
AMH検査は本当に意味ない?知っておくべき検査の役割と数値の読み方
公開日:2025.01.30更新日:2026.01.28
AMH検査について聞いたことはあるけど、実際どんな検査なのか、何がわかるのかわからない方も多いです。「AMH検査を受ければ妊娠できるかがわかる」という誤解もあります。実は、AMH検査では卵子の数はわかりますが、質まではわかりません。AMH検査だけで妊娠を判断できませんが、適切に活用すれば、人生の選択肢を広げる大切な情報源になります。
この記事では、AMH検査の意義や数値の見方、よくある誤解について解説します。AMH検査への理解を深めることで、あなたに合った不妊治療の選択や将来のライフプランを考えるうえでの判断材料を得られます。
神奈川県相模原市、淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックは、不妊治療の悩みに強みを持つ婦人科クリニックです。生理不順やPMSなどの女性特有のお悩みはもちろん、男性不妊の検査・治療にも対応し、ご夫婦のお悩みを専門医が丁寧にサポートします。
また、当院は橋本駅の長谷川レディースクリニックと密に連携し、婦人科・不妊治療を提供しています。2つの施設間で検査結果や治療方針を共有することで、よりスムーズな治療体制を整えています。体外受精をご検討の方にも、きめ細かな診療と迅速な対応をご提供していますので、お悩みの方は当院へご相談ください。

AMH検査とは|基礎知識と検査の目的
AMH検査は、卵巣にどのくらいの卵子が残っているかを推測するための検査です。ここでは、AMH検査の基礎知識と、どのような目的で行われるのかをわかりやすく説明します。検査を受ける前に、正しい知識を身につけておきましょう。
AMH(抗ミュラー管ホルモン)の役割
AMH(抗ミュラー管ホルモン)は、卵巣内にどのくらい卵子が残っているかを推測するための指標であり、女性の卵巣機能を把握する重要な検査項目です。AMHは、卵巣内で成長途中の卵胞から分泌されるホルモンで、卵巣の「卵子の残り数(卵巣予備能)」を反映すると考えられています。
卵胞が多いとAMH値は高く、年齢とともに卵胞が減少するとAMH値も低くなります。AMHの測定によって、現在の卵巣機能を把握し、今後の治療方針を立てる際の目安とすることができます。AMH検査でわかることは以下のとおりです。
- 卵巣内に残っている卵胞のおおよその数
- 年齢に対する卵巣機能の状態
- 今後の不妊治療や妊活計画を立てる際の参考情報
ただし、AMH値はあくまで「卵子の量」を示すものであり「質」を判断するものではありません。年齢とあわせて総合的に判断することが、結果を正しく理解するために重要です。
AMH検査が必要な理由
AMH検査は、卵巣にどれだけ卵子が残っているかを把握し、今後の不妊治療や妊活の方向性を判断するために重要な検査です。AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査を行うことで、卵巣の予備能を数値で確認できます。この結果は、医師が治療方針を立てるうえでの大切な指標となります。
AMH値が低い場合は、卵子の残りが少ない可能性があり、体外受精などへの早めのステップアップが検討されます。値が高い場合は、タイミング法や人工授精など段階的な治療から始めることもあります。排卵誘発剤を使用する際には、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクを判断する参考にもなります。
不妊治療中だけでなく、将来の妊娠を考えている方にとっても、自分の卵巣年齢を知ることで妊娠の計画を立てやすくなるというメリットがあります。
AMH検査の結果をもとに選ばれる不妊治療の一つとして「人工授精」があります。以下の記事では、その具体的な方法や成功率、費用の目安を詳しく解説しています。
>>人工授精とは?方法・成功率・費用を詳しく解説
どのような人がAMH検査を受けるべきか
AMH検査はすべての女性に必須ではありませんが、妊娠を考える時期や卵巣機能を把握したい方にとって、有益な指標となる検査です。特に以下のような方は、AMH検査を受けることが推奨されます。
- 不妊治療を検討している、またはすでに治療を受けている方
- 35歳以上で妊娠を希望している方
- 月経不順や周期の乱れがある方
- 早期閉経の家族歴がある方
- 将来的に妊娠を希望しており、出産時期を検討したい方
AMH検査によって卵巣の予備能を知ることで、妊娠を考えるタイミングや治療方針を立てやすくなります。妊娠を急いでいない若年層や閉経後の方にとっては、検査の必要性は低い場合もあります。受診を検討する際は、自分のライフプランや年齢、健康状態を踏まえ、医師と相談しながら判断することが大切です。
AMH検査の数値の見方とよくある誤解
AMH検査の数値の見方とよくある誤解について、以下の5つを解説します。
- AMH検査は意味がないって本当?
- AMH検査と正常値
- AMHが低い場合の原因と対策
- AMHが高い場合に考えられること
- AMH検査でわからないこと
AMH検査は意味がないって本当?
「AMH検査は意味がない」という意見は誤解です。AMH検査は、以下の点で活用されます。
- 卵巣予備能の評価
- 不妊治療の計画立案
- 早期の治療開始の判断
AMH検査は不妊治療の補助的な検査として使用されるものであり、結果のみで治療方針を決定するものではありません。AMH値は、年齢や他の検査結果、個人の希望なども考慮しながら、総合的に解釈する必要があります。
AMH検査と正常値
AMH(抗ミュラー管ホルモン)は、卵巣内の小さな卵胞から分泌されるホルモンです。血液検査でAMH値を測定することで、卵巣内の卵胞数、つまり「卵巣予備能」を推測できます。
AMH値は正常値ではなく、年齢別中央値を参考値としています。以下に年齢別の中央値を記載します。
- 20〜25歳: 3.89 ng/mL
- 26〜30歳: 3.64 ng/mL
- 31〜35歳: 2.81 ng/mL
- 36〜40歳: 1.82 ng/mL
- 41〜45歳: 0.67 ng/mL
同年齢でも個人差が大きいことに注意が必要です。AMH値は年齢、生活習慣や遺伝的要因など、さまざまな要素が複雑に絡み合って決定されます。AMH値の解釈には、個人の状況を総合的に考慮する必要があります。
AMHが低い場合の原因と対策
AMH値が低い場合、卵巣の老化が進行している可能性があります。卵巣の老化は自然な現象ですが、以下の要因も影響を与える可能性があります。
- 喫煙
- 過度なダイエット
- 強いストレス
- 環境ホルモンへの過度の曝露
- 特定の医療処置(卵巣手術など)
喫煙習慣があり、仕事でストレスを感じていると卵巣の老化を促進させている可能性があります。しかし、AMH値が低くても妊娠の可能性がなくなるわけではありません。AMH値は卵子の数の目安にはなりますが、卵子の質を直接示すものではないからです。
個別の状況により大きく異なるため、医師と相談することが重要です。AMH値が低い場合の対策として、以下が考えられます。
- 生活習慣の見直し(禁煙、バランスの良い食事、適度な運動、質の良い睡眠)
- ストレス管理
- 不妊治療専門医への相談
対策を通じて、卵巣機能の維持や改善を図ることが可能です。不妊症について網羅的に知りたい方はぜひ以下の記事も合わせてご覧ください。
>>不妊症とは?原因・症状・検査・治療法まで妊娠のために知っておきたい基礎知識を解説
AMHが高い場合に考えられること
AMH値が基準値より高い場合(年齢別中央値を大きく超える場合)、卵巣内に多くの卵胞が存在する可能性を示唆しますが、必ずしも良いことばかりではありません。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の可能性を考慮する必要があります。PCOSは若い女性の約6〜8%に見られる疾患で、以下の特徴があります。
- 排卵障害
- 高アンドロゲン血症
- 多嚢胞性卵巣
AMH値が高いからといって必ずしもPCOSとは限りません。PCOSの診断には、他の症状や検査結果も考慮する必要があります。生理不順やニキビ、多毛などの症状がある場合は、婦人科医の診察を受けることをおすすめします。
AMH検査でわからないこと
AMH検査は卵巣にどれだけ卵子が残っているかを推測する指標ですが、妊娠の可能性や卵子の質を判断することはできません。AMH値は卵巣予備能を把握するうえで有用ですが、その結果だけで妊娠の可否を決めることはできません。AMH検査でわからないことには以下のような点があります。
- 卵子の質(健康状態)
- 妊娠する可能性や成功率
- 排卵の有無やタイミング
- パートナー側の要因(精子の状態など)
AMH値が高くても妊娠に至らない場合があり、逆に低くても自然妊娠する人もいます。つまり、AMHは卵子の「量」を示す指標であり「質」や妊娠力を表すものではありません。検査結果は年齢や体調などとあわせて総合的に判断する必要があります。
AMH検査を受ける前に知っておきたいこと
AMH検査を受ける前に知っておきたいことは以下のとおりです。
- AMH検査の費用と受ける場所
- AMH検査を受けるタイミング
- 他の不妊検査との違い
AMH検査の費用と受ける場所
AMH検査の費用は医療機関によって異なりますが、一般的に以下の範囲内です。
- 保険適用外の場合:5,000〜7,000円程度
- 保険適用の場合(2024年6月以降):約1,800円(自己負担3割の場合)
最新の保険適用条件については医療機関で確認してください。検査を受けられる場所は以下のとおりです。
- 不妊治療専門クリニック
- 産婦人科
- 婦人科クリニック
初診料や再診料が別途かかる場合があるため、事前に医療機関に確認することをおすすめします。
- 初診料:4,400円(税込)
- 再診料:1,100円(税込)
上記は当院での初診料と再診料です。
AMH検査を受けるタイミング
AMH検査の特徴として、AMH値の変動は比較的少ないため月経周期に関係なく受検可能です。ただし、以下の要因でAMH値が変動する可能性があります。
- 急激な体重変化
- 強いストレス
- 生活環境の変化
急激な体重変化や強いストレスは、卵巣だけではなく体に大きな負担がかかります。
他の不妊検査との違い
AMH検査以外の主な不妊検査は以下のとおりです。
- 卵胞刺激ホルモン(FSH)検査
卵巣の働き具合を調べる検査。月経開始から3日目頃に実施する - エコー検査
卵胞の数や大きさを直接確認する。月経周期に合わせて実施する
FSH検査は月経開始3日目に実施できる一方で、AMH検査は月経周期に関係なく受けることが可能です。上記の検査結果を総合的に判断することで、より正確な診断が可能になります。
以下の記事では不妊治療にかかる費用を解説しています。人工授精や体外受精などの治療法別で紹介していますので、ぜひご確認ください。
>>不妊治療の費用はいくら?治療内容別の費用と使える助成制度を詳しく紹介
AMH検査についてよくある質問
AMH検査について、よくある質問に対してQ&A方式で以下の5つを解説します。
- AMH検査は男性不妊の評価にも使用できるの?
- 経口避妊薬(ピル)の使用はAMH値に影響を与えるの?
- AMH検査は早期閉経のリスクを予測できる?
- AMH検査の結果は変動する?
- 保険適用でAMH検査は受けられる?
AMH検査は男性不妊の評価にも使用できるの?
AMH検査は主に女性の卵巣機能を評価する目的で使われますが、男性の生殖機能の研究にも応用の可能性があり、今後の研究が期待されています。
男性のAMHは、精巣内のセルトリ細胞で産生され、精子の形成過程に関与しています。そのため、AMH値は男性の生殖機能や全身の健康状態と関係する可能性が指摘されています。現時点で知られている主な関連は以下のとおりです。
- 生殖機能:AMH値が精子の数や質と関係する可能性があり、精子形成障害や停留精巣の早期発見に役立つとされる
- 健康指標:高齢男性では、AMH値の低下が心血管疾患や大動脈瘤、さらには死亡リスクの上昇と関連する可能性がある
ただし、男性不妊の診断や評価におけるAMH検査の臨床的有用性はまだ確立されていません。現在は精液検査や他のホルモン検査が標準的な方法として用いられています。AMHは今後、男性の健康や生殖医学の新たな指標として注目されつつあります。
経口避妊薬(ピル)の使用はAMH値に影響を与えるの?
ピルを使うと、AMH値に一時的な影響が出ることがあります。ピルを使っている間にAMH検査をすると、卵巣機能が低く見えることがあります。そのため、検査結果を見るときは、ピルを使っているかどうかを考えることが大事です。
ピルをやめるとAMH値がもとに戻ることがあります。妊娠を希望される方は、ピルをやめてから少し時間を置いてAMH検査を受けると、もっと正しい結果がわかるかもしれません。
AMH検査は早期閉経のリスクを予測できる?
AMH検査は、早期閉経のリスクを知るのに役立つ検査の一つですが、確実に予測するのは難しいです。そのため、他にもいろいろな方法を使って調べる必要があります。医師が詳しく話を聞いたり、体の状態を調べたり、他のホルモン検査(FSHやエストラジオールなど)をします。
超音波検査で卵巣の状態を確認することもあります。さらに、遺伝子検査や家族の病歴を詳しく調べることで、リスクをより正確に知ることができます。
AMH検査の結果は変動する?
AMH値は年齢とともに緩やかに低下しますが、体調や検査条件によって一時的に変動することがあり、一度の結果だけで判断するのは避けるべきです。AMH値は基本的に加齢とともに下がっていきますが、月経周期や体調、採血時期によって多少の差が出ることがあります。
使用する検査キットや測定方法が異なると、数値にばらつきが生じる場合もあります。再検査を行う際は、できるだけ同じ医療機関・同じ方法で測定することが望ましいです。ピルなどのホルモン剤を使用していると一時的にAMH値が低下することがあります。
正確な数値を知りたい場合は、服用を中止してから数か月後の検査が推奨されます。結果に大きな変動が見られた場合は、自己判断せずに医師へ相談し、原因を確認することが大切です。
保険適用でAMH検査は受けられる?
AMH検査は一部の不妊治療に限り保険適用となりますが、多くの場合は自費診療での実施となります。事前に医療機関へ確認することが大切です。
AMH検査は体外受精や顕微授精などの生殖補助医療を行う際、卵巣刺激法の選択に必要な場合のみ保険が適用されます。つまり、治療の一環として実施される場合のみに、保険適用が限られています。
将来の妊娠計画や、自身の卵巣予備能を知る目的で受ける場合は保険の対象外となり、自費診療(5,000〜7,000円程度)が一般的です。適用の有無や費用は医療機関によって異なるため、受診前に確認しておくことが重要です。自費であっても、治療方針を決めるうえで有意義な検査といえます。
AMH検査の結果をもとに選択されることが多い体外受精や顕微授精については、以下の記事で方法や費用、リスクを詳しく解説しています。治療内容の理解を深める参考にしてください。
>>顕微授精とは?ふりかけ法と何が違う?メリットやリスク・費用を解説
まとめ
AMH検査は卵巣予備能を評価するうえで有用な検査ですが、結果の解釈には注意が必要です。AMH値は卵子の数の目安にはなりますが、質を直接示すものではありません。AMH値が低くても妊娠の可能性がなくなるわけではないので、過度な不安はいりません。
AMH検査の結果は、年齢や他の検査結果と併せて総合的に判断することが重要です。AMH検査は、あなたに合った治療法やライフプランを考えるための一つの情報として活用しましょう。医師とよく相談し、適切な判断につなげることが大切です。
