
不妊治療の保険適用を徹底解説!対象範囲・回数制限・メリット/デメリットまで
公開日:2024.03.21更新日:2025.11.30
「子どもを持ちたい」という気持ちに寄り添い、経済的負担の軽減を図るため、2022年4月から不妊治療にかかる費用が保険適用となりました。しかし、不妊治療を保険診療で受けるためにはいくつかの条件があります。この記事では、年齢や回数に応じて変わる不妊治療の保険適用範囲と、保険適用のデメリットについて詳しく解説します。
神奈川県相模原市、淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックは、不妊治療の悩みに強みを持つ婦人科クリニックです。生理不順やPMSなどの女性特有のお悩みはもちろん、男性不妊の検査・治療にも対応し、ご夫婦のお悩みを専門医が丁寧にサポートします。
また、当院は橋本駅の長谷川レディースクリニックと密に連携し、婦人科・不妊治療を提供しています。2つの施設間で検査結果や治療方針を共有することで、よりスムーズな治療体制を整えています。体外受精をご検討の方にも、きめ細かな診療と迅速な対応をご提供していますので、お悩みの方は当院へご相談ください。
2022年4月から不妊治療は保険適用になった
不妊治療は2022年4月より、健康保険または国民健康保険が適用される保険診療になりました。保険適用に伴い、これまで全額自己負担だった不妊治療が、条件を満たせば3割負担となります。
2022年3月までは「特定不妊治療費助成事業」という助成制度により、不妊治療を受ける方の費用負担を軽減していましたが、保険適用に伴って廃止されました。しかし、それぞれの制度の違いから、保険適用後に実質負担が増える不妊治療もあります。
保険適用の対象となった不妊治療は「一般不妊治療」と「生殖補助医療」に分けられます。一般不妊治療の具体的な治療内容は以下のとおりです。
- タイミング法:超音波検査等で推測した排卵のタイミングに合わせて性交する方法
- 人工授精:精液を注入器で直接子宮に注入し、妊娠を図る方法
生殖補助医療の具体的な治療内容は以下のとおりです。
- 体外受精:精子と卵子を採取し、体外で受精・培養した後、子宮に戻して妊娠を図る方法
- 顕微授精:体外受精と同様に精子と卵子を採取した後、卵子に注射針等で精子を注入して受精させる方法
- 男性不妊の手術:手術用顕微鏡を用いて精巣内より精子を回収する方法(顕微鏡下精巣内精子採取術)
ほかにも、胚移植などいくつか保険で行える治療もあります。
不妊治療の保険適用によって何が変わったこと
保険適用後は健康保険が適用されるため、支払う金額が大幅に減りました。高額療養費制度の対象にもなるため、1か月の医療費が一定額を超えた場合には、超えた分が払い戻される仕組みも利用できます。不妊治療の保険適用によって変わったことを以下の項目に沿ってまとめます。
- 保険適用前後での患者負担の変化
- 保険適用によって利用しやすくなった治療
保険適用前後での患者負担の変化
保険適用前は、不妊治療にかかる費用はすべて患者さんの自己負担でした。体外受精の場合、1回あたり30〜50万円ほどの費用がかかることも珍しくなく、複数回の治療が必要になると、総額で数百万円に達することもありました。
保険適用後は、同じ治療でも窓口での負担額が原則3割になるため、自己負担額が大きく減少しました。これまで50万円かかっていた治療が、保険適用によって15万円程度で受けられるようになるケースもあります。高額療養費制度を利用すれば、月々の負担額に上限が設けられるため、さらに経済的な負担が軽くなる可能性があります。
一方で、保険適用には条件があるため、すべての患者さんが同じように恩恵を受けられるわけではありません。年齢制限や回数制限、保険適用外の治療を選ぶ場合には全額自己負担になる場合もあるため、状況に合わせた治療計画を立てることが重要です。
保険適用によって利用しやすくなった治療
保険適用の対象となったことで、これまで経済的な理由から諦めていた方でも、不妊治療を受けやすくなりました。特に利用しやすくなったのは、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療です。
体外受精は、卵子と精子を体外で受精させてから子宮に戻す治療法で、従来は1回あたり数十万円の費用がかかっていました。保険適用によって窓口負担が3割程度になったため、治療をためらっていた方でも、検討しやすくなっています。
顕微授精についても同様に保険適用の対象となり、精子の状態が良くない場合でも、経済的な負担を抑えながら治療を受けられるようになりました。一般不妊治療であるタイミング法や人工授精も保険適用の範囲に含まれるため、不妊治療の初期段階から保険を利用して治療を進められます。
体外受精の進め方や期間など、より具体的な流れを知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
>>体外受精のスケジュールを徹底解説|治療の流れと期間・費用の目安
不妊治療で保険適用となる具体的な治療内容
不妊治療には多くの選択肢がありますが、保険適用となるのは国が定めた特定の治療に限られます。まずは、どの治療が対象になるのかを理解することが大切です。以下では、一般不妊治療から生殖補助医療まで、保険適用となる主な治療を解説します。
タイミング法や人工授精などの一般不妊治療
一般不妊治療とは、体への負担が比較的少なく、自然妊娠に近い形で妊娠を目指す治療法です。保険適用の対象となる一般不妊治療には、タイミング法と人工授精があります。
タイミング法は、排卵日を予測して性交渉のタイミングを合わせる方法です。超音波検査やホルモン検査を使って排卵日を正確に把握し、妊娠しやすいタイミングを医師が指導します。保険適用によって、検査や薬の費用が3割負担になるため、治療を続けやすくなりました。
人工授精は、精子を直接子宮内に注入する方法で、精子が卵子まで到達しやすくする治療です。タイミング法で妊娠しなかった場合や、精子の状態があまり良くない場合に選ばれることが多い治療法です。人工授精も保険適用の対象のため、これまでよりも費用を抑えて治療を受けられます。
タイミング法や人工授精について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参照してください。
>> 妊娠成功率を上げるには?タイミング法の仕組みや具体的な方法、注意点を解説
>> 人工授精とは?方法・成功率・費用を詳しく解説
体外受精や顕微授精などの生殖補助医療
生殖補助医療は、より高度な技術を使って妊娠を目指す治療法です。保険適用の対象となる生殖補助医療には、体外受精と顕微授精があります。
体外受精は、卵子を体外に取り出して精子と受精させ、受精卵を子宮に戻す治療法です。卵管が詰まっている場合や、一般不妊治療で妊娠しなかった場合に選ばれることが多い方法です。体外受精には、採卵や受精、胚培養、胚移植などの複数の段階があります。それぞれの段階で費用がかかりますが、保険適用によって窓口での負担が3割程度になりました。
顕微授精は、精子を直接卵子の中に注入する方法で、精子の数が少ない場合や、精子の動きが悪い場合に選ばれます。体外受精よりも高度な技術が必要ですが、保険適用の対象となるため、経済的な負担を抑えながら治療を受けることができます。
生殖補助医療は、保険適用によって多くの方が利用しやすくなりましたが、年齢制限や回数制限があるため、条件を確認しておくことが大切です。
体外受精や顕微授精について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参照してください。
>> 体外受精の基本がわかる!治療の流れ・対象者・成功率・リスクまで徹底解説
>> 顕微授精とは?ふりかけ法と何が違う?メリットやリスク・費用を解説
保険適用は「年齢」と「回数」で制限がある
保険適用となった不妊治療を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 年齢:治療開始時点での女性の年齢が43歳未満
- 回数:子ども一人につき40歳未満は6回、40〜43歳未満は3回
女性の生理周期を考慮すると、自然妊娠による妊娠の可能性は1年に12回しかありません。子どもを持ちたいと考えているご夫婦は、早めに不妊治療専門の産婦人科へ相談しましょう。
ソフィアレディスクリニックでは、保険適用の不妊治療に対応しています。
- 「43歳までに治療を始めたいけど、何から始めればいい?」
- 「保険適用の回数制限内で最大限の成果を出したい」
そんなご不安やご希望をお持ちの方は、当院の専門医にご相談ください。年齢や治療歴に応じた最適なプランをご提案いたします。
治療開始時に女性の年齢が「43歳未満」であることが条件
不妊治療を保険診療で受ける条件の一つは、不妊治療開始時に女性の年齢が43歳未満という年齢制限です。不妊治療の上限回数に達していなくても、治療開始時に43歳以上の場合、保険診療で不妊治療は受けられません。不妊治療開始後、43歳の誕生日を迎えた時点で自費診療に変わります。
「回数」は移植の数でカウントする
保険適用に設けられた回数制限は採卵ではなく、移植の回数でカウントします。生殖補助医療の治療は採卵・採精、体外受精、移植で1サイクルです。保険適用の「回数」は、この治療サイクルのうち「移植」まで行った回数が対象となります。
採卵術で卵子が取れなかった場合は0回、1回の採卵術で採取した卵子を2回移植すれば2回とカウントします。採卵術に保険適用の回数制限はありませんが、培養した受精卵を凍結した凍結胚が残っている場合、すべて融解胚移植しなければ次の採卵術は保険適用されません。

不妊治療が保険適用になることのメリット
不妊治療が保険適用になる大きなメリットは費用負担の軽減です。主な内容は以下のとおりです。
- 窓口での支払い額が減る
- 高額療養費制度の適用対象となる
- 民間の医療保険適用対象にもなる
保険適用に伴い、診療報酬の規定も変更されています。保険適用前は利用できなかった制度も、申請により利用可能となりました。費用負担が軽減されるメリットについて詳しく解説します。
窓口での支払い額が減る
保険適用後は窓口での支払いが3割負担となり、不妊治療の経済的負担は大きく減りました。2021年3月に報告された調査では、保険適用前の体外受精にかかる費用は、1周期あたり平均50万円と高額です。保険適用前の助成制度では、治療後の申請だったため、窓口では全額自己負担で支払いが必要でした。
経済的な理由で進められなかった高額な不妊治療も、保険適用によって選択できる方が増えたと言えます。
高額療養費制度の適用対象となる
保険適用に伴い、不妊治療は高額療養費制度の対象となりました。高額療養費制度とは、1か月に支払った医療費のうち、上限を超えた金額が還付される制度です。
上限金額は保険加入者の所得金額に応じて変わります。例えば年収370〜770万円の方が30万円窓口で支払った場合、1か月あたりの自己負担金額は87,430円です。自己負担額を超えた医療費は、申請後に返還されます。
ただし、不妊治療の中でも保険適応外の治療には、高額療養費制度が適用されません。オプション治療等は保険適用外の場合もあるため、治療開始前に医師に確認しましょう。
民間の医療保険適用対象にもなる
「人工授精」「体外受精の採卵術」「体外受精の胚移植」は保険適用後の診療報酬区分が「手術」に分類されました。「手術給付金」が含まれる民間の医療保険を契約していれば、請求対象となります。
保険適用外の不妊治療でも、先進医療特約のついた民間の医療保険に加入していれば、先進医療給付金を請求できる場合があります。治療開始前に、加入している民間保険の契約内容を確認しましょう。
保険適用後の不妊治療にかかる費用を詳しく知りたい方は、こちらの記事を参照してください。
>> 不妊治療の費用はいくら?治療内容別の費用と使える助成制度を詳しく紹介
不妊治療が保険適用になることのデメリット
不妊治療の保険適用は、経済的な負担軽減のメリットを感じる方が多い一方で、反対に費用負担が増加してしまう方もいます。治療の選択肢が少なくなったり、保険適用では使えない薬があったりします。不妊治療を受ける前に、以下のデメリットがあることも理解して治療を選択しましょう。
- 特定不妊治療助成制度の廃止によって負担が増える場合もある
- 医療の標準化が起こる
- 保険適用外の薬もある
特定不妊治療助成制度の廃止によって負担が増える場合もある
「特定不妊治療費助成制度」とは、体外受精または顕微授精した場合、1回あたり一律で30万または10万円が給付を受けられる制度です。しかし、保険適用に伴い2022年3月で廃止されました。
保険適用後の費用と特定不妊治療費助成制度を受給した場合の費用を比較すると、負担金額が増えるケースが出てきます。体外受精で移植まで完了した治療費の総額が40万円であれば、保険適用後は約12万円の自己負担です。
特定不妊治療助成制度では30万円の給付により自己負担額は10万円となります。治療内容によっては、助成制度の方が保険診療より実質負担額が低い場合もある点に注意が必要です。
医療の標準化が起こる
保険適用によって不妊治療が標準化される点もデメリットの一つです。保険適用前の不妊治療は自由診療の範囲であったため、夫婦それぞれに合わせた治療の提案が可能でした。保険適用後は費用面を考慮し、保険適用の治療を選択する夫婦が増えています。
しかし、不妊の原因は多岐にわたります。保険適用されている不妊治療で妊娠できる方は問題ありませんが、難治性不妊症の場合、保険適用された標準的な治療では妊娠が難しい場合があります。
保険適用外の薬もある
保険適用に伴い、不妊治療に対する処方薬も3割負担となりましたが、まだ保険適用されていない薬もあります。原則として、保険診療と自由診療(保険外診療)を同時に受ける場合、保険診療の医療費も全額自己負担です。そのため保険適用の不妊治療中は、使用できない医薬品があります。
不妊治療の段階に応じて処方薬は変わるため、治療方針と合わせて不妊治療専門の産婦人科に相談しましょう。
ソフィアレディスクリニックでは、一人ひとりの状況に合わせて、保険適用範囲内での最適な治療プランをご提案いたします。「保険適用で治療を進めたいけど、自分に合った方法がわからない」とお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。

不妊治療の保険適用に関するよくある質問(Q&A)
不妊治療の保険適用について、多くの方が疑問に感じることや、よくある質問をまとめました。実際によく聞かれる質問にお答えします。
- 保険適用になると本当に費用は安くなるの?
- 43歳以上でも不妊治療は受けられる?
- 保険適用と助成金は併用できる?
- 保険適用前に受けていた治療や助成金はどうなる?
保険適用になると本当に費用は安くなるの?
はい、保険適用により不妊治療の窓口負担は大幅に軽減されます。これまで全額自己負担だった体外受精などは1回数十万円かかることもありましたが、保険適用後は原則3割負担となり、費用がおよそ3分の1まで抑えられます。
ただし、すべての治療が対象ではなく、先進的な治療や保険適用外の薬剤を使用する場合は従来どおり全額自己負担となります。年齢制限や回数制限を超えると、保険は適用されません。従来の特定不妊治療助成制度が廃止されたことで、ケースによっては以前より負担が増える可能性もあります。
自分の治療内容・年齢・回数などを踏まえ、どの制度がより有利か事前に確認することが重要です。
43歳以上でも不妊治療は受けられる?
はい、43歳以上でも不妊治療自体は受けられます。ただし、保険適用となるのは「治療開始時に女性が43歳未満」の場合に限られ、43歳以上の治療はすべて自由診療(全額自己負担)となります。
妊娠率・出産率が年齢とともに低下し、40歳以降は下がることが明らかで、治療効果が限定的になりやすいため設けられた基準です。保険は使えませんが、43歳以上でも医療機関によっては年齢に合わせた治療計画を提案してくれることがあります。
治療を検討されている方は、医療機関で現状や可能性について相談し、自分に合った治療方針を確認することが大切です。
不妊治療の成功率や治療法ごとの違いをより詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。
>>不妊治療の成功率はどのくらい?治療法別の妊娠確率と押さえておくべきポイント
保険適用と助成金は併用できる?
原則として、保険適用の不妊治療と助成金の併用はできません。2022年4月の不妊治療の保険適用に伴い、従来の「特定不妊治療助成制度」は廃止されています。そのため、保険が適用される治療については、助成金を受け取ることができなくなりました。
ただし、自治体によっては、保険適用外の治療や先進医療、保険の回数制限を超える治療に対して独自の助成制度を設けている場合があります。対象範囲や金額、申請条件は地域によって異なるため、お住まいの自治体のホームページや窓口で最新情報を確認することが重要です。
医療機関でも助成制度の案内を行っていることがあるため、治療を始める前に相談するとスムーズです。
保険適用前に受けていた治療や助成金はどうなる?
保険適用前から不妊治療を受けていた方も、2022年4月以降に受ける治療は保険適用されます。保険適用に伴って廃止された特定不妊治療費助成制度で受けた助成回数は、保険適用後の不妊治療の回数制限に含まれません。
現在39歳の方が、35〜38歳までに特定不妊治療費助成制度で6回の助成を受けていたとしても、体外受精または顕微授精による移植を最大6回まで保険適用で受けられます。
不妊治療の相談は産婦人科へ
不妊治療の保険適用に伴い、経済的な負担はかなり軽減されました。しかし、保険診療で治療を受けられる女性の年齢や回数には制限があります。不妊治療の原因によって、治療の内容は大きく異なります。妊娠しづらい可能性を感じ、不妊治療について相談したいと思ったらまずは専門の産婦人科に相談してください。
ソフィアレディスクリニックでは、不妊治療の専門医が丁寧にカウンセリングを行い、あなたに最適な治療プランをご提案いたします。