
生理前のおりもの変化の意味!正常と異常の見分け方
公開日:2025.04.20更新日:2025.04.20
生理前、おりものの変化に気づいて不安になったことはありませんか?婦人科系の疾患は多くの女性が経験するものです。健康管理のためにも、正常なおりものと異常なおりものの違いを知っておくことが重要です。
本記事は以下について解説します。
- 生理前のおりものの変化
- 生理前おりものの異常サイン
- セルフチェックとデリケートゾーンのケア
- 婦人科を受診するときに知っておきたいこと
この記事を読むことで、自分の身体の変化や必要に応じた対応について理解でき、健康管理に役立ちます。
神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、おりものをはじめとした、あらゆる婦人科疾患の悩みに強みを持つクリニックです。専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。
生理前のおりものの変化
生理前はおりものの変化がありますが、自然な身体の変化によるものなので、過度に心配する必要はありません。中には病気のサインである可能性があるので、正常なおりものと異常なおりものを知っておくことが大切です。生理前のおりものについて、以下のことを解説します。
- おりものが増える理由
- 正常なおりものの目安
- 生理周期とおりものの違い
- 妊娠初期のおりものの特徴
おりものが増える理由
おりものが増える理由は、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの働きによって起こります。ホルモンが生理周期の調整に重要な役割を果たしています。生理前には、プロゲステロンというホルモンの分泌が増加します。プロゲステロンは、子宮内膜をやわらかくフカフカにして、受精卵が着床しやすいように準備する役割を担っています。
正常なおりものの目安
おりものの状態には個人差がありますが、以下の点を参考に日々の変化を見逃さないことが大切です。正常なおりものの状態は、以下のとおりです。
- 色:透明や白、またはクリーム色
- 量:おりものシート1〜2枚で足りる程度
- におい:少し酸っぱいにおい
- 他の症状:かゆみや痛みはないのが一般的
以下の変化がある場合は、感染症や婦人科系の疾患が隠れている可能性があります。異常なおりものの状態は、以下のとおりです。
- 色:黄色や緑色、灰色、茶色、ピンクなどの色が混ざっている
- 量:おりものシートで足りず、夜用ナプキンが必要になる
- におい:生臭く腐ったにおいがある
- 他の症状:デリケートゾーンの強いかゆみやヒリヒリした痛みや熱っぽさを感じる
少しでも気になることがあれば、自己判断せずに婦人科を受診しましょう。
中でも「黄色のおりもの」が見られる場合は、感染症や炎症など何らかの異常が隠れている可能性があります。以下の記事では、黄色いおりものの具体的な原因や、症状別にとるべき対処法について詳しく解説していますので、参考にしてください。
>>黄色のおりもの、放置は危険?原因と症状別の対処法を解説
生理周期とおりものの違い
おりものの状態はホルモンバランスの変化に伴って変化していきます。生理周期とおりものの状態は以下のとおりです。
- 生理直後:量は少なく、さらっとしている
- 排卵期:量が増え、透明で水に似た質感
- 生理前:やや量が減り、白く濁って粘り気がある
生理周期とおりものの変化を理解しておくと、毎月の変化にも落ち着いて対応できます。2015の研究では、月経前症候群(PMS)は生殖年齢の女性の約30~40%に見られると報告されています。PMSは黄体期に症状が現れ、月経後数日以内に消失する中等度から重度の再発性の症状を特徴とするものです。
症状が重く日常生活に支障をきたす場合は月経前不快気分障害(PMDD)と呼ばれ、全体の約3~8%に発症するとされています。ホルモン変化や神経伝達物質への感受性が関係している可能性が指摘されています。
妊娠初期のおりものの特徴
妊娠初期のおりものの特徴は、妊娠によるホルモンバランスの変化が原因で、おりものの量が増えることがあります。白っぽく、やや濁ったクリーム状のものが増える傾向があります。おりものの変化だけで妊娠しているかどうかは判断できません。
市販の妊娠検査薬を使用するか、医療機関を受診して検査を受けるようにしましょう。
妊娠初期のおりものは、生理前のおりものと似ている部分もあり、違いが気になる方も多いです。以下の記事では、妊娠初期に見られるおりものの特徴や色、量の変化、そして生理前との見分け方について詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
>>妊娠初期のおりものの色や量などを解説|生理前のおりものとの違いも紹介
生理前おりものの異常サイン
生理前おりものの異常サインは以下のとおりです。
- カンジダ膣炎
- 細菌性腟炎
カンジダ膣炎(かゆみと白いポロポロおりもの)
カンジダ膣炎は、カンジダというカビの一種が膣内で過剰に増殖することで引き起こされる感染症です。かゆみを伴う白いおりものが特徴で、白くて粘り気が強く、ポロポロとした状態になることが多いです。外陰部の強いかゆみに加えて、おりものの性状の変化にも注意が必要です。膣や外陰部にヒリヒリ感や灼熱感を覚えることもあります。
カンジダ膣炎は、性行為によって感染するケースもありますが、過労やストレス、睡眠不足、抗生物質の使用によって抵抗力の低下により発症しやすくなります。
白いおりものがすべて異常というわけではなく、正常なおりものとの違いを見極めることが大切です。以下の記事では、健康なおりものの特徴と異常サインの見分け方について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
>>白いおりものの正体とは?健康な状態と異常サインの違い
細菌性膣症(においや色の変化)
細菌性膣症は、膣内環境のバランスが崩れ、特定の細菌が過剰に増殖することで引き起こされる感染症です。正常な状態では、膣内には善玉菌と悪玉菌が共存し、バランスを保っています。バランスが崩れると、悪玉菌が増殖し、細菌性膣症を発症します。
おりものの色やにおいの変化が主な特徴です。おりものは灰色っぽい、水っぽい状態になり、魚が腐ったような独特の生臭さがあります。かゆみなどの自覚症状がない場合もありますが、放置すると外陰部の炎症を起こす可能性があります。
セルフチェックとデリケートゾーンのケア
ご自身でできるセルフチェックの方法とデリケートゾーンの正しいケア方法として、以下の3つを解説します。
- おりもののセルフチェック方法
- 下着と生理用品の選び方
- 正しい洗い方と注意点
おりもののセルフチェック方法
おりもののセルフチェックは、毎日の健康管理に大切です。定期的なチェックにより、ご自身の身体の変化に気づきやすくなり、異常がある場合には早期発見・早期治療につながる可能性があります。タイミングは、入浴後やトイレに行った際にチェックしましょう。
生理周期との関連で変化を記録しておくと、ご自身の体調の変化について理解を深める参考になります。普段のおりものの量を知っておくことが大切です。注意が必要なのは、夜用ナプキンが必要になるほど多く、下着がすぐに汚れてしまう場合です。色やにおい、かゆみや痛みがないかを確認しましょう。
排尿時や性交時に痛みを感じる場合は、医療機関の受診をおすすめします。おりもののセルフチェックは、あくまで目安です。自己判断せずに婦人科を受診することをおすすめします。強いにおいやかゆみ、痛みを伴う場合は、早めに受診が大切です。
下着と生理用品の選び方
デリケートゾーンの健康を保つためには、下着と生理用品の選び方も重要です。適切なものを選ぶことで、不快感やトラブルを予防し、快適に過ごせます。
通気性の良い素材の下着を選ぶことで、ムレを防ぎ、かぶれやかゆみの予防になります。ポリエステルなどの通気性が悪い素材は、湿気がこもりやすく肌トラブルの原因になることもあります。
身体にぴったり合ったサイズの下着を選ぶことも大切です。締め付けが強い下着は血行を妨げ、摩擦によって肌が刺激されやすくなります。色にも配慮しましょう。白や淡い色の下着は、おりものや経血などの体調の変化に気づきやすいというメリットがあります。
生理用品の選び方は以下のとおりです。
- ナプキンは経血量に合ったものをつける
- タンポンを正しく使う
自分の経血量に合った吸収力のナプキンを選ぶことで、漏れやムレ、不快感を減らすことができます。多い日には夜用や多い日用のナプキンを、少ない日には薄めのタイプを使うのがおすすめです。
タンポンを使う場合は、必ず製品の説明書を読んで、使用方法や注意点を守りましょう。誤った使い方は不快感や感染症のリスクを高めてしまう可能性があります。
正しい洗い方と注意点
デリケートゾーンは、とても敏感な部分です。正しい洗い方を知り、清潔に保ちましょう。適切なケアを行うことで、かゆみや炎症、感染症などのトラブルを予防できます。洗い方の手順は以下のとおりです。
- よく泡立てた石鹸で、外陰部をやさしく洗う
- ぬるま湯で丁寧に洗い流す
- 清潔なタオルで、優しく押さえるように水分を拭き取る
膣内洗浄は、必要な常在菌まで洗い流してしまう可能性があるため、洗い流す必要はありません。香料や着色料の入った石鹸は、刺激が強いため、使用を控えましょう。生理中は、経血で汚れやすいため、いつも以上に清潔に保つようにしてください。
生理前のおりものの変化は、人それぞれです。自分の身体と向き合い、変化に気づけるようにしましょう。
婦人科を受診するときに知っておきたいこと
婦人科を受診するときに知っておきたいこととして、以下の3つを解説します。
- 受診すべき症状の目安
- 婦人科の選び方
- 診察の流れと費用感
受診すべき症状の目安
生理前のおりものの変化は、多くの場合、正常な生理現象です。病気が隠れていることがあり、自己判断は禁物です。婦人科を受診する症状の目安は以下のとおりです。
- おりものの量が極端に変化したとき
- おりものの色に異変を感じたとき
- においがいつもと違うとき
- おりものの質感が変わったとき
- かゆみがあるとき
- 痛みを感じるとき
- 生理以外の出血があるとき
発熱や倦怠感、排尿痛も感染症や他の病気を併発している可能性があります。症状が続く場合は、自己判断せず、早めに婦人科を受診しましょう。
月経周期の障害や月経前症候群月経困難症などの症状がある場合は、婦人科で適切な診断と治療を受けることが重要です。放置すると不妊症などの合併症を引き起こす可能性もあります。
2023年の研究では、女性アスリートにおいて月経周期の障害が一般的であることが報告されており、中でも月経困難症の有病率が高いことが示されています。
特に「生理以外の出血(不正出血)」がある場合は、注意が必要です。以下の記事では、不正出血の原因や生理との違い、婦人科を受診する目安について詳しく解説していますので、不安な方はチェックしてみてください。
>>不正出血を放置しないで!原因や生理との違い、受診の目安まで徹底解説
婦人科の選び方
婦人科を選ぶ際のポイントは以下のとおりです。
- 女医さんがいるかどうか
- 口コミや評判
- 診療時間
- アクセス
- 専門分野
- 院内の雰囲気
自分に合った婦人科を見つけることが、安心して治療を受ける第一歩です。
診察の流れと費用感
婦人科の診察は、一般的に以下の流れで行われます。
- 問診票の記入:現在の症状や過去の病歴、生理周期、最終月経開始日などを書く
- 問診:医師が問診票の内容をもとに、詳しく症状について質問する
- 内診:内診台に上がり、医師が膣や子宮の状態を診察する
- 検査:必要に応じて、おりもの検査や血液検査、超音波検査、細胞診などを行う
- 診断と治療:検査結果をもとに、医師が診断を行い、適切な治療法を説明する
費用の目安としては、初診料が2,000~3,000円程度、再診料が1,000~2,000円程度です。検査や治療の内容によっては、さらに費用がかかる場合があります。健康保険が適用される場合もありますが、適用されない検査や治療もありますので、事前に確認しておくと安心です。
まとめ
生理前のおりものの変化は気になる方も多いですが、自分の身体を知り、変化に気づくことが大切です。少しでも違和感がある場合は、婦人科に相談しましょう。
安心して受診できるよう、受診の目安や婦人科の選び方、診察の流れなども紹介していますので、ぜひ参考にして、健やかな毎日を送りましょう。
以下の記事では、おりものの基本的な知識から、色や状態による健康の見分け方まで丁寧に解説していますので、ぜひご覧ください。
>>おりものとは?おりものの色でわかる健康状態や注意すべきおりものの特徴を解説
参考文献
- Aeli Ryu, Tae-Hee Kim.Premenstrual syndrome: A mini review.Maturitas,2015,82,4,p.436-440
- Bernadette Cherianne Taim, Ciarán Ó Catháin, Michèle Renard, Kirsty Jayne Elliott-Sale, Sharon Madigan, Niamh Ní Chéilleachair.The Prevalence of Menstrual Cycle Disorders and Menstrual Cycle-Related Symptoms in Female Athletes: A Systematic Literature Review.Sports Med,2023,53,10,p.1963-1984