
クロミッドっていつ飲むの?不妊治療での効果や注意点、副作用を解説
公開日:2025.01.30更新日:2025.01.30
不妊治療での薬の服用に対して、さまざまな疑問や心配を抱える方は多いです。クロミッドは不妊治療でよく使用される薬ですが、効果や副作用について正しく理解することが重要です。クロミッドの効果には個人差があり、他の要因も妊娠に大きく影響します。
本記事では、クロミッドの基本情報や服用方法、副作用や妊娠率まで、気になるポイントをわかりやすく解説します。クロミッドについて正しい知識を得ることで、治療に対する理解を深めることができます。
神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、不妊治療に強みを持つクリニックです。不妊治療を検討している状況でも、専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。
クロミッドの基本情報
クロミッドの基本情報として、以下を解説します。
- クロミッドの効果とメカニズム
- クロミッドの不妊治療における役割
- クロミッドの妊娠率
- クロミッドと他の不妊治療法との比較
クロミッドの効果とメカニズム
クロミッド(一般名:クロミフェンクエン酸塩)は、主に排卵障害を改善するために用いられる薬剤です。主な効果は以下のとおりです。
- 排卵の誘発
- 卵胞の成熟促進
- 月経周期の調整
クロミッドの作用メカニズムは以下のとおりです。
- 脳の視床下部に作用する
- 卵巣刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)の分泌を促進する
- 2つのホルモンが卵巣の卵胞を刺激し、成熟と排卵を促す
2023年に発表された研究データによると、クロミッドまたはレトロゾールを用いた卵巣刺激を受けた女性を対象とした研究において、クロミッドの使用だけでは妊娠率が劇的に変化するわけではなく、他の要因も妊娠に大きく関与していることを示唆しています。
クロミッドの不妊治療における役割
クロミッドは、主に排卵障害で悩む女性のための治療薬として使用されます。排卵障害にはさまざまな種類があり、以下の状況が含まれます。
- 排卵が全く起こらない
- 排卵のタイミングが不規則
- 黄体機能不全
通常は生理の約14日前に排卵が起こるはずが、20日後になったり、生理周期が長くなったり短くなったりする場合があります。クロミッドは排卵を促し、妊娠の可能性を高めるサポートをします。
クロミッドは単独で使用されるだけでなく、以下の不妊治療と組み合わせて使用されることもあります。
- タイミング法
- 人工授精
- 体外受精
それぞれの治療法には固有のメリットとデメリットがあるため、患者さんの状況に応じて最適な方法を選択することが重要です。
詳しくは以下の記事で解説していますので、合わせて確認ください。
>>人工授精と体外受精の違いとは?特徴と成功率、費用を徹底比較

クロミッドの妊娠率
クロミッドを使用した場合の妊娠率は、個人の状況によって大きく異なります。妊娠率に影響を与える主な要因には以下があります。
- 年齢
- 卵巣機能
- 不妊の原因
- 併用する治療法
一般的に報告されている妊娠率は以下のとおりです。
- 1周期あたりの妊娠率:約5〜10%
- 6か月間継続治療での累積妊娠率:約50〜60%
ただし、上記の数値はあくまでも平均的なものであり、個人差が大きいことに注意が必要です。年齢や健康状態による妊娠率の違いは以下のとおりです。
- 30歳前後で排卵障害のみが原因の場合:比較的高い妊娠率が期待できる
- 40歳以上の場合:妊娠率が低下する傾向がある
- 子宮内膜症や卵管通過障害を合併している場合:妊娠率が低下する可能性がある
上記の要因を考慮し、個々の状況に応じた治療計画を立てることが重要です。
クロミッドと他の不妊治療法との比較
クロミッド以外にも、不妊治療にはさまざまな方法があり、それぞれの治療法の特徴を考慮して選択することが重要です。
- hCG注射
排卵日を特定しやすく、タイミング法の精度を高める。排卵のタイミングをより正確に把握できるが、注射が必要であり多胎妊娠のリスクがやや高い - 人工授精
精子を子宮内に直接注入する方法。精子が卵子に出会う確率が高まるが、クロミッドよりもコストが高く侵襲性がある - 体外受精
体外で卵子と精子を受精させ、受精卵を子宮に戻す方法。他の治療法に比べて妊娠率が高いが、高コストで身体的負担が大きい
治療法の選択にあたっては、以下の要因を考慮する必要があります。
- 年齢
- 不妊の原因
- 治療期間
- 費用
- 身体的・精神的負担
医師とよく相談しながら、自身の状況や希望を伝え、納得のいく治療方針を立てることが大切です。クロミッドの効果は個人差が大きいため、他の治療法との比較や組み合わせを考慮しながら、最適な治療計画を立てることをおすすめします。
以下の記事では、hcGの基準値や妊娠週数ごとの変化などを解説していますので、合わせてご覧ください。
>>hCGの基準値とは?妊娠の週数ごとの変化や妊娠継続率、流産リスクとの関係性

クロミッドの服用方法と注意点
クロミッドの正しい服用方法と注意点を理解することで、より安全かつ効果的に治療を進めることができます。
クロミッドの服用方法
クロミッドは経口薬として服用します。服用方法は月経周期と密接に関連しています。標準的な服用方法は以下のとおりです。
- 開始日:月経周期3〜5日目から
- 服用期間:2〜5日間
- 用法:1回1/2〜1錠(25〜50mg)、1日1回〜2回
月経が1月1日に始まった場合、1月3日〜1月7日の5日間、毎日1錠(50mg)を服用します。
服用量と期間は以下のとおりです。
- 初回:通常、1日1錠(50mg)5日間で開始
- 効果不十分の場合:1日2錠(100mg)5日間まで増量可能
- 最大用量:1日2錠(100mg)5日間
クロミッドは、個々の状況に応じて、医師が用量や服用期間を調整することがあります。また、服用期間は通常6周期までとされており、3周期服用しても効果が見られない場合は、他の治療法を検討する必要があります。
クロミッドを飲むタイミング
クロミッドの効果を最大限に引き出すためには、一定の時間に服用することが重要です。毎日同じ時間に服用を心がけ、朝食後などの決まった時間を選ぶことが推奨されています。
服用を忘れた場合の対応は以下のとおりです。
- 気づいたらすぐに1回分を服用
- 次の服用時間が近い場合は、1回分をスキップし、次の時間に通常通り服用
決して2回分を一度に服用しないようにします。
服用中の注意点
クロミッド服用中は、日常生活においていくつかの注意点があります。
- 視覚に関する注意
服用中に視覚異常(例:かすみ目)が起きた場合は、車の運転や機械操作を控え、速やかに医師に相談をする - 精神面への影響
気分の落ち込みが顕著な場合は服用中止を検討する。ストレス管理に努め、リラックスできる時間を確保する
めまいやふらつきに注意し、転倒しないように気をつけます。規則正しい生活とバランスの取れた食事を心がけて、適度な運動を行い、心身の健康を維持しましょう。
他の薬との飲み合わせ
クロミッドと他の薬剤との相互作用に注意が必要です。現在服用中の薬があれば、すべての薬剤(処方薬、市販薬、サプリメントを含む)を医師に伝えてください。
抗てんかん薬(例:フェニトイン)や抗うつ薬(例:セルトラリン)はクロミッドの作用に影響を与える可能性があるため、併用する場合は必ず医師に相談してください。クロミッドは不妊治療において有効な薬剤ですが、正しい使用法と注意点を理解することが重要です。
クロミッドの副作用の種類と頻度
クロミッドの副作用は個人差が大きく、同じ人でも服用する周期によって症状が異なることがあります。副作用は身体的なものと精神的なものに分けられます。
身体的な副作用は以下のとおりです。
- ホットフラッシュ(のぼせ)
- 吐き気
- 頭痛
- めまい
- 乳房の張り
- おりものの変化
- 下腹部のハリや痛み
- 発疹
- 視覚症状(かすみ目、複視)
視覚異常は稀に起こる副作用ですが、一時的であることが多いとされています。症状が持続する場合はすぐに医師に相談してください。
精神的な副作用は以下のとおりです。
- イライラ
- 気分の落ち込み
- 不安感の増大
重度の場合や長期間続く場合は医師に相談することが重要です。稀ではありますが、重大な副作用として卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が挙げられます。OHSSの症状には以下のものがあります。
- 卵巣の腫れ
- 腹部膨満感
- 腹痛
- 呼吸困難
- 重度の吐き気
OHSSは重症化すると生命の危険があるため、上記の症状が現れた場合は直ちに医師に相談する必要があります。
副作用を軽減する方法
クロミッドの副作用を軽減するためには、以下の方法が効果的です。
- 服用時間を一定にする
毎日同じ時間に服用することで、体内の薬物濃度を安定させ、副作用を軽減できる可能性がある - 食後に服用する
空腹時の服用を避けることで、胃腸症状を軽減できる - 医師と相談する
副作用がつらい場合は、医師に相談し、薬の用量調整や他の薬剤の併用を検討する
自己判断で服薬を中止したり、用量を変更したりしないでください。
クロミッドの長期服用によるリスク
クロミッドの長期服用には以下のリスクがあります。
- 子宮内膜の菲薄化(ひはくか)
長期服用により子宮内膜が薄くなり、着床が困難になる可能性がある - 卵巣腫瘍のリスク
稀ではあるが、長期服用により卵巣腫瘍のリスクがわずかに上昇する可能性が指摘されている - 子宮頸管粘液の減少
長期服用により子宮頸管粘液が減少し、精子の通過が困難になる可能性がある。
上記のリスクを考慮し、クロミッドは通常6周期(約半年)までの使用が推奨されています。クロミッドは不妊治療において有効な薬剤ですが、副作用やリスクについても十分に理解し、適切に管理することが重要です。
副作用の多くは一時的なものですが、重度の症状や長期間続く症状がある場合は必ず医師に相談してください。
まとめ
クロミッドは排卵を促す薬で、さまざまな不妊治療と組み合わせて使用されます。主なポイントは以下のとおりです。
- 服用方法:月経開始5日目から5日間、1日1錠50mg
- 妊娠率:1周期あたり5〜10%、6か月継続で50〜60%
- 副作用:のぼせ、吐き気、頭痛などが一時的に現れることがある
- 注意点:視覚症状に注意し、服用中は車の運転を控える
- 服用期間:通常6周期まで
副作用や不安な点は医師に相談し、個々の状況に応じた最適な治療計画を立てることが重要です。
以下の記事では自宅でもできる不妊治療「シリンジ法」について解説しています。医師の視点でメリット・デメリットを紹介していますのでぜひご覧ください。
>>シリンジ法とは?やり方やメリット・デメリット、妊娠率を解説
参考文献
Nivedita R. Potapragada, Elnur Babayev, Danielle Strom, Molly Beestrum, Jacob M. Schauer, Emily S. Jungheim. Intrauterine Insemination After Human Chorionic Gonadotropin Trigger or Luteinizing Hormone Surge: A Meta-analysis. Obstetrics & Gynecology, 2023, 142(1), p.61-70