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不妊症とは?定義やなりやすい人の特徴・割合についても解説

公開日:2024.07.20
更新日:2024.12.24

「赤ちゃんが欲しいのに、なかなか授からない…」

きっと今見ているあなたもその内の一人ではないでしょうか。不妊症は決して珍しいことではなく、誰にでも起こりうる症状です。誰にでも起こりうるからこそ、これから子供を作りたい・家庭を築きたい方は知っておきましょう。

本記事では、不妊症の定義や原因、症状、診断方法について詳しく解説します。記事を読めば、不妊症への正しい知識を持つことができ、不安や疑問を解消できます。

不妊症の定義とは

不妊症とは「妊娠を希望する夫婦が避妊をせずに性交渉を継続していても、1年以上妊娠しない状態」のことです。「1年以上」と聞くと、長いと感じるかもしれませんが、健康な夫婦でも、自然に妊娠する確率は高くありません。1か月で妊娠する確率は20~30%程度と言われています。

「1年間」というのはあくまで目安であり、年齢や状況によっては、もっと短い期間でも不妊症と診断されることもあります。35歳以上の女性の場合、妊娠率が低下していくので、半年以上妊娠しないなら早めに医療機関を受診しましょう。卵子の老化が関係しており、年齢を重ねるごとに質の良い卵子が減っていくためです。

不妊症の具体的な症状や兆候

不妊症は、風邪のように発熱や咳などのわかりやすい症状があるわけではありません。不妊症の兆候として、女性は生理周期の乱れや激しい生理痛、極端な出血量の増減などが挙げられます。男性は、射精時の痛みなどが挙げられます。

普段は規則正しいのに、ここ数か月は生理周期がバラバラで、24日より短かったり35日より長かったりする場合は要注意です。排卵が正常に行われていない可能性も高いです。生理痛がひどく、鎮痛剤が手放せない場合、子宮内膜症などの病気が隠れている可能性もあります。

男性の場合、射精時に痛みを感じる場合は、前立腺炎などの可能性が考えられます。他の病気の可能性も考えられるため、自己判断せずに気になることがあれば早めに医療機関を受診しましょう。

自分が不妊症かどうかをセルフチェックしやすいように以下の記事もご覧ください。
>>【セルフチェック】不妊症かもと妊娠できるか不安なあなたへ!

不妊症になりやすい人の特徴

不妊症の原因はさまざまであり「これだけが原因」と断定することはできません。統計的に見て、不妊症になりやすい人の特徴は、以下のとおりです。

不妊症の原因について詳しくは以下の記事にまとめていますので、知りたい方は合わせてチェックしてみてください。
>>不妊症の原因について!女性のみならず男性不妊や男女比も合わせて解説

年齢

特に女性は、35歳を過ぎると妊娠率が大きく低下します。卵子の老化が関係しており、年齢を重ねるごとに質の良い卵子が減っていくためです。40代になると、さらに妊娠は難しくなります。

生活習慣

喫煙は卵巣の機能を低下させ、卵子の老化を早める可能性があります。過度の飲酒やストレス、睡眠不足、栄養バランスの偏りも、卵子や精子の質を低下させる要因です。

過去の病気や手術

性感染症にかかったことがある場合、卵管が詰まって不妊症リスクが高くなる可能性があります。子宮内膜症や子宮筋腫、卵管炎などの病気にかかったことがある人も不妊症のリスクが高まります。

体質

極端な肥満や痩せは、ホルモンバランスを乱し、排卵障害を引き起こしやすいです。生まれつき子宮や卵管に異常がある場合も、不妊症の原因となることがあります。

不妊症の診断と検査方法

不妊症の診断は、最適な治療法を選ぶためにも大切です。 焦る気持ちもあるかもしれませんが、落ち着いて医師と話し合いましょう。

不妊症の診断方法とは

不妊症の診断は、以下のような段階で進められます。

1. 問診

問診では以下のような質問をすることが多いです。

  • 「生理は毎月順調に来ていますか? 毎月だいたい同じ周期ですか? それともバラバラですか?」
  • 「生理痛はありますか? 鎮痛剤が必要なほどの痛みですか?」
  • 「基礎体温はつけていますか? どういった推移ですか?高温期と低温期はありますか?」

過去の病気や手術の経験、現在服用している薬なども、不妊症に関係している可能性があります。些細なことでも隠さずに医師へ伝えてください。

2. 身体診察

問診の後は、子宮や卵巣に異常がないか、触診や内診を行います。

3. 基礎体温測定

毎朝、目が覚めてすぐの体温を測り、記録していきます。基礎体温の変化を見ることで、排卵の有無やタイミング、ホルモンバランスの状態を把握できます。毎日コツコツと記録していくことが重要です。

4. 検査

問診や身体診察、基礎体温測定の結果を踏まえて、必要に応じて下記のような検査を行います。

  • ホルモン検査
    血液検査で、排卵に関わるホルモンなどを測定し、ホルモンバランスの乱れがないか調べます。
  • 子宮卵管造影検査
    子宮の中に造影剤を入れてレントゲン撮影を行い、卵管の詰まりや子宮の形に異常がないか調べます。
  • 超音波検査
    子宮や卵巣の状態を画像で確認します。
  • 精液検査
    パートナーの精子の数や運動量などを調べることで、男性側に原因がないか調べます。

不妊症の検査項目

不妊症の検査には、さまざまなものがあります。ここでは、代表的な検査項目と内容について、詳しく説明します。

ホルモン検査

血液検査でホルモンの量を測る検査です。生理開始から3日目くらいに測定する「卵胞刺激ホルモン(FSH)」や「黄体形成ホルモン(LH)」は、卵巣の働きや卵子の育ち具合を見る指標です。「プロラクチン」「甲状腺ホルモン」なども測定します。

子宮卵管造影検査

子宮の中に造影剤を注入し、レントゲン撮影をすることで、子宮内腔や卵管の形状、通過性を確認する検査です。卵管が詰まりが発見されることが多いです。

超音波検査

ゼリーをお腹に塗ってプローブという機械で、子宮や卵巣の形や大きさ、卵胞の発育状態などを観察します。痛みはほとんどありません。

精液検査

パートナーに協力してもらい、採取した精液で男性不妊を調べる検査です。精子の数や運動率、形などを調べます。

不妊症の検査結果の正常範囲と異常範囲

検査結果の判断は、医療機関や検査項目によって基準値が異なる可能性があります。検査結果について、医師から詳しい説明を受けましょう。ホルモン検査の場合、下記のようなことが考えられます。

  • 卵胞刺激ホルモン(FSH)
    基準値より高い場合は卵巣機能の低下が疑われます。閉経が近いと高値になることがありますが、年齢や他の検査結果も踏まえて総合的に判断します。
  • 黄体形成ホルモン(LH)
    基準値より高い場合は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などが疑われます。

検査結果によって、今後の治療方針が大きく変わることもあります。医師の指示に従って、適切な検査を受けることが重要です。

不妊治療の選択肢と成功率を理解しよう

「不妊治療」と言っても内容は多岐にわたり、どの治療法が最適かは、患者さん一人ひとりの状況で大きく異なります。夫婦の年齢や不妊の原因、治療期間、経済状況などを総合的に判断し、医師と相談しながら治療方針を決めることが大切です。

不妊治療の一般的な方法

不妊治療には、大きく分けて以下の3つの方法があります。

タイミング法

タイミング法は、もっとも自然妊娠に近い治療法と言えます。毎月の生理周期から基礎体温や尿検査、超音波検査などで排卵日を予測して、時期を狙って性交渉を行う方法です。 費用が比較的安く、体への負担が少ないメリットがあります。

タイミング法については以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
>>【不妊治療の入口】タイミング法とはどんな治療?流れや費用、成功率について詳しく解説

人工授精

人工授精は排卵日に合わせて、洗浄濃縮した精子を子宮内に直接注入する方法です。精子の運動率が低い場合や、子宮頸管粘液が少ない場合などに有効です。タイミング法と比較して妊娠率が上昇しますが、費用は高くなります。精子の数が少ない、運動率が低いといった男性不妊の場合にも有効な治療法です。

人工授精については以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
>>人工授精ってどんな方法? 成功率や費用、プロセスを解説

体外受精

体外受精は、卵子と精子を体外に取り出して受精させ、受精卵を子宮内に戻す方法です。卵管が詰まっている場合や、男性不妊の場合に有効です。体外受精は他の治療法と比較して妊娠率が高いですが、費用が高額で、かつ体への負担が大きいデメリットもあります。

体外受精は、顕微授精や胚培養などの技術革新により、妊娠率が大幅に向上しています。 卵管因子による不妊や男性不妊の場合、体外受精が選択肢となるケースが多いです。

体外受精については以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
>>体外受精の基礎知識を解説!対象となる方や流れ、成功率、実態までがわかります

不妊治療の成功率とは

不妊治療の成功率は、治療法や年齢、原因、卵子の質など、さまざまな要因によって異なります。年齢が若いほど妊娠率は高く、高齢になるにつれて妊娠率は低下する傾向です。

35歳未満で体外受精した場合の妊娠率は40%程度ですが、40歳を超えると20%以下に低下すると言われています。卵子の老化が大きく関係しているためです。医療機関によって治療実績や医師の経験が異なるので、成功率に差が出る場合もあります。

不妊治療の成功率について、以下の記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
>>不妊治療の成功率は?不妊治療しても授からない確率も合わせて解説

不妊治療のリスクと副作用について知ろう

不妊治療は、身体的・精神的な負担をともなう場合があります。不妊治療を受ける際には、治療前に医師から説明を受け、治療内容やリスク、費用などを理解した上で治療を受けましょう。一人で抱え込まず、医師やパートナー、家族、友人に相談しながら、治療を進めましょう。

不妊治療のリスクと副作用の例は以下の通りです。

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

排卵誘発剤を使用する治療で起こることがあります。卵巣が腫れ、腹痛、吐き気などの症状が現れます。重症化すると、呼吸困難や意識障害などを引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。

多胎妊娠

体外受精などの治療では、複数の受精卵を子宮内に戻すため、双子や三つ子などの多胎妊娠の可能性が高くなります。多胎妊娠は、早産や低出生体重児のリスクが高くなるので注意が必要です。

精神的なストレス

治療が長引いたり、思うように結果が出なかったりすることで、精神的なストレスを感じる場合があります。

不妊治療の費用と保険適用

「高額な治療費を払って結果が出なかったらどうしよう…」と不安に思う方もいるかもしれません。ここでは、不妊治療にかかる費用について解説します。治療費用のイメージを掴むことで、安心して治療に臨め、保険適用や費用のサポート制度も知ることが可能です。

不妊治療の費用とは

不妊治療の費用は、検査項目や治療方法、クリニックによって大きく変わってきます。比較的自然妊娠に近い「タイミング法」の場合、費用は一回あたり数千円〜数万円が目安です。排卵誘発剤の使用や、適切なタイミングを計るための検査費用などが含まれます。

「人工授精」は、精子を子宮内に直接届ける方法で、一回あたり1〜5万円ほどです。費用には、精子の状態や子宮の状態を確認するための検査費用や、人工授精そのものの費用などが含まれます。

より高度な治療である「体外受精」「顕微授精」の場合、一回あたり30〜60万円と高額です。卵子を採取する費用や受精卵を凍結保存する費用などが加算されるためです。

以下に不妊治療の費用について解説していますので、具体的な金額を計算したいかたはぜひ合わせて確認してみてください。
>>不妊治療の費用を治療内容別に解説!費用の負担を減らす方法についても詳しく紹介

不妊治療の保険適用の有無

2022年4月から、これまで全額自己負担だった不妊治療の一部が保険適用になりました。具体的には「人工授精」「体外受精」「顕微授精」といった治療が保険適用となり、経済的な負担が大きく軽減されました。保険適用には条件があり、すべての人が保険適用を受けられるわけではありません。

  • 年齢制限:女性の年齢が43歳未満であること
  • 治療回数制限:通算で6回まで(過去の治療実績がある場合は、過去の回数も含まれる)
  • 医療機関の指定:指定された医療機関で治療を受けること

条件を満たす場合、治療費の自己負担額が大幅に軽減されます。

保険適用の具体的な内容について、以下の記事をあわせてご覧ください。
>>2022年4月から不妊治療が保険適用に!年齢・回数の制限やデメリットについて詳しく解説

不妊治療費用の補助制度や給付金について知ろう

保険適用に加えて、国や自治体では、不妊治療にかかる費用をサポートする制度が用意されています。「不妊治療費助成制度」は、一定の条件を満たす場合、治療費の一部が助成される制度です。助成額や助成対象となる治療法は、各自治体によって異なります。

「高額療養費制度」や「医療費控除」といった制度を活用することで、経済的な負担を軽減することも可能です。制度が複雑でわかりにくいと感じることもあるかもしれません。治療を始める前に、医師や医療相談員に相談すれば、自分に合った制度を適切に利用できます。

不妊治療におけるカウンセリングと心のケア

不妊治療は、高度な医療技術を用いるだけでなく、精神的なサポートも欠かせません。不妊治療中のカウンセリングや心のケアの内容も確認していきましょう。

不妊治療におけるカウンセリングの重要性

不妊治療中は、目の前の治療に集中するあまり、自分の気持ちと向き合う余裕がない方も少なくありません。心の状態は、治療へのモチベーションや夫婦関係にも影響を与えるため、カウンセリングで心の安定を保つことが大切です。

カウンセリングでは、専門家という第三者の視点から、治療に関する疑問や不安を解消できます。治療に対する夫婦の意識のズレを修正したり、不安やストレスを吐き出すことで心の負担を軽くしたりもできます。

不妊治療における心のケアの方法

不妊治療中は、心身ともにリラックスできる時間を作ることも大切です。長く治療を続けるためには、適度な休養が欠かせません。心のケア方法としておすすめなのは以下のとおりです。

  • 趣味や好きなことに時間を使う:好きな音楽を聴いたりアロマを焚いたり、映画の世界に没頭することで気分転換になり、ストレスから解放されます。
  • 軽い運動を習慣化する:軽い運動は、セロトニンの分泌を促し、心の安定をもたらします。軽い散歩やヨガなど、無理なく続けられる運動をしましょう。
  • バランスの取れた食事を心がける:葉酸やビタミンD、亜鉛は、妊娠に関連する栄養素として知られています。積極的に摂取することで、心と体のバランスを整えられます。

不妊治療を受ける際の心構えと注意点

不妊治療は、終わりが見えない不安や周りのプレッシャーなど、精神的に負担がかかりやすいものです。治療を始める前に、心構えと注意点を理解しておくことが大切です。

  • 治療は長期戦になることを理解する:不妊治療は、短距離走ではなく、マラソンです。焦らず、ご自身のペースで治療を進めていきましょう。
  • 情報に振り回されない:インターネット上には、さまざまな情報が溢れています。医師やカウンセラーなどの専門家の意見を参考に、信頼できる情報を選び取ることが重要です。
  • セカンドオピニオンも検討する:治療方針に迷う場合は、他の医療機関でセカンドオピニオンを受けることも有効な手段です。別の医師の意見を聞くことで、視野が広がり、より納得のいく治療法を選べます。

不妊治療は、肉体的にも精神的にも負担の大きい道のりですが、決して諦めずに一歩ずつ進んでいきましょう。

まとめ

不妊症の定義から、不妊症になりやすい方の特徴などについて解説しました。不妊症の概要は以下のとおりです。

  • 定義: 1年以上避妊せずに性交渉を続けても妊娠しない状態
  • 原因: 年齢や生活習慣、過去の病気など多岐にわたる
  • 症状: 女性は生理不順や激しい生理痛、男性は射精時の痛みなど
  • 診断方法: 問診や身体診察、基礎体温測定、各種検査など

不妊症の治療法には、以下の方法があります。

  • タイミング法: 排卵日に合わせて性交渉を行う
  • 人工授精: 精子を子宮内に直接注入する
  • 体外受精: 卵子と精子を体外で受精させ、受精卵を子宮内に戻す

不妊症は決して恥ずかしいことではありません。正しい知識を持ち、適切な対応をすることで、妊娠の可能性を高められます。

神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、不妊治療に強みを持つクリニックです。不妊治療を検討している状況でも、専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。

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