ソフィアレディスクリニック

【医師監修】40代女性の生理量が多い原因は?病気のサインと受診タイミング

公開日:2025.05.18
更新日:2025.05.31

40代に突入すると、生理の量や周期に変化が現れ、不安を抱える女性は少なくありません。生理の変化の原因は、ホルモンバランスの乱れや子宮筋腫、子宮腺筋症などが挙げられます。30〜50代の女性に多く見られ、症状が進行すると貧血やめまいなど、日常生活に支障を及ぼすため注意が必要です。

この記事では、40代女性の生理量が多くなる5つの原因を解説します。ホルモンバランスの乱れや子宮の病気、疾患のサインなど具体的な症状や受診の目安をお伝えします。生理の悩みを解決し、安心した毎日を過ごしましょう。

神奈川県相模原市、淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックは、生理の悩みに強みを持つ婦人科クリニックです。生理不順やPMSなどの女性特有のお悩みはもちろん、男性不妊の検査・治療にも対応し、ご夫婦のお悩みを専門医が丁寧にサポートします。

また、当院は橋本駅の長谷川レディースクリニックと密に連携し、婦人科・不妊治療を提供しています。2つの施設間で検査結果や治療方針を共有することで、よりスムーズな治療体制を整えています。体外受精をご検討の方にも、きめ細かな診療と迅速な対応をご提供していますので、お悩みの方は当院へご相談ください。

40代で生理の量が多い原因5選

40代になると、生理の量や周期に変化が現れる方もいます。40代で生理の量が多くなる原因をご紹介します。それぞれの症状や特徴について理解を深めましょう。

  • ホルモンバランスの乱れ
  • 子宮筋腫
  • 子宮腺筋症
  • 子宮内膜症
  • その他の疾患(子宮内膜ポリープ、子宮体がん等)

ホルモンバランスの乱れ

40代後半になると、更年期が近づき卵巣の働きが徐々に衰えてきます。閉経に近づくにつれ、ホルモン(エストロゲンなど)の分泌量が不安定になります。不安定なホルモンバランスは、子宮内膜の増殖に影響を及ぼすため、生理の量が増える原因です。

卵巣機能の低下により、排卵が起こらない無排卵性の生理(排卵を伴わない出血)の回数も増える場合があります。排卵がない場合では、生理周期が安定しにくく、エストロゲン分泌量が乱高下しやすい状態です。エストロゲンの分泌量は、子宮内膜の厚さに影響するため、無排卵性の生理が増えると、子宮内膜が厚くなり、経血量が増えやすくなります。

更年期のホルモンバランスの乱れは、生理不順やのぼせ、イライラ感など、さまざまな症状を引き起こす可能性があります。生理の量の変化以外にも、症状に心当たりがあれば、更年期の影響を疑いましょう

子宮筋腫

子宮筋腫は、30~50代の女性に見られる子宮にできる良性の腫瘍です。子宮筋腫は発生する場所によって「粘膜下筋腫」「筋層内筋腫」「漿膜(しょうまく)下筋腫」の3種類に分けられます。

子宮の内側にできる「粘膜下筋腫」は、子宮内膜の表面積を増やすため、経血量の増加につながります。「筋層内筋腫」は子宮の壁の中にできる子宮筋腫です。子宮を圧迫することで出血量を増やすリスクがあります。漿膜下筋腫は経血量に影響を与えることは少ないですが、筋腫がねじれると腹部に激痛が走るため注意が必要です。

子宮筋腫は自覚症状がない場合も多いですが、以下の症状が現れやすいです。

  • 生理の量が多い
  • 生理痛が重い
  • 貧血
  • 頻尿
  • 便秘

子宮筋腫の症状は他の疾患でも起こる可能性があるため、自己判断せず、医療機関を受診し適切な検査を受けることが重要です

子宮筋腫は女性ホルモンの変化も大きく関わっています。ピルや性行為との関係についても解説しているので、以下の記事をぜひご覧ください。
>>子宮筋腫の原因は女性ホルモンの変化?ピルや性行為との関係についてもわかりやすく解説

子宮腺筋症

子宮腺筋症は、子宮内膜に似た組織が子宮の筋肉の中に入り込んで、増殖する病気です。30~50代にかけて発症する人が多く、強い生理痛や過多月経、骨盤痛を引き起こす場合があります。子宮腺筋症は、子宮筋層を厚くし、生理の際に出血を引き起こします。

子宮腺筋症は進行性の病気であるため、早期発見・早期治療が大切です。日常生活に支障が出るほどの強い痛みや大量の出血などがある場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

子宮内膜症

子宮内膜症は、子宮の内側にある子宮内膜組織が、子宮以外の場所に発生する病気です。卵巣や腹膜などに子宮内膜組織が見られる場合、生理のたびに炎症反応が起こり、出血量が増えるリスクがあります。

20〜40代の女性に多く、症例によっては妊娠に影響を及ぼす可能性があるとされています。生理痛が重かったり、性交痛があったりする場合は、子宮内膜症の可能性があります。子宮内膜症は、卵巣チョコレート嚢胞などの合併症を引き起こすリスクがあるため、早期発見と適切な治療が重要です

以下の記事では、子宮内膜症の原因や治療法、早期発見のために知っておきたいポイントについて詳しく解説しています。
>>子宮内膜症ってどんな病気?原因や治療法、早期に発見するポイントも解説

その他の疾患(子宮内膜ポリープ、子宮体がん等)

子宮内膜ポリープは、子宮内膜の一部が増殖した良性の腫瘍です子宮体がんは子宮内膜に発生するがんで、閉経後の女性に多い傾向があります。どちらも不正出血や過多月経などの症状が現れる場合があります。

45歳以上で生理の量や周期が変化したり、閉経後に出血が続いたりする場合は、子宮体がんの可能性もあるため、早めに婦人科を受診することが大切です。子宮体がんは早期発見であれば、治癒率が高くなります。定期的な検診で早期発見に努めましょう。

甲状腺機能異常や血液凝固異常など、全身性の疾患が生理の量に影響を与える方もいます。特定の薬剤の服用が原因となる場合もあります。生理の量の変化が続く場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、原因を特定することが重要です。

不正出血の原因や生理との違い、受診の目安について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>不正出血を放置しないで!原因や生理との違い、受診の目安まで徹底解説

生理の量が多い場合の受診タイミング

婦人科診療では、適切なセルフケアを行うことで症状が緩和される場合もあります。年齢的なものだと諦めずに、ご自身の体の変化に耳を傾け、適切なタイミングで受診することが大切です。婦人科を受診するタイミングは以下のとおりです。

  • 大量出血がある
  • 激しい痛みがある
  • 閉経後にダラダラ出血がある

大量出血がある

医学的に、1周期の総量が80mLを超える場合を「過多月経」と定義されています。以下の量は、過多月経に該当する可能性が高いです。

  • ナプキンが2時間以内に濡れる
  • 夜用ナプキンで漏れる
  • 2.5cmを超える血の塊が頻繁に出る

大量出血が続く場合は、貧血のリスクが高まります。立ちくらみや息切れ、倦怠感などの症状に気づいたら、できるだけ早く婦人科を受診しましょう。

激しい痛みがある

鎮痛剤を服用しても生理痛が治まらなかったり、日常生活に支障が出るほどの激しい痛みがあったりする場合は、注意が必要です。子宮内膜症や子宮腺筋症などが隠れている可能性があります。

痛みの感じ方は個人差がありますが、日常生活に支障をきたすほどの痛みは、我慢すべきではありません。激しい痛みが続く場合は、婦人科を受診し、適切な検査を受けましょう。

閉経後にダラダラ出血がある

閉経とは、1年以上生理が来ない状態です。閉経後に少量の出血がダラダラと続く場合、子宮体がんの初期症状である可能性があります。子宮体がんは40~50代に多い傾向です。

閉経後の出血を軽視せず、子宮体がんの早期発見・早期治療が重要です。早期に適切な治療を受けることで、治癒が期待できます。受診の際には、生理に関する以下の情報を詳しく医師に伝えましょう。

  • 生理周期
  • 出血量
  • 血の塊の有無や大きさ
  • 痛みの程度

医師が診断するうえで、重要な手がかりとなります。

生理の量が多い場合の治療法

過多月経は、貧血や倦怠感などの体の負担だけでなく、日常生活にも支障をきたし、精神的なストレスを抱える人もいます。症状が気になる場合は医療機関を受診し、適切な検査や治療について相談することが大切です。過多月経に用いられる治療法を3つご紹介します。

  • 低用量ピル
  • ミレーナ
  • 手術療法

低用量ピル

低用量ピルは、エストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンを含む薬剤です。医師の処方が必要であり、月経関連症状に対して用いられる場合があります。個人差がありますが、月経周期が安定し、心身の負担が軽減されたと感じる人もいます。効果や副作用については、医師に相談することが大切です。

低用量ピルは排卵を抑え、子宮内膜の増殖を抑制する作用があり、生理の量が軽減が期待できます。低用量ピルは、生理痛の緩和や月経周期の調整にも有効です。生理周期が安定し、生理への精神的な負担軽減を目指せます。

低用量ピルはすべての方に適しているわけではありません。血栓症のリスクを高める可能性があるため、40代や喫煙習慣などがある方は、服用前に医師との相談が必要です。すでに血栓症のリスク因子を持っている人もいるため、注意が必要です。

服用開始直後やピルの種類を変更した際に、一時的に出血量が増えるケースがまれにあります。吐き気や頭痛、不正出血などの副作用が現れる可能性もあるため、気になる症状があれば、すぐに医師に相談するようにしましょう

ピルは便利な避妊法である一方、副作用についても正しく理解しておくことが大切です。ピルの副作用の種類やリスク、対処法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>低用量ピルの副作用を解説!知っておくべきリスクと対処法

ミレーナ

ミレーナは、子宮内に装着する医療機器で、子宮内黄体ホルモン放出システム(IUS)とも呼ばれています。ミレーナは、子宮内で黄体ホルモンを徐放することにより作用し、子宮内膜への影響により、生理の量が減少することが期待されています。

一度の装着で最長5年間使用可能とされています。個人差はありますが、使用者によっては生理痛の軽減が感じられる人もいます。ミレーナは避妊効果が高いですが、性感染症の予防効果はないため、注意が必要です。

装着時に痛みを伴うリスクがありますが、麻酔の使用可否を医師に相談しましょう。装着直後は、不正出血や少量の出血などが続く場合がありますが、多くの場合数か月で症状が落ち着きます。

手術療法

子宮の病気が原因で生理の量が多い場合は、手術療法が選択肢となります。子宮筋腫の場合は、筋腫のみを摘出する手術(筋腫核出術)が行われる場合が多いです。子宮腺筋症は、病変のある子宮内膜を切除や焼灼する子宮内膜アブレーションなどの手術が検討されます。

治療で効果が見られなかったり、症状が重かったりする人は、子宮全摘術が選択される場合もあります。子宮全摘術は、生理がなくなるため、過多月経の根本的な解決につながりますが、妊娠ができなくなるため、医師とよく相談しましょう。

手術療法は体への負担が大きいため、入院が必要になる場合もあります。術後の経過観察も重要です。手術の選択は、患者さんの年齢や症状の重さ、妊娠の希望などを考慮し、医師と相談したうえで決定されます

自分でできる3つのセルフケア

自分でできるセルフケアを実践し、少しでも快適に過ごせるように工夫してみましょう。以下のセルフケアで症状が軽快する人もいます。

  • 鉄分の補給
  • ストレス管理
  • 適度な運動

鉄分の補給

生理の量が多いと、体内の鉄分が失われやすくなります。鉄分は、レバーや赤身肉、小松菜などの食品に多く含まれているため、食事に取り入れバランスの良い食事をしましょう。鉄分が不足すると貧血になり、以下の症状が現れやすくなります。

  • めまい
  • 立ちくらみ
  • 息切れ
  • 動悸
  • 倦怠感

食事だけでは鉄分摂取が難しい場合は、医療機関を受診し、医師に相談することをおすすめします。必要に応じて鉄剤が処方される場合があります。市販のサプリメントは、利用前に医師や薬剤師に相談しましょう。

ストレス管理

ストレスは、自律神経のバランスを崩し、ホルモン分泌に影響を与えます。ホルモンバランスが乱れると、生理不順や経血量の変化につながる場合があります。ストレスをため込まないためには、自分に合ったストレス解消法を見つけましょう。

  • ウォーキングやヨガなどの軽い運動をする
  • 好きな音楽を聴く
  • リラックスできる入浴をする
  • 好きな本を読む

自分がリラックスできる時間を作ることが大切です研究で、子宮内膜症の痛みに対して、心理的介入が疼痛緩和と症状の改善に効果があることを実証しました。

信頼できる人に話を聞いてもらうと、ストレス軽減に効果的です。自分だけで抱え込まずに、家族や友人、職場の同僚などに相談することも考えてみてください。解決しない場合は、医療機関を受診し、専門家のアドバイスを受けることを検討しましょう。

適度な運動

適度な運動は、血行を促進し、ホルモンバランスを整える効果が期待できます。激しい運動ではなく、ウォーキングやヨガ、ストレッチなど、無理なく続けられる運動を生活に取り入れましょう。週に3回以上、30分程度の運動を目標にすることをおすすめします。

過度な運動はストレスを増大させる可能性があるため、ご自身の体調に合わせて無理のない範囲で行います。普段運動習慣のない方は、軽い運動から始めましょう。セルフケアで改善しない場合は、医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けることが重要です

まとめ

40代女性の生理量が多い原因には、以下が挙げられます。

  • ホルモンバランスの乱れ
  • 子宮筋腫
  • 子宮腺筋症
  • 子宮内膜症

以下の症状を伴う場合は、なるべく早く婦人科を受診しましょう。

  • 生理の量が多い
  • 周期が乱れる
  • レバー状の塊が出る
  • 日常生活に支障が出るほどの痛みがある
  • 閉経後に出血がある

年齢のせいにせず、適切な検査を受けることで、他の疾患の早期発見・早期治療につながります。過多月経は治療できる症状です。婦人科を受診して、安心して毎日を過ごせるようにしましょう。

当院では、子宮鏡検査も行っています。どのタイミングで受けるべきか、検査の内容なども解説しているので、ぜひ以下の記事もご覧ください。
>>子宮鏡検査はいつ受ける?検査の内容や痛み、かかる費用を徹底解説

参考文献

Elahe Samami, Zohreh Shahhosseini, Soghra Khani, Forouzan Elyasi. Pain-focused psychological interventions in women with endometriosis: A systematic review. Neuropsychopharmacol Rep, 2023, 43, 3, p.310-319

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