妊娠中の不正出血が起きたら|原因や適切な対処法を理解して落ち着いて対応しよう
公開日:2024.08.29更新日:2024.08.29
不正出血は、多くの妊婦さんを不安にさせる出来事の一つです。妊娠中の出血はそれほど珍しくなく、妊婦さんの約20%が経験すると言われています。本記事では妊娠中の不正出血の原因と症状、適切な対処法について詳しく解説していきます。安心できる妊娠生活を送るためにも、ぜひ最後まで読んでみてください。
神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、不正出血の悩みに強みを持つクリニックです。妊娠中の方も、専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。
>>当院への予約はこちらから
妊娠中の不正出血、原因と特徴を知って不安を解消しよう
妊娠中の出血は生理のように出血量が多い場合や、おりものに少し血が混じる程度の場合、色の薄い、茶色っぽい出血の場合など、症状がさまざまです。妊娠中に不正出血に対応するためにも原因と特徴を知り、落ち着いて対応することが大切です。
妊娠初期の不正出血は比較的多い
妊娠初期の不正出血は比較的多く見られるため、過度に心配する必要はありません。受精卵が子宮内膜に着床する際に出血が起こる可能性があります。着床出血と呼ばれ、生理予定日前に少量の出血やおりものに血が混じる症状がみられることが原因です。
妊娠初期はホルモンバランスが大きく変化するため、子宮内膜が不安定になりやすく、少量の出血が起こる可能性もあります。一般的に少量で、痛みを伴わないことが多いです。生理のときのような鮮血ではなく、薄いピンク色や茶褐色のおりもののような出血が見られるケースもあります。
しかし、出血量が多い場合や強い痛みがある場合は、流産や子宮外妊娠の可能性も考えられます。子宮外妊娠は早期に発見して適切な治療を行わないと、命に関わる可能性があるため、早期発見が重要です。
妊娠中期の不正出血は注意が必要
妊娠中期に入ると安定期に入り、赤ちゃんも順調に成長する時期ですが、不正出血には注意が必要です。妊娠中期に起こる不正出血の原因は前置胎盤や子宮頸管ポリープ、子宮筋腫などです。
前置胎盤は胎盤が子宮口を覆ってしまう状態で、出血が起こりやすくなります。子宮頸管ポリープや子宮筋腫は、妊娠前から存在している場合もあれば、妊娠中に大きくなることで出血の原因となる場合もあります。
妊娠中期の不正出血でも出血量が多い場合や痛みを伴う場合は、流産や切迫早産の可能性も高いです。切迫早産は早産を予防するために、入院して安静を保ちながら、子宮の収縮を抑える薬を投与するなどの治療が必要となります。
妊娠後期の不正出血は早産のサインかも
妊娠後期に不正出血が起こる場合は、早産のサインである可能性があります。早産は、妊娠37週未満に出産してしまう状態です。
妊娠後期の不正出血の原因は早産の他に、前置胎盤や常位胎盤早期剥離なども考えられます。常位胎盤早期剥離は正常な位置にある胎盤が子宮の壁からはがれる状態で、大量出血や腹痛などを引き起こします。
妊娠後期の不正出血は母体と胎児の命に関わることもあるため、緊急性の高い症状です。すぐに医療機関を受診し、適切な処置を受ける必要があります。
出血量や色、性状で原因をある程度推測できる
妊娠中の不正出血は出血量や色、性状である程度、原因の推測が可能です。少量の茶褐色の出血は、着床出血や子宮頸管ポリープの可能性があります。鮮血で量が多い場合は、切迫流産や常位胎盤早期剥離などの可能性が考えられます。
出血量 | 色 | 性状 | 考えられる原因 |
少量 | 茶褐色 | おりもの | 着床出血、子宮頸管ポリープ、古い血液 |
中量 | 鮮紅色 | 生理のような出血 | 切迫流産、前置胎盤 |
大量 | 鮮紅色 | 水っぽい | 常位胎盤早期剥離 |
大量 | 暗赤色 | 塊が多い | 前置胎盤、常位胎盤早期剥離 |
自己判断は危険なので、出血量や色、性状だけで判断せずに必ず医療機関を受診して、医師に相談するのが大切です。妊娠中期以降に子宮頸管が短くなっている女性に対しては早産を予防する道具を使いましょう。
子宮頸管を支えるリング状の器具「ペッサリー」と、子宮の収縮を抑える効果がある「プロゲステロン」というホルモン剤を併用する治療法が注目されています。妊娠中の不正出血に対する治療法は常に進化しており、最新の情報にもとづいて医師と相談しながら、適切な治療法を選択する必要があります。
妊娠中の不正出血、適切な対処法で母子の安全を確保
妊娠中の不正出血は、焦らずに現段階の状態をできるだけ詳しく確認することが大切です。
妊娠中の不正出血における対処法
不正出血が起きたときは、ご自身と赤ちゃんのために安全な場所を確保しましょう。楽な姿勢で横になり、安静にすることが大切です。落ち着いてきたら、以下の点をメモしておきましょう。
- 出血が始まった時間
- 出血の量(生理のときと比べてみて下さい。ナプキンは何枚くらい使いましたか? 1時間に何回くらい交換しましたか?)
- 出血の色(鮮やかな赤色ですか? 茶色っぽいですか? ピンク色ですか?)
- 出血のニオイ(いつもと違うニオイがしませんか?)
- おりものや血の塊が混ざっているか(おりものと血液が混ざり合っている状態ですか? 血の塊が出てきましたか?)
- 腹痛や腰痛、発熱など、出血以外の症状
不正出血の情報は医師が原因を特定し、適切な治療を行うために役立ちます。不正出血が起こったら自己判断せず、医師に相談することが大切です。
こんなときは要注意|緊急性の高い症状
妊娠中の不正出血は多くの場合、安静にしていれば自然と治まることが多いですが、注意が必要なケースもあります。以下の症状がある場合は緊急性の高い状態である可能性があるため、すぐに医療機関を受診するか、救急車を呼びましょう。
- 出血量が多く、生理用ナプキンが1時間足らずでびっしょり濡れてしまう場合
- 生理のときよりも出血量が多く、貧血のような症状((めまい、動悸、息切れなど)がある場合
- 強い腹痛や腰痛を伴う場合
- 妊娠初期に大量の鮮血の出血がある場合
- 妊娠後期に大量の出血がある場合、または少量でも持続する場合
- 出血とともに腹痛や発熱がある場合
- 出血とともに水っぽいおりものが出る場合
- 出血とともに赤ちゃんが動かないと感じる場合
流産や早産、常位胎盤早期剥離などの深刻な事態を示唆している可能性があります。
自己判断は危険!医療機関を受診する目安
妊娠中の出血は母体と赤ちゃんの命に関わることもあるため、決して自己判断はせず、気になることがあれば医療機関を受診しましょう。特に子宮頸管が短いなど、早産のハイリスクと診断されている妊婦さんの場合は、少量の出血でも注意が必要です。医療機関を受診する際はメモの内容を医師に伝え、不安な点や疑問点を解消しましょう。
不正出血の原因と治療法|医師による適切な診断と対応が重要
出血の原因が何なのか、考えるほど不安は大きくなるばかりです。しかし、落ち着いて状況を把握し、医師による適切な診断と対応を受けることが大切です。
切迫流産や子宮外妊娠の可能性も
妊娠初期の不正出血は、特に切迫流産や子宮外妊娠の可能性が高くなります。切迫流産は子宮の入り口である子宮口が開き始めてしまい、赤ちゃんを守っている子宮内膜が剥がれやすくなっている状態です。子宮外妊娠は赤ちゃんが本来育つべき子宮内腔ではなく、卵管などの子宮以外の場所に根付いてしまう状態です。
切迫流産の場合、性器からの出血や生理痛に似た下腹部痛が現れ、出血は少量のこともあれば生理のように多量に出ることもあります。色が茶褐色っぽい場合もあれば鮮やかな赤色の場合もあり、出血の量や色だけでは判断できません。子宮外妊娠の場合も下腹部痛や出血に加えて、肩や背中など体の広範囲にわたって痛みが広がることもあります。
前置胎盤や常位胎盤早期剥離などのリスク
妊娠中期以降の不正出血は、前置胎盤や常位胎盤早期剥離といった、母体と胎児の命に関わる可能性のある危険な状態のサインである場合があります。前置胎盤は赤ちゃんに栄養や酸素を送るための重要な器官である胎盤が、子宮の出口付近に位置してしまう状態です。前置胎盤になると、子宮が収縮する際に胎盤が引っ張られて出血しやすくなります。
常位胎盤早期剥離は正常な位置にある胎盤が、赤ちゃんが生まれる前に子宮の壁から剥がれてしまう病気です。常位胎盤早期剥離が起こると、大量出血や激しい腹痛が起こり、母体と胎児の命が危険にさらされる可能性があります。
妊娠と関係なく起こる出血の原因
妊娠中の不正出血は、妊娠とは直接関係ない子宮頸管ポリープや子宮筋腫などが原因で起こることがあります。子宮頸管ポリープは子宮の入り口付近にできるぶどうの房のように見える良性の腫瘍です。子宮筋腫は子宮の筋肉層にできる良性の腫瘍で、大きくなると月経痛や月経過多、貧血などを引き起こすことがあります。
子宮頸管ポリープや子宮筋腫は妊娠していなくても起こる病気です。妊娠中にホルモンバランスが変化すると腫瘍が大きくなり、出血する可能性があります。
子宮頸管ポリープや子宮筋腫が原因で不正出血が起こった場合でも、必ずしも治療が必要となるわけではありません。妊娠中に子宮頸管ポリープや子宮筋腫が見つかった場合は妊婦さんの状態や腫瘍の大きさ、位置、症状などを総合的に判断し、適切な治療法を選択します。
不安な気持ちを医師に相談しましょう
妊娠中の不正出血はどんなお母さんにとっても、不安で心配な出来事です。医師はあなたの不安な気持ちに寄り添いながら、丁寧な診察と検査を行い、適切な治療法やアドバイスを提供します。
不安を和らげるために、信頼できる家族やパートナーに相談するのもおすすめです。妊娠中の心身の変化や不安な気持ちを共有すると、心の負担を軽くできます。不正出血は、多くの妊婦さんが経験します。正しい知識を身に付け、不安なことがあれば医師に相談しましょう。
まとめ
妊娠中の不正出血は時期や症状によって原因が異なり、早産や流産につながる可能性もあるため注意が必要です。出血量が多い、生理のときより出血が酷い、強い腹痛や腰痛を伴う、発熱がある等の症状が見られる場合は医療機関を受診してください。
出血の色や量、期間などから原因をある程度推測できます。少量の茶褐色の出血であれば着床出血や子宮頸管ポリープ、鮮血で量が多い場合は切迫流産や常位胎盤早期剥離の可能性が考えられます。自己判断せず、必ず医療機関を受診し、医師に相談しましょう。
不正出血について網羅的に知りたい方は以下の記事をぜひご覧ください。
>>不正出血を放置しないで!原因や生理との違い、受診の目安まで徹底解説