
更年期障害の症状と効果的な対策!つらい不調を和らげる方法
公開日:2025.03.18更新日:2025.03.18
40代後半~50代にかけて訪れる更年期には、女性の多くが何らかの不調を経験すると言われています。顔のほてりや発汗といったホットフラッシュ、イライラや不安定な気分、めまいや関節痛など症状は人それぞれです。更年期障害は、卵巣機能の低下によるエストロゲン分泌の減少が主な要因とされ、心身にさまざまな影響を及ぼします。
日常生活に支障を感じている方も、まだ自覚症状がない方も、更年期を穏やかに乗り切るためのヒントが見つかります。この記事では、更年期障害の代表的な症状や、食事・運動・生活習慣の見直しといった具体的な対策、専門的な治療法までを分かりやすく解説します。自分に合った対策を知り、快適な毎日を目指しましょう。
神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、更年期障害にも強みを持つクリニックです。専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。
更年期障害の症状
更年期障害は、閉経を挟んだ前後10年間、45〜55歳くらいの女性に多く見られます。ホルモンバランスの乱れが、更年期障害の根本原因です。卵巣機能が低下し、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が不安定になるため、心身にさまざまな変化が現れます。具体的な症状について以下の5つを解説します。
- ホットフラッシュ
- イライラ・不安
- めまい
- 月経不順
- 関節痛・腰痛
ホットフラッシュ
ホットフラッシュは、エストロゲンの減少により、体温調節機能がうまく働かなくなると考えられています。エストロゲンは、脳の視床下部にある体温調節中枢に作用し、体温を一定に保つ役割を担っています。エストロゲンが減少すると、体温調節機能が乱れ、体温が急上昇してしまいます。ホットフラッシュの症状は、以下のとおりです。
- 熱感(顔や首、顔が急に熱くなる)
- 発汗
- 顔の赤らみ
- 動悸
- 息切れ
- めまい
- 吐き気
症状の程度には個人差があり、日常生活に支障が出るほど頻繁に起こる人もいれば、たまに感じる程度の人もいます。
イライラ・不安
ホルモンバランスの乱れは、脳内の神経伝達物質にも影響を及ぼし、精神的な症状を引き起こす一因です。症状については、以下のとおりです。
- 気持ちが沈む
- すぐにイライラする
- なんとなく不安になる
- 涙もろくなる
集中力の低下や、仕事のパフォーマンスの低下につながります。対人関係にも影響を与え、家族や友人との関係が悪化してしまう可能性もあります。
めまい
更年期にはエストロゲンが減少することで自律神経が乱れやすくなり、めまいが起こりやすくなると言われています。ふわふわとした浮遊感があるめまいや、グルグルと目が回るような回転性のめまいがあります。めまいは、更年期障害だけでなく、他の病気のサインである可能性もあります。メニエール病、良性発作性頭位めまい症、脳梗塞、脳腫瘍などが挙げられます。更年期だからと安易に考えず、気になる場合は医師に相談しましょう。
月経不順
月経不順は、卵巣機能の低下によって起こります。卵巣機能が低下すると、エストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンの分泌が不安定になるため、月経周期が乱れます。症状としては、以下のとおりです。
- 月経の量が少なくなる
- 月経の量が多くなる
- 周期が短くなる
- 周期が長くなる
最終的には月経が完全に停止し、閉経を迎えます。閉経は、1年以上月経がない状態が続いたときに診断されます。閉経の平均年齢は50歳前後ですが、個人差が大きく、40代前半で閉経する人もいれば、50代後半まで月経が続く人もいます。
月経不順の中には、排卵が行われていない「無排卵月経」が隠れているケースもあります。無排卵月経は、自覚症状が少ないため見逃されやすいですが、放置すると不妊の原因となることもあります。無排卵月経の原因や治療法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>【医師監修】無排卵月経の原因と治療法!放置リスクと改善への道筋
関節痛・腰痛
エストロゲンが減少すると、骨密度が低下しやすくなり、骨粗鬆症のリスクが高まる可能性があります。筋肉や靭帯の柔軟性も低下しやすくなるため、関節痛や腰痛が起こりやすくなります。朝起きたときや、長時間同じ姿勢でいた後に痛みを感じやすいです。
関節痛や腰痛の原因は、更年期障害以外にも変形性関節症や関節リウマチ、椎間板ヘルニアなどが挙げられます。自己判断せず医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けましょう。
更年期障害の効果的な対策
更年期障害と上手に付き合っていくための対策として、以下の4つを解説します。
- バランスの良い食事を摂る
- 適度に運動する
- 自律神経を整える
- ストレスを発散する
バランスの良い食事を摂る
更年期を迎えるとエストロゲンの減少に伴い、骨粗鬆症や脂質異常症のリスクが高まります。バランスの良い食事は、更年期症状の緩和に役立つ可能性があります。以下の栄養素を含む食品を積極的に摂りましょう。
- カルシウム
骨を丈夫にする効果が期待できます。牛乳やヨーグルト、チーズ、小魚、豆腐、小松菜、ひじきなどに多く含まれます。 - ビタミンD
カルシウムの吸収を助ける効果が期待できます。魚やきのこ類、卵などに多く含まれます。 - 大豆イソフラボン
エストロゲンに似た働きをすると考えられています。納豆や豆腐、味噌、きな粉などに多く含まれます。 - EPA・DHA
善玉コレステロールを増やす効果が期待できます。鯖や鰯、鮭、マグロなどに多く含まれます。
適度に運動する
適度な運動は、更年期障害のさまざまな症状を和らげる効果が期待できます。運動によって血行が促進され、肩こりや腰痛、冷えの改善につながります。運動はストレス発散にも効果的で、気分転換にもなります。
ウォーキングやストレッチ、ヨガ、水泳など無理なく続けられる運動を見つけ、習慣づけるようにしましょう。1回30分程度の運動を、週に3回以上行うのが理想的です。運動は骨を丈夫にする効果も期待できるため、骨粗鬆症の予防にもつながります。
骨への適度な刺激を与えることで、骨の形成を促します。特に、ウォーキングやジョギングなどの体重負荷運動は、骨密度を維持・向上させる効果が期待できます。
自律神経を整える
更年期には、エストロゲンの減少により自律神経のバランスが乱れやすくなります。自律神経の乱れは、ホットフラッシュやのぼせ、発汗、不眠、イライラなどの症状を引き起こす原因となります。自律神経を整える方法としては、以下のとおりです。
- 毎日同じ時間に起床する
- 3度の食事を規則正しく摂る
- 寝る前にカフェインを摂ることを避ける
- ぬるめのお風呂にゆっくりと浸かる
- 好きな音楽を聴く
- アロマを焚く
- 読書をする
自分なりのリラックス方法を見つけて、心身ともにリラックスできる時間をつくりましょう。
ストレスを発散する
更年期障害の症状は、ストレスによって悪化します。ストレスをため込まないよう、自分に合ったストレス発散方法を見つけましょう。具体的には、以下のとおりです。
- 趣味に没頭する
- 友人や家族と話をする
- 自然の中で過ごす
自分が心地良いと感じる方法でストレスを発散しましょう。ストレスを一人で抱え込まずに、誰かに相談することもストレス軽減につながります。
更年期障害の治療法3選
更年期障害とうまく付き合っていくためには、ご自身の症状に合った治療法を見つけることが重要です。治療法について、以下の3つを解説します。
- ホルモン補充療法(HRT)
- 漢方薬
- 認知行動療法
ホルモン補充療法(HRT)
ホルモン補充療法(HRT)は、減少したエストロゲンを補うことで、更年期障害の症状を改善する治療法です。HRTには以下の種類があります。
- 飲み薬:毎日服用する必要がある
- 貼り薬:週に2回の貼り替えが必要になる
- 塗り薬:毎日塗布する必要がある
塗り薬は皮膚から直接吸収されるため肝臓への負担が少ないメリットがあります。患者さんのライフスタイルや症状に合わせて、最適な投与方法を選択できます。HRTは効果が高い治療法ですが、副作用が現れる場合もあります。
主な副作用としては不正出血や乳房の張り、吐き気などがあります。HRTは、子宮体がんのリスクを高める可能性があるため、子宮摘出をしていない方は、エストロゲンとプロゲステロンの併用療法を行います。プロゲステロンは子宮内膜の増殖を抑え、子宮体がんのリスクを軽減する効果が期待できます。
HRTは更年期症状の改善だけでなく、骨粗鬆症の予防にも効果が期待できます。ただし、血栓症のリスクがわずかに増加する可能性もあるため、医師とよく相談し、治療を受けるかどうかを判断しましょう。
HRTを受けている方は、副作用や不正出血の有無に注意しながら、定期的な検診を受けることが大切です。 特に、不正出血が続く場合は、ホルモンバランスの乱れ以外の原因が隠れている可能性もあります。不正出血の原因や生理との違い、受診の目安について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>不正出血を放置しないで!原因や生理との違い、受診の目安まで徹底解説
漢方薬
漢方薬は、自然の生薬を組み合わせて作られた薬です。更年期障害の症状に合わせて、体質に合った漢方薬を処方します。HRTのように即効性はありませんが、穏やかに作用し、体全体のバランスを整えることで、更年期障害の症状を改善していきます。更年期障害によく用いられる漢方薬には、以下のものがあります。
- 当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
貧血気味で疲れやすい冷え性の方や、めまいやふらつき、立ちくらみ、耳鳴りなどの症状がある方に向いています。 - 加味逍遥散(カミショウヨウサン)
イライラしやすく精神的に不安定な方や、肩こりや頭痛、のぼせなどがある方に向いています。 - 桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
のぼせや頭痛、めまい、肩こり、腰痛、生理不順、便秘などがある方に向いています。
漢方薬を選ぶ際には、患者さんの症状や体質を考慮し、適切なものを処方します。他の治療法と併用することも可能です。
認知行動療法
認知行動療法は、考え方や行動のパターンを見直すことで、更年期障害による精神的な症状を改善する治療法です。認知行動療法では、より現実的で柔軟な考え方に変えることで、感情をコントロールする力を身につけていきます。
薬による治療とは違い、認知行動療法は症状の根本的な原因に向き合い、改善や再発防止を目指します。専門のカウンセラーのサポートを受けながら、自分自身と向き合い、問題を解決していくことが大切です。
まとめ
更年期障害は、エストロゲン分泌の減少によるホルモンバランスの乱れが原因です。代表的な症状には、ホットフラッシュやイライラ、不安、めまい、月経不順、関節痛などがあります。症状は個人差が大きく、全く症状を感じない人もいれば、日常生活に支障が出るほどつらい症状に悩む人もいます。
症状を和らげるためには、バランスの良い食事や適度な運動、自律神経を整える生活習慣、ストレス発散が効果的です。つらい症状がある場合は医療機関に相談し、ホルモン補充療法や漢方薬、認知行動療法などの自分に合った治療法を見つけていくことをおすすめします。
更年期は、人生の転換期でもあります。自分自身の体と心を大切にし、前向きに過ごしていけるようにサポートしていくことが重要です。
更年期の症状は40代以降に限らず、30代でも現れることがあります。 若年性の更年期障害の特徴や原因、適切な対処法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>30代の更年期障害の特徴と原因!若年性症状への対処法
参考文献
Małgorzata Stefaniak, Ewa Dmoch-Gajzlerska, Katarzyna Jankowska, Artur Rogowski, Anna Kajdy, Radosław B Maksym. Progesterone and Its Metabolites Play a Beneficial Role in Affect Regulation in the Female Brain. Pharmaceuticals (Basel), 2023, 16(4), p.520