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妊娠初期のおりものの色や量などを解説|生理前のおりものとの違いも紹介

公開日:2024.08.29
更新日:2024.08.29

新しい命を授かった喜びと同時に、体の変化に戸惑うことも多い妊娠初期。 特におりものの変化は多くの妊婦さんが経験するものです。妊娠初期のおりものは、赤ちゃんを守る“ボディガード”のような重要な役割を担っています。しかし、ホルモンの影響で量や状態が変化しやすく、不安に思う方もいるでしょう。

本記事では、妊娠初期のおりものの役割や変化、正常・異常なおりものの特徴、よくある不安の解消方法、生活習慣や食事のアドバイスなどについて解説します。妊娠初期の方やこれから妊娠を考えている方は、安心して妊娠生活を送るために参考にしてみてください。

おりものについて網羅的に知りたい方は以下の記事をぜひご覧ください。

>>おりものとは?おりものの色でわかる健康状態や注意すべきおりものの特徴を解説

妊娠初期のおりものの役割と変化

妊娠初期は赤ちゃんがお母さんの体の中で、一生懸命に命をつなごうとする大切な時期です。妊娠初期の妊婦さんの体は、ホルモンバランスが大きく変化し、赤ちゃんを守り育むための準備を着々と進めています。ホルモンバランスの変化の一つとして、おりものの量や状態が変化することがあります。

妊娠初期のおりものは、赤ちゃんを守るために重要な役割を担う

妊娠初期のおりものは、外部から細菌やウイルスが侵入しないように、膣内を酸性に保ち、赤ちゃんを守っています。

お母さんの体を守る免疫システムは、風邪ウイルスなどの外敵が体内に入ると、撃退しようと働くのが特徴です。妊娠初期には、赤ちゃんを異物と認識しないように、免疫システムの働きが少しだけ抑えられています。そのため、外部からの感染を防ぐおりものの役割が、より一層重要になるのです。

おりものが増えることで、膣内は常に洗い流され、清潔な状態が保たれます。おりものは赤ちゃんを危険から守るための、お母さんの体の重要な仕組みです。

ホルモンの影響でおりものが増加する

妊娠すると「エストロゲン」という女性ホルモンの分泌が盛んになります。エストロゲンは、子宮内膜を厚くして受精卵が着床しやすい環境を整えたり、妊娠を維持したりするなど、妊娠には欠かせないホルモンです。

エストロゲンには、おりものの分泌を促進する働きもあるため、妊娠初期にはおりものの量が増加する傾向があります。個人差はありますが、普段の下着では追いつかないと感じる方もいるかもしれません。

おりものの増加は、妊娠が順調に進んでいるサインの一つと言えます。妊娠初期のおりものは、子宮頸管から分泌される「頸管粘液」が増加するため、水っぽいサラサラとした状態になることが多いです。

妊娠初期のおりものの変化が起こる時期

妊娠初期のおりものの変化は、個人差がありますが、早い方だと生理予定日前後から現れ始めます。生理予定日は妊娠4週目にあたり、ちょうど受精卵が子宮内膜に着床する時期です。着床が成功するとさらにホルモンバランスが変化し、おりものの量が増えます。おりものの状態は、水っぽい、少し粘り気があるなど人それぞれです。

妊娠初期のおりものの正常・異常パターン

妊娠初期に見られる正常なおりものと異常なおりものの特徴について詳しく解説します。妊娠初期のおりものは、ホルモンバランスの変化によって量や状態が変化しやすくなります。ご自身の状態と照らし合わせて確認してみましょう。

正常なおりものの特徴|量・色・におい

妊娠初期に増加するホルモンの影響で、おりものの量が増えることはよくあります。妊娠初期の正常なおりものは、一般的に下記のような特徴があります。

おりものの量

  • 妊娠前よりも量が増える
  • 下着が湿る程度
  • ナプキンがすぐにいっぱいになるほどの量ではない

妊娠初期はおりものの量が増加します。

おりものの色

  • 無色透明
  • 白っぽい
  • 少し黄色っぽい

健康な状態の妊娠初期のおりものは、膣内の古い細胞や粘液などを含んでいるため、無色透明や白っぽい色です。おりものに少し黄色みがかって見える場合は、おりものに含まれる成分や、下着への付着時間などによって色が変化しています。しかし、鮮やかな黄色や緑色がかったおりものは、感染症などのサインである可能性があるため注意が必要です。

おりもののにおい

  • 無臭
  • ヨーグルトのような少し酸っぱいにおい
  • 生理前のような鉄臭いにおいではない

正常なおりものはほとんどにおいがないか、ヨーグルトのような酸っぱいにおいがする場合があります。おりものに含まれる乳酸菌の働きによって、膣内が弱酸性に保たれているためです。

しかし、おりものに生魚のような生臭いにおいや、チーズのようなにおい、カビ臭いにおいなどがする場合は、膣内環境が悪化している可能性があります。その場合は、膣炎などの感染症の可能性も考えられるため、医療機関への受診をおすすめします。

おりものの例

妊娠初期は子宮頸管から分泌される「頸管粘液」の量が増加するため、生卵の白身のような、少し粘り気のあるおりものが出ることがあります。頸管粘液は、精子が子宮内へスムーズに移動できるようサポートする役割があります。

異常なおりものの特徴|量・色・におい|おりものの異常とその他の病気との見分け方

正常なおりものとは異なる量や色、におい、かゆみ、痛みがみられる場合は注意が必要です。膣の感染症やその他の病気が隠れているサインかもしれません。

おりものの量

  • 極端に量が多い
  • 逆に出血のように少ない

妊娠初期はホルモンバランスが大きく変化するため、おりものの量が増えやすい時期ではありますが、極端に量が多い場合は注意が必要です。下着を何度も取り替えないといけない、おりものシートがすぐにびっしょりしてしまう、といった場合は異常と言えます。

おりものの量が極端に少ない、または全くないという場合も注意が必要です。おりものは、膣内を清潔に保ち、細菌の感染を防ぐ役割があるため、おりものの量が極端に少ないと、細菌感染のリスクが高まります。

おりものの色

  • ピンク色や茶色っぽいおりもの(着床出血の可能性もあり、出血が続く場合は注意が必要)
  • 緑色や黄色の膿のようなおりもの
  • 灰色っぽいおりもの

妊娠初期には着床出血と呼ばれる、少量の出血が起こることがあります。着床出血は、受精卵が子宮内膜に着床する際に起こる出血で、ピンク色や茶色っぽいおりものとして現れます。着床出血は、妊娠初期に起こる一般的な現象であり、心配する必要はありません。

しかし、出血が長期間続いたり、鮮血の量が多かったりする場合は、流産の可能性も考えられるため注意が必要です。おりものが緑色や黄色っぽい膿のような場合は細菌感染症、灰色っぽい場合はトリコモナス膣炎の可能性があります。

おりもののにおい

  • 生臭い
  • カビ臭い
  • 腐敗臭

正常なおりものはほとんどにおいがないか、ヨーグルトのような酸っぱいにおいがする場合があります。おりものに生魚のような生臭いにおいがする場合は、細菌性膣症の可能性が高いです。カビ臭いにおいや、腐敗臭のような悪臭がする場合は、膣トリコモナス症などの感染症も考えられます。

おりものの状態

  • 泡が多い
  • 酒粕状のおりもの

おりものに泡が多く含まれている場合は、トリコモナス膣炎の可能性があります。トリコモナス膣炎は、性感染症の一つで、おりものの変化のほか、外陰部のかゆみなどの症状が現れることがあります。

おりものが酒粕状になっている場合は、カンジダ膣炎の可能性が高いです。カンジダ膣炎は、カンジダ菌というカビの一種が膣内で異常に増殖することで起こる感染症です。おりものの変化のほか、外陰部のかゆみや痛みなどの症状が現れることがあります。

その他

  • 外陰部のかゆみ
  • 外陰部の痛み
  • 排尿時の痛み
  • 下腹部の痛み
  • 発熱

おりものの異常以外に、外陰部のかゆみや外陰部の痛み、排尿時の痛み、下腹部の痛み、発熱などの症状が現れる場合は、膣炎や性感染症、膀胱炎などの可能性があります。放置すると重症化する可能性もあるので、早期に医療機関を受診しましょう。

異常なおりものが出てきたら産婦人科を受診しましょう

妊娠初期に異常なおりものに気づいたら、自己判断せずに、産婦人科を受診しましょう。自己判断で市販薬を使用したり、放置したりするのは大変危険です。妊娠週数が進むと使用できない薬もありますので、早期の受診が安心につながります。

産婦人科ではおりものの検査を行い、原因を特定します。原因に応じて適切な治療が受けられると、安心して妊娠生活を送ることが可能です。異常を感じたら一人で悩まず、医師に相談してください。

妊娠初期のおりものにまつわるよくある不安

ここで、妊娠初期のおりものにまつわるよくある不安をお話しします。不安を解消して安心した妊娠生活を送れるようにしましょう。

妊娠初期のおりものの変化による不安を解消

妊娠初期には、ホルモンバランスの変化によっておりものの量が増加します。赤ちゃんを守るために、おりものが膣内を清潔に保とうとしています。おりものの量や色、においがいつもと違う場合は、注意が必要です。

おりものがいつもより極端に多く、下着が湿ってしまうほど水っぽいおりものが続く場合は、感染症などの可能性も考えられます。おりものにいつもと違う色や、においがある場合も注意が必要です。おりものが緑色や黄色っぽい膿のような場合は、細菌感染症の可能性があります。

妊娠初期は、赤ちゃんを守るために免疫力が低下しやすく、おりものの異常にも気づきにくいことがあります。自分では「大丈夫」と思っていても、実際には治療が必要な状態である場合もあるのです。

妊娠初期のおりものに良い生活習慣

妊娠初期のおりものの変化は、ホルモンバランスの変化によるものがほとんどです。生活習慣の乱れによって、おりものの状態が悪化したり、感染症のリスクが高まったりすることもあります。妊娠初期は、赤ちゃんを守るためにも、健康的な生活習慣を心がけましょう。妊娠初期に心がけたい生活習慣は以下の点が挙げられます。

  • 清潔な下着を着用する: 通気性の良い綿素材の下着を選び、毎日交換しましょう。
  • 外陰部を清潔に保つ: 石鹸を使いすぎず、ぬるま湯で優しく洗いましょう。ゴシゴシと強く洗ってしまうと、デリケートな部分の粘膜を傷つけてしまい、かえって細菌感染のリスクを高めてしまう可能性があります。
  • トイレの後、前から後ろに拭く: 肛門周囲の細菌が膣に侵入するのを防ぎます。
  • おりものシートをこまめに交換する: おりものシートは、通気性の良いものを選び、こまめに交換しましょう。おりものシートを長時間使用していると蒸れて、細菌が繁殖しやすい環境を作ってしまいます。
  • 睡眠を十分にとる: 睡眠不足は免疫力低下につながり、おりものの異常のリスクを高める可能性があります。
  • ストレスをため込まない: リラックスできる時間をつくり、ストレスを解消しましょう。ストレスは自律神経のバランスを崩し、免疫力を低下させる原因となります。

妊娠初期のおりものに良い食事

妊娠初期の食生活は、赤ちゃんがお腹の中で元気に育つためやママ自身の健康を維持するためにもとても大切です。バランスの取れた食事を心がけることは、おりものの状態を整えるだけでなく、妊娠中のさまざまなトラブル予防にもつながります。妊娠初期におすすめの栄養素は以下が挙げられます。

  1. 葉酸: 細胞分裂や成長を助ける働きがあり、妊娠初期に重要な栄養素です。葉酸は、赤ちゃんが先天性異常を持つリスクを減らすためにも重要な栄養素です。ほうれん草やブロッコリー、いちごなどに多く含まれています。
  2. 鉄分: 赤血球の生成を助け、貧血予防に役立ちます。鉄分が不足すると、貧血を引き起こし、疲れやすくなったり、動悸がしたり、息切れすることがあります。レバーやひじき、小松菜などに多いです。
  3. カルシウム: 赤ちゃんの骨や歯の形成に必要な栄養素です。カルシウムが不足すると、骨粗鬆症のリスクが高まります。牛乳やヨーグルト、チーズなどに多く含まれています。
  4. ビタミンD: カルシウムの吸収を助ける働きがあります。ビタミンDが不足すると、カルシウムの吸収が悪くなり、骨や歯の発育に影響が出やすいです。鮭やまぐろ、しいたけなどに多く含まれています。

妊娠初期はつわりなどで食欲が低下しやすい時期ですが、できるだけバランスの取れた食事を心がけましょう。水分不足はおりものの量を減らし、細菌感染のリスクを高める可能性があるので、こまめな水分補給も大切です。水分は体内の老廃物を排出したり、体温調節をしたりするなど、さまざまな役割を担っています。

まとめ

妊娠初期には、ホルモンバランスの変化によっておりものの量や状態が変化するのが特徴です。妊娠初期の正常なおりものは無色透明や白っぽい色で、ヨーグルトのような酸っぱいにおいがする場合があります。

おりものの量が極端に多い場合や、生臭い、カビ臭い、腐敗臭がする場合は、異常なおりものの可能性があります。異常なおりものは、感染症などのサインである場合があるので、自己判断せずに産婦人科を受診しましょう。

神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、おりものをはじめとした女性の悩みに強みを持つクリニックです。専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。

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参考文献

The role of nuclear factor erythroid 2-related factor 2 (NRF2) in normal and pathological pregnancy: A systematic review

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