男性不妊の原因について(30歳・女性)

公開日:2024.03.21
更新日:2024.03.21

結婚して1年です。結婚前は10年付き合いとくに避妊してないのに妊娠しませんでした。 私は多嚢(のう)胞卵巣ですが、毎月排卵はしています。 主人は2回の検査で、精子無力症とわかりました。 仕事がら生活も不規則です。 乾癬という持病もあり、今はひどくなっています。 男性不妊に影響しますか? 乾癬は遺伝するし治らないと聞きました。婦人科では体外授精をすすめられています。

不妊の原因は単一とは限りません。本例も必ずしも男性側原因だけとも限りませんので、もう少し系統的な検査を受けた方がよいでしょう。しかし過去10年間妊娠が1回も無いとしたら、早めのステップアップを考慮に入れることをお勧めします。

男性側の不妊原因はまず精液検査から始まります。 40%の原因は男性側にありますので不妊症のカップルにとってはこの検査は必須です。 しかし精液検査では次のようなことに注意が必要でしょう。 まず採取までの禁欲期間です。2~7日と言われていますが、年齢や性交回数によっても異なりますので禁欲期間は必ず検査時申し出てください。 また1回のみではなく1カ月に2回は行った方がより正確な値が得られ、この結果が大きく異なったら再度検査した方がよいでしょう。 この意味では一般不妊治療である人工授精(AIH)を受けた時にはかならず自己記録を残しましょう。 精液検査の結果より重要なポイントは次の2項目です。 ①精子の運動率 運動速度が速く直進する精子。 速度が遅いあるいは直進性が不良な精子。 頭部あるいは尾部の動きを認めるが、直進運動をしていない精子。 非運動精子。 このうちAプラスBの割合(%)が50%未満のときに今回のように精子無力症と診断されます。 したがって同じ精子無力症でもAの割合が多いほど良好精子に近いと言えます。 当然日常生活やストレス、性交回数,暑さ寒さなどにより影響されますので成績を判断する場合には、よくそれらの点も考慮しましょう。 乾癬の存在は関係ないと思われますが、重症で治療にチガソン使用中は要注意です。精液検査は通常は種々の計算版で行われますが検査センターに移送するなどで、採取より検査までの時間がかかってしまうと、検査成績が大きく変化することがあり注意が必要です。 ②精子濃度も運動率に劣らず大切です。 WHOの基準では2000万/ml以上が必要ですがこれより少ない場合には乏精子症とされます。 男性不妊はこの乏精子症または精子無力症が大部分であり、もちろん両方が合併している事もあります。 原因は尿道・前立腺の感染やホルモン的な背景が考えられますが、原因が特定できない症例も多く、一般に薬物療法(循環剤、漢方薬、クロミフェン、FSH注射療法など)に反応する症例は20%程度であり、多くの症例は少ない精子を有効に使う方法(人工授精や体外受精、顕微授精など)も考慮に入れなければなりません。