ソフィアレディスクリニック

PMSは何科に行けばよい?受診の目安や婦人科での診察内容を丁寧に解説

公開日:2024.09.30
更新日:2024.09.30

PMSは明確な診断基準がないにもかかわらず、多くの女性が経験する身近なものです。生理前に訪れる、あのイライラや気分の落ち込み、体のだるさ。もしかしたら、PMSという症状かもしれません。

この記事では、PMSの症状や原因、病院での診察内容から、具体的な治療法までを詳しく解説します。記事を読めば、一人で抱え込まず、正しい知識を身に付けることができ、PMSと向き合えます。

神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、PMSにも強みを持つクリニックです。専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。
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PMSの治療は何科に行けば良いか選ぶポイント

「もしかしてPMSかも?」と思ったら、まずどこを受診すれば良いのか迷ってしまいますよね。PMSの症状は人それぞれ異なります。「些細なことでイライラする」「集中力が続かない」「家事をするのも億劫になる」などさまざまです。症状は多種多様なので、ご自身の症状に合った診療科を選ぶことが大切です。

婦人科

PMSの治療で一般的によく選ばれるのは婦人科です。婦人科では、月経周期や症状について詳しく問診を行います。いつから症状が始まったのか、症状がどれくらいの期間続くのか、日常生活にどの程度影響が出ているのかなどを具体的に伝えましょう。

問診に加えて、必要に応じて、超音波検査や血液検査などを行います。子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科疾患がないか、ホルモンバランスに問題がないかなどを調べます。PMSの原因が他の病気でないことを確認したうえで、ピルや漢方薬など、症状に合った薬を処方してもらえます。

生理痛がひどくて仕事や学校を休んでしまうほどであれば、低用量ピルで生理を軽くする治療法が有効な場合があります。低用量ピルは、排卵を抑え、子宮内膜の増殖を抑えることで、生理痛の原因となるプロスタグランジンという物質の産生を抑える効果があります。

「イライラして怒りっぽくなる」「気分が落ち込んで何もやる気が起きない」といった精神的な症状が強い場合は、漢方薬が処方されることもあります。漢方薬は、心と体のバランスを整えることで、PMSの症状を改善する効果が期待できます。

婦人科は、PMSの治療において中心的な役割を担う診療科と言えます。

心療内科・精神科

PMSの症状の中には「イライラしやすくなる」「憂鬱な気分になる」「不安感が強くなる」など、精神的な症状が現れることもあります。心療内科や精神科では、問診や心理検査などを通して、患者さんの心の状態を把握し、適切なアドバイスや治療法を提案してくれます。

薬物療法としては、抗不安薬や抗うつ薬などが処方されることがあります。抗不安薬は、不安や緊張を和らげ、精神的な安定をもたらす効果があります。抗うつ薬は、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの分泌量を増やすことで、気分の落ち込みや意欲の低下を改善する効果があります。

婦人科でPMSの治療を受けていても、精神的な症状が改善しない場合は、心療内科や精神科への受診も検討しましょう。婦人科と心療内科・精神科の両方を受診すれば、身体的・精神的な両面からPMSの治療を行えます。

オンライン診療

近年、普及が進んでいるオンライン診療ですが、PMSの診療にも活用できます。オンライン診療では、スマートフォンやパソコンを使って、自宅にいながら医師の診察を受け、薬の処方を受けられます。

クリニックでも、オンライン診療に対応している医療機関も増えているので、通院が難しい方や忙しい方は、利用を検討してみましょう。オンライン診療では、対面診療のような診察や検査が受けられない場合もあるため、事前に医療機関に確認しましょう。

病院選びのポイント

PMSの治療を受ける病院を選ぶ際には、以下のポイントを参考にしてください。

  • 女性医師が診察してくれる病院:自分の症状や悩みを話しやすい環境で治療を受ける
  • PMSの治療経験が豊富な病院:多くのPMS患者を診察した経験を持つ医師であれば、適切な治療法の提案を受けられる
  • セカンドオピニオン:他の医療機関の意見も聞いてみたい場合は、セカンドオピニオンを受ける

自分に合った病院を見つけることが、PMSの治療を成功させるための第一歩です。

PMSと診断される基準とは?

PMSは、月経前になると決まって同じような不調が現れるのが特徴ですが、症状の感じ方や程度は人それぞれです。身体的な症状や精神的な症状、症状が現れるタイミングを解説します。

身体的な症状

PMSの症状として代表的なのが身体的な変化で、主に以下のような症状です。

  • お腹や腰が痛む、重くなる
    生理痛のような痛みだけでなく、お腹が張って苦しい
    腰がだるくて座っていられない
  • 体がだるくてやる気が出ない
    普段は活発でも、鉛のように体が重く感じて、何もする気が起きなくなる
  • 頭痛がする
    月経前に頭痛が起きやすくなる方も多い
    ズキンズキンと脈打つような痛みや頭全体が締め付けられるような痛み
  • 食欲が増したり、特定の食べ物が無性に食べたくなる
    甘いものや脂っこいものが無性に食べたくなる
    普段より食事量が増えてしまう
  • 便秘がちになる
    ホルモンバランスの変化で腸の動きが鈍くなって便秘になりやすい
  • 胸が張って痛む
    乳腺が張って、ブラジャーがきつく感じたり、触ると痛むことがある
  • むくみやすく、体重が増える
    ホルモンバランスの影響で、体が水分を溜め込むことでむくみや体重増加が起こりやすい

これらの症状は、個人差が大きく、症状の出方もさまざまです。軽い人もいれば、日常生活に支障が出るほど重い人もいます。

精神的な症状

PMSでは、身体的な症状だけでなく、精神的な症状が現れることも少なくありません。ホルモンバランスの乱れによって、感情のコントロールが難しくなったり、不安に感じたりすることがあります。以下は症状の一例です。

  • イライラしやすく、怒りっぽくなる
    些細なことでカッとなったり、周りの人に当たってしまう
  • 気分が落ち込みやすく、憂鬱な気分になる
    理由もなく気分が沈む
    涙もろくなる
  • 不安感が強く、落ち着かない
    漠然とした不安感に襲われる
    そわそわして落ち着かなくなる
  • 集中力が続かない
    仕事や勉強に集中できず、ミスが増えてしまう
  • 疲れやすく、眠気を感じる
    日中も眠気や倦怠感が取れない

これらの症状も、人によって現れ方が異なります。症状が重い場合は、仕事や家事、勉強など、日常生活に支障が出てしまうこともあります。

症状が現れるタイミング

PMSの特徴の一つに、症状が現れるタイミングが挙げられます。PMSの症状は、一般的に月経が始まる1週間〜10日前から現れ始め、月経が始まると自然と軽くなったり、消失したりします。

「生理前にいつもイライラしやすくなる」「決まって生理前に食欲が増してしまう」など、月経周期に合わせて、ある程度パターン化されている場合は、PMSの可能性が高いと言えます。

基礎疾患との関連性

PMSは、女性ホルモンの変動が主な原因と考えられていますが、ストレスや睡眠不足、栄養バランスの乱れ、生活習慣なども影響を与えている可能性があります。

子宮内膜症や子宮筋腫、甲状腺疾患など、他の病気が隠れている場合もあります。PMSの症状が重い場合や、長期間にわたって症状が続く場合は、一度医療機関を受診し、専門医に相談しましょう。

自分に合ったPMSの治療法を見つける

PMSの症状は人それぞれで、軽い人もいれば、日常生活に支障が出るほど重い人もいます。我慢せずに、ご自身の状態に合わせて適切な治療を受けることが大切です。PMSの治療法を見つけるためにも、以下の3つのパターンを紹介します。

  • 薬物療法
  • 薬以外の治療法
  • セルフケアの方法

薬物療法

PMSの症状を和らげるために、いくつかの種類の薬が用いられます。どのような薬を使うかは、症状や体質、そして治療に対する希望などを考慮して、医師と相談しながら決めます。

低用量ピル

低用量ピルは、卵巣から分泌される女性ホルモンに似た成分を含む薬です。服用すると、脳が「すでにホルモンが十分出ている」と認識し、ホルモンの分泌を抑えるように指令を出します。その結果、ホルモンバランスが整い、PMSの症状を改善する効果が期待できます。PMSの症状緩和以外に、避妊効果が高いことも大きなメリットです。

服用方法は、月経開始日から毎日1錠ずつ服用し、決められた期間休薬します。低用量ピルは有効な治療法ですが、血栓症のリスクが上がります。喫煙習慣がある方や血栓症の既往がある方は、医師に相談のうえ、服用するか決めましょう。

漢方薬

漢方薬は、自然の生薬を組み合わせて作られた薬です。西洋薬と異なり、体全体のバランスを整えながら、自然治癒力を高めることを目的としています。単に症状を抑えるだけでなく、体質から改善したいという方に向いています。西洋薬に比べて副作用が少ない傾向があることもメリットの一つです。

PMSに対しては、主に「気」「血」「水」のバランスを整える漢方薬が用いられます。「気」の乱れによるイライラや憂鬱感には「加味逍遙散」、「血」の不足によるめまいや動悸には「当帰芍薬散」、水の停滞によるむくみや頭痛には「五苓散」などが挙げられます。

鎮痛剤

鎮痛剤は、その名の通り痛みを抑えることを目的とした薬です。PMSに伴う頭痛や腹痛、腰痛、乳房痛などを和らげる効果があります。鎮痛剤には、大きく分けて「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」と「アセトアミノフェン」の2種類があります。

非ステロイド性抗炎症薬は、痛みや炎症を引き起こすプロスタグランジンという物質の産生を抑えることで効果を発揮します。アセトアミノフェンは、脳に作用して痛みを感じにくくする効果があります。

精神安定剤

精神安定剤は、脳内の神経伝達物質の働きを調整することで、不安や緊張、抑うつ状態などを改善する薬です。PMSに伴い、強い不安感やイライラ、気分の落ち込み、不眠などの精神的な症状に悩まされる場合に処方されることがあります。

短期間の使用であれば、効果的に症状を和らげられます。長期的な使用により、依存や耐性が生じる可能性もあるため、医師の指示に従って服用しましょう。

薬以外の治療法

薬物療法以外にも、PMSの症状を和らげる方法があります。これらの治療法は、単独で行うよりも、薬物療法と併用することで、より効果を発揮することが期待できます。

生活習慣の改善:

睡眠不足や食生活の乱れ、運動不足、過度なストレスなどは、PMSの症状を悪化させる可能性があります。PMSの症状改善には、規則正しい生活習慣を心がけることが重要です。

睡眠は、ホルモンバランスを整え、心身を休ませるために必要不可欠です。睡眠不足になると、自律神経のバランスが乱れ、PMSの症状が悪化しやすくなります。毎日、十分な睡眠時間を確保できるよう、生活リズムを整えましょう。食事は、必要な栄養素を摂取するためだけでなく、ホルモンバランスを整えるうえでも重要です。

ストレス解消

ストレスは、自律神経のバランスを乱し、ホルモン分泌にも影響を与えるため、PMSの大きな原因の一つです。ストレスを溜め込まないためには、自分なりのストレス解消法を見つけましょう。

ヨガや瞑想、音楽鑑賞、読書、散歩など、自分がリラックスできる方法を見つけ、日常生活に取り入れましょう。軽い運動も、ストレス解消に効果的です。運動すると、セロトニンという神経伝達物質が分泌され、気分が高まり、リラックス効果が期待できます。ウォーキングやストレッチなど、無理なく続けられる運動を習慣にしましょう。

サプリメント

ビタミンやミネラルなど、不足しがちな栄養素を補うために、サプリメントを活用するのも一つの方法です。特に、ビタミンB群やマグネシウム、カルシウムや鉄分などは、PMSの症状を和らげると言われています。

サプリメントはあくまでも補助的なものであり、食事で必要な栄養素を摂取することが大前提です。サプリメントの中には、薬との飲み合わせに注意が必要なものもあるため、医師に相談のうえで服用しましょう。

セルフケアの方法

PMSの症状が出たときは、焦らず落ち着いて、まずはご自身でできるケアを試してみましょう。ご自身のPMSについてよく知り、適切に対処することで、症状を和らげられます。

症状を記録する

いつ、どのような症状が出たか、記録しておくことは、ご自身のPMSのパターンを把握する上で役立ちます。基礎体温計を使って基礎体温を測り、月経周期と合わせて記録しておくと、より客観的に自分の状態を把握できます。

症状が出やすい時期は、無理せず休息を取る

PMSの症状が辛い時は、無理せずゆっくりと休息をとりましょう。仕事や家事、勉強なども、いつも通りのペースでこなそうとせず、休めるときは休み、自分のペースで過ごすことが大切です。

温かいお風呂にゆっくりと浸かる

温かいお風呂は、心身をリラックスさせてくれる効果があります。ぬるめのお湯にゆっくりと浸かり、心も体も温まりましょう。入浴剤を入れたり、アロマキャンドルを焚いたりするのもおすすめです。

  • アロマテラピーを取り入れる

ラベンダーやカモミールなど、リラックス効果のある香りのアロマオイルを焚いたり、アロマバスを楽しむのも方法の一つです。アロマオイルは、直接肌に塗布するのではなく、キャリアオイルで希釈してから使用しましょう。

PMSは、適切な治療とセルフケアによって、症状をコントロールできます。自分に合った治療法を見つけて、快適な生活を送りましょう。

まとめ

PMSの治療は、一般的に婦人科を受診します。婦人科では、問診や超音波検査、血液検査などを通して原因を特定し、ピルや漢方薬などを処方します。精神的な症状が強い場合は、心療内科・精神科の受診も検討しましょう。

PMSの診断基準は明確ではなく、症状は人それぞれです。身体的な症状(腹痛、だるさ、頭痛、食欲増加など)や精神的な症状(イライラ、憂鬱、不安感など)が現れます。

PMSの治療法は、薬物療法や生活習慣の改善などがあります。症状が重い場合は、我慢せずに医療機関を受診し、自分に合った治療法を見つけましょう。

以下の記事では、PMSについて基礎知識を中心に解説しています。より網羅的に知りたい方はぜひご覧ください。
>>【医師監修】PMSとは?症状や対策など女性に知ってほしい基礎知識を解説

参考文献

Abic A, Dag-Canatan S, Er-Korucu A, Aksoy-Can A. The effects of yoga and progressive muscle relaxation exercises on premenstrual syndrome: a randomized controlled trial. Women & health 64, no. 3 (2024): 261-273.

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