ソフィアレディスクリニック

AMH検査は意味ない?数値の見方や知っておくべきことを解説

公開日:2025.01.30
更新日:2025.01.30

AMH検査について聞いたことはあるけど、実際どんな検査なのか、何がわかるのかわからない方も多いです。「AMH検査を受ければ妊娠できるかがわかる」という誤解もあります。実は、AMH検査では卵子の数はわかりますが、質まではわかりません。AMH検査だけで妊娠を判断できませんが、適切に活用すれば、人生の選択肢を広げる大切な情報源になります。

この記事では、AMH検査の意義や数値の見方、よくある誤解について解説します。AMH検査への理解を深めることで、あなたに合った不妊治療の選択や将来のライフプランを考えるうえでの判断材料を得られます。

神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、不妊治療に強みを持つクリニックです。不妊治療を検討している状況でも、専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。

AMH検査の数値の見方とよくある誤解

AMH検査の数値の見方とよくある誤解は以下のとおりです。

  • AMH検査は意味がないって本当?
  • AMH検査と正常値
  • AMHが低い場合の原因と対策
  • AMHが高い場合に考えられること
  • AMH検査でわからないこと

AMH検査は意味がないって本当?

「AMH検査は意味がない」という意見は誤解です。AMH検査は、以下の点で活用されます。

  • 卵巣予備能の評価
  • 不妊治療の計画立案
  • 早期の治療開始の判断

AMH検査は不妊治療の補助的な検査として使用されるものであり、結果のみで治療方針を決定するものではありません。AMH値は、年齢や他の検査結果、個人の希望なども考慮しながら、総合的に解釈する必要があります。

AMH検査と正常値

AMH(抗ミュラー管ホルモン)は、卵巣内の小さな卵胞から分泌されるホルモンです。血液検査でAMH値を測定することで、卵巣内の卵胞数、つまり「卵巣予備能」を推測できます。

AMH値は正常値ではなく、年齢別中央値を参考値としています。以下に年齢別の中央値を記載します。

  • 20〜25歳: 3.89 ng/mL
  • 26〜30歳: 3.64 ng/mL
  • 31〜35歳: 2.81 ng/mL
  • 36〜40歳: 1.82 ng/mL
  • 41〜45歳: 0.67 ng/mL

同年齢でも個人差が大きいことに注意が必要です。AMH値は年齢、生活習慣や遺伝的要因など、さまざまな要素が複雑に絡み合って決定されます。AMH値の解釈には、個人の状況を総合的に考慮する必要があります。

AMHが低い場合の原因と対策

AMH値が低い場合、卵巣の老化が進行している可能性があります。卵巣の老化は自然な現象ですが、以下の要因も影響を与える可能性があります。

  • 喫煙
  • 過度なダイエット
  • 強いストレス
  • 環境ホルモンへの過度の曝露
  • 特定の医療処置(卵巣手術など)

喫煙習慣があり、仕事でストレスを感じていると卵巣の老化を促進させている可能性があります。しかし、AMH値が低くても妊娠の可能性がなくなるわけではありません。AMH値は卵子の数の目安にはなりますが、卵子の質を直接示すものではないからです。

個別の状況により大きく異なるため、医師と相談することが重要です。AMH値が低い場合の対策として、以下が考えられます。

  • 生活習慣の見直し(禁煙、バランスの取れた食事、適度な運動、質の良い睡眠)
  • ストレス管理
  • 不妊治療専門医への相談

対策を通じて、卵巣機能の維持や改善を図ることが可能です。

不妊症について網羅的に知りたい方はぜひ以下の記事も合わせてご覧ください。
>>不妊症とは?定義やなりやすい人の特徴・割合についても解説

AMHが高い場合に考えられること

AMH値が基準値より高い場合(年齢別中央値を大きく超える場合)、卵巣内に多くの卵胞が存在する可能性を示唆しますが、必ずしも良いことばかりではありません。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の可能性を考慮する必要があります。PCOSは若い女性の約6〜8%に見られる疾患で、以下の特徴があります。

  • 排卵障害
  • 高アンドロゲン血症
  • 多嚢胞性卵巣

AMH値が高いからといって必ずしもPCOSとは限りません。PCOSの診断には、他の症状や検査結果も考慮する必要があります。生理不順やニキビ、多毛などの症状がある場合は、婦人科医の診察を受けることをおすすめします。

AMH検査でわからないこと

AMH検査は卵巣機能の予備能を調べるのに有効な検査ですが、卵子の質や妊娠の可能性の判断など、わからないこともあります。

卵子の質

AMH値は卵子の数の指標にはなりますが、卵子の質を直接示すものではありません。AMH値が高かったにもかかわらず妊娠に至らない方もいれば、AMH値が低くても自然妊娠できる人もいます。卵子の質が妊娠成立に大きく影響することを示しています。

妊娠の可能性

AMH値だけで妊娠の可能性を判断することはできません。妊娠は卵子の質、年齢、パートナーの状況など、さまざまな要因が関与します。AMHは卵子の量の指標にはなるものの、卵子の健康状態や妊娠の可能性を反映するものではないためです。

AMH検査は、卵巣予備能を評価するうえで有用な検査ですが、結果の解釈には注意が必要です。AMH値は年齢や個人差によって大きく変動し、妊娠の可能性を直接示すものではありません。

AMH検査を受ける前に知っておきたいこと

AMH検査を受ける前に知っておきたいことは以下のとおりです。

  • AMH検査の費用と受ける場所
  • AMH検査を受けるタイミング
  • 他の不妊検査との違い

AMH検査の費用と受ける場所

AMH検査の費用は医療機関によって異なりますが、一般的に以下の範囲内です。

  • 保険適用外の場合:5,000〜7,000円程度
  • 保険適用の場合(2024年6月以降):約1,800円(自己負担3割の場合)

最新の保険適用条件については医療機関で確認してください。

検査を受けられる場所は以下のとおりです。

  • 不妊治療専門クリニック
  • 産婦人科
  • 婦人科クリニック

初診料や再診料が別途かかる場合があるため、事前に医療機関に確認することをおすすめします。

  • 初診料:4,400円(税込)
  • 再診料:1,100円(税込)

上記は当院での初診料と再診料です。

AMH検査を受けるタイミング

AMH検査の特徴として、AMH値の変動は比較的少ないため月経周期に関係なく受検可能です。ただし、以下の要因でAMH値が変動する可能性があります。

  • 急激な体重変化
  • 強いストレス
  • 生活環境の変化

急激な体重変化や強いストレスは、卵巣だけではなく体に大きな負担がかかります。

他の不妊検査との違い

AMH検査以外の主な不妊検査は以下のとおりです。

  • 卵胞刺激ホルモン(FSH)検査
    卵巣の働き具合を調べる検査。月経開始から3日目頃に実施する
  • エコー検査
    卵胞の数や大きさを直接確認する。月経周期に合わせて実施する

FSH検査は月経開始3日目に実施できる一方で、AMH検査は月経周期に関係なく受けることが可能です。上記の検査結果を総合的に判断することで、より正確な診断が可能になります。

以下の記事では不妊治療にかかる費用を解説しています。人工授精や体外受精などの治療別で懲戒していますので、ぜひご確認ください。
>>不妊治療の費用を治療内容別に解説!費用の負担を減らす方法についても詳しく紹介

AMH検査についてよくある質問

AMH検査について、よくある質問に対してQ&A方式で回答します。

AMH検査は男性不妊の評価にも使用できるの?

AMH検査は主に女性の卵巣予備能評価に用いられますが、男性の生殖機能評価にも潜在的な役割があります。男性のAMHは精巣のセルトリ細胞*で産生され、精子形成に関与しています。

AMHは男性の健康状態全般と関連している可能性があります。

  • 生殖機能
    AMH値は精子の質や量と相関する可能性があり、精子形成障害や停留精巣などの早期発見に役立つ可能性がある
  • 全身の健康指標
    高齢男性のAMH値が心血管イベントや大動脈瘤のリスク、さらには全死亡率と逆相関することが示唆されている

男性不妊の評価におけるAMH検査の臨床的有用性はまだ確立されていません。現在の標準的な男性不妊評価には、精液検査や他のホルモン検査が用いられています。

*セルトリ細胞とは、精巣の精細管内に存在する大型の細胞で、精子形成をサポートする役割を担っています。

経口避妊薬(ピル)の使用はAMH値に影響を与えるの?

ピルを使うと、AMH値に一時的な影響が出ることがあります。ピルを使っている間にAMH検査をすると、本当の卵巣の力(卵巣予備能)が低く見えることがあります。そのため、検査結果を見るときは、ピルを使っているかどうかを考えることが大事です。

ピルをやめるとAMH値がもとに戻ることがあります。赤ちゃんが欲しいと思っている人は、ピルをやめてから少し時間を置いてAMH検査を受けると、もっと正しい結果がわかるかもしれません。

AMH検査は早期閉経のリスクを予測できるの?

AMH検査は、早期閉経のリスクを知るのに役立つ検査の一つですが、確実に予測するのは難しいです。そのため、他にもいろいろな方法を使って調べる必要があります。医師が詳しく話を聞いたり、体の状態を調べたり、他のホルモン検査(FSHやエストラジオールなど)をします。

超音波検査で卵巣の状態を確認することもあります。さらに、遺伝子検査や家族の病歴を詳しく調べることで、リスクをより正確に知ることができます。

まとめ

AMH検査は卵巣予備能を評価するうえで有用な検査ですが、結果の解釈には注意が必要です。AMH値は卵子の数の目安にはなりますが、質を直接示すものではありません。AMH値が低くても妊娠の可能性がなくなるわけではないので、過度な不安はいりません。

AMH検査の結果は、年齢や他の検査結果と併せて総合的に判断することが重要です。AMH検査は、あなたに合った治療法やライフプランを考えるための一つの情報として活用しましょう。医師とよく相談し、適切な判断につなげることが大切です。

参考文献

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