
妊娠の確率を上げるための基礎知識!年齢や生活習慣が与える影響とは
公開日:2025.02.26更新日:2025.02.26
妊娠は複雑な生理的プロセスであり、新しい命の誕生は人生における大きな喜びです。しかし、妊娠のメカニズムや確率は、年齢や生活習慣などさまざまな要因に影響を受けるため、なかなか思うようにいかない場合があります。
この記事では、妊娠の確率を上げるための基礎知識、年齢や生活習慣の影響、そして具体的な対策まで、医学的根拠にもとづいてわかりやすく解説します。記事を読むことで、妊娠の仕組みを理解し、自分に合った方法で妊娠の可能性を高めるための具体的な行動が取れるようになります。
神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、不妊治療に強みを持つクリニックです。不妊治療を検討している状況でも、専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。
妊娠の確率を上げるための基礎知識3選
多くの女性にとって、いつ妊娠するのか、その確率は気になるところです。妊娠の確率は、年齢や生活習慣、性交渉のタイミングなどに影響されます。妊娠の確率を上げるための基礎知識は以下のとおりです。
- 妊娠のメカニズム
- 妊娠の確率に影響する要因
- 年齢別の妊娠確率データ
妊娠のメカニズム
妊娠は、精子と卵子が出会い、受精卵が子宮に着床することで始まります。一見シンプルなようですが、実際には精緻なタイミングと複雑なプロセスが絡み合って成立する奇跡的な出来事なのです。女性の卵巣から成熟した卵子が排出されることを排卵と言います。
卵子の寿命は排卵後約1日で、精子の寿命は、女性の体内で約3日です。この間に精子と卵子が出会わなければ、妊娠は成立しません。卵管の中で精子と卵子が出会うと受精が起こり、受精卵となります。受精卵は細胞分裂を繰り返しながら子宮へと移動し、子宮内膜に着床します。着床が完了して初めて、妊娠が成立するのです。
排卵日を含む数日間が妊娠しやすい時期とされています。しかし、排卵日を正確に予測することは難しく、個人差も大きいため、排卵日前後の性交渉も推奨されます。
妊娠の確率に影響する要因
妊娠の確率は、さまざまな要因に影響されます。主な要因は以下のとおりです。
- 年齢
- 生活習慣
- 性交渉のタイミング
- 健康状態
年齢は、妊娠の確率に最も大きく影響する要因の一つです。女性の年齢が上がるにつれて、卵子の数と質が低下していくため、妊娠の確率は低下し、流産の確率は上昇します。妊娠の確率を高める生活習慣は以下のとおりです。
- 栄養バランスの取れた食事
- 適度な運動
- 十分な睡眠
- ストレス管理
妊娠の確率を低下させる生活習慣は以下のとおりです。
- 喫煙
- 過度の飲酒
- 極端なダイエット
特に喫煙は、卵子の老化を促進させることが知られています。性交渉のタイミングも重要です。妊娠するためには、排卵日付近に性交渉を持つ必要があります。健康状態も妊娠の確率に影響を与えます。持病がある場合や、過去に婦人科系の疾患にかかったことがある場合は、妊娠の確率に影響を与える可能性があります。
子宮内膜症や子宮筋腫などは、不妊の原因となることがあります。子宮筋腫の原因・子宮内膜ポリープの手術について詳しく知りたい方は、以下の記事をぜひご覧ください。
>>子宮筋腫の原因は女性ホルモンの変化?ピルや性行為との関係についてもわかりやすく解説
>>子宮内膜ポリープは手術で治る?痛くない手術の実施方法や費用・保険適用有無について解説
年齢別の妊娠確率データ
年齢は妊娠の確率に大きく影響する要因の一つです。一般的に、女性の年齢が上がるにつれて妊娠の確率は低下し、流産の確率は上昇すると言われています。研究データによると、20代の1周期あたりの妊娠の可能性は約25~30%とされています。30代前半では約20~25%、35歳以上では約18%以下、40代では約5%以下に低下します。
データはあくまでも目安であり、個人差があります。男性の年齢も妊娠の確率に影響を与える可能性もあります。高齢出産のリスクも考慮し、パートナーと協力して妊娠に向けて計画的に取り組むことが大切です。

妊娠しやすい体づくり6つのポイント
妊娠しやすい体づくりの6つのポイントは以下のとおりです。
- バランスの良い食事で栄養を補給する
- 適度な運動で血行を促進する
- 十分な睡眠でホルモンバランスを整える
- ストレスを管理して心身ともに健康に心がける
- タバコは避けてアルコールは控えめにする
- カフェイン摂取量に注意する
バランスの良い食事で栄養を補給する
バランスの良い食事は、妊娠しやすい体づくりの基盤です。妊娠に重要な役割を果たす栄養素は以下のとおりです。
- 葉酸:細胞の分裂や成長を助けるため、妊娠初期の胎児の正常な発育に不可欠です。ほうれん草やブロッコリー、いちごなどに多く含まれています。
- 鉄分:赤血球を作るのに必要で、妊娠中は貧血予防のために特に重要です。レバーやひじき、小松菜などに多く含まれています。
- カルシウム:胎児の骨や歯を作るのに必要です。牛乳やヨーグルト、チーズなどに多く含まれています。
- ビタミンD:カルシウムの吸収を助ける働きがあり、魚やきのこなどに多く含まれています。
バランス良く摂取するために、さまざまな食品を食べるように心がけましょう。近年の研究では、地中海式ダイエット(野菜や果物、魚、オリーブオイル、ナッツ類などを中心とした食事)が妊娠率や出産数に良い影響を与える可能性が示唆されています。
加工食品やファストフードは糖質や脂質が多く含まれているため、なるべく控えめにしましょう。
適度な運動で血行を促進する
適度な運動は、血行を促進し、ホルモンバランスを整える効果があります。ウォーキングやヨガ、ストレッチなど、無理のない範囲で体を動かす習慣を身につけましょう。適度な運動は健康維持に不可欠であり、妊娠しやすい体づくりの一環として積極的に取り入れることをおすすめします。
運動の種類や強度、頻度については、ご自身の体調に合わせて調整することが大切です。
十分な睡眠でホルモンバランスを整える
睡眠不足はホルモンバランスを崩し、妊娠しにくくなる原因となります。質の高い睡眠を確保し、ホルモンバランスを整えるために、次の点に注意しましょう。
- 毎日同じ時間に寝起きする
- 寝る前にカフェインを摂らない
- 寝る前にパソコンやスマートフォンを使用しない
- 寝室を暗く静かに保つ
- 昼寝は短時間にする
規則正しい生活リズムを心がけ、ホルモンバランスを整えることで、妊娠しやすい体づくりにつながります。
ストレスを管理して心身ともに健康に心がける
ストレスは自律神経のバランスを崩し、ホルモン分泌にも影響を与えます。ストレスを効果的に管理し、心身の健康を維持するために、以下の方法を試してみましょう。
- 趣味を楽しむ
- 友人や家族と話す
- 好きな音楽を聴く
- 自然の中で過ごす
- アロマテラピーを楽しむ
ストレスを溜め込まないよう、自分なりのストレス解消法を見つけることが大切です。自分に合った方法でストレスを管理し、心身ともに健康な状態を保つようにしましょう。
タバコは避けてアルコールは控えめにする
タバコに含まれる有害物質は、卵子の老化を早め、妊娠を困難にする原因となります。過度のアルコール摂取もホルモンバランスを崩し、妊娠しにくくなる可能性があります。妊娠を希望する場合は、タバコは避け、アルコールは控えめにすることが大切です。
カフェイン摂取量に注意する
過剰なカフェイン摂取は妊娠しにくくなる可能性があるという報告があります。カフェインの摂取については、医師に相談の上、適切な量を決めることが推奨されています。
妊娠の確率を高めるための方法
妊娠の確率を高めるためにできる方法は、以下のとおりです。
- 基礎体温を測って排卵日を予測する
- 排卵検査薬を正しく使用する
- タイミング法で妊娠の確率を高める
- 妊娠しない場合は医療機関を受診する
医学的な根拠にもとづいて具体的にご紹介します。
基礎体温を測って排卵日を予測する
基礎体温は、朝起きたばかりの安静時の体温のことです。毎日同じ時間に測ることで、ホルモンバランスの変化を反映した体温の上がり下がりを把握できます。女性ホルモンは月経周期を通して変動しており、同時に基礎体温も変化します。排卵が起こると、プロゲステロンというホルモンの作用で体温が0.3~0.5℃程度上昇する傾向があります。
体温の変化を記録することで、排卵日を予測することが可能になります。基礎体温計は、ドラッグストアなどで手軽に購入できます。毎朝、目が覚めたらすぐに、起き上がったり動いたりする前に舌の下で体温を測りましょう。毎日同じ時間に測定することが重要です。
週末に寝坊した場合でも、普段の起床時間に近い時間に測定し、記録には「週末」などのメモを残しておくと、データの解釈に役立ちます。測った体温は、専用の基礎体温表やアプリなどに記録していくと、グラフで体温の変化が確認できて便利です。スマートフォンのアプリを使うと、自動でグラフ化してくれるのでおすすめです。
基礎体温は、毎日の生活習慣や体調、睡眠時間、ストレスなどによっても影響を受けます。風邪をひいたり、睡眠不足だったりすると、体温が乱れることがあります。正確な排卵日を予測し、自分の体のリズムを理解するためにも、毎日欠かさず測定し、記録を続けることが大切です。
基礎体温の変化は、低温期と高温期に分かれています。低温期は生理開始から排卵まで、高温期は排卵後から次の生理までです。低温期から高温期に移行する時期が排卵日と推定されます。しかし、体温の変動には個人差があり、必ずしも教科書通りのパターンを示すとは限りません。数周期分の基礎体温表を記録し、自分の典型的なパターンを把握しましょう。
排卵検査薬を正しく使用する方法
排卵検査薬は、尿中の黄体形成ホルモン(LH)の濃度を測定することで、排卵日を予測するためのツールです。LHは脳下垂体から分泌されるホルモンで、排卵を促す働きがあります。排卵が近づくとLHの濃度が急激に上昇するため、排卵検査薬で陽性反応が出ます。
排卵検査薬は、ドラッグストアなどで購入できます。使用方法は製品によって異なりますが、一般的には、尿を専用のスティックに浸したり、尿をカップに採取してスティックを浸したりする方法がとられます。説明書をよく読んで正しく使用しましょう。
排卵検査薬は、基礎体温と併用することで、より正確に排卵日を予測できます。基礎体温だけでは排卵日の特定が難しい場合や、月経周期が不規則な場合に特に役立ちます。排卵検査薬の結果が陽性になったら、当日と翌日が性交渉のタイミングの目安となります。
タイミング法で妊娠の確率を高める
タイミング法とは、排卵日周辺に性交渉を持つ方法の一つです。排卵日を含む数日間が妊娠しやすい時期とされています。
タイミング法で成功率を上げるためのポイントは以下の記事に書いていますので、あわせてご覧ください。
>>タイミング法で妊娠成功率を上げるためのポイントと具体的な方法を解説!
妊娠しない場合の医療機関の受診
妊娠を希望して1年以上経っても妊娠しない場合は、不妊症の可能性が考えられます。不妊症とは、妊娠を希望する健康な男女が避妊をしないで規則的な性生活を営んでいるにもかかわらず、一定期間妊娠しない状態を指します。一般的には、1年が経過した時点で不妊症の検査を受けることが推奨されています。
妊娠を希望して1年以上経過しても妊娠しない場合は、医療機関に相談できます。不妊治療にはさまざまな方法があり、個々の状況に応じて検討されます。不妊の原因は、女性だけでなく男性にもある場合があります。女性側の原因としては、排卵障害や卵管障害、子宮内膜症などが挙げられます。男性側の原因としては、乏精子症や精子無力症などが挙げられます。医療機関へは、パートナーと一緒に受診することが大切です。
医療機関では、不妊の原因を特定するための検査や、妊娠しやすい体づくりに向けたアドバイスなども受けることができます。不妊治療は、精神的にも肉体的にも負担がかかることがあります。医師やパートナーとよく相談し、自分たちに合った治療法を選択することが大切です。
不妊症について網羅的に知りたい方はぜひ以下の記事も合わせてご覧ください。
>>不妊症とは?定義やなりやすい人の特徴・割合についても解説

まとめ
妊娠は複雑な生理的プロセスであり、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。年齢とともに妊娠の確率は変化し、生活習慣も大きく関わってきます。妊娠しやすい体づくりのポイントは以下のとおりです。
- バランスの取れた食事
- 適度な運動
- 質の高い睡眠
- ストレス管理
- タバコを避けアルコールを控えること
- カフェインの摂取への配慮
できることから始めてみましょう。妊娠の確率を高める方法は以下のとおりです。
- 基礎体温
- 排卵検査薬
- タイミング法
もし1年以上妊娠に至らない場合は、一人で悩まず、専門の医療機関に相談してください。
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