ソフィアレディスクリニック

人工授精ってどんな方法? 成功率や費用、プロセスを解説

公開日:2024.07.30
更新日:2024.12.24

人工授精をしてみたいけど、そもそもの成功率や費用、方法がわからず不安を感じている方も多いでしょう。人工授精は不妊治療の一つであり、自然に近い形で妊娠を目指す方法です。

本記事では、人工授精の方法や成功率、費用、プロセスを解説しています。記事を読めば、人工授精に対する不安が解消され、より具体的なイメージを持つことができます。人工授精の全体像を理解して、適切な治療を選択する準備をしていきましょう。

人工授精の種類や方法

人工授精とは、女性の体外で精子と卵子が出会うのを助ける不妊治療の一つです。体外受精のように、受精の場を体外に設けずに女性の体内へ精子を送り届けます。より自然妊娠に近い形で赤ちゃんを授かることを目指した方法です。

人工授精には、大きく分けて2種類あります。

  • AIH(夫精子人工授精:Artificial Insemination by Husband):夫婦の精子を使う方法です。夫から精子を採取し、運動率の高い元気な精子だけを選別して、妻の子宮の中に入れます。
  • AID(非配偶者間人工授精: Artificial Insemination by Donor):夫婦以外の精子を提供してくれるドナーの精子を使う方法です。

人工授精は、夫婦のどちらかに不妊の原因がある場合や、原因不明の不妊症の場合に用いられることが多いです。

人工授精の手順と流れ

人工授精を受ける際の流れは、自然な妊娠を目指す「タイミング法」と似ていますが、病院によって異なります。人工授精の流れは以下のとおりです。

  1. 月経開始~排卵誘発: 基礎体温や超音波検査で排卵日を予測します。排卵日が近づくと、病院で注射を打って排卵を促すこともあります。
  2. 排卵日当日の精子採取・調整: 排卵日に合わせて病院で精子を採取して、運動率の高い元気な精子を選別される作業です。
  3. 人工授精の実施: 調整した精子を、細いカテーテルで子宮の中に注入します。痛みはほとんどないので、安心してください。
  4. 安静: 人工授精後、しばらく安静にしてから帰宅します。

人工授精は、通院から人工授精の実施まで2週間程度かかります。

人工授精の成功率と統計データ

人工授精の成功率は、年齢や不妊の原因・治療方法などによって個人差がありますが、一般的には1回の治療で5~10%程度です。人工授精を繰り返し行うことで、妊娠する確率は高くなります。年齢が上がるにつれて卵子の老化が関係し、妊娠率は低下する傾向です。
参照:10.人工授精(AIH:Artificial Insemination with Husband’s semen) – 日本産婦人科医会

人工授精の成功率を高めるために、普段からできることもあります。

  • 生活習慣の改善: 栄養バランスの取れた食事や適度な運動、十分な睡眠を心がけましょう。
  • 禁煙: たばこは、卵子や精子の質を低下させるため、禁煙することが大切です。
  • ストレスを溜めない: ストレスは、ホルモンバランスを乱し、妊娠しにくくなる原因となります。
  • 医師の指示を守る: 治療方法やスケジュールなどは、医師の指示に従って下さい。

人工授精は、だれにでも適応できるわけではありません。卵管が詰まっている、精子の数が極端に少ない(全くない)場合は、人工授精ではなく体外受精が適しています。

人工授精の成功率を上げるための方法について以下の記事でも詳しく書いていますので、合わせてご覧ください。
>>人工授精で悩む方必見!成功率を上げるための具体的な方法を解説

人工授精の費用と保険適用

費用が気になる方もいるのではないでしょうか。人工授精にかかる費用や保険適用について、詳しく解説します。

人工授精の費用と医療費控除制度について

人工授精の費用は、病院やクリニックによって異なりますが、一般的には1回あたり3〜5万円程度です。

人工授精にかかる費用は、大きく分けて以下の3つです。

  • 検査費用(2~3万円程度):人工授精を行う前に、夫婦ともに必要な検査があります。
  • 人工授精費用(1回あたり1~3万円程度):精子の調整や注入にかかる費用です。
  • 薬剤費用(1回あたり5千円~1万円程度):排卵誘発剤などを使用する場合の費用です。

以上の費用を合計すると、1回の人工授精で5〜10万円程度かかる計算です。 病院によっては、全部の費用をまとめてパッケージ料金を設定している場合もあります。人工授精は、公的医療保険が適用されない場合がほとんどです。そのため、費用は全額自己負担となります。

自治体によっては、人工授精などの不妊治療に対して助成金制度を設けている場合があります。 助成金制度を利用すれば、費用の一部を負担してもらえる可能性が高いです。 助成金制度の有無や適用条件は、お住まいの自治体の窓口に問い合わせてみてください。

人工授精にかかった費用は、医療費控除にもなります。 医療費控除とは、1年間にかかった医療費が一定額を超えた場合に、超えた分の金額を所得税から控除できる制度です。医療費控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。 確定申告では、人工授精にかかった費用を証明する書類(領収書など)が必要なので、大切に保管しましょう。

不妊治療についての費用は以下の記事をご覧ください。
>>不妊治療の費用を治療内容別に解説!費用の負担を減らす方法についても詳しく紹介

人工授精を行う病院やクリニックの選び方

人工授精を行う病院やクリニックを選ぶのは重要な決断です。

「実績」は重要な指標の一つとなります。実績が多いということは、それだけ多くの夫婦を妊娠に導いた経験と技術があることを意味します。ホームページなどで公表されている場合が多いので、参考にしましょう。

病院やクリニックによって得意な治療法や専門分野が異なるため、実績だけに頼るのは危険です。費用についても、事前にしっかりと確認しましょう。病院やクリニックによって、治療内容や使用薬剤・技術料などが異なるので費用も変わります。治療にかかる費用は安くはないため、納得した上で治療に臨みましょう。

治療を受ける上で忘れてはいけないのが「病院との相性」です。チェックすべきポイントは以下の3つです。

  • 先生やスタッフとのコミュニケーションが円滑に取れるか
  • 治療方針について納得できる説明を受けられるか
  • 精神的なサポート体制が充実しているか

病院との相性は治療の満足度を大きく左右する要素となります。他にも、病院への通いやすさも重要なポイントです。治療のために何度も通院することになるので、自宅や職場から通いやすい場所にある病院やクリニックを選びましょう。

人工授精を行う病院やクリニックを選ぶ際には、実績や専門性、費用、病院との相性、通いやすさなどを考慮することが大切です。自分にぴったりの病院やクリニックを見つけて、安心して治療に臨みましょう。

神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、不妊治療に強みを持つクリニックです。不妊治療を検討している状況でも、専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。

人工授精に関する情報とサポート

ここでは、治療を受けるにあたり知っておきたい情報や、安心して治療を進めるためのサポートについてお伝えします。

人工授精と体外受精の違い

人工授精と体外受精は、どちらも妊娠を助けるための不妊治療ですが、いくつか違いがあります。 人工授精は、精子を子宮内に送り届けることで、精子と卵子が出会う確率を高める治療法です。 体外受精は、体外で卵子と精子を受精させ、受精卵を子宮に戻す方法です。

人工授精と体外受精の違いを以下で紹介します。

  • 受精の場所
    人工授精:お母さんの体の中(子宮の中)
    体外受精:お母さんの体の外(培養皿の中)
  • 精子の準備
    人工授精:ご主人の精子を洗浄して、元気な精子だけを集めます。
    体外受精:ご主人の精子の中から、顕微鏡を使って特に元気な精子を選んで、卵子に直接注入します。
  • 治療にかかる期間
    人工授精:一般的に、体外受精よりも短期間で治療が受けられます。
    体外受精:人工授精よりも治療期間が長くなる傾向があります。
  • 費用
    人工授精:体外受精よりも費用を抑えることができます。
    体外受精:人工授精よりも費用がかかります。
  • 成功率
    人工授精:体外受精と比べると、一般的に成功率は低くなります。
    体外受精:人工授精よりも成功率が高い傾向にあります。

それぞれの治療法にメリットとデメリットがあるので、夫婦の状況や希望に合わせて、医師とよく相談しながら治療法を選びましょう。

詳しくは以下の記事で解説していますので、合わせて確認ください。
>>人工授精と体外受精の違いとは?特徴と成功率、費用を徹底比較

人工授精のメリットとデメリット

ここでは、人工授精のメリット・デメリットを、わかりやすく解説します。

人工授精のメリットと成功事例

人工授精のメリットは、大きく分けて3つあります。

  • 体への負担が少ない
    人工授精は、精子を子宮内に直接注入するだけなので、体外受精よりも体への負担が少ないです。
  • 費用が安い
    人工授精は、体外受精と比較すると費用を抑えられるため、経済的な負担を軽減できます。
  • 自然妊娠に近い
    人工授精は、精子を子宮内に注入することで、自然な受精と同じプロセスで妊娠が期待できます。

体への負担や費用を抑えながら、自然妊娠に近い形で妊娠できる可能性のある点が、人工授精の大きなメリットです。

人工授精のデメリットとリスク

人工授精には、メリットだけでなく、デメリットやリスクも存在します。

  • 体外受精と比較して成功率が低い
    人工授精は、精子と卵子が出会う確率を高めることはできますが、受精を確実にすることはできません。
  • 複数回の実施が必要になる場合がある
    人工授精は、1回で妊娠に至らない場合、複数回繰り返す必要があります。治療期間が長引いたり、精神的な負担が大きくなったりする可能性もあります。
  • 精子に問題がある場合は効果が期待できない
    人工授精は、精子の運動率が低い場合や精子が少ない場合には、効果が期待できません。

人工授精は、精子側に問題がある場合、効果が期待できない可能性がある点に注意が必要です。

稀ではありますが、精子に対するアレルギー反応 (セミナルプラズマ過敏症) が起こる可能性もあります。体内に入った精子に対して、体が異物と認識して攻撃してしまう状態です。症状としては、かゆみや発疹・呼吸困難などが挙げられます。

人工授精は、あくまでも不妊治療の一つの選択肢であり、だれにでも適しているわけではありません。人工授精を受けるかどうかは、医師とよく相談して選択しましょう。

人工授精のお役立ち情報

ここからは、人工授精について調べる際に参考になる情報として、信頼できる情報源を紹介します。

人工授精に関する情報は、インターネット上にもたくさんありますが、中には信頼性の低い情報も含まれていることがあります。信頼できる情報源の一部は、以下のとおりです。

  • 日本生殖医学会
    生殖医療に関する専門家の団体です。Webサイトでは、人工授精についての解説や、医療機関の検索などができます。
  • 厚生労働省
    国の機関です。Webサイトでは、人工授精を含む不妊治療全般についての情報提供を行っています。

情報源を参考に、信頼できる情報を見つけましょう。

まとめ

人工授精は、不妊治療の一環として自然に近い妊娠を目指す方法です。本記事では以下のポイントを解説しました。

  • 人工授精の種類: AIH(夫精子人工授精)とAID(非配偶者間人工授精)
  • プロセス: 排卵誘発から精子の調整、注入までの流れ
  • 成功率: 年齢や不妊の原因により異なるが、一般的に5〜15%
  • 費用: 1回あたり3〜5万円程度で、保険適用外が多い

人工授精を検討する際には、医師とよく相談して最適な治療法を選びましょう。

参考文献

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