ソフィアレディスクリニック

低用量ピルの副作用を解説!知っておくべきリスクと対処法

公開日:2025.03.18
更新日:2025.03.18

低用量ピルは女性の健康管理に役立つとされていますが、副作用のリスクも懸念されます。吐き気や頭痛、不正出血などの比較的軽度なものから、血栓症といった重篤な副作用まであります。

この記事では低用量ピルの副作用と対処法、他の避妊方法との比較まで解説します。低用量ピルの副作用を正しく理解し、副作用が出現した場合に適切な対処法をとれるようになりましょう。

神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、あらゆる婦人科疾患の悩みに強みを持つクリニックです。専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。

低用量ピルの副作用

低用量ピルの主な副作用を以下の項目に沿って解説します。

  • 吐き気・嘔吐
  • 頭痛・めまい
  • 乳房の張り・痛み
  • 不正出血
  • 体重増加
  • 気分の落ち込み・イライラ
  • 血栓症(まれに重篤な副作用)

吐き気・嘔吐

吐き気や嘔吐は、低用量ピルの服用開始直後によく現れる副作用です。吐き気や嘔吐の原因は、ピルを飲み始めるとホルモンバランスが変化するためと考えられています。

多くの場合、服用を続けるうちに体が慣れてきて、症状は軽くなっていく傾向にあります。吐き気や嘔吐がひどく、日常生活に支障が出るようであれば、ピルの服用方法や種類を変更するなどの対策が必要となる場合もあります。

頭痛・めまい

頭痛やめまいも、低用量ピルによる副作用です。原因はホルモンバランスの変化だと考えられています。ピルの種類によっても含まれるホルモンの種類や量が異なるため、頭痛やめまいの頻度に差があります。

体がホルモンバランスの変化に慣れてくると、症状が軽くなる傾向にあります。症状が続く、あるいは悪化するようであれば、自己判断せずに医師に相談することをおすすめします。

乳房の張り・痛み

低用量ピルに含まれる女性ホルモンの影響で、乳房の張りや痛みを感じる人もおり、比較的よく現れる副作用の一つです。ホルモンバランスの変化による一時的な反応であることが多く、服用を続けると症状が軽快するケースが多いです。痛みが強く、日常生活に支障をきたす場合は、医師に相談し適切なアドバイスを受けましょう。

不正出血

低用量ピルを飲み始めると、生理期間以外に出血が起こることがあります。「不正出血」と呼ばれ、体が新しいホルモンバランスに適応する過程で起こり、服用開始初期によく見られます。

数か月服用を続けるうちに不正出血は治まることが多いですが、ピルの種類や個人差によって大きく異なります。出血量が多い場合や長期間続く場合は、躊躇せずに医師に相談しましょう。

不正出血にはさまざまな原因があり、ピルの影響だけでなく、婦人科系の疾患が関係している可能性もあります。生理との違いや受診の目安について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
>>不正出血を放置しないで!原因や生理との違い、受診の目安まで徹底解説

体重増加

低用量ピルの服用で体重が増える女性もいます。脂肪が増えているわけではなく、ホルモンの影響で、体が水分を溜め込みやすくなることが原因である場合が多いです。

体重の増加が気になる場合は、適度な運動やバランスの取れた食事を心がけることで、改善が見られる可能性があります。むくみが気になる場合の対策は、以下のとおりです。

  • 塩分を控える
  • カリウムを多く含む食品を摂取する
  • 足を高くして休む

気分の落ち込み・イライラ

低用量ピルの副作用として、気分の落ち込みやイライラが挙げられます。ホルモンバランスの変化は、精神状態にも影響を与える可能性があります

気分の落ち込みやイライラと低用量ピルの因果関係ははっきりとは解明されておらず、頻度も明確ではありません。精神状態の変化で悩んでいる場合は、自己判断せずに医師に相談し、適切なアドバイスを受けることが大切です。

血栓症(まれに重篤な副作用)

低用量ピルはまれに、血栓症という重篤な副作用が起きるリスクがあります。血栓症は、血管の中に血の塊(血栓)ができ、血管が詰まることで循環障害を起こす病気です。ピルを服用している人の血栓症の発症率は1万人に3〜9人ですが、服用していない人でも1万人に1〜5人と発症する可能性はあります。血栓症には以下の症状があります。

  • 激しい腹痛
  • 激しい胸の痛みや息苦しさ
  • 激しい頭痛
  • 視覚障害や言語障害
  • 足の激しい痛みやむくみ

喫煙や肥満、40歳以上の人はリスクが高まるため、特に注意が必要です。症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。

低用量ピルの副作用への対処法

低用量ピルの副作用にどのように対処すれば良いのかを、以下の項目に沿って解説します。

  • 副作用が起きたときの相談窓口
  • 吐き気・嘔吐への対処法
  • 頭痛・めまいへの対処法
  • 不正出血への対処法
  • 服用方法の変更(ピルの種類、時間など)
  • 生活習慣の改善(食事、運動、禁煙など)

副作用が起きたときの相談窓口

低用量ピルの副作用で気になる症状が現れた場合は、自己判断せずに、ピルを処方してもらった医師や薬剤師に相談することが大切です。処方してもらった医師や薬剤師に相談できない場合は、近くの医療機関に相談しましょう。

いつからどのような症状が出ているのか、最後にピルを飲んだのはいつか、などを具体的に伝えましょう。自分の症状を説明するために、服用中に何らかの異変を感じたら、記録しておくことが大切です。手帳やスマートフォンのメモ機能を活用し、記録しておきましょう。

服用開始から数か月経っても症状が改善しない場合は、ピルの種類の変更が必要なことがあります。医師と相談し、自分に合ったピルを見つけることが重要です。

吐き気・嘔吐への対処法

吐き気や嘔吐が続く場合の対策は以下のとおりです。

  • 水分摂取:脱水症状にならないよう水分をこまめに取りましょう
  • 安静:無理せず休息をとり、深呼吸してリラックスしましょう
  • 食事の工夫:消化に良いものを少量ずつ食べるようにしましょう

服用後2時間以内に嘔吐してしまった場合は、ピルの有効成分が十分に吸収されていない可能性があります。医師または薬剤師に相談し、適切な指示を受けてください。

頭痛・めまいへの対処法

頭痛がある場合は、横になって休んだり、冷たいタオルで頭を冷やしたりすることが、有効な場合があります。めまいがある場合は、安静を心がけ、長時間のテレビやパソコン作業を避けましょう

ピルの種類によって含まれるホルモンの種類や量が異なるため、副作用が出る頻度に差があります。症状が続く、あるいは悪化するようであれば、自己判断せずに医師に相談して、ピルの種類の変更も検討しましょう。

不正出血への対処法

不正出血は、ピルの種類や個人差によって大きく異なります。数か月服用を続けるうちに、不正出血は治まることが多いので、生理用ナプキンを使用して対応しましょう。

出血量が多い、長期間続く、貧血の症状が現れる場合は、必ず医師に相談しましょう。適切な検査と治療が必要になることもあります。

服用方法の変更(ピルの種類、時間など)

副作用が辛い場合は、ピルの種類や服用時間を変更することで改善する可能性があります。低用量ピルにはさまざまな種類があり、それぞれに含まれるホルモンの種類や量が異なります。医師と相談し、自分に合ったピルを見つけることが大切です。

寝る前に服用すると、吐き気や眠気を軽減できるなど、服用時間を変えることで副作用が軽くなる場合もあります。

生活習慣の改善(食事や運動、禁煙など)

低用量ピル服用中の健康維持に役立つ生活習慣は以下のとおりです。

  • 禁煙:血栓症のリスクを減らす
  • 水分摂取:血栓症のリスクを減らす
  • バランスの良い食事:体内のホルモンバランスを整える
  • 適度な運動:血行を促進し、ホルモンバランスを調整する
  • 十分な睡眠:体の機能を回復させ、ホルモンバランスを安定させる

健康的な生活習慣を取り入れることで、ピルの効果をより安定させ、副作用のリスクを軽減することができます。

ピルを服用していると排卵の仕組みが通常とは異なり、妊娠のリスクにも影響を与えます。ピル服用中の排卵日や妊娠の可能性について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>ピル服用中の排卵日はいつ?仕組みと妊娠リスクを解説

低用量ピルと他の避妊方法の比較

低用量ピル以外の避妊方法と、低用量ピルとの比較を以下の項目に沿って解説します。

  • コンドーム
  • IUD(子宮内避妊器具)
  • 避妊リング
  • 緊急避妊ピル
  • それぞれのメリット・デメリット
  • 費用の比較

コンドーム

コンドームは、薬局やコンビニエンスストアなどで手軽に入手できる避妊方法です。性感染症の予防も期待できる点が大きなメリットです。

一方で、装着方法を誤ったり、破損したりした場合には避妊効果が低下する可能性があります。パートナーと協力して正しい使い方をマスターし、使用期限内の製品を使用しましょう。コンドームは性行為のたびに装着する必要があるため、自然な流れを阻害する可能性があるというデメリットも考慮に入れる必要があります。

IUD(子宮内避妊器具)

IUDは、子宮内に小さな器具を挿入する避妊方法です。一度装着すれば数年間避妊効果が持続するため、毎日服用する必要のある低用量ピルとは異なり、飲み忘れの心配がありません。長期的な避妊を希望する女性に適した選択肢となる可能性があります。

IUDには、ホルモンを放出するタイプと放出しないタイプがあります。ホルモンを放出するタイプのIUDは、子宮内膜症の疼痛軽減にも有効な場合があります。

IUDの装着には医療機関での処置が必要です。装着時に痛みを伴う場合や、不正出血などの副作用が起こる可能性も理解しておく必要があります。

避妊リング

避妊リングも子宮内に装着する避妊方法です。リング状の器具から少量のホルモンが放出されることで避妊効果を発揮します。装着期間はリングの種類によって異なりますが、数年間にわたって避妊効果が期待できます

IUDと同様に、避妊リングも装着時に痛みを伴う場合や、不正出血などの副作用が起こる可能性があります。避妊リングは子宮内腔の大きさに合わない場合、脱出する可能性もわずかにあります。定期的な検診で位置を確認してもらうことが大切です。

緊急避妊ピル

緊急避妊ピルは、性行為後72時間以内に服用することで、望まない妊娠を回避するための薬です。避妊に失敗した場合や、性暴力を受けた場合などに使用されます。

緊急避妊ピルは、あくまで緊急時の対応策であり、通常の避妊方法としての使用は推奨されていません。低用量ピルと比較して避妊効果は低く、副作用のリスクも高いため、多用は避けるべきです。

それぞれのメリット・デメリット

それぞれの避妊方法とメリット・デメリットは以下のとおりです。

  • 低用量ピル
    メリットは、高い避妊効果や生理痛やPMS(月経前症候群)を軽減する効果が期待できる点です。月経周期のコントロールや子宮内膜症に関連した疼痛の軽減にも有効な場合があります。デメリットは、副作用の可能性があることや、毎日服用する必要がある点、血栓症のリスクがある点です。
  • コンドーム
    メリットは、手軽に入手可能で性感染症予防にも効果が期待できる点です。デメリットは装着の手間がかかることや使用感が気になる人もいること、破損のリスクがある点が挙げられます。
  • IUD
    メリットは、長期的な避妊効果が期待できる点や、ホルモン剤を含まないタイプも選べること、子宮内膜症の疼痛軽減効果が期待できる点です。デメリットは、装着時の痛みや不正出血などの副作用、感染リスクがある点です。
  • 避妊リング
    メリットは長期的な避妊効果が期待できる点です。デメリットは装着時の痛みや不正出血などの副作用がある点です。
  • 緊急避妊ピル
    メリットは緊急時の避妊方法として期待できる点です。デメリットは避妊効果が確実ではないことや、副作用の可能性がある点が挙げられます。

特に、低用量ピルはPMS(月経前症候群)の軽減にも役立つとされています。PMSの具体的な症状や対策について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>【医師監修】PMSとは?症状や対策など女性に知ってほしい基礎知識を解説

費用の比較

それぞれの避妊法にかかる費用の目安は以下のとおりです。

  • 低用量ピル:1シート(1か月分)あたり2,000~3,000円程度
  • コンドーム:1箱あたり数百円
  • IUDや避妊リング:数万円
  • 緊急避妊ピル:1回あたり10,000円前後

費用も考慮し、ご自身の経済状況に合わせて適切な避妊方法を選びましょう。

まとめ

低用量ピルは、避妊や生理痛軽減などのメリットがある一方、吐き気や頭痛、不正出血などの副作用が現れる可能性があります。

副作用は個人差があり、ほとんど感じない人もいれば、症状に悩まされる人もいます。副作用に不安を感じている方は、医師や薬剤師に相談しながら、適切に低用量ピルを利用できるよう、正しい知識を身につけましょう。

特に、不正出血はピルの副作用の一つとしてよく見られます。原因や対処法、受診のタイミングについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>ピルの服用中の不正出血は副作用?原因や対処法、受診の目安を解説

参考文献

AIボット
診療予約