子宮筋腫と診断されたらやってはいけないこと|性行為の影響も丁寧に解説
公開日:2024.09.29更新日:2024.09.30
「子宮筋腫と診断されたけれど、これからどうなるんだろう…」と不安を抱えていませんか?子宮筋腫は良性の腫瘍で、多くの場合は経過観察になることが多い病気です。
放っておくと症状が悪化したり、筋腫が大きくなったりする可能性もあります。この記事では、子宮筋腫と診断されたら控えるべき生活習慣や、症状を和らげるための食事などについて解説しています。 安心して治療に臨めるよう、一緒に見ていきましょう。
神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、子宮筋腫の診療に強みを持つクリニックです。専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。
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子宮筋腫と診断されたらやってはいけない4つのこと
子宮筋腫は良性の腫瘍ですが、生活習慣によっては筋腫が大きくなる可能性もあります。子宮筋腫と診断されたらやってはいけない4つのことは以下のとおりです。
- 過度な運動や激しい運動
- アルコールの過剰摂取
- アンバランスで偏った食事
- ストレスがたまる生活
子宮筋腫と診断されたら控えたほうが良い生活習慣を解説します。
過度な運動や激しい運動
子宮筋腫と診断された場合、過度な運動や激しい運動は控えましょう。軽い運動は健康維持に良いですが、激しい運動は体に大きな負担をかけます。子宮や腹部に強い衝撃が加わるような運動は、子宮筋腫の増大や出血のリスクを高めます。
以下の運動は控えましょう。
- フルマラソンやトライアスロン: 長時間走り続けることで、子宮や腹部に負担がかかりやすくなります。
- 激しい筋トレ: 腹筋運動などの腹部に力が入る運動は、子宮に負担をかける可能性があります。
- ボクシングやキックボクシング: 腹部への衝撃が強く、子宮筋腫だけでなく、他の臓器にも悪影響を与える可能性があります。
軽い運動を日常的に取り入れることは、血行促進やストレス軽減に効果が期待できます。ウォーキングやヨガ、ストレッチなど、無理のない範囲で体を動かしましょう。運動する際には、医師に相談して、自分の体に合う運動かどうかを確認してください。
アルコールの過剰摂取
アルコールは、子宮筋腫に限らず、健康全般に悪影響を及ぼす可能性があります。過度な飲酒は、女性ホルモンのバランスを乱し、子宮筋腫の成長を促す可能性があると言われています。
アルコールは、肝臓で分解される際に、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分解を阻害する可能性があります。エストロゲンは、子宮筋腫の増殖を促すホルモンであるため、アルコール摂取は子宮筋腫の増大リスクを高めやすいです。
アルコールは、肝臓にも負担がかかります。肝臓の働きが弱まると、女性ホルモンの代謝がうまくいかなくなり、子宮筋腫の増大リスクが高まる可能性も考えられます。楽しいお酒の席では、飲み過ぎてしまいがちですが、子宮筋腫と診断された後は、適量を心がけましょう。
アンバランスで偏った食事
子宮筋腫の発生や増大には、女性ホルモンのエストロゲンが関わっていると考えられています。エストロゲンは、脂肪細胞でも作られるため、肥満の方は注意が必要です。バランスの取れた食事を心がけ、肥満にならないように体重管理が大切です。
食事は、私たちの体を作るために必要な栄養素を摂取する大切なものです。
野菜や海藻、きのこなど、食物繊維が豊富な食品を積極的に摂りましょう。大豆製品に含まれるイソフラボンは、エストロゲンと似た働きをする一方で、エストロゲンの働きを抑制する作用も持ち合わせています。
豆類や魚、肉など、良質なタンパク質も摂りましょう。インスタント食品や加工食品、甘いものなどは、脂肪分や糖分が多い傾向なので、食べ過ぎには注意しましょう。
ストレスがたまる生活
ストレスは、自律神経のバランスを乱し、ホルモンバランスにも影響を与える可能性があります。子宮筋腫の発生や増大のリスクを減らすためには、ストレスを溜め込まない生活を心がけましょう。
ストレスを感じやすい環境や性格は人それぞれ異なるように、適切なストレス解消法も人それぞれです。ストレスを解消するには、以下のような方法があります。
- 趣味を楽しむ
- 十分な睡眠をとる
- 旅行に行く
- 友人と話す
- アロマテラピーを行う
- メディテーションやヨガなどで、心身のリラックスを促す
自分に合ったストレス解消法を見つけ、心身ともにリラックスできる時間を作りましょう。
他にも、定期的な検診を受けることが大切です。早期発見・早期治療にもつながります。子宮頸がん検診などの機会に、子宮の状態も確認してもらいましょう。子宮筋腫の有無だけでなく、子宮の状態を把握し、早期に適切な対応ができます。気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
子宮筋腫と性生活:気になる疑問を解決
子宮筋腫と診断されると、性生活に影響があるのか、不安に感じる方もいるのではないでしょうか。子宮筋腫は性生活に大きな影響はないですが、筋腫の場所や大きさによっては、性交痛や出血、妊娠への影響など、注意が必要です。
子宮筋腫と診断された後、性生活において気になる疑問を解説します。
性行為はしても大丈夫?
子宮筋腫と診断されても、多くの場合は性行為に問題はありません。子宮筋腫は以下の3種類があります。
- 粘膜下筋腫:子宮の内側に向かって大きくなる
- 筋層内筋腫:子宮の筋肉の中にできる
- 漿膜下筋腫:子宮の外側に向かって大きくなる
上記で性行為に影響が出やすいのは、子宮口近くの子宮内腔にできる「粘膜下筋腫」や、子宮の入り口「子宮頸部」の筋腫です。性行為の際に物理的な刺激を受けやすく、痛みを感じやすくなります。筋腫が大きくなると、子宮全体の形が変わることで、性交痛を感じやすいです。
性行為中に「いつもと違う違和感がある」「痛みを感じる」場合には、我慢せずにパートナーに伝えましょう。
妊娠への影響はあるの?
子宮筋腫は、妊娠に影響を与えることがあります。子宮の内腔にできる「粘膜下筋腫」は、受精卵の着床を妨げ、妊娠しにくくなる可能性があります。妊娠中に子宮筋腫が大きくなると、子宮内の空間が狭くなり、赤ちゃんが成長しにくいです。結果、流産や早産のリスクが高まる可能性があります。
しかし、子宮筋腫があるからといって、必ずしも妊娠・出産ができないわけではありません。子宮筋腫があっても、無事に妊娠・出産されている方は多くいらっしゃいます。妊娠を希望する場合は、事前に婦人科を受診し、子宮筋腫の状態や妊娠・出産のリスクについて、医師に相談しましょう。
避妊は必要?
子宮筋腫がある場合でも、妊娠を希望しない場合は、避妊は必要です。避妊方法は、大きく分けて「ホルモン剤を使用する方法」と「ホルモン剤を使用しない方法(バリア避妊法など)」の2種類があります。
一般的に、子宮筋腫がある場合は、ホルモン剤の影響で筋腫が大きくなりやすいので注意が必要です。子宮筋腫への影響が少ないと考えられているホルモン剤もありますが、自己判断で使用せず、必ず医師に相談のうえ、避妊方法を選びましょう。
出血や痛みが気になる場合は?
子宮筋腫があると、過多月経や不正出血、下腹部痛などの症状が現れることがあります。子宮筋腫によって月経の量が増えたり、月経周期が不規則になったりすることがあります。子宮筋腫が大きくなると、周囲の臓器を圧迫し、痛みを感じやすくなる場合もあります。
症状が重い場合は、無理をせず、性行為を控えましょう。我慢せずに、婦人科を受診し、医師に相談してください。出血や痛みを抑える薬を処方してもらうことで、症状を和らげられます。子宮筋腫の症状が重い場合や、将来の妊娠を希望する場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
子宮筋腫の治療法:自分に合った選択肢を見つけよう
子宮筋腫の治療法について、具体的に解説します。
薬物療法で症状を和らげる
子宮筋腫の治療法には、大きく分けて「薬物療法」と「手術療法」の二つがあります。薬物療法は、手術をせずに薬で子宮筋腫の症状を和らげる方法です。毎月の生理がつらくて鎮痛剤が手放せない方には、鎮痛剤を処方することで痛みを軽減できます。
「立ちくらみがする」「息切れがする」といった症状があり、貧血と診断された場合には、鉄剤を処方して貧血の改善を図ります。最近では、子宮筋腫の原因になる女性ホルモンの働きを抑える薬や、筋腫を小さくする薬も登場しています。
子宮筋腫に関連する薬の種類や効果、副作用は以下のとおりです。
薬の種類 | 効果 | 副作用 |
鎮痛剤 | 生理痛などの痛みを抑える | 胃痛、吐き気など |
鉄剤 | 貧血を改善する | 便秘、吐き気など |
女性ホルモンを抑える薬(GnRHアゴニスト) | 生理を止め、筋腫を小さくする | 更年期障害のような症状(のぼせ、ほてりなど) |
エラグリックス | 月経過多を改善する | ほてり、骨密度の減少など |
エラグリックスは、月経過多を改善する効果が期待できる一方で、ほてりや骨密度の減少などの副作用が現れる可能性があります。
子宮筋腫を小さくする治療法
子宮筋腫を小さくする治療法には、主に「子宮動脈塞栓術(UAE)」と「集束超音波治療(FUS)」があります。子宮動脈塞栓術(UAE)は、足の付け根の血管からカテーテルという細い管を入れて、子宮筋腫に栄養を送っている血管を塞ぐ治療法です。
子宮筋腫に栄養がいかなくなることで、筋腫は徐々に縮んでいきます。集束超音波治療(FUS)は、MRIで子宮筋腫の位置を確認しながら、ピンポイントに超音波を当てて、筋腫の細胞を壊死させる治療法です。
UAEもFUSも、お腹を切らずに治療できますが、治療後の痛みや合併症のリスクなどもあるため、医師とよく相談して治療法を選びましょう。
子宮を温存する手術と子宮を摘出する手術
子宮筋腫の手術には、大きく分けて「子宮を温存する手術」と「子宮を摘出する手術」の2つがあります。子宮を温存する手術は「子宮筋腫核出術」とも呼ばれ、子宮を残したい、将来妊娠を希望する方などに適応されます。
子宮を摘出する手術は「子宮全摘術」と呼ばれ、子宮筋腫の症状が重い場合や、再発のリスクが高い場合などに選択されます。子宮を摘出する手術には「腹式子宮全摘術」「膣式子宮全摘術」「腹腔鏡下子宮全摘術」などがあります。
まとめ
子宮筋腫と診断されても、過度な運動や飲酒を控え、バランスの取れた食事とストレス軽減を心がけることで、症状が悪化するリスクを抑えられます。子宮筋腫は良性腫瘍ですが、放置すると過多月経や腹痛、貧血などの症状を引き起こす可能性があり、妊娠への影響も考えられます。
定期的な検診で早期発見・早期治療に努め、気になる症状があれば婦人科医に相談しましょう。
子宮筋腫は女性ホルモンの変化も大きく関わっています。ピルや性行為との関係についても解説しているので、以下の記事をぜひご覧ください。
>>子宮筋腫の原因は女性ホルモンの変化?ピルや性行為との関係についてもわかりやすく解説
参考文献
Muhammad J, Yusof Y, Ahmad I, Norhayati MN. Elagolix treatment in women with heavy menstrual bleeding associated with uterine fibroid: a systematic review and meta-analysis. BMC women’s health 22, no. 1 (2022): 14.