精:精子を子宮内に直接注入する
    費用相場:3~5万円
  • 体外受精:卵子と精子を体外で受精させてから子宮に戻す
    費用相場:30~60万円

治療回数や期間が長引くほど費用もかさむため、事前に確認することが大切です。治療前に医師から治療計画の説明を受け、費用についても相談しましょう。

不妊治療の保険適用に関する情報と注意点

2022年4月から、不妊治療の一部が保険適用となりました。経済的な負担を軽減し、より多くの人が不妊治療を受けやすくするための国の取り組みです。具体的には、タイミング法や人工授精、体外受精、顕微授精などが保険適用となっています。

保険適用を受けるためには、いくつかの条件があるので注意しましょう。夫婦であることや、法律で婚姻関係にあるもの(事実婚含む)、年齢や治療歴などの要件を満たしている必要があります。

保険適用となるのは、医療機関で認められた治療行為であり、自由診療で行われる治療は保険適用外です。保険適用や助成制度については、厚生労働省や各自治体のホームページで最新の情報を確認してください。

不妊治療のリスクと副作用

不妊治療にも、いくつかのリスクや副作用があることも理解しておく必要があります。治療法の種類や患者さんの体質によってさまざまです。

卵巣を刺激して卵子を育てる治療では、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクがあります。卵巣がパンパンに腫れ上がって、お腹に水が溜まったり、吐き気などの症状が現れたりする状態です。重症化すると、呼吸困難や血栓症を引き起こす可能性もあるので注意が必要です。

複数の卵子が受精することで、多胎妊娠の可能性も高まります。双子や三つ子以上の妊娠は、母体への負担が大きく、早産や低出生体重児のリスクも高まります。治療が長引いたり、治療費の負担が大きくなったりすることで、精神的に追い詰められる方も少なくありません。

不妊治療による身体的・精神的な負担とその対策

不妊治療は、肉体的にも精神的にも負担がかかる治療です。ホルモン剤の使用は、ホルモンバランスを変化させ、生理不順や体重増加、情緒不安定などの症状が現れやすくなります。周囲の理解とサポートが得られずに、孤独を感じてしまう方もいます。

不妊治療への対策は、以下のとおりです。

  • 医師やスタッフとのコミュニケーション
    治療内容やリスク・副作用について、疑問や不安な点を積極的に相談し、納得した上で治療を進めましょう。「多胎妊娠を避けるためにはどのような治療法を選択できるのか」など、具体的な質問をしてみましょう。
  • パートナーとの協力
    治療に対する気持ちを共有し、協力体制を築くことが精神的な支えになります。治療のスケジュールや費用・治療にともなう体調の変化などについて、夫婦で話し合う時間を持ちましょう。
  • 周りの人に相談する
    家族や友人に気持ちを打ち明け、同じように不妊治療に取り組む人たちとの交流を通じて、不安や悩みを共有するのもおすすめです。NPO法人など、不妊治療に関する相談窓口を利用するのもよいでしょう。
  • 気分転換
    趣味や旅行など、楽しい時間を過ごすことで、心身のリフレッシュを図りましょう。治療のことばかり考えてしまう時間を減らし、リラックスできる時間を作るように心がけてください。
  • 専門機関の利用
    必要に応じて、カウンセリングを受けるなど、専門機関のサポートを受けることも有効です。臨床心理士や精神科医に相談することで、心の安定を取り戻せることがあります。

不妊治療の成功率を高める方法と対策

不妊治療は、体外受精などの高度生殖医療による治療を受けても妊娠に至らないケースも少なくありません。ここでは、タイミング法や人工授精、体外受精の場合において成功率を高める方法を紹介します。

タイミング法・人工授精の場合

基礎体温や月経周期の記録を通して、ご自身の体のリズムを把握しましょう。排卵日を予測し、タイミングを合わせることで、妊娠の可能性を高められます。

治療中は、仕事や将来への不安など、さまざまなストレスを感じやすい時期です。ストレスは卵巣機能やホルモンバランスを乱す可能性があります。リラックスできる時間を作りましょう。心の栄養のために、旅行や趣味、好きな音楽を楽しむのもおすすめです。

規則正しい生活とバランスの取れた食事は、健康的な卵子と精子の育成につながります。毎日の食事で新鮮な野菜や果物、タンパク質を摂って、体の内側から健康を目指しましょう。

体外受精などの高度生殖医療の場合

体外受精は、より専門的な知識と技術が必要となる治療法です。医師の指示に従い、適切な薬を使用することで、複数の卵胞を育てられます。移植する受精卵の質を高めることは、妊娠率に大きく影響します。胚培養士は、顕微鏡を用いて、元気な受精卵を選別する流れです。厳選された受精卵を移植することで、妊娠の可能性を高められます。

専門医とよく相談し、ご自身の状態や希望に最適な治療法を選択することが大切です。

不妊治療におけるライフスタイルの改善と重要なポイント

健康的なライフスタイルは、妊娠しやすい体づくりに欠かせません。不妊治療中は、以下のポイントを意識しましょう。

  • バランスの取れた食事
    食事は、体を作る基本です。赤栄養バランスを考えた食事を心がけましょう。緑黄色野菜や果物を積極的に摂ることで、ビタミンやミネラルを補給できます。
  • 適度な運動
    適度な運動は、血行を促進し、卵巣や子宮への血流を改善します。激しい運動は逆効果になる可能性があるので、ウォーキングやヨガなど、軽い運動を習慣化しましょう。
  • 十分な睡眠
    睡眠は体の疲れを癒し、ホルモンバランスを整えるために重要です。質の高い睡眠を確保するには、寝る前のスマホやパソコンの使用は控え、リラックスできる環境を整えてください。
  • 禁煙
    タバコは、卵子の老化を早め、卵巣機能を低下させる可能性があります。赤ちゃんのためにも、禁煙を心がけましょう。
  • アルコール摂取の制限
    過度なアルコール摂取は、ホルモンバランスを乱し、妊娠しにくくなる可能性があります。アルコールはほどほどに楽しみましょう。

不妊治療中は、基本的な生活習慣を見直して改善していくことが、妊娠への近道となります。

まとめ

不妊治療の成功率は個人差が大きく、一概に断言することはできませんが、以下のポイントを押さえておくことが重要です。

  • 年齢や治療法、患者さんの状態が大きな要因
  • 高度生殖医療の一回あたりの妊娠率は約20~35%
  • 治療を継続することで妊娠率が上昇する傾向あり
  • 健康的なライフスタイルの維持が成功率向上に影響
  • リスクや副作用、費用面についても理解が必要

焦らず、自分のペースで治療を進めることが大切です。不安な方は医師に相談してみるのがおすすめです。

参考文献

不妊治療の実態に関する調査研究. 最終報告書. 令和2年度 子ども・子育て支援推進調査研究事業.

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