ソフィアレディスクリニック

人工授精とは?方法・成功率・費用を詳しく解説

公開日:2024.07.30
更新日:2025.10.28

人工授精をしてみたいけど、そもそもの成功率や費用、方法がわからず不安を感じている方も多いでしょう。人工授精は不妊治療の一つであり、自然に近い形で妊娠を目指す方法です。

本記事では、人工授精の方法や成功率、費用、プロセスを解説しています。記事を読めば、人工授精に対する不安が解消され、より具体的なイメージを持つことができます。人工授精の全体像を理解して、適切な治療を選択する準備をしていきましょう。

神奈川県相模原市、淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックは、不妊治療の悩みに強みを持つ婦人科クリニックです。生理不順やPMSなどの女性特有のお悩みはもちろん、男性不妊の検査・治療にも対応し、ご夫婦のお悩みを専門医が丁寧にサポートします。

また、当院は橋本駅の長谷川レディースクリニックと密に連携し、婦人科・不妊治療を提供しています。2つの施設間で検査結果や治療方針を共有することで、よりスムーズな治療体制を整えています。体外受精をご検討の方にも、きめ細かな診療と迅速な対応をご提供していますので、お悩みの方は当院へご相談ください。

人工授精とは|基礎知識と治療の目的

人工授精は、不妊治療の一つで、精子を子宮内に直接注入する方法です。自然妊娠やタイミング法よりも確実に精子を卵子に近づけることができるため、妊娠の可能性を高めることが期待できます。人工授精の基本的な仕組みや、どのような場合に適応となるのかについて詳しく解説します。

人工授精の定義と仕組み

人工授精(AIH)は、精子を選別・濃縮し、カテーテルを用いて子宮内へ直接注入する不妊治療法です。性交を介さずに精子を子宮に届けることで、卵子との出会いを助け、受精の可能性を高めます。

精子の運動率が低い場合や子宮頸管粘液に問題がある場合に有効です。受精自体は体内で自然に起こるため、卵管が通っていることや子宮内膜の状態が良好であることが前提となります。

体外受精に比べて身体への負担や費用が少ないことから、多くの医療機関で不妊治療の初期段階として採用されています。自然な妊娠に近い形で妊娠を目指せる点が特徴です。

人工授精が適応となる場合

人工授精は、自然妊娠が難しい原因がある場合に、受精の機会を高めるために行われる治療法です。体外受精よりも負担が少なく、タイミング法で妊娠に至らなかった場合の次のステップとして選ばれます。主な適応ケースは以下のとおりです。

  • 男性側の軽度の不妊:精子の数や運動率がやや低い、奇形率が高いなどのケース
  • 女性側の子宮頸管の異常:子宮頸管粘液が少ない、抗精子抗体の影響で精子が通過しにくい場合
  • 原因不明不妊:検査で異常がないが、タイミング法で妊娠に至らない場合
  • 性交障害や採精困難:勃起障害、遠距離生活などで自然な性交が難しい場合

人工授精は、洗浄・濃縮した精子を子宮内に注入し、受精をサポートする方法です。自然な妊娠に近い形で治療を進められるため、身体への負担を抑えつつ妊娠の可能性を高めたい方に適しています。

人工授精の種類

人工授精には、大きく分けて2つの種類があります。配偶者の精子を使用する配偶者間人工授精(AIH)と、第三者の精子を使用する非配偶者間人工授精(AID)です。日本では、ほとんどの場合が配偶者間人工授精で行われています。ここでは、それぞれの方法について詳しく説明します。自分たちに適した方法を理解しておくことが大切です。

配偶者間人工授精(AIH)

配偶者間人工授精(AIH:Artificial Insemination with Husband’s semen)は、夫(またはパートナー)の精子を用いて行う人工授精です。日本で実施される人工授精のほとんどがこの方法に該当します。

排卵日を予測したうえで、当日または前日に採取した精液を洗浄・濃縮し、運動性の高い精子を選別して子宮内に注入します。処置は数分で終わり、痛みも少なく、その日のうちに通常の生活へ戻れます。

AIHは、軽度〜中等度の男性不妊原因不明不妊に効果が期待できるとされ、自然妊娠に近い形で妊娠を目指せる点が特徴です。身体的・精神的な負担が少ない一方、1回あたりの妊娠率は5〜10%程度とされ、複数回の実施が推奨されます。

非配偶者間人工授精(AID)

非配偶者間人工授精(AID)は、第三者から提供された精子を用いて妊娠を目指す方法であり、医学的・倫理的な配慮のもと限られた施設で実施されています。AID(Artificial Insemination with Donor’s semen)は、夫が無精子症などで自らの精子を使用できない場合に選択される不妊治療法です。

提供精子は、認定医療機関を通じて厳格に管理されており、感染症や遺伝性疾患の検査を経て安全性が確認されたもののみ使用されます。治療の手順は一般的な人工授精(AIH)と同様に、排卵日に合わせて精子を子宮内に注入します。

身体的な負担は小さい一方で、夫婦間での心理的・倫理的な理解と合意が欠かせません。生まれた子どもの親子関係や将来的な告知など、法的・社会的な課題も伴うため、実施前には必ず医師やカウンセラーと十分に話し合うことが重要です。

人工授精の流れとスケジュール

人工授精を受ける際の具体的な流れやスケジュールを理解しておくことは、治療をスムーズに進めるために重要です。安心して治療に臨むために、以下の3つを解説します。

  • 人工授精の手順と流れ
  • 通院回数と所要時間の目安
  • 人工授精を受けるタイミング

人工授精の流れとスケジュール

人工授精を受ける際の流れは、自然な妊娠を目指す「タイミング法」と似ていますが、病院によって異なります。人工授精の流れは以下のとおりです。

  1. 月経開始~排卵誘発:基礎体温や超音波検査で排卵日を予測します。排卵日が近づくと、病院で注射を打って排卵を促すこともあります。
  2. 排卵日当日の精子採取・調整:排卵日に合わせて病院で精子を採取して、運動率の高い元気な精子を選別する作業です。
  3. 人工授精の実施:調整した精子を、細いカテーテルで子宮の中に注入します。痛みはほとんどないので、安心してください。
  4. 安静:人工授精後、しばらく安静にしてから帰宅します。

人工授精は、通院から人工授精の実施まで2週間程度かかります。

通院回数と所要時間の目安

人工授精を1回行うための通院回数は、一般的に3〜5回程度です。月経開始から数日後に卵胞の成長を確認する超音波検査を受け、その後、排卵のタイミングを予測するために数日おきに通院します。

排卵誘発剤を使用する場合は、投与のために通院回数が増えることもあります。排卵が近づくと人工授精の日程を決定し、当日は精子の採取・処理・注入を行います。処置自体は数分で終わりますが、準備や安静時間を含めて1〜2時間ほどかかります。

1回の通院も待ち時間を含めて1〜2時間程度が目安です。仕事と両立しやすいように、時間帯に応じて柔軟な医療機関を選ぶと安心です。また、排卵のタイミングによって急な通院が必要になることもあるため、スケジュールには余裕を持たせておくことが大切です。

人工授精を受けるタイミング

人工授精の成功には、排卵の瞬間を正確に捉えることが重要です。排卵の当日かその直前に処置を行うことで、受精の可能性が高まります。医師は超音波検査で卵胞の大きさを確認し、血液検査や尿検査で黄体化ホルモン(LH)の上昇を把握して、最適な時期を判断します。

自宅での排卵検査薬の活用も効果が期待できます。排卵誘発剤を併用すれば排卵を予測しやすくなり、日程の調整も容易になりますが、体の反応には個人差があります。そのため、突然の通院や予定変更に対応できる柔軟さが欠かせません。

医師の指示を基準に、最も適したタイミングで人工授精を受けることが、妊娠への近道です。

人工授精の成功率と統計データ

人工授精の成功率は、年齢や不妊の原因・治療方法などによって個人差がありますが、一般的には1回の治療で5~10%程度です。人工授精を繰り返し行うことで、妊娠する確率は高くなります。年齢が上がるにつれて卵子の老化が関係し、妊娠率は低下する傾向です。

人工授精の成功率を高めるために、普段からできることもあります。

  • 生活習慣の改善
  • 禁煙
  • ストレスを溜めない
  • 医師の指示を守る

人工授精は、だれにでも適応できるわけではありません。卵管が詰まっている、精子の数が極端に少ない(全くない)場合は、人工授精ではなく体外受精が適しています。人工授精の成功率を上げるための方法について以下の記事でも詳しく書いていますので、合わせてご覧ください。
>>人工授精の成功率を上げる方法とは?妊娠率向上のための準備と生活習慣を解説

人工授精の費用と保険適用

人工授精は、現在は健康保険の適用対象となっています。自己負担額は1回あたりおおよそ1〜2万円程度で、検査内容や薬の有無により変動します。保険適用外や自由診療の場合は、1回あたり3〜5万円程度が目安です。

自治体の助成金制度を利用できる場合があり、条件を満たせば費用の一部が補助されることもあります。年間の医療費が一定額を超えた場合は医療費控除の対象となり、確定申告を通じて所得税の軽減が可能です。領収書などの証明書類は保管しておくことが大切です。

不妊治療についての費用は以下の記事をご覧ください。
>>不妊治療の費用はいくら?治療内容別の費用と使える助成制度を詳しく紹介

人工授精を行う病院やクリニックの選び方

人工授精を受ける際は、自分に合った病院を選ぶことが成功への第一歩です。まず確認すべきは治療実績です。実績が豊富な病院は多くの症例を扱い、培われた経験や技術力が期待できます。ただし、実績だけで判断せず、専門分野や治療方針も確認することが重要です。

費用の明確さをチェックしましょう。同じ人工授精でも、検査内容や薬剤、技術料によって料金は異なります。事前に見積もりや説明を受け、納得した上で治療に進むことが大切です。

医師やスタッフとの相性も重視すべきポイントです。治療方針を丁寧に説明してくれるか、相談しやすい雰囲気か、精神的サポートがあるかを見極めましょう。

通いやすさも大切なポイントです。人工授精は何度も通院する必要があるため、自宅や職場から無理なく通える場所を選ぶことが継続の鍵です。実績・費用・相性・通いやすさの4点を意識して、自分に合う病院を選びましょう。

神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、不妊治療に強みを持つクリニックです。不妊治療を検討している状況でも、専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。

人工授精と他の不妊治療の違い

不妊治療にはさまざまな方法があり、それぞれに特徴があります。人工授精とタイミング法、体外受精の違いを理解しておくことで、自分に合った治療法を選択できます。人工授精と他の不妊治療の違いを解説します。

人工授精と体外受精の違い

人工授精と体外受精はどちらも妊娠を目指す治療法ですが、受精の行われる場所と方法が根本的に異なります。人工授精は体内で自然に受精を促す治療であり、体外受精は卵子と精子を体外で受精させてから子宮に戻す方法です。それぞれの違いを整理すると以下のとおりです。

  • 受精の場所:人工授精は体内、体外受精は培養皿の中
  • 精子の扱い:人工授精は洗浄した精子を子宮に注入、体外受精は選別した精子を卵子に直接注入
  • 治療期間:人工授精は短期間、体外受精は採卵や培養を含むため長期化
  • 費用:人工授精は数万円単位、体外受精は数十万円単位
  • 成功率:人工授精は低め、体外受精は高め

人工授精は体への負担が少なく、自然な受精を目指したい人に向いています。一方、体外受精は受精や着床の確率を高めたい場合に適しています。どちらを選ぶかは、年齢・原因・治療経過を踏まえて医師と相談し、最も現実的な方法を見極めることが大切です。

詳しくは以下の記事で解説していますので、合わせてご確認ください。
>>人工授精と体外受精の違いとは?特徴と成功率、費用を徹底比較

人工授精とタイミング法の違い

人工授精とタイミング法は、どちらも妊娠を目指す初期段階の治療ですが、受精のサポート方法に大きな違いがあります。タイミング法は、排卵の時期に合わせて性交を行う最も自然な方法で、体や費用の負担が少ないのが特徴です。人工授精は精子を採取・処理し、子宮内に直接注入して受精の確率を高める方法です。

両者の違いを整理すると次のとおりです。

  • 方法:タイミング法は自然な性交、人工授精は医療的に精子を注入
  • 妊娠率:タイミング法は1周期あたり約5〜6%、人工授精は約5〜10%
  • 負担:タイミング法は通院や費用の負担が少ない、人工授精はやや増える
  • 適応:精子の運動率が低い場合や性交のタイミングが難しい場合は人工授精が適している

一般的には、タイミング法で数回試しても妊娠に至らない場合、次の段階として人工授精へ移行します。年齢や不妊の原因によって最適な治療法は異なるため、焦らず医師と相談しながら、段階的に妊娠の可能性を高めていくことが重要です。

タイミング法で妊娠率を高めるためのポイントや、結果が出にくいときに見直すべき点については、以下の記事で詳しく解説しています。
>>タイミング法で妊娠できない原因とは?効果的な方法と注意点も合わせて解説

人工授精のメリットとデメリット

ここでは、人工授精のメリット・デメリットを、わかりやすく解説します。

人工授精のメリット

人工授精のメリットは、大きく分けて以下の3つがあります。

  • 体への負担が少ない:人工授精は、精子を子宮内に直接注入するだけなので、体外受精よりも体への負担が少ない
  • 費用が安い:人工授精は、体外受精と比較すると費用を抑えられるため、経済的な負担を軽減できる
  • 自然妊娠に近い:人工授精は、精子を子宮内に注入することで、自然な受精と同じプロセスで妊娠が期待できる

体への負担や費用を抑えながら、自然妊娠に近い形で妊娠できる可能性のある点が、人工授精の大きなメリットです。

人工授精のデメリットとリスク

人工授精には、メリットだけでなく、以下のようなデメリットやリスクも存在します。

  • 体外受精と比較して成功率が低い
  • 複数回の実施が必要になる場合がある
  • 精子に問題がある場合は効果が期待できない

人工授精は、精子側に問題がある場合、効果が期待できない可能性がある点に注意が必要です。まれですが、精子に対するアレルギー反応(セミナルプラズマ過敏症)が起こる可能性もあります。体内に入った精子に対して、体が異物と認識して攻撃してしまう状態です。

症状としては、かゆみや発疹・呼吸困難などが挙げられます。人工授精は、あくまでも不妊治療の一つの選択肢であり、だれにでも適しているわけではありません。人工授精を受けるかどうかは、医師とよく相談して選択しましょう。

人工授精に関するよくある質問

人工授精に関するよくある質問は以下のとおりです。

  • 人工授精は痛い?
  • 人工授精の成功率を高める方法はある?
  • 人工授精は何回まで受けられる?

人工授精は痛い?

人工授精の処置は、一般的に強い痛みを伴わないとされています。使用するカテーテルは非常に細く、子宮内に精子を注入する際に感じるのは軽い違和感程度です。処置時間は数分で、麻酔も不要です。一瞬チクッとした痛みや軽い生理痛のような感覚を覚えることがありますが、ほとんどの場合すぐに治まります。

処置後に下腹部の軽い張りや出血が見られることもありますが、一時的な反応です。不安が強い場合は、あらかじめ医師に相談して心の準備をしておくと安心です。深呼吸などでリラックスすることも痛みの軽減につながります。

もし処置後に強い痛みや大量の出血がある場合は、すぐに医療機関へ連絡してください。

人工授精の成功率を高める方法はある?

人工授精の成功率を大きく上げる確実な方法はありませんが、日常の工夫や治療の工夫で妊娠の可能性を高めることは可能です。重要なポイントを整理すると、次のようになります。

  • 排卵のタイミングを正確に把握し、医師の指示通りの時期に処置を受ける
  • バランスの良い食事と適度な運動で体調を整える
  • 禁煙を徹底し、アルコールの摂取も控える
  • 睡眠を十分に取り、ホルモンバランスを安定させる
  • ストレスを溜めず、趣味やリラックスの時間を持つ
  • 必要に応じて排卵誘発剤を使用し、卵胞の成長をサポートする

生活習慣の乱れやストレスは妊娠の妨げとなるため、体と心のバランスを保つことが何より大切です。排卵誘発剤の使用は妊娠の機会を増やす一方で、多胎妊娠の可能性もあるため、必ず医師と相談しながら進めましょう。焦らず、定期的な通院と前向きな姿勢を保つことが、結果につながる大きな一歩です。

人工授精は何回まで受けられる?

人工授精の回数に法的な制限はありませんが、保険適用には条件と上限があります。2022年4月から人工授精は保険の対象となり、女性が43歳未満であることが条件です。回数の上限は医療機関によって異なる場合があるため、事前に確認が必要です。

自費で行う場合は回数制限はありませんが、医学的には5〜6回行っても妊娠しない場合は体外受精への移行が勧められます。人工授精を繰り返すよりも、より高い妊娠率を持つ治療へ進むことで時間を上手に使うことができます。

年齢や卵巣機能、精子の状態、経済的・精神的負担などを総合的に考慮し、医師と相談しながら治療計画を立てることが大切です。焦らず、現実的なステップを踏むことが妊娠への近道となります。

まとめ

人工授精は、不妊治療の一環として自然に近い妊娠を目指す方法です。本記事では以下のポイントを解説しました。

  • 人工授精の種類: AIH(夫精子人工授精)とAID(非配偶者間人工授精)
  • プロセス: 排卵誘発から精子の調整、注入までの流れ
  • 成功率: 年齢や不妊の原因により異なるが、一般的に5〜15%
  • 費用: 1回あたり3〜5万円程度で、保険適用外が多い

人工授精を検討する際には、医師とよく相談して最適な治療法を選びましょう。

参考文献

日本産婦人科医会:「10.人工授精(AIH:Artificial Insemination with Husband’s semen)

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