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更年期の生理こない・おりもの多い現象を徹底解説!ホルモン変化の影響と対処法

公開日:2025.05.18
更新日:2025.05.31

更年期は、多くの女性にとって人生の重要な転換期となります。平均閉経年齢と言われる50歳前後になると、卵巣機能の低下とともに、さまざまな身体の変化が現れます。生理がこなくなったり、おりものの量が増えたりするのは、エストロゲンという女性ホルモンの減少が引き起こす現象です。

更年期における生理不順やおりものの変化は、自然な身体の変化である一方、病気が隠れているサインである可能性も否定できません。ご自身の身体の変化に向き合い、適切なケアをすることで、より穏やかに更年期を過ごせる可能性があります。

本記事では、更年期に起こる「生理がこない」「おりものが多い」といった現象のメカニズムと、具体的な対処法を解説していきます。記事を読むことで生理がこない、おりものが多いときの注意点や受診の目安もわかります。

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更年期に生理がこない・おりものが多い現象のメカニズム

更年期になると、生理がこなくなったり、おりものの量が増えたりすることがあります。それぞれの原因について解説します。

  • 更年期に生理がこない原因
  • 更年期におりものが多い原因

更年期に生理がこない原因

更年期になると卵巣機能が低下することによって、エストロゲンの分泌が不安定になります。エストロゲンは、子宮内膜を増殖させて生理を起こしたり、おりものの量を調整したりする大切なホルモンです。エストロゲンの分泌が乱れると、生理周期が不安定になり、生理がこない、逆に頻繁にくるといった生理不順が起こります。

やがて、生理が3か月以上こなくなり、閉経を迎えます。閉経とは、卵巣の機能が低下し、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少することで、生理が永久的に停止した状態を指します。

特に40代に入ると、生理不順が「更年期のはじまりなのか、それとも他の原因なのか」と不安に感じる方も多くなります。以下の記事では、40代女性に見られる生理不順の主な原因や対策法、更年期との関係性について詳しく解説しています。
>>40代の生理不順の原因と対策とは?更年期との関係性を解説

更年期におりものが多い原因

更年期には、エストロゲン分泌量の急激な減少により、さまざまな症状が現れます。おりものの変化も症状の一つです。エストロゲンは膣の粘膜を健康に保つ役割も担っています。更年期にはエストロゲンの減少により膣が乾燥しやすくなり、おりものの量が減ったり、粘り気が強くなったりする人がいます。

一方で、おりものの量が増える人もいます。身体がエストロゲンの減少を補おうとして、頸管粘液を多く分泌することが原因です。更年期には、ホルモンバランスや自律神経が乱れやすくなり、発汗やほてりなどの症状が現れることがあります。発汗などの症状と同時に、おりものの量が増えるという人もいます。

発汗によって腟の周辺が蒸れやすくなり、おりものの分泌が促進されるためです。膣の乾燥によって炎症が起こりやすくなり、おりものが増えるケースもあります。

更年期のホルモン変化のその他の影響

更年期のホルモンバランスの乱れによる生理・おりもの以外の変化は以下のとおりです。

  • 急な発汗
  • 頭痛
  • めまい
  • イライラや不安感

急な発汗

更年期になると、急な発汗やのぼせ、ほてりといった症状が現れやすくなります。急な発汗などはホットフラッシュと呼ばれ、更年期障害の代表的な症状の一つです。顔や首、胸などが急に熱くなり、大量の汗をかく症状が、数分〜数十分続き、1日に何度も繰り返す場合もあります。

ホットフラッシュが発生する理由は、エストロゲンの減少により体温調節機能がうまく働かなくなることだと考えられています。体温調節中枢である視床下部は、体温の変化を敏感に感知し、発汗や血管の収縮・拡張を調節することで、体温を一定に保つ組織です。

更年期になると、エストロゲンの減少で視床下部の機能が不安定になり、わずかな体温の変化にも過剰に反応するため、急な発汗が起こります。ホットフラッシュは、日常生活の中で突然起こるため、不快感を覚える方も多いです。症状が重い場合は、仕事や家事に集中できなくなったり、外出を控えるようになったりする方もいます。

頭痛

更年期になると、頭痛に悩まされる人も少なくありません。更年期には片頭痛の頻度が増えたり、慢性的な頭痛が悪化したりするケースが見られます。エストロゲンの減少は、血管の拡張や収縮にも影響を及ぼすことが原因です。

片頭痛は、頭の片側または両側にズキンズキンと脈打つような痛みを感じるのが特徴です。吐き気や嘔吐、光や音に過敏になる場合もあります。更年期に片頭痛が悪化する原因として、エストロゲンの減少による血管の拡張が関わっていると考えられています。

更年期には、緊張型頭痛が起こることもあります。緊張型頭痛は、頭全体を締め付けられるような痛みで、肩や首のこりを伴うこともあります。主な原因は、精神的なストレスや身体的な疲労、長時間のデスクワークなどによる筋肉の緊張です。

更年期には、ホルモンバランスの乱れから自律神経が不安定になりやすく、ストレスを感じやすいため、緊張型頭痛も起こりやすくなります。

めまい

更年期にめまいが起こる原因は、自律神経の乱れ、エストロゲンの減少による血流の悪化、ストレス、睡眠不足など、多岐にわたります。更年期に起こるめまいは、回転性めまい、浮動性めまい、立ちくらみなど、さまざまな種類があります。

回転性めまいは、周囲がぐるぐる回るような感覚を伴うめまいです。浮動性めまいでは、身体がフワフワと浮いているような感覚、身体が傾いているような感覚を伴います。立ちくらみは、急に立ち上がった際に、目の前が暗くなったり、クラッとしたりする症状です。更年期のめまいは、吐き気や耳鳴りを伴う場合もあります。

更年期に起こるめまいは、自律神経の乱れが大きく関わっていると考えられています。自律神経は、身体のさまざまな機能を自動的に調節する神経系で、交感神経と副交感神経の2種類があります。更年期には、エストロゲンの減少によって自律神経のバランスが崩れやすいため、めまいなどの症状が現れやすいです。

イライラや不安感

更年期になると、イライラしやすくなったり、不安感が強くなったりする精神的な症状が現れることがあります。日常生活の中で些細なことでイライラしたり、急に不安に襲われたり感情のコントロールが難しくなることもあります。

更年期における精神的な症状の原因は、エストロゲンの減少が脳内の神経伝達物質に影響を与えることです。神経伝達物質は、脳内の神経細胞間で情報を伝達する化学物質で、感情や気分の調節にも重要な役割を担っています。エストロゲンの減少は、神経伝達物質のバランスを崩し、イライラや不安感などの精神症状を引き起こす可能性があります。

更年期には、身体的な不調や生活環境の変化なども重なることが多く、精神的なストレスを増大させ、症状を悪化させる場合もあります。更年期の精神的な症状は、日常生活に大きな影響を及ぼす可能性があるため、症状が重い場合は、医療機関に相談しましょう。

病院を受診する目安

医療機関を受診する目安は以下のとおりです。

  • 3か月以上生理がこない
  • 急におりものが大量に出る
  • 閉経後に不正出血がある
  • 強いかゆみを伴う

3か月以上生理がこない

3か月以上生理がこない場合、更年期による変化の可能性が高いです。他の原因によるものか、妊娠の可能性がないかを確認するためにも、婦人科を受診することをおすすめします。

更年期以外にも、生理がこなくなる原因はいくつかあります。過度なダイエットや激しい運動、強いストレス、甲状腺機能の異常、脳腫瘍などが代表的な原因です。婦人科を受診することで、原因を特定し、適切な対応策を検討することができます。

40代後半以降で3か月以上生理がこない場合は、閉経が近づいているサインの可能性があります。閉経は自然な身体の変化ですが、更年期に関連するさまざまな症状が現れることがある時期でもあります。

急におりものが大量に出る

おりものの変化は更年期の症状の1つです。身体がエストロゲンの減少を補おうとして、頸管粘液を多く分泌し、おりものの量が増える場合もあります。一方で、急におりものの量が増えたり、色や臭いがいつもと違ったりする場合は、感染症などの病気が隠れている可能性も考えられます。

カンジダ膣炎は、外陰部のかゆみと白いカッテージチーズ状のおりものが特徴です。細菌性膣症は、灰白色で生臭いおりものが特徴で、性交後に臭いが強まる傾向があります。萎縮性膣炎は、閉経後にエストロゲンがさらに減少することで発症しやすく、黄色っぽいおりものや出血、かゆみ、性交痛などの症状が現れます。

急なおりものの増加や色・臭いの変化が見られる場合は、自己判断せずに婦人科を受診し、適切な検査と治療を受けるようにしましょう。更年期には膣の自浄作用が低下し、感染症にかかりやすくなっているため、注意が必要です。

中でも「黄色のおりもの」が見られる場合は、感染症や炎症など何らかの異常が隠れている可能性があります。以下の記事では、黄色いおりものの具体的な原因や、症状別にとるべき対処法について詳しく解説していますので、参考にしてください。
>>黄色のおりもの、放置は危険?原因と症状別の対処法を解説

閉経後に不正出血がある

閉経後、再び出血がある場合は「不正出血」と呼ばれ、注意が必要です。子宮体がんや子宮頸がん、子宮筋腫、子宮内膜ポリープなど、重大な病気が隠れている可能性があります。速やかに婦人科を受診し、適切な治療を受けてください。

閉経後の不正出血は、少量の出血でも軽視せず、必ず婦人科で検査を受けましょう。早期発見・早期治療によって、予後が大きく改善される可能性があります。

なお、不正出血は閉経後に限らず、月経以外のタイミングで起こる出血全般を指します。出血の原因や見分け方を知っておくことで、必要なときに適切な対応が取りやすくなります。以下の記事では、不正出血の主な原因、生理との違い、受診の目安などについて詳しく解説しています。
>>不正出血を放置しないで!原因や生理との違い、受診の目安まで徹底解説

強いかゆみを伴う

更年期には、膣が乾燥しやすくなり、かゆみを伴うことがあります。しかし、強いかゆみがある場合は、カンジダ膣炎などの感染症が原因となっていることも考えられます。

カンジダ膣炎は、カンジダ菌という真菌が膣内で過剰に増殖することで起こる感染症です。更年期には膣の自浄作用が低下するため、カンジダ膣炎を発症しやすくなります。

自己判断で市販薬を使用するのではなく、婦人科を受診し、適切な検査と治療を受けましょう。更年期のかゆみは、他の病気が隠れている可能性もあるため、自己判断は危険です。症状を悪化させないためにも、早めに婦人科を受診し、医師の診断を受けることが大切です。

生理こない・おりものが多い現象の対処法

更年期の症状緩和や健康維持のためにできる具体的な対処法について、以下のポイントをご紹介します。

  • ホルモン補充療法(HRT)
  • 漢方薬
  • 禁酒
  • 十分な睡眠
  • 適度な運動

ホルモン補充療法(HRT)

ホルモン補充療法(HRT)は、減少したエストロゲンを補う治療法であり、更年期の症状緩和に対して検討される選択肢の一つです。

近年発表された研究では、経皮エストラジオールと経口エストロゲンの比較試験が行われました。どちらも更年期症状全般の軽減に有効で、投与経路による大きな差はないという結果が出ています。

HRTには、飲み薬や貼り薬、塗り薬などがあり、医師と相談しながらご自身に合った方法を選ぶことが可能です。HRTは更年期症状を和らげるだけでなく、骨粗鬆症の予防にも効果が期待できます。

HRTは更年期の心身の不調を改善するうえで有効な治療法ですが、すべての方に適しているわけではなく、副作用が現れる可能性もあります。

血栓症のリスクが上昇する可能性があるため、定期的な検査が必要です。子宮体がんのリスクを上昇させる可能性もあるため、子宮内膜の状態を定期的にチェックする必要があります。過去に乳がん、子宮体がん、血栓症などを罹患したことがある方はHRTを受けられない場合があります。

漢方薬

漢方薬は、更年期の症状に対して医師により処方されることがあります。更年期に関連して処方される漢方薬には、加味逍遥散、当帰芍薬散などがありますが、医師の診断にもとづいて、個人の体質や症状に合わせて処方される必要があります。

漢方薬はHRTのように即効性はありませんが、比較的副作用が少なく、長期的に服用できる点がメリットです。医師の判断によっては、ホルモン補充療法と漢方薬が併用されることもあります。ご自身に合った漢方薬を見つけるためには、漢方医または漢方に精通した医師に相談することが大切です。

禁酒

更年期には、自律神経も不安定になりがちです。アルコールは自律神経に影響を与える可能性があり、更年期の症状に影響することが考えられます。アルコールは肝臓で代謝されるため、肝臓への負担も大きくなります。更年期は肝機能が低下しやすいため、アルコールの摂取は控えめにしましょう。

十分な睡眠

睡眠不足は、自律神経の乱れを招き、更年期症状を悪化させる大きな要因となります。質の良い睡眠を確保するために、寝る前にカフェインを摂らない、リラックスできる環境を作るなど、睡眠衛生に気を配りましょう。睡眠時間をしっかりと確保することで、心身の疲労回復を促し、更年期症状の緩和につながる可能性があります。

適度な運動

適度な運動は、更年期症状の緩和に役立つことが知られています。運動によって血行が促進され、自律神経のバランスも整いやすくなる可能性があります。運動はストレス管理に役立つ可能性があります。ウォーキングやヨガ、ストレッチなど、無理なく続けられる運動を生活に取り入れてみましょう。

まとめ

更年期に生理がこなくなったり、おりものの量に変化があったりするのは、エストロゲン分泌の減少に関連した変化と考えられています。症状が気になる場合や、他に気になる症状がある場合は、婦人科を受診することをご検討ください。

ホルモン補充療法や漢方薬、生活習慣の見直しなど、更年期の症状に対するさまざまなアプローチが医療機関で提案されることがあります。ご自身の体調の変化に注意を払い、必要に応じて医療機関への相談を検討されることが重要です。

更年期障害の症状や対策について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>更年期障害の症状と効果的な対策!つらい不調を和らげる方法

参考文献

Ruiyi Tang, Yubo Fan, Xiangyan Ruan, Zhifen Zhang, Mulan Ren, Jie Wu, Kuanyong Shu, Huirong Shi, Meiqing Xie, Shulan Lv, Xin Yang, Qi Yu, Rong Chen. Changes in menopause-specific quality of life between women with transdermal estradiol versus oral estrogens: results of a randomized controlled trial. Gynecol Endocrinol, 2025, 41, 1, p.2484213

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