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更年期障害は何科を受診すべき?専門医の選び方と相談方法

公開日:2025.04.20
更新日:2025.04.20

更年期障害で、日常生活に支障をきたすほどのつらい症状に悩まされている方は少なくありません。ほてりや発汗、イライラ、気分の落ち込みなど症状は人それぞれです。更年期障害は、卵巣機能の低下に伴う女性ホルモン(エストロゲン)の減少が主な原因です。

エストロゲンは、単に月経周期の調整だけでなく、自律神経や血管、骨、脳など、全身に広く作用しているため、エストロゲンの減少は多岐にわたる症状を引き起こします。閉経を挟んだ前後10年、つまり45〜55歳頃の女性が経験する更年期障害。平均閉経年齢は約50歳ですが、個人差が大きく40代前半で閉経を迎える方もいれば、50代後半の方もいます。

この記事では、更年期障害でどの診療科を受診すべきか、専門医の選び方、そして具体的な相談方法まで、詳しく解説します。ご自身に最適な方法を見つけて、更年期を少しでも快適に過ごしましょう。

神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、更年期障害をはじめとした、あらゆる婦人科疾患の悩みに強みを持つクリニックです。専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。

更年期障害で受診するべき診療科

更年期障害は、実に多様な症状が現れるため、どの診療科を受診するべきか判断しにくいです。更年期障害で受診するべき診療科について、以下の3つを解説します。

  • 婦人科:更年期障害全般の治療
  • 内科:身体症状が中心の場合
  • 心療内科・精神科:精神症状が強い場合

婦人科:更年期障害全般の治療

婦人科は女性ホルモンのバランスの変化に精通しており、更年期障害全般の治療を専門的に行うことができます。ホルモン補充療法(HRT)をはじめ、更年期障害に伴うさまざまな症状に対応できますので、更年期障害が疑われる場合、まずは婦人科を受診するのがおすすめです。

更年期障害では、ほてりや発汗、めまい、動悸、イライラ、気分の落ち込みなど、実に多様な症状が現れます。症状は、更年期に差し掛かった多くの女性が経験するものであり、自然な身体の変化と捉えることもできます。症状の程度には個人差があり、日常生活に支障をきたすほどの強い症状に悩まされる方もいます。

婦人科では、多様な症状を総合的に評価し、患者さん一人ひとりに合わせた治療計画を立ててくれます。更年期障害と似た症状を示す他の病気が隠れていないか確認してくれますので、安心して相談できます。

内科:身体症状が中心の場合

更年期障害の症状として、疲労感やだるさ、頭痛、肩こり、動悸など、身体的な症状が強く出ている場合は、内科を受診することもできます。更年期障害は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病と関連している場合もありますので、かかりつけの内科医がいる場合は、まず相談してみましょう。

内科では、病気を併発していないか、全身の状態をチェックしながら、更年期障害の症状緩和のための適切なアドバイスや治療を行ってくれます。更年期障害は、ほてりや発汗などの自律神経症状に加えて、消化器系の不調(便秘や下痢など)や、泌尿器系の症状(頻尿や尿漏れなど)が現れることもあり、内科で相談できます。

内科は他の診療科との連携もスムーズです。必要に応じて、婦人科や心療内科など、専門の医療機関を紹介してもらうことも可能です。かかりつけ医として、気軽に相談できるのも内科のメリットです。

心療内科・精神科:精神症状が強い場合

更年期障害では、気分の落ち込みやイライラ、不安感、不眠など、精神的な症状が強く出てしまう場合もあります。精神的な症状が日常生活に大きな影響を及ぼしている場合は、心療内科または精神科への受診を検討しましょう。更年期は、ライフステージの変化やホルモンバランスの乱れから、心理的に不安定になりやすい時期です。

子育てや介護、仕事の責任など、さまざまなストレスを抱えやすく、心身の疲労から精神的な症状が現れやすいと言えます。心療内科や精神科では、カウンセリングや心理療法、薬物療法などを通じて、精神的な症状の改善をサポートしてくれます。更年期障害による精神的な症状は、うつ病と似た症状が現れることもあります。

更年期障害によるものか、うつ病などの精神疾患であるのかを自己判断することは難しいため、専門医に相談することが大切です。更年期障害は、周りの理解とサポートも重要です。家族や友人などに症状を打ち明け、協力を得ながら治療を進めていくことが大切です。

専門医の選び方と受診のポイント

更年期障害の専門医の選び方や受診する際のポイントを、以下に沿って解説します。

  • 受診の目安となる症状
  • 専門医の探し方:更年期外来、専門学会認定医
  • 受診前の準備:症状の記録、基礎疾患の確認

受診の目安となる症状

更年期障害の症状は人それぞれです。症状の重さや種類も実にさまざまで、軽い症状であればセルフケアで様子を見ても良い場合もあります。日常生活に支障が出るほどの不調がある場合は、我慢せずに早めに医療機関を受診しましょう。以下の症状が当てはまる場合は、受診の目安と考えましょう。

  • ホットフラッシュ(のぼせやほてり、発汗)
  • めまい
  • 動悸
  • 気分の落ち込み
  • イライラ
  • 不安感
  • 睡眠障害
  • 頭痛
  • 肩こり
  • 腰痛
  • 関節痛
  • 冷え
  • しびれ
  • 意欲の低下
  • 情緒不安定

症状が更年期障害によるものかどうかは、医療機関で検査や診察を受けなければ判断できません。更年期障害と似た症状を示す他の病気が隠れている可能性もあります。甲状腺機能亢進症は更年期障害と似た症状が現れることがあります。少しでも気になる症状がある場合は、自己判断せずに医療機関に相談することが大切です。

専門医の探し方:更年期外来、専門学会認定医

更年期障害の治療には、ホルモン補充療法や漢方薬、精神療法などさまざまな方法があります。より専門的な知識と経験を持つ医師に診てもらうためには、更年期外来や女性外来がある病院を選ぶことをおすすめします。更年期外来では、更年期障害に特化した専門医が、患者さんの状態に合わせて適切な治療法を提案してくれます。

日本女性医学学会や日本産科婦人科学会のWebサイトでは、更年期障害の専門医を検索することができます。専門医は、更年期障害に関する専門的な知識や経験を持っていることが多いため、相談する選択肢となり得ます。婦人科以外にも、更年期障害の症状によっては、内科や心療内科、精神科など、複数の診療科が連携して治療にあたることがあります。

病院の口コミや評判を参考にするのも一つの方法です。周りの人に更年期障害の治療を受けた人がいれば、話を聞いてみましょう。かかりつけ医がいる場合は、まず相談してみることをおすすめします。

受診前の準備:症状の記録、基礎疾患の確認

受診前に、いつ、どんな症状が現れたのか、症状の程度などを記録しておくと、医師に正確に伝えることができます。専用のチェックリスト「更年期症状評価表」などを利用して、自分の状態を客観的に把握しておくと、診察がスムーズに進みます。以下に当てはまる場合は、医師に伝える必要があります。

  • 基礎疾患(高血圧、糖尿病など)がある
  • 服用中の薬がある
  • 過去の病歴や手術歴がある

受診の際は「更年期障害の可能性がある」と医師に伝えることで、適切な検査や治療を提案してもらいやすくなります。現在感じている症状や不安を具体的に相談し、医師とのコミュニケーションを密にすることで、より適切な診断と治療を受けることができます。

実は「更年期障害」は40代や50代だけでなく、30代でも起こることがあります。ストレスや生活習慣の乱れ、ホルモンバランスの変化などが関与する場合もあり、若年性更年期とも呼ばれることがあります。以下の記事では、30代で起こる更年期障害の特徴や原因、対処法について詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
>>30代の更年期障害の特徴と原因!若年性症状への対処法

更年期障害の治療法3選

更年期障害の治療法について、以下の3つを解説します。

  • ホルモン補充療法(HRT)
  • 漢方療法
  • カウンセリング・心理療法

ホルモン補充療法(HRT)

ホルモン補充療法(HRT)は、減少した女性ホルモン(エストロゲン)を補う治療法です。エストロゲンの減少は更年期障害の主な原因であるため、HRTはさまざまな症状に効果が期待できる可能性があります。

HRTは、ホットフラッシュ(のぼせやほてり、発汗)などの血管運動神経症状(VMS)に対して効果が報告されており、一般的に費用対効果が高いとされる治療法の一つです。閉経後の女性の75%以上がVMSを経験し、症状の平均期間は7年にも及ぶというデータもあります。10年以上症状に悩まされる方も10%程度いるという報告もあります。

HRTには、以下の種類とメリット・デメリットがあります。医師と相談し、ご自身の状況や好みに合わせて最適な方法を選びましょう。

  • 飲み薬:効果が現れやすい一方、肝臓への負担の心配がある
  • 貼り薬や塗り薬:肝臓への負担が少ないが、皮膚がかぶれる可能性がある

HRTは、子宮体がんや乳がんのリスクを高める可能性も懸念されています。HRTを受ける場合は、定期的な検査を受けながら、医師の指示に従って慎重に進めていくことが重要です。乳がんや婦人科系の悪性腫瘍のリスクが高い方や、過去に乳がんや血栓症などを経験した方は、HRTを受けられない場合があります。必ず医師に相談してください。

婦人科系の疾患の中でも、HRTと関連があるものとして「子宮内膜症」が挙げられます。以下の記事では、子宮内膜症の原因や症状、治療法、そして早期発見のポイントについても詳しく解説していますので、参考にしてください。
>>子宮内膜症ってどんな病気?原因や治療法、早期に発見するポイントも解説

漢方療法

漢方薬は、身体全体のバランスを整えながら、更年期障害の症状を穏やかに改善していくことが期待される治療法です。HRTほど即効性はありませんが、副作用が比較的少ないとされるため、医師と相談のうえ継続的に使用されることもあります。

西洋医学では、個別の症状に対してピンポイントに対処します。漢方療法では、体質や症状全体を総合的に見て、一人ひとりに合った漢方薬を処方するのが特徴です。更年期障害によく使われる漢方薬には、以下のものがあります。

  • 当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン):冷え性で疲れやすく、貧血気味の方に向いている
  • 加味逍遥散(カミショウヨウサン):イライラしやすく、肩こりや頭痛がある方に向いている
  • 桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン):のぼせやすく、便秘がちの方に向いている

漢方薬は、体質によって合う合わないがあるので、漢方に詳しい医師に相談しながら、ご自身に合った漢方薬を選ぶことが大切です。

カウンセリング・心理療法

更年期障害は、ホルモンバランスの変化だけでなく、心理的な要因も大きく影響します。生活環境の変化やストレスなどが重なると、症状が悪化しやすくなります。更年期は、子どもが独立したり、親の介護が始まったり、職場での責任が大きくなると、生活に変化が起こりやすい時期です。

生活の変化は、心理的なストレスとなり、更年期障害の症状を悪化させる可能性があります。カウンセリングや心理療法では、自分の気持ちを整理し、ストレスへの対処法を身につけることで、更年期障害の症状をコントロールしていくことを目指します。具体的には、以下の方法があります。

  • 認知行動療法:ものの考え方や行動パターンを変えることで、症状の改善を図る治療法
  • リラクセーション法:呼吸法や瞑想などを通して、心身をリラックスさせる方法

更年期障害は、適切な治療を受けることで症状が改善する病気です。一人で悩まずに、医師やカウンセラーに相談し、ご自身に合った治療法を見つけることが大切です。

更年期障害のセルフケア4選

更年期障害のセルフケアについて、以下の4つの方法を解説します。

  • バランスの良い食事を摂取する
  • 適度な運動を行う
  • 十分な睡眠をとる
  • ストレスマネジメントを行う

バランスの良い食事を摂取する

更年期には、エストロゲンという女性ホルモンの分泌量が減少します。エストロゲンは、骨の健康維持やコレステロール値の調整にも関わっており、エストロゲンの減少は骨粗鬆症や脂質異常症のリスクを高める可能性があります。バランスの良い食事を摂ることは、リスクを軽減し、更年期症状を和らげるために大切です。

バランスの良い食事とは、単に栄養バランスが良いだけでなく、さまざまな食品を食べることも意味します。主食や主菜、副菜をそろえ、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなど、多くの栄養素をバランスよく摂取するように心がけましょう。

特に意識して摂取したい栄養素と、含まれる食品、期待される効果を以下にまとめました。

  • カルシウム(牛乳やヨーグルト、チーズなど):骨を丈夫にし、骨粗鬆症の予防につながる
  • ビタミンD(魚介類、きのこ類、卵など):カルシウムの吸収を助け、骨の健康を維持する
  • 大豆イソフラボン(大豆、納豆、豆腐、味噌):エストロゲンと似た働きをするため、更年期症状の緩和に期待が持てる
  • 食物繊維(野菜、果物、海藻、きのこ):便秘の予防やコレステロール値の低下に効果が期待できる

更年期における食生活の改善は、栄養指導と介入によって効果的に達成される可能性があるとの報告もあります。閉経期には、肥満やメタボリックシンドローム、心血管疾患、骨粗鬆症の発症率が増加する傾向があり、食事療法は更年期障害の予防に役立つ可能性があります。すでに発症している場合は治療の重要な一部となる場合があります。

更年期には水分不足にもなりがちです。体内の水分量が減ると、血液の循環が悪くなり、さまざまな不調につながる可能性があります。こまめに水分を摂るように心がけ、身体の内側から健康を維持しましょう。

適度な運動を行う

適度な運動は、更年期障害のさまざまな症状の緩和に役立つ可能性があります。ホットフラッシュや発汗、肩こり、腰痛などの身体的な症状だけでなく、気分の落ち込みやイライラ、不眠などの精神的な症状にも効果が期待できる場合があります。無理なく続けられるおすすめの運動は、以下のとおりです。

  • ウォーキング
  • ヨガ
  • 水泳
  • サイクリング

重要なのは、適度な運動を継続することです。1回30分程度、週に3回以上を目安に、自分のペースで続けることが大切です。運動を始める前には、医師や専門家に相談し、自分の体力や健康状態に合った運動方法や強度を確認しましょう。

膝や腰に痛みがある場合は、負担の少ない水泳や水中ウォーキングがおすすめです。運動は骨密度を維持するためにも重要です。閉経後はエストロゲンの減少により骨密度が低下しやすくなるため、運動によって骨に適度な刺激を与えることで、骨粗鬆症の予防につながります。

十分な睡眠をとる

更年期には、ホルモンバランスの乱れから自律神経が不安定になり、不眠に悩まされる方が多くいます。質の良い睡眠は、心身の健康を維持するために不可欠です。睡眠不足は、疲労感や倦怠感を引き起こすだけでなく、イライラや不安感を増強させ、更年期障害の症状を悪化させる可能性があります。

規則正しい生活リズムを維持し、毎日同じ時間に寝起きする習慣を身につけましょう。寝る直前にカフェインを摂取したり、パソコンやスマートフォンの画面を長時間見続けたりすることは、睡眠の質を低下させます。寝室の環境を整えることも大切です。

部屋を暗く静かにし、快適な温度と湿度を保つようにしましょう。アロマを焚いたり、ヒーリングミュージックを聴いたりするのも、リラックス効果を高めるのに役立ちます。もし不眠が続く場合は、自己判断で薬などを服用せずに、必ず医師へ相談しましょう。

ストレスマネジメントを行う

更年期は、ホルモンバランスの乱れに加えて、ライフステージの変化や社会的なストレスなど、さまざまな要因が重なり、心身に負担がかかりやすい時期です。ストレスをため込むと、更年期障害の症状が悪化し、悪循環に陥る可能性があります。

ストレスを効果的に管理するためには、自分にとって何がストレスとなっているのかを理解し、適切な対処法を見つけることが重要です。おすすめのリラックス方法は、以下のとおりです。

  • 趣味に没頭する
  • 友人とのおしゃべりを楽しむ
  • 自然の中でゆったりと過ごす
  • 呼吸法
  • 瞑想
  • ヨガ

更年期障害は、決して一人で抱え込むべきものではありません。家族や友人、職場の同僚などに自分の気持ちを打ち明け、理解とサポートを得ることも、ストレスを軽減し、症状を改善するために大切なことです。

自分一人でストレスに対処するのが難しいと感じたら、カウンセリングを受けるのも一つの方法です。専門家のサポートを受けながら、ストレスの原因を探り、適切な対処法を身につけることができます。

まとめ

どの科を受診すれば良いか迷う場合は、更年期外来や女性外来のある病院を探してみることもおすすめします。更年期障害は、ホルモンバランスの変化によるものなので、セルフケアだけでなく、医療機関での適切な治療も大切です。

HRTや漢方、カウンセリングなど、さまざまな治療法があるので、ご自身の症状やライフスタイルに合わせて、医師と相談しながら最適な方法を選びましょう。つらい症状に悩まされている方は、一人で抱え込まずに、まずは気軽に医療機関に相談してみましょう。

更年期障害には多様な症状があり、日常生活に影響を及ぼすことも少なくありません。以下の記事では、更年期に起こる代表的な不調と、それを和らげるための効果的な対策について詳しく解説していますので、ぜひご参考にしてください。
>>更年期障害の症状と効果的な対策!つらい不調を和らげる方法

参考文献

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