
【医師が解説】男性不妊になりやすい人とは?今すぐチェックしたい5つの特徴と対策
公開日:2025.07.19更新日:2026.01.29
不妊症とは「12か月間避妊せずに性交をしても妊娠しない状態」と定義されています。WHOが2017年に実施した調査の報告によると、男性側に何かしらの原因があって妊娠できない「男性不妊」の割合は約半数と言われています。「妊娠」は、決して当たり前のことではありません。実は、不妊の原因は男性側にあるケースも少なくないのです。
この記事では、医師監修のもと、男性不妊を引き起こす可能性のある要因や症状、検査方法から治療法まで解説していきます。
神奈川県相模原市、淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックは、不妊症の悩みに強みを持つ婦人科クリニックです。生理不順やPMSなどの女性特有のお悩みはもちろん、男性不妊の検査・治療にも対応し、ご夫婦のお悩みを専門医が丁寧にサポートします。
また、当院は橋本駅の長谷川レディースクリニックと密に連携し、婦人科・不妊治療を提供しています。2つの施設間で検査結果や治療方針を共有することで、よりスムーズな治療体制を整えています。体外受精をご検討の方にも、きめ細かな診療と迅速な対応をご提供していますので、お悩みの方は当院へご相談ください。

男性不妊になりやすい人の特徴5選
男性不妊になりやすい人の特徴として、以下の5つが挙げられます。
- 睾丸(こうがん)の状態に異常がある
- 特定の手術歴や病歴がある
- 不健康な生活習慣がある
- 高温環境に頻繁にさらされる
- 造精機能障害がある
睾丸(こうがん)の状態に異常がある
睾丸は精巣と呼ばれる部位です。睾丸が小さい、柔らかい、または位置が高いなどの特徴がある場合、男性不妊のリスクが高くなります。特に以下の状態は注意が必要です。
- 睾丸が思春期の頃より小さくなった
- 睾丸を触ると柔らかく張りがない
- 睾丸の位置が陰嚢内の上方や鼠径部にある
- 陰嚢の表面に血管のコブ(精索静脈瘤)がある
特定の手術歴や病歴がある
過去に受けた手術や病気の種類によっては、精子を作る機能や通り道に影響を及ぼすことがあります。特に子どものころの手術や思春期の病気などは、大人になってから不妊の原因になることもあります。治療が終わってから何年も経過していても、影響が残っている可能性もあるので、医師に伝えておくと安心です。
以下のような手術歴や病歴がある方は、男性不妊のリスクがやや高いとされています。
- 幼少期の鼠径(そけい)ヘルニア手術
- おたふく風邪の後に睾丸が腫れた(精巣炎)
- 抗がん剤や放射線を使った治療を受けた
- 停留睾丸の治療・手術を受けた
不健康な生活習慣がある
日々の生活習慣は、精子の質や量に大きく影響を与えます。健康的な生活を送っているつもりでも、知らないうちに妊娠のしにくさに関わる行動をしていることもあります。特に不規則な生活や、過度なストレスはホルモンのバランスを崩しやすく、精子をつくる働きにも影響が出ます。
以下のような習慣がある場合は、見直すことをおすすめします。
- 喫煙の習慣がある
- お酒をたくさん飲むことが多い
- 肥満またはやせすぎの体型
- 強いストレスを感じている
- 夜更かしや睡眠不足が続いている
まずは生活を整えることから始めてみましょう。
高温環境に頻繁にさらされる
精子はとても熱に弱いため、体の温度が上がりすぎると精子の数が減ったり、動きが悪くなったりすることがあります。特に睾丸は体の外側にあることで温度を下げる仕組みになっているため、高温環境が続くと影響を受けやすいのです。夏場や長時間の密閉された空間での活動、服装などにも注意が必要です。
以下のような状況が多い方は、できるだけ避ける工夫をしましょう。
- サウナや長風呂を頻繁に利用している
- きつい下着やぴったりしたズボンを履いている
- 長時間車やバイク、自転車に乗ることが多い
日常生活の中で熱がこもらないようにすることで、精子の環境を守ることができます。
造精機能障害がある
造精機能とは男性が精子を作る機能です。造精機能障害は男性不妊の約80%を占める主な原因です。以下の特徴があります。
- 精子の数が少ない
- 精子の運動性が悪い
- 奇形精子が多い
上記の特徴に当てはまる場合、男性不妊のリスクが高くなる可能性があります。ただし、該当するからといって必ず不妊になるわけではありません。心配な場合は、専門医に相談し、適切な検査や治療を受けましょう。
以下の記事では、男性不妊のリスクを簡単に把握できるセルフチェック項目に加え、検査や治療の具体的な方法についても詳しく解説しています。妊活中のパートナーがいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
>>自宅でできる男性不妊のセルフチェック|専門医の検査・治療法まで徹底解説

男性不妊の主な原因
男性不妊の原因として、以下の4つを解説します。
- 精子に関する問題
- 精路の通過障害
- ホルモン異常
- 免疫学的因子
精子に関する問題
男性不妊の原因として最も多いのは、精子に関する問題です。健康な精子は数多く存在して活発に運動し、正しい形をしていることが重要です。しかし、さまざまな要因によって、精子の数や運動能力、形態に異常が生じることがあります。
精子の数が少ない状態を「乏精子症」と言います。乏精子症は、精液1mlあたりの精子の数が、基準値である1500万個を下回っている状態です。精子の数が少ないと、卵子にたどり着くこと自体が難しくなり、妊娠の可能性が低くなってしまいます。
「精子無力症」は、精子が十分に運動できない状態を指します。精子は、卵子と出会うために、勢いよく泳いでいかなければなりません。しかし、精子の運動能力が低い場合、なかなか卵子にたどり着くことができず、妊娠しにくくなる場合があります。
「精子奇形率」は、精子の形態に異常がある状態です。健康な精子は、頭と尻尾がはっきりとした形をしていますが、中には頭が丸かったり、尻尾が2本あったりと、形が異常な精子も存在します。このような精子は、卵子にうまくたどり着くことや、受精すること自体が難しくなります。
以下の記事では、精子の状態を調べるために行う「精液検査」について、検査内容や費用、結果の見方まで初心者にもわかりやすく解説しています。不妊の原因が気になる方は、検査の流れを把握しておくことが大切です。
>>【初めての方必見】精液検査とは?検査内容・費用・結果の見方をわかりやすく解説
精路の通過障害
精子は、精巣で作られた後、精路と呼ばれる細い管を通って、体外へ排出されます。精路のどこかが詰まっていると、精子は体外に排出されず、男性不妊の原因になることがあります。「精管閉塞」は、精路の中でも特に精管と呼ばれる部分が詰まっている状態です。
精管閉塞があると、精子は精巣から尿道まで到達することができず、射精された精液中に精子が含まれない状態(無精子症)を引き起こすことがあります。
ホルモン異常
精子の産生で特に重要なのが、男性ホルモンのテストステロンです。テストステロンは、精巣から分泌され、精子の産生を促す役割を担っています。ストレスや加齢、生活習慣の乱れなどによって、テストステロンの分泌量が減少し、精子の産生が阻害されることもあります。
テストステロンの分泌量が低下は、精子の数の減少や運動能力の低下など、精子の質が低下して男性不妊につながることがあります。
免疫学的因子
免疫システムが誤って精子を「異物」と認識し攻撃してしまうことで、精子の数や運動性が低下し、受精しにくくなることがあります。これが「免疫学的因子による男性不妊」です。私たちの体には、細菌やウイルスなどの外敵から身を守る免疫システムが備わっており、異物と判断されたものに対しては攻撃・排除する働きをします。
通常、精子は自己の細胞として認識されるため、免疫による攻撃を受けません。しかし、何らかの理由で精子が異物とみなされてしまうと、免疫細胞によって攻撃され、精子の数が減少したり、運動性が損なわれたりすることがあります。
結果、受精能力が低下し、男性不妊の原因になる場合があります。
精液の検査方法
男性不妊の検査では、まず最初に「精液検査」が行われます。精液検査では、採取した精液を顕微鏡で観察し、精子の数や動き、形などを詳しく調べます。精液の状態は、WHO(世界保健機関)が定めた基準と照らし合わせて評価されます。数値が基準を下回ると、男性不妊の可能性があると判断されることがあります。
検査で確認される主な項目は以下のとおりです。
- 精液量
- 精子濃度
- 精子運動率
- 精子の形態
- 精液のpH
- 白血球数
検査は基本的に禁欲期間(2〜7日間)を守ったうえで行い、クリニック内で採取するか、指定の容器に入れて持参します。結果が1回の検査だけで判断しきれないこともあるため、2回以上の検査が推奨されることもあります。数値が基準を下回っていても、生活習慣の見直しや治療によって改善されるケースも多いため、正確な診断とアドバイスを受けることが大切です。
男性不妊の治療法
男性不妊の治療法は以下のとおりです。
- 薬物療法
- 人工授精
- 体外受精・顕微授精
ご自身の状況や希望に合わせた治療法を選択することで、妊娠の可能性が期待できます。
薬物療法
薬物療法は、医師診断のもと、男性ホルモンの分泌を促す薬などを用いて、精子の状態を改善するための治療法です。薬の種類や服用方法は患者さん一人ひとり異なります。男性ホルモンの分泌が少ない場合には、医師の診断にもとづいて男性ホルモン補充療法を行います。
注射や塗り薬、内服薬などの他に、男性ホルモンの分泌を促す効果のある薬を服用するケースも増えています。比較的身体への負担が少なく、治療を希望しやすい方法ですが、効果が出るまでに時間がかかる場合もあり、根気強く治療を続けることが大切です。
不妊症について網羅的に知りたい方はぜひ以下の記事も合わせてご覧ください。
>>不妊症とは?原因・症状・検査・治療法まで妊娠のために知っておきたい基礎知識を解説
人工授精
人工授精は、採取した精子を濃縮・調整して、排卵のタイミングに合わせて子宮内に直接注入する方法です。タイミング法などの一般の不妊治療でなかなか妊娠に至らない場合に検討されます。人工授精は、体外受精に比べると身体的な負担が少なく、費用も抑えられるというメリットがあります。
体外受精・顕微授精
体外受精は、卵子と精子を体外に取り出して受精させ、できた受精卵を子宮内に戻す方法です。顕微授精は、運動能力の低い精子や精子数が極端に少ない場合に、顕微鏡下で1つの精子を卵子に直接注入する方法です。
体外受精・顕微授精は、他の治療法で効果が得られない場合や、男性不妊の原因が重い場合に有効な治療法です。

治療費用の目安
治療にかかる費用は治療方法や検査によって異なります。治療費用の目安について、以下の内容を解説します。
- 検査費用
- 手術費用
- その他の費用
- 保険適用
- 助成制度
検査費用
男性不妊の検査では、まず精液検査が基本です。ホルモンの状態や内分泌の働きを調べるために、血液検査やホルモン検査が行われることもあります。保険適用かどうかによって費用が変わるため、受診前に確認しておくと安心です。費用の目安は、以下のとおりです。
- 精液検査: 約9,000〜11,000円
- 内分泌(ホルモン)検査: 約9,900〜22,000円
- 染色体検査: 約20,000〜40,000円
手術費用
手術が必要なケースでは、精索静脈瘤の手術や、精子を直接採取するTESE(精巣内精子採取術)などが行われます。比較的高額になりやすく、医療機関や実施方法によって費用に幅があります。保険適用される場合もあるので、事前の確認が重要です。費用の目安は、以下のとおりです。
- 精索静脈瘤手術: 約165,000〜275,000円
- 精巣内精子回収術(TESE): 約275,000〜385,000円
その他の費用
治療以外にも、精子の凍結保存や定期的な検査費用などがかかる場合があります。将来の体外受精や人工授精に備えて、精子を凍結しておく方も増えています。保管期間や保存方法によって費用に差があるため、必要に応じてプランを選びましょう。費用の目安は、以下のとおりです。
- 精子凍結保存: 33,000〜132,000円
- 凍結保管料(6か月分): 33,000円
保険適用
2022年4月から、男性不妊治療の多くに保険が適用されるようになりました。ただし、スクリーニング検査は自由診療のままとなります。保険適用になる主な治療には、以下のものが含まれます。
- 精液の状態改善を目的とした薬物療法
- 勃起障害(ED)向けの薬剤
- 無精子症や射精障害に対する精巣からの精子採取手術
以下の記事では、射精障害の代表的な原因や種類に加え、改善に向けた生活習慣の見直しや治療法について詳しく解説しています。妊活中の方や症状に悩んでいる方にとって、適切な対処の第一歩となる情報です。
>>射精障害の原因とは?治すにはどうすべきか、改善方法や治療法を専門医が解説
助成制度
男性不妊の治療では、一定の条件を満たすことで、自治体から助成金を受けられる場合があります。精索静脈瘤の手術や、精子を採取するための手術(TESEなど)に対して、費用の一部を補助する制度が用意されている地域もあります。一部の自治体では、以下の助成制度が設けられています。
- 千葉県:男性不妊治療(手術)に対して、1回あたり最大30万円まで助成
- 船橋市:医療費の1/2(上限5万円)を助成
- 東京都:条件を満たせば、手術費用の助成(上限15万円)が可能
ただし、助成の対象となる治療や金額、申請方法、回数制限などは自治体ごとに大きく異なります。制度の有無や詳細は、各市区町村や都道府県の公式ホームページで確認するか、窓口で相談しましょう。
助成制度を上手に活用することで、経済的な負担を軽くしながら治療を進めることができます。特に治療費が高額になりやすい手術の場合は、申請を検討する価値があります。
男性不妊になりやすい人に関するよくある質問
妊活を考える中で「自分は大丈夫かな?」と不安になることも多いはずです。男性不妊になりやすい人に関するよくある質問は、以下のとおりです。
- 検査は必要?
- サプリは効果ある?
- 一度の検査で十分?
疑問を解消しておくことで、余計なストレスが無くなります。
男性不妊の検査は必要?
「症状がないから検査は不要」と考える方も多いですが、実際には自覚のないまま男性不妊が進行しているケースは珍しくありません。特に1年以上妊娠していないのに避妊をしていない場合や、年齢が35歳を超えている場合は、一度検査を受けてみることをおすすめします。
精液検査は比較的簡単に受けられ、結果もすぐにわかるため、自分の体の状態を知るうえでおすすめです。
サプリは効果ある?
ビタミンや亜鉛、抗酸化成分などは精子の質をサポートする可能性が示唆されていますが、あくまで補助的な役割です。食事や睡眠、運動などの基本的な生活習慣を整えたうえで、必要に応じて取り入れましょう。最近では「妊活サプリ」としてさまざまな商品が市販されています。
男性向け妊活サプリも多く流通しており、目的に応じて選ぶことが大切です。医師に相談しながら選ぶことで、自分に合ったサプリを無駄なく活用できます。
一度の検査で十分?
一度の検査で安心してしまうのは避けることをおすすめします。精子の状態は日によって変動するため、1回の結果だけでは正確な判断ができない場合があります。医療機関でも、通常は2回以上の検査を行って平均的な状態を確認します。生活習慣を改善した後にも再検査をすることで、改善効果をチェックできます。
まとめ
男性不妊は、さまざまな要因が絡み合って引き起こされるため、治療には専門的なアプローチが必要です。睾丸の状態や生活習慣、過去の病歴などによりリスクが高まることがあり、精子の状態やホルモンバランスも重要です。原因を把握するために、精液検査やホルモン検査が行われ、適切な治療法が選択されます。
薬物療法や手術療法、人工授精や体外受精など、個々の状態に応じた治療法を選択することで妊娠の可能性が期待できます。2022年4月から保険適用が広がり、自治体による助成制度も利用可能です。専門医に相談し、最適な治療法やサポート制度を活用していきましょう。
神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、不妊治療に強みを持つクリニックです。不妊治療を検討している状況でも、専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。

参考文献
- 厚生労働省「妊娠・出産に関して」
- Carson SA, Kallen AN. Diagnosis and Management of Infertility: A Review. JAMA 326, no. 1 (2021): 65-76.