
30代の更年期障害の特徴と原因!若年性症状への対処法
公開日:2025.03.18更新日:2025.03.18
更年期障害は一般的に40~50代に起こるものと考えられていますが、30代でも更年期障害に似た症状を訴える女性がいます。「若年性更年期障害」は、ホルモンバランスの乱れやストレス、生活習慣の乱れなどが複雑に絡み合って起こると考えられています。ほてりやのぼせ、生理不順、イライラ、倦怠感といったさまざまな症状が現れます。
この記事では、30代女性の更年期障害の特徴や原因、具体的な対処法について解説します。正しい知識を身につけて、健やかな毎日を取り戻しましょう。
神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、更年期障害にも強みを持つクリニックです。専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。
30代の更年期障害の症状
更年期障害には、閉経に伴うものと、ストレスや生活習慣の影響による若年性のものがあります。若年性更年期障害は心理的ストレスだけでなく、身体的な要因(過度の運動や極端なダイエット)も影響し、ホルモンバランスの乱れがより顕著に現れます。30代の更年期障害の症状は以下のとおりです。
- ほてりやのぼせ
- 生理不順
- イライラや抑うつ
- 倦怠感
- 性交痛
ほてりやのぼせ
ほてりやのぼせは、更年期障害の症状としてよく見られるものの一つです。血管運動神経の症状とも言われ、自律神経の乱れが原因の一つと考えられています。症状の持続時間は、数秒~数分の場合もあれば、数時間続く場合もあり、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。具体的には以下の症状が現れます。
- ほてり:顔や首、胸、背中などが急に熱くなる
- のぼせ:顔が赤くなったり、カーッと熱くなる
- 発汗:顔や上半身に、多量の汗をかくことがある
- 動悸:ドキドキしたり、脈が速くなる
- めまい:頭がクラクラしたりふらついたり、立ちくらみの症状が出る
就寝中に大量の汗をかき、寝具がびしょ濡れになる「寝汗」も更年期障害によく見られる症状です。
生理不順
30代の更年期障害では、生理不順もよく見られる症状です。閉経とは異なり、エストロゲンの分泌が乱れることで起こります。生理不順には以下の種類があります。
- 頻発月経:生理周期が24日未満と短くなる
- 稀発月経:生理周期が38日以上と長くなる
- 過少月経:経血量が少なくなり、ナプキンの使用頻度が減る
- 過多月経:経血量が多く、夜用ナプキンを使用しても漏れることがある
- 無月経(続発性):3か月以上生理が来ない(妊娠の可能性を除く)
生理不順は、貧血や子宮体がんなどのリスクを高める可能性があるため、放置せずに婦人科を受診することをおすすめします。
生理不順の原因や治し方について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>生理不順の原因と治し方とは?放置してはいけない理由や受診の目安も解説
イライラや抑うつ
30代の更年期障害では、ホルモンバランスの乱れによって、精神的な症状が現れることがあります。脳内の神経伝達物質であるセロトニンなどの分泌量が減少することで、感情のコントロールが難しくなります。精神的に不安定な状態になりやすく、以下の症状が見られます。
- イライラ
些細なことで怒りっぽくなったり、すぐにカッとなったりし、落ち着かなくなります。 - 不安
漠然とした不安感に襲われやすく、将来への不安が強まったり、何に対しても心配になったりします。 - 抑うつ
気分が落ち込みやすくなり、何もやる気が起きなくなります。趣味に没頭できなくなったり、以前は楽しめていたことを楽しめなくなったりすることもあります。 - 焦燥感
落ち着きがなくなり、そわそわしてじっとしていられなくなることがあります。 - 集中力の低下
仕事や家事に集中しづらくなり、ミスが増えたり、考えがまとまらなくなったりすることがあります。
倦怠感
30代の更年期障害では、体がだるく疲れやすいと感じる倦怠感もよく見られます。ホルモンバランスの乱れで、自律神経の機能が低下し、エネルギー代謝がスムーズに行われなくなることが原因の一つと考えられています。朝起きても疲れが取れていない、日中も眠気が強いといった症状が現れることがあります。
倦怠感は、日常生活を送るうえでの大きな負担です。家事や育児、仕事に集中できなくなったり、趣味や余暇活動を楽しめなくなったりすることもあります。
頭痛やめまい
頭痛やめまいも、30代の更年期障害でよく見られる症状です。エストロゲンの減少は、血管の収縮・拡張を調節する自律神経の働きにも影響を与え、頭痛やめまいを引き起こしやすくなると考えられています。ズキンズキンとした頭痛や、頭が重く感じる、締め付けられるような頭痛が現れることがあります。
ふわふわとしためまいや、目の前が暗くなる立ちくらみが起こることもあります。
性交痛
エストロゲンの減少により、膣の粘膜が乾燥しやすくなり、性交時に痛みを感じることがあります。潤滑液の分泌が減少することも性交痛の原因となります。30代の更年期障害の症状は多岐にわたり、個人差も大きいです。自分の体の変化に注意し、気になる症状があれば専門医に相談しましょう。
若年性更年期障害の原因4選
若年性更年期障害のおもな原因として、以下の4つが考えられます。
- ホルモンバランスの乱れ
- 自律神経の乱れ
- 栄養不足
- その他の疾患による影響
ホルモンバランスの乱れ
30代の更年期障害の原因として最も大きなものは、ホルモンバランスの乱れです。女性の体は、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2つの女性ホルモンの影響を強く受けています。ホルモンは、月経周期や妊娠、出産に関わるだけでなく、自律神経や体温調節、精神状態にも影響を与えています。
2つのホルモンはバランスを保って分泌されています。強いストレスや過労、不規則な生活、急激なダイエット、過度の運動などが原因で、バランスが崩れることがあります。ホルモンバランスの乱れは、体のさまざまな機能に影響を及ぼし、ほてりやのぼせ、生理不順、イライラ、気分の落ち込みなどの症状を引き起こします。
30代女性のホルモンバランスの乱れは、加齢によるエストロゲンの減少だけでなく、プロゲステロンの減少や、ホルモンの分泌リズムの乱れも関与していると考えられます。ストレスや甲状腺疾患など他の要因も考えられます。
自律神経の乱れ
ホルモンバランスの乱れと密接に関係しているのが、自律神経の乱れです。自律神経は、呼吸や消化、体温調節、睡眠など、生命維持に欠かせない機能をコントロールしています。自律神経には、活動時に優位になる交感神経と、リラックス時に優位になる副交感神経の2種類があります。
通常は状況に応じて神経がバランスよく切り替わることで、体は健康な状態を保っています。ストレスや不規則な生活、睡眠不足、ホルモンバランスの乱れなどが続くと、自律神経のバランスが崩れ、更年期障害の症状を引き起こすことがあります。
昼間は交感神経が優位になり活動しやすい状態であり、夜は副交感神経が優位になりリラックスできます。自律神経のバランスが崩れると、切り替えがスムーズにいかなくなり、不眠や日中の倦怠感、精神的な不安定、動悸、息切れ、発汗、めまい、耳鳴りなどの症状が現れることがあります。
栄養不足
バランスの良い食事は、健康な体を維持するために不可欠です。無理なダイエットや偏った食生活を続けていると、体に必要な栄養素が不足し、ホルモンバランスや自律神経の乱れにつながり、更年期障害の症状を悪化させる可能性があります。女性ホルモンの働きをサポートするビタミンやミネラルの不足は、更年期障害の症状を助長する可能性があります。
その他の疾患による影響
更年期障害の症状は、他の疾患が原因で現れることもあります。甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症は、ホルモンバランスに影響を与え、更年期障害と似た症状を引き起こすことがあります。自律神経失調症やうつ病でも更年期障害と同様の症状が現れることがあります。
更年期障害と似た症状が続く場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な検査を受けることが重要です。婦人科だけでなく、必要に応じて他の診療科を受診することもあります。医師は問診や血液検査、画像検査などを通して症状の原因を特定し、適切な治療法を提案します。
30代更年期障害の治療法3選
30代の更年期障害の治療法は、症状や生活への影響の度合い、個々の背景によってさまざまです。代表的な3つの治療法について解説します。
- ホルモン補充療法(HRT)
- 漢方薬
- 生活習慣の改善
ホルモン補充療法(HRT)
ホルモン補充療法(HRT)は、減少したエストロゲンを補充することで、更年期障害の症状の改善が期待できる治療法です。血管運動神経症状(のぼせやほてり、発汗)や精神神経症状(抑うつや不安、イライラ)、泌尿生殖器系の萎縮症状、骨粗鬆症の予防や治療にも効果が期待できます。
HRTには、飲み薬や貼り薬、塗り薬などさまざまな種類があります。患者さんの症状やライフスタイル、他の疾患の有無などを考慮して選択します。HRTは、以下の副作用が起こる可能性があります。
- 吐き気
- 頭痛
- 乳房の張り
- 不正出血
一部の研究では、HRTは血栓症や子宮体がんのリスクと関連する可能性が指摘されています。定期的な検査も必要になるため、メリットとデメリットを理解したうえで治療を受けるかどうかを判断することが重要です。
閉経期におけるホルモンの変化は、血管運動神経症状や気分のむら、一時的な認知機能障害などの症状を引き起こす可能性があります。閉経期の移行は10年以上続くこともあるため、長期的な視野での治療選択が重要です。HRTは、60歳以上または閉経後10年以上経過している女性では、健康リスクが高まる可能性があるため慎重な判断が必要です。
HRTを受けている方は、副作用や不正出血の有無に注意しながら、定期的な検診を受けることが大切です。 特に、不正出血が続く場合は、ホルモンバランスの乱れ以外の原因が隠れている可能性もあります。不正出血の原因や生理との違い、受診の目安について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>不正出血を放置しないで!原因や生理との違い、受診の目安まで徹底解説
漢方薬
漢方薬は、体全体のバランスを整えることで、更年期障害の症状の緩和を目指す治療法の一つです。HRTのように即効性はありませんが、比較的副作用が少なく、長期的に服用できるというメリットがあります。西洋医学とは異なる視点から体全体を診ることで、一人ひとりの体質や症状に合わせたきめ細やかな対応が可能です。
代表的な漢方薬は以下のとおりです。
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
イライラや不安感、不眠といった精神的な症状から、肩こりや頭痛、めまいなどの身体的な症状まで、幅広く対応します。 - 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
血行を改善し、のぼせやほてり、肩こり、頭痛などの症状を和らげます。月経不順にも効果があります。 - 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
冷え性や貧血気味の方に適した漢方薬です。疲労感やめまい、むくみなどの症状を改善し、体を温めて血行を促進します。
他の薬との相互作用にも注意が必要です。さまざまな症状に対応する多様な漢方薬が存在するため、自己判断で服用するのではなく、漢方に精通した医師に相談してみましょう。
生活習慣の改善
更年期障害の症状を和らげ、より快適な生活を送るためには、生活習慣の改善が不可欠です。バランスの良い食事を心がけましょう。ホルモンバランスを整える助けになる食品は以下のとおりです。
- ビタミンEやビタミンB6を多く含む食品:アーモンドやほうれん草、バナナなど
- 大豆イソフラボンを含む食品:豆腐や納豆、味噌など
エクオール産生能(腸内細菌が大豆イソフラボンを代謝して「エクオール」という成分を作る能力)の検査を受けて、体質を把握することも有効です。エクオールは、大豆イソフラボンが腸内細菌によって変換された物質で、エストロゲン様作用を持つと言われています。
適度な運動は、骨粗鬆症の予防にもつながります。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、血行促進やストレス軽減に効果的です。毎日同じ時間に寝起きするなど、規則正しい睡眠時間を確保し、質の高い睡眠を心がけましょう。寝る前のカフェイン摂取は避け、リラックスできる環境を整えることが重要です。
更年期障害の原因はホルモンバランスの乱れですが、ストレスや過労、睡眠不足なども症状を悪化させる要因となります。ストレスをため込まないよう、リラックスする時間を作ったり、趣味を楽しんだりするなど、自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。
特にストレスは、生理不順とも深く関係しています。 ストレスが原因でホルモンバランスが乱れると、生理周期が不安定になり、無月経や排卵障害を引き起こすこともあります。ストレスと生理不順の関係性や、改善するためのセルフケアについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>ストレスと生理不順の関係性|セルフケアと治療法を解説
まとめ
30代で見られる更年期障害に似た症状は、ホルモンバランスの乱れやストレスなどが関連している可能性があります。ほてりやのぼせ、生理不順、イライラ、倦怠感など、さまざまな症状が現れます。若年性更年期障害の主な原因として以下の4つが考えられます。
- ホルモンバランスの乱れ
- 自律神経の乱れ
- 栄養不足
- 他の疾患の影響
治療法は以下のとおりです。
- ホルモン補充療法
- 漢方薬
- 生活習慣の改善
少しでも気になる症状があれば、一人で悩まずに、婦人科を受診してみましょう。早期発見・早期治療が症状改善の鍵となります。医師に相談し、自分に合った治療法を見つけることが大切です。
更年期障害の症状や対策について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>更年期障害の症状と効果的な対策!つらい不調を和らげる方法
参考文献
- Santoro N, Roeca C, Peters BA, Neal-Perry G. The Menopause Transition: Signs, Symptoms, and Management Options. J Clin Endocrinol Metab, 2021 Jan 1;106(1):1-15.
- Landersoe SK, Petersen KB, Sørensen AL, Larsen EC, Martinussen T, Lunding SA, Kroman MS, Nielsen HS, Andersen AN. Ovarian reserve markers after discontinuing long-term use of combined oral contraceptives. Reprod Biomed Online, 2020 Jan;40(1):176-186.