ソフィアレディスクリニック

PMSと妊娠初期の違い|チェック方法や妊娠初期に気を付けるポイントを解説

公開日:2024.09.30
更新日:2024.12.24

「もしかして妊娠?」と期待と不安が入り混じる時期にいるかもしれません。PMS(月経前症候群)と妊娠初期症状は似ていますが、重要な違いがあります。普段通りの生理痛と比べてみて、いつもより重いと感じたら妊娠初期症状かもしれません。

この記事では、PMSと妊娠初期症状の違いや、それぞれの症状の特徴、セルフチェックの方法や妊娠初期に気をつけるべきポイントを紹介します。正しい知識を身に付けて、安心して妊娠期間を迎えましょう。

神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、PMSにも強みを持つクリニックです。専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。

PMSと妊娠初期症状の違い

PMS(月経前症候群)と妊娠初期症状は、どちらも身体にさまざまな変化が現れるため、ご自身では見分けるのが難しい場合もあるかもしれません。PMSと妊娠初期症状の違いについて解説します。

月経前の症状の特徴

PMSは、月経が始まる約2週間前から起こる、心と体の不調のことです。PMSで起こる症状は人それぞれですが、代表的なものとして以下のようなものがあります。

  • 精神的な症状:イライラ、気分の落ち込み、不安感、集中力の低下、涙っぽくなるなど
  • 身体的な症状:乳房の張りや痛み、頭痛、腹痛、便秘、むくみ、食欲の変化、ニキビ、眠気、だるさなど

症状の個人差は大きく、程度もさまざまです。

月経が来たら症状が治まる

PMSの大きな特徴は、月経が始まるとともに症状が軽くなり、やがて消失することです。「毎月PMSの症状に悩まされていたのに、生理が来たらウソみたいにスッキリした!」という経験をしたことのある方もいるのではないでしょうか。PMSがホルモンバランスの変動と密接に関係しているからです。

妊娠超初期に見られる症状

妊娠超初期とは、妊娠2~3週目のことを指します。まだ妊娠検査薬でも陽性反応が出ないことが多く、自覚症状もほとんどありません。しかし、中には妊娠超初期から、以下のような症状が現れる人もいます。

  • 着床出血: 受精卵が子宮内膜に着床する際に出血が見られることがあります。少量の出血で、おりものに血が混じる程度の場合が多いです。
  • 基礎体温の高温期が続く: 基礎体温の高温期が2週間以上続く場合は、妊娠の可能性があります。 通常、排卵後から次の生理が来るまでは高温期が続きますが、妊娠すると高温期が持続します。
  • 乳房の張りや痛み: ホルモンの影響で、乳房が張ったり、痛んだりすることがあります。
  • 頻尿: 子宮が大きくなるにつれて、膀胱が圧迫され、頻尿になることがあります。
  • 便秘: ホルモンの影響で、腸の動きが鈍くなり、便秘になることがあります。

これらの症状は、必ずしも妊娠超初期に現れるとは限りません。 PMSの症状と似ているものもあるため、妊娠超初期の症状だけで妊娠を確信するのは難しいです。

妊娠検査薬の使用時期

妊娠検査薬は、月経予定日の約1週間後から使用できます。妊娠検査薬は、尿中に含まれるhCGホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)を検出することで、妊娠の判定を行います。

hCGホルモンは妊娠すると分泌されるホルモンで、妊娠初期にはhCGホルモンの分泌量がまだ少ないため、月経予定日よりも前に検査しても、正確な結果が得られないことがあります。

市販の妊娠検査薬には、感度の高いものや生理予定日数日前から使用できるものなど、さまざまな特徴があります。薬剤師に相談して、自分に合ったものを選びましょう。

妊娠初期症状の特徴と注意すべきポイント

妊娠初期には、ホルモンバランスの変化や身体の変化によって、さまざまな症状が現れます。妊娠初期症状の特徴は以下のとおりです。注意すべきポイントも合わせて押さえましょう。

  • つわりの症状
  • 眠気やだるさ
  • 頻尿
  • 便秘
  • 腰痛
  • 食欲の変化
  • おりものの変化
  • 情緒不安定

つわりの症状

つわりは、妊娠初期によく見られる症状の一つです。一般的に妊娠5~6週頃から始まり、8~10週頃にピークを迎え、12~16週頃から症状が軽減することが多いです。つわりの原因は、妊娠中のホルモンバランスの変化によって起こると考えられていますが、はっきりとした原因は分かっていません。

つわりがつらい場合は、無理に食事をとらず、水分補給を心がけ、食べられるものを少しずつ食べましょう。つわりの症状と具体的な例を紹介します。

吐き気:朝起きたときや、空腹時に吐き気を感じる

  • 嘔吐:吐き気が強く、吐いてしまう
  • 食欲不振:食欲がなく、何も食べたくない
  • 味覚の変化:好きな食べ物が食べられなくなったり、嫌いな食べ物が食べたくなったりする
  • 匂いに敏感になる:特定の匂いがダメになり、匂いを感じるだけで吐き気がする

眠気やだるさ

妊娠初期は、ホルモンバランスの変化や体の負担によって、眠気やだるさを感じやすくなります。妊娠初期には、プロゲステロンというホルモンが大量に分泌されます。プロゲステロンは、体温を上昇させたり、子宮内膜を厚くしたりする働きがあり、妊娠の維持に重要な役割です。

妊娠初期には、赤ちゃんが成長するために、母体の体にも大きな負担がかかります。いつもより疲れやすくなり、だるさを感じやすくなるのです。十分な休息を意識してとりましょう。眠気やだるさの軽減方法についての具体例は以下のとおりです。

  • 睡眠時間をしっかりとる:夜は早めに寝て、朝はゆっくりと起きる
  • 日中に眠気を感じたら、仮眠をとる:15分~30分程度の仮眠をとることで、眠気を解消できる
  • 無理せず体を休める:疲れているときは、家事なども無理せず、横になって体を休める
  • リラックスできる時間を作る:好きな音楽を聴いたり、本を読んだり、アロマを焚いたりなど、リラックスできる時間を作る

頻尿

妊娠初期は、子宮が大きくなるにつれて膀胱が圧迫され、頻尿になりやすくなります。

夜中に何度もトイレに起きることや、尿漏れしてしまうこともあります。妊娠初期には、子宮が大きくなるスピードが速いため、膀胱が圧迫されやすくなります。ホルモンバランスの変化によって、尿量が増加して頻尿にもなりやすいです。

頻尿対策でおすすめなのは以下の3つです。

  • 水分はこまめにとる:一度にたくさんの水分をとるのではなく、こまめに水分をとる
  • 寝る前に水分を控える:寝る前に水分を控えることで、夜間のトイレの回数を減らせる
  • 骨盤底筋体操をする:骨盤底筋体操をすることで、骨盤底筋を鍛え、尿漏れを予防できる

便秘

妊娠初期は、ホルモンバランスの変化や、子宮が大きくなることによって、便秘になりやすくなります。妊娠初期に便秘になると、お腹が張って苦しくなったり、食欲不振になったりすることがあります。妊娠初期に分泌されるプロゲステロンには、腸の動きを抑える働きがあるため、便秘になりやすいです。

子宮が大きくなるにつれて、腸が圧迫され、便が通りにくくなることも、便秘の原因です。以下の便秘対策もチェックしておきましょう。

  • 食物繊維を多くとる:野菜や果物、海藻やきのこなどを積極的に食べる
  • 水分を十分にとる:水分を十分にとることで、便が柔らかくなり、排便しやすく
  • 適度な運動をする:軽い運動をすることで、腸の動きが活発になり、便秘の解消に役立つ
  • 便意を我慢しない:便意を我慢すると、便秘が悪化しやすいので便意を感じたら、すぐにトイレに行く
  • マッサージをする:お腹をマッサージすることで、腸の動きを促し、便秘の解消につながる

腰痛

妊娠初期は、ホルモンバランスの変化によって骨盤の靭帯が緩み、腰痛が起こりやすいです。妊娠初期には、子宮が大きくなることで、腰への負担も大きくなるため、腰痛が悪化しやすいです。出産に伴う生理的な変化なので、心配する必要はありません。

しかし、中には腰痛が悪化し、日常生活に支障をきたす場合もあるので、我慢せずに医師に相談し、適切なアドバイスや治療を受けましょう。

食欲の変化

妊娠初期は、ホルモンバランスの変化によって、食欲が変化することがあります。つわりによって食欲不振になることがあります。空腹になると吐き気がするといった「食べづわり」の症状が出る人もいるのが特徴です。

食欲不振や食べづわりなどの症状がある場合は、無理せず食べられるものを食べましょう。食欲の変化への対処法は以下のとおりです。

  • 食欲不振:冷たいものや、さっぱりとしたものを食べる
  • 食べづわり:空腹にならないように、こまめに食事をとる
  • 偏食:栄養バランスが偏らないように、色々な食材を食べるように心がける

おりものの変化

妊娠初期は、エストロゲンというホルモンの増加によって、おりものが増え、水っぽくなることがあります。おりものは、通常、無色透明で、特に匂いもありません。おりものの量や色、匂いなどがいつもと違う場合は、感染症の可能性もあるため、医療機関を受診しましょう。

おりものの変化における具体的な例は、以下のとおりです。

  • おりものが増える:下着が湿るほど、おりものが増える
  • おりものが水っぽくなる:水のようなおりものが出る
  • おりものの色が変わる:黄色や緑色のおりものが出る
  • おりものに匂いがする:生臭い匂いや、かゆみを伴うおりものが出る

妊娠検査薬の種類と使い方

妊娠の可能性が出てくると、「早くはっきりさせたい!」と、ドラッグストアへ妊娠検査薬を探しに行く方も多いのではないでしょうか。ここでは、妊娠検査薬でわかることや使うタイミングを解説します。

妊娠検査薬でわかること

妊娠検査薬は、妊娠したときに分泌量が増えるホルモン「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」を尿で検出することで、妊娠の可能性を判定します。hCGは、妊娠初期に胎盤を形成する細胞からつくられるホルモンで、妊娠の維持に重要な役割を果たしています。

妊娠検査薬には、尿をかける部分に、hCGと反応して色が変わる薬品が含まれています。妊娠していれば尿中のhCGが薬品と反応し、色の変化やマークの出現で判定結果を教えてくれる仕組みです。妊娠検査薬で陽性反応が出ても、すべてのケースで正常な妊娠であるとは限りません。

子宮外妊娠や胞状奇胎などの場合でも、hCGが分泌されて陽性反応が出る可能性があります。妊娠検査薬はあくまでも「妊娠の可能性を調べるもの」と捉え、陽性反応が出たら、医療機関を受診して超音波検査などで診断を受けましょう。

妊娠検査薬を使うタイミング

妊娠検査薬は、一般的に月経予定日の約1週間後から使用できます。月経周期が28日と安定している方であれば、前回の月経開始日から計算して28日後の約1週間後が使用時期の目安です。受精卵が着床してからhCGが分泌され始め、尿中に十分な量のhCGが検出できるまでに時間がかかるためです。

月経予定日直後など、早すぎる時期に検査すると、まだhCGの量が少なくて正確な結果が得られない可能性があります。「早期妊娠検査薬」は、生理予定日の数日前から使用できますが、通常の妊娠検査薬よりも感度が高いです。hCGの分泌量が少ない場合でも陽性反応が出る可能性があるので、注意しましょう。

妊娠初期に知っておきたいこと

妊娠初期に知っておきたいことは以下のとおりです。

  • 妊娠初期の過ごし方
  • 妊娠初期の食事
  • 妊娠初期の運動
  • 葉酸の必要性
  • 飲酒や喫煙の影響
  • 医療機関への受診時期

妊娠初期の過ごし方のポイント

妊娠初期は、つわりなどの症状が出やすく、体調が変化しやすい時期です。無理せず、ゆっくりと過ごすことが大切です。以下のような点に気をつけましょう。

  • 十分な睡眠と休息をとる
  • リラックスできる環境をつくる
  • 無理のない範囲で体を動かす
  • 水分補給をこまめにする
  • 栄養バランスを考えた食事をとる
  • パートナーや家族とのコミュニケーションを大切にする

妊娠・出産は、女性にとって、人生における大きな転換期であり、精神的なサポートが重要です。

妊娠初期の食事について

妊娠初期は、赤ちゃんの成長のために、栄養バランスのとれた食事を心がけることが大切です。この時期の食事は、赤ちゃんが成長するための大切な土台となるだけでなく、お母さん自身の健康を維持するためにも重要です。

特に重要な栄養素は、葉酸と鉄分です。

葉酸は、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを低減するために、妊娠初期には特に重要です。妊娠初期に赤ちゃんの器官形成が活発に行われ、神経管は妊娠4週目頃に形成されます。

この時期の葉酸不足は、神経管閉鎖障害のリスクを高める可能性があり、二分脊椎や無脳症といった先天異常を引き起こす可能性があります。ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜、いちごなどの果物に多く含まれています。

鉄分は、赤ちゃんの体を作るために、ママ自身の貧血予防にも欠かせません。妊娠初期には、血液量が急激に増加するため、鉄分不足に陥りやすいです。鉄分不足は、胎児の発育にも影響を及ぼし、低体重児出産のリスクを高める可能性も指摘されています。レバーやひじき、小松菜などに多く含まれています。

妊娠初期の運動

妊娠初期は、激しい運動は避け、無理のない範囲で体を動かしましょう。妊娠初期は、ホルモンバランスが大きく変化し、身体的にも精神的にも不安定な時期です。激しい運動を行うと、身体に負担がかかりすぎ、早産や流産のリスクを高める可能性があります。

おすすめの運動は、散歩やヨガ、ストレッチです。

散歩

外の空気を吸いながら、ゆったりと歩くことは気分転換になります。軽い運動は、血行促進やストレス解消、体力維持に効果的です。太陽の光を浴びることで、体内時計がリセットされ、質の高い睡眠にもつながります。

マタニティヨガ

妊娠中の体の変化に合わせたポーズで、心身のリラックスと体力維持を目指します。マタニティヨガは、呼吸法やストレッチ、瞑想などを組み合わせたもので、妊娠中の身体の変化に対応できる柔軟性や筋力、バランス感覚を養えます。リラックス効果も高く、ストレスや不安を軽減する効果も期待できます。

ストレッチ

体をゆっくりと伸ばすことで、血行促進や筋肉の緊張を和らげます。妊娠初期は、ホルモンの影響で、筋肉や関節が緩みやすくなっています。ストレッチによって、筋肉の柔軟性を高め、血行を促進することで、腰痛や肩こり、むくみの予防・改善に効果が期待できます。

運動する際には、医師に相談し、体調と相談しながら行いましょう。

飲酒や喫煙の影響

妊娠中の飲酒や喫煙は、赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性があります。妊娠中の飲酒や喫煙は、赤ちゃんにとって危険な行為です。アルコールやタバコに含まれる有害物質が、胎盤を通して直接赤ちゃんに伝わってしまうからです。

妊娠中は、飲酒や喫煙は控えるようにしましょう。

医療機関への受診時期

妊娠がわかったら、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。妊娠初期の検査では、妊娠週数の確認や赤ちゃんの心拍確認、母体の健康状態のチェックなどを行います。医師から妊娠中の注意点や生活指導を受けられます。

妊娠初期の検査では、子宮頸がんの検査や性感染症の検査なども行うことがあります。妊娠初期の検査は、母子ともに健康な状態で妊娠生活を送るために重要です。

わからないことや不安なことがあれば、遠慮なく医師や助産師に相談しましょう。

まとめ

PMSと妊娠初期症状は似ているため、自己判断は禁物です。妊娠の可能性がある場合は、市販の妊娠検査薬を試した後、医療機関を受診しましょう。妊娠初期は、赤ちゃんの成長のために生活習慣を見直し、栄養バランスの取れた食事と無理のない範囲での運動を心がけましょう。

葉酸の摂取も重要です。飲酒や喫煙は赤ちゃんに悪影響を与える可能性があるので避けましょう。心配な症状や疑問点は、自己判断せず、医療機関に相談してください。

以下の記事では、PMSについて基礎知識を中心に解説しています。より網羅的に知りたい方はぜひご覧ください。
>>【医師監修】PMSとは?症状や対策など女性に知ってほしい基礎知識を解説

参考文献

Kattini R, Hummelen R, Kelly L. Early Gestational Diabetes Mellitus Screening With Glycated Hemoglobin: A Systematic Review. Journal of obstetrics and gynaecology Canada 42, no. 11 (2020): 1379-1384.

AIボット
診療予約