ソフィアレディスクリニック

ピル服用中の排卵日はいつ?仕組みと妊娠リスクを解説

公開日:2025.03.18
更新日:2025.03.18

ピルを服用すると、生理が軽くなったり周期が安定したりと、体の変化を感じることがあります。一方で、服用中に排卵するのか、妊娠の可能性はあるのかなど、不安に思う方も少なくありません。この記事では、以下の内容について解説します。

  • ピル服用中の排卵の仕組み
  • ピル服用中に妊娠する確率とリスク
  • ピル服用と排卵に関するよくある質問

 ピルを正しく理解し、適切に使用するための知識を身につけましょう。

神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、あらゆる婦人科疾患の悩みに強みを持つクリニックです。専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。

ピル服用中の排卵の仕組み

ピルは、排卵を抑制することで避妊効果を発揮します。ピル服用中の排卵の仕組みについて以下の内容を解説します。

  • ピルの種類と排卵抑制のメカニズム
  • ピル服用中のホルモンバランスの変化
  • ピルを飲み忘れた場合の排卵への影響
  • ピル休薬期間の排卵の有無

ピルの種類と排卵抑制のメカニズム

ピルにはいくつかの種類があり、それぞれ排卵を抑制するメカニズムが少しずつ異なります。主な種類は以下のとおりです。

  • 低用量ピル
    毎日服用します。卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲスチン)という2種類の性ステロイドホルモンを含んでいます。ホルモンが脳に働きかけ、排卵を促す指令を停止させることで排卵を防ぎます。
  • 緊急避妊ピル(アフターピル)
    性交渉後72時間以内に服用します。主に黄体ホルモンを含んでおり、子宮内膜の状態を変えて受精卵が着床しにくくしたり、排卵自体を遅らせたりすることで、緊急時の避妊効果を発揮します。緊急避妊ピルはあくまで緊急時の対応であり、日常的な避妊には適していません。

ピル服用中のホルモンバランスの変化

ピルを服用すると、体内のホルモンバランスが変化します。低用量ピルを服用すると、脳が卵巣に排卵を促すホルモンの分泌を抑えるため、卵巣から分泌される卵胞ホルモンと黄体ホルモンの量が減少します。

ホルモンバランスの変化は、排卵を抑制するだけでなく、子宮内膜が厚くならないように調整する効果もあります。子宮内膜が厚くならないと、生理の出血量が少なくなり、生理痛が軽くなるといったメリットも期待できます。

ピルを飲み忘れた場合の排卵への影響

低用量ピルは、毎日同じ時間に服用することが大切です。ピルを飲み忘れると、体内のホルモンバランスが変化し、一部の種類では排卵が起こる可能性があります。1日飲み忘れた場合は、思い出した時点ですぐに服用し、次の服用も通常通り行います。2日以上飲み忘れた場合は、排卵のリスクが高まるため、医師または薬剤師に相談しましょう。

ピル休薬期間の排卵の有無

低用量ピルの中には、休薬期間が設けられているものがあります。休薬期間中はピルを服用せず、出血(消退出血)が起こります。休薬期間中はホルモンの量が減りますが、通常は排卵は抑制されたままです。ピルの種類や服用状況によっては排卵が起こる可能性があるため、医師に確認することをおすすめします。

休薬期間の長さやピルの種類によっては、排卵が起こりにくいように設計されているものもあります。休薬期間中の排卵については、ピルの種類によって異なるため、医師または薬剤師に確認することをおすすめします。

排卵はホルモンバランスや体調に影響を与えることがあり、排卵日前後に体調不良を感じる人も少なくありません。排卵日にはどのような症状が現れるのか、また妊娠しやすい時期の目安について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>排卵日の症状とは?起こりうる体調不良や妊娠しやすい時期の目安を解説

ピル服用中に妊娠する確率とリスク

ピルは正しく服用すれば高い避妊効果を発揮しますが、わずかながら妊娠の可能性が残ることも理解しておく必要があります。ピル服用中に妊娠する確率とリスクについて以下の内容を解説します。

  • ピルの避妊効果と失敗率
  • ピル服用中に妊娠した場合の兆候
  • ピル服用中に妊娠した場合の対処法
  • 他の避妊方法との併用について

ピルの避妊効果と失敗率

研究では、低用量ピルを正しく服用すれば、99%以上の高い避妊効果があると報告されています。100%ではないため、他の避妊法と併用することも選択肢の一つです。日々の服用には、飲み忘れや服用時間のずれなど、完璧に使用方法を守ることが難しい場合もあります。

一般的な使用状況(飲み忘れや時間のずれがある場合)での避妊成功率は約91%とされています。理想的な服用と比較すると、数パーセントの差ですが、わずかな差が妊娠の可能性を生み出す場合があります。日々の服用には細心の注意が必要です。

若い女性にとって、ピルの種類を選択することは重要です。複合ピルとミニピル(プロゲスチン単剤ピル)では、避妊の仕組みが異なり、一般的に複合ピルのほうが理論上の避妊効果が高いとされています。ホルモンバランスは年齢で変化することもあるため、産婦人科医と相談しながら、自分に合ったピルを選ぶことが重要です。

ピル服用中に妊娠した場合の兆候

ピルを服用していても、妊娠してしまう場合がありますが、以下の兆候が現れることがあります。

  • 消退出血がない
    ピルを服用していると消退出血(ピル服用中の出血で、厳密には生理とは異なります)が軽くなる、あるいは全く来なくなることがあります。いつもと違うと感じたら、妊娠の可能性も考慮する必要があります。いつも少量の出血があったのに全く出血がなくなったり、逆にいつもより出血量が多くなったりした場合などは注意が必要です。
  • つわり
    吐き気や嘔吐など、つわりの症状が現れるケースもあります。つわりは、妊娠初期に起こる不快な症状で、個人差が大きく、全く症状がない人もいれば、日常生活に支障が出るほど辛い人もいます。
  • 胸の張りや痛み
    ホルモンバランスの変化により、胸が張ったり、痛みを感じたりすることがあります。普段の生理前にも胸の張りを感じる方もいますが、妊娠による胸の張りはより強く、持続時間も長い傾向があります。
  • 頻尿
    妊娠初期には、子宮が大きくなることで膀胱が圧迫され、頻尿になることがあります。夜中に何度もトイレに起きるようになったり、日中もトイレが近いと感じるようになったりした場合は、妊娠の可能性も考慮に入れましょう。
  • 倦怠感
    体がだるく、疲れやすくなることがあります。妊娠によってホルモンバランスが変化し、体が新しい状態に適応しようとしているためです。

ピルを服用中に症状が現れた場合は、医療機関を受診して確認することをおすすめします。

ピル服用中に妊娠した場合の対処法

ピル服用中に妊娠が確認された場合は、ピルの服用を中止し、速やかに産婦人科を受診しましょう。医師の指示に従い、今後の対応について相談することが重要です。

妊娠の継続を希望する場合、ピルによる胎児への影響は少ないと考えられていますが、念のため医師に相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。妊娠の継続が難しい場合は、医師と相談し、適切な対応を検討することが重要です。

他の避妊方法との併用について

コンドームなどの他の避妊方法を併用することで、より確実に避妊することができます。ピルを飲み始めたばかりの時期や、飲み忘れがあった場合は、他の避妊方法との併用を検討しましょう。性感染症の予防のためにも、コンドームの使用は有効です。パートナーとよく話し合い、自分に合った避妊方法を選択することが、健康で安全な生活を送るうえで重要です。

ピル服用と排卵に関するよくある質問

ピル服用中の排卵に関するよくある質問は以下のとおりです。

  • ピル服用中に排卵検査薬は使える?
  • ピル服用後の妊活開始時期はいつ?
  • ピル服用による将来の妊娠への影響はある?
  • ピルの副作用への対処法は?

ピル服用中に排卵検査薬は使える?

ピルを服用中は、通常の状態とは異なり、ホルモンバランスが変化しているため、排卵検査薬を使用しても正確な結果は得られない可能性が高いです。ピル服用中に排卵検査薬が陽性反応を示した場合、ピルの飲み忘れや、何らかの理由でピルの効果が十分に発揮されていない可能性が考えられます。

自己判断せずに、速やかに医師または薬剤師に相談し、適切な対応を取りましょう。

ピル服用後の妊活開始時期はいつ?

ピル服用後に妊娠を希望する場合、服用を中止してから通常1~3か月で自然な月経周期が戻り、排卵も再開します。個人差はありますが、ピルをやめてから3~4か月後から妊活を始めるのがおすすめです。体のホルモンバランスが整い、より自然な妊娠を目指せます。

基礎体温を測り自分の月経周期を把握しておくと、よりスムーズに妊活を進めることができます。基礎体温は、毎朝起きたときに舌下で体温を測ることで記録できます。低温期と高温期がはっきりと分かれ、排卵のタイミングを予測しやすくなります。基礎体温表は、婦人科での診察時にも役立つ情報源となりますので、記録しておくことをおすすめします。

ピル服用による将来の妊娠への影響はある?

低用量ピルの長期服用が、将来の妊娠に悪影響を与えるという科学的根拠はありません。ピルは、排卵を一時的に抑制するものであり、服用を中止すれば、通常は数か月以内に自然な月経周期と排卵が戻り、妊娠する能力も回復します。一部の研究では、長期にわたるピルの服用が、卵巣の老化を遅らせる可能性も示唆されています。

ピルの副作用への対処法は?

ピルの副作用と対処法は以下のとおりです。

  • 吐き気
    吐き気を軽減するために、食後や就寝前にピルを服用することをおすすめします。胃の中に食べ物がある状態で服用することで、吐き気の症状が和らぐことがあります。
  • 頭痛
    頭痛が発生した場合は、鎮痛剤を服用し安静にすることが効果的です。カフェインは頭痛を悪化させることがあるため、コーヒーや紅茶などの摂取を控えることをおすすめします。
  • 不正出血
    不正出血がある場合は、ナプキンではなくパンティライナーを使用することで、日常生活を快適に過ごすことができます。パンティライナーは軽い出血に適しており、気軽に使用できます。
  • 乳房の張り
    乳房の張りを和らげるために、ゆったりとした下着を着用することをおすすめします。圧迫感を軽減し、快適に過ごすことができます。

ピルは、多くの女性にとって安全で効果的な避妊法ですが、副作用の出現には個人差があります。多くの場合、軽度で時間の経過とともに自然に消失することが多いです。症状が強い場合は、ピルの種類変更や服薬時間の調整などの対応策があるので、医師に相談してみましょう。

特に、不正出血はピルの副作用としてよく見られる症状のひとつです。原因や適切な対処法、受診の目安について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>ピルの服用中の不正出血は副作用?原因や対処法、受診の目安を解説

まとめ

ピルは正しく服用すれば高い避妊効果が期待できますが、100%ではありません。排卵を抑制する仕組みや、ピルの種類によって異なる影響を理解することが大切です。

ピル服用中はホルモンバランスが変化するため、排卵検査薬は正確な結果を示さない場合があります。妊娠を希望する場合は、服用中止後1~3か月で月経周期が戻り、3~4か月後からの妊活開始がおすすめです。ピルの長期服用が将来の妊娠に悪影響を与えるという根拠はなく、むしろ卵巣を休ませる効果も期待できます。

副作用には個人差があります。症状が強い場合は、ピルの種類変更や服薬時間の調整などを検討しましょう。体に負担をかけすぎず、安心してピルと付き合っていけるように、医師に相談しましょう。

ピルは便利な避妊法である一方、副作用についても正しく理解しておくことが大切です。ピルの副作用の種類やリスク、対処法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>低用量ピルの副作用を解説!知っておくべきリスクと対処法

参考文献

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