ソフィアレディスクリニック

hCGの基準値とは?妊娠の週数ごとの変化や妊娠継続率、流産リスクとの関係性

公開日:2025.01.30
更新日:2025.01.30

妊娠中は、ホルモンバランスの変化に伴い、さまざまな不安が頭をよぎるものです。妊娠初期は、目に見える変化が少ないため、「お腹の赤ちゃんは本当に順調に育っているの?」と心配になる妊婦さんも多いです。

実は、妊娠を維持するうえで重要な役割を果たすホルモン「hCG」の値を調べることで、妊娠の経過をある程度予測することが可能です。hCG値は妊娠週数ごとに大きく変動し、推移が妊娠の順調さを示す重要な指標となります。

hCGの基準値や妊娠週数ごとの変化、hCG値や妊娠継続率、流産リスクとの関係性について、具体的な数値を交えながら解説します。

神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、不妊治療に強みを持つクリニックです。不妊治療を検討している状況でも、専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。

hCGの主な働き3選

hCGは「ヒト絨毛性ゴナドトロピン」の略称です。hCGの主な働きは以下の3つです。

  • 妊娠を維持する黄体ホルモンの分泌を助ける
  • 妊娠検査薬で陽性反応を出す
  • つわりに関与する

妊娠を維持する黄体ホルモンの分泌を助ける

妊娠初期には、黄体(おうたい)と呼ばれる組織から黄体ホルモンが分泌されます。hCGは、黄体ホルモンの分泌を促すことで、子宮内膜を肥厚させ、柔らかく、栄養豊富な状態に保つことで、妊娠の継続をサポートします。

妊娠検査薬で陽性反応を出す

妊娠検査薬は、尿の中に含まれるhCGを検出することで妊娠の有無を判定します。hCGは妊娠していない人にはほとんど検出されないため、妊娠検査薬で陽性反応が出れば妊娠している可能性が高いです。

しかし、妊娠検査薬は妊娠の有無を暫定的に判定するためのツールです。正確な診断は必ず医師の診察を受けてください。

つわりに関与する

妊娠初期に多くの人が経験する「つわり」にも、hCGが関係していると考えられています。つわりの症状は人それぞれですが、吐き気や嘔吐、食欲不振など、さまざまな症状が現れることがあります。つわりは、妊娠という大きな変化に対する体の反応の一つです。

hCGの働きは多岐に渡り、妊娠の維持や検査、つわりなどで私たちに存在を知らせてくれます。

妊娠週数ごとのhCG値と妊娠経過

妊娠週数ごとのhCG値と妊娠経過について、詳しく解説します。

妊娠週数ごとのhCG値の正常範囲

hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)は、妊娠すると胎盤から分泌されるホルモンです。妊娠検査薬はhCGを検出して妊娠の有無を判断しています。hCG値は妊娠週数によって大きく変動し、個人差も大きいため、以下の数値はあくまでも目安として捉えましょう。

  • 非妊娠:0 mIU/mL
  • 妊娠3週:0~50 mIU/mL
  • 妊娠4週:20~500 mIU/mL
  • 妊娠5週:500~5,000 mIU/mL
  • 妊娠6週:3,000~19,000 mIU/mL
  • 妊娠8~12週(ピーク):10,000~200,000 mIU/mL
  • 妊娠20週以降:50,000 mIU/mL 以下

ご自身のhCG値については、担当の医師に相談し、総合的な判断を仰ぎましょう。

hCG値の推移からわかること

hCG値の推移は、妊娠が順調に進んでいるかどうかの重要な手がかりとなります。妊娠初期には、hCG値は1.5~2日で約2倍に増加するのが一般的です。hCGが胎盤から分泌され、妊娠の維持に重要な役割を果たしている黄体を刺激し、プロゲステロンというホルモンの分泌を促すからです。

hCG値が低い場合の原因と対処法

着床の遅れや排卵日がずれていたなどの理由で、hCG値が低く出ることもあります。hCG値が低いからといって、必ずしも問題があるとは限りません。しかし、hCG値が極端に低い場合や増加が遅い場合は、流産や子宮外妊娠の可能性も否定できません。

hCG値が低い場合は、医師の指示に従い、経過観察や追加検査を行うことが重要です。自己判断で不安を抱え込まず、まずは担当の医師に相談しましょう。

hCG値が高い場合の原因と対処法

双子や三つ子などの多胎妊娠の場合、hCG値は通常よりも高くなる傾向があります。hCG値が高い場合も、必ずしも問題があるとは限りません。

胞状奇胎などの絨毛性疾患の場合も、hCG値が異常に高くなることがあります。胞状奇胎とは、胎盤の一部が腫瘍のように変化してしまう病気です。hCG値が高い場合は、超音波検査などの追加検査を行い、原因を特定することが重要です。

流産のリスクとhCG値の関係

hCG値が低い場合、流産のリスクが高まる可能性があります。hCGは妊娠の維持に重要な役割を果たすホルモンであり、hCGの値が低いことは、妊娠が順調に進んでいない可能性を示唆しているからです。

妊娠4週目でhCG値が50mIU/mL未満の場合、流産の確率が高まると言われています。hCG値が上昇しない、あるいは減少に転じる場合も、流産の兆候である可能性があります。hCG値が低いからといって、必ずしも流産に至るとは限りません。hCG値が低い妊婦さんの中にも、無事に元気な赤ちゃんを出産される方は多くいらっしゃいます。

重要なのは、hCG値の「推移」を注意深く観察することです。hCG値が低い場合でも、hCGの増加率が維持されていれば、妊娠が順調に進んでいる可能性が高いと言えます。

妊娠継続のための生活上のアドバイス

妊娠中の生活習慣は、赤ちゃんの発育に影響を与える可能性があるため、以下のポイントに気をつけましょう。

  • バランスの取れた食事
  • 十分な睡眠
  • 適度な運動
  • 禁酒・禁煙
  • ストレスを溜めない
  • 定期的な健診を受ける

バランスの取れた食事

妊娠初期はつわりなどで食欲が低下しやすいですが、赤ちゃんのためにバランスの良い食事を心がけましょう。特に、葉酸や鉄分、カルシウムは不足しがちなので、意識して摂取することが大切です。妊娠初期の葉酸不足は、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを高めると言われています。

十分な睡眠

妊娠中は、ホルモンバランスの変化や身体的負担から、疲れを感じやすくなります。質の良い睡眠を十分に取るように心がけてください。睡眠不足は免疫力の低下につながり、感染症にかかりやすくなる可能性があります。

適度な運動

軽い運動は、血行を促進し、ストレス軽減にも効果的です。ウォーキングなどの軽い運動を無理のない範囲で行いましょう。激しい運動や長時間の運動は避け、体調に合わせて行うことが大切です。

禁煙・禁酒

タバコとアルコールは、胎児の発育に悪影響を与える可能性があります。妊娠中は禁煙・禁酒を徹底するようにしてください。喫煙は早産や低出生体重児のリスクを高め、アルコールは胎児性アルコール症候群を引き起こす可能性があります。

過剰なストレスを避ける

ストレスは、心身ともに悪影響を及ぼします。リラックスできる時間を作ったり、趣味を楽しんだりして、上手にストレスを発散しましょう。過度なストレスは、切迫早産などのリスクを高める可能性があります。

定期的な健診を受ける

妊娠経過をきちんと把握するために、定期的に健診を受けることが重要です。医師に相談することで、不安や疑問を解消し、安心して妊娠生活を送ることができます。健診では、hCG値の測定だけでなく、超音波検査や血液検査などを行い、母体と胎児の状態を総合的に評価します。

妊娠初期は何かと不安なことが多い時期ですが、正しい知識を身につけて、医師と相談しながら過ごしていくことで、安心して出産の日を迎えられる可能性が高まります。

hCGに関するよくある質問(FAQ)

hCGに関するよくある質問に回答していきます。

hCGの測定はどのようにして行われますか?

hCG値の測定は、血液検査または尿検査で行われます。血液検査はより正確で、妊娠初期のhCG値の変化を詳細に追跡できます。尿検査は妊娠検査薬として一般的に使用されますが、正確性は血液検査に劣ります。

hCG値が正常範囲内でも流産のリスクはありますか?

hCG値が正常範囲内であっても、流産のリスクが完全にないわけではありません。hCG値だけでなく、胎児の心拍や超音波検査の結果など、他の要因も総合的に評価する必要があります。医師の指導に従い、定期的な検査を受けましょう。

hCG値の測定はどのタイミングで行うべきですか?

hCG値の測定は、妊娠が疑われる場合や妊娠初期の経過観察が必要な場合に行われます。妊娠検査薬で陽性反応が出た後や、流産や子宮外妊娠のリスクがある場合に測定されることが多いです。

妊娠検査薬の場合は、生理予定日の約1週間後、血液検査の場合は排卵から12〜15日目頃が目安です。

hCG値が正常でも胎児の成長に問題がある場合はありますか?

hCG値が正常範囲内であっても、胎児の成長に問題がある可能性があります。胎児の成長や健康状態は、超音波検査やその他の検査結果と合わせて評価されます。hCG値だけで判断せず、医師の指導を仰ぎましょう。

まとめ

妊娠初期には、hCGの値が週数とともに大きく変化します。hCG値は妊娠の経過を知るうえで重要な指標となりますが、個人差も大きく、あくまでも目安として捉えることが大切です。低いからといって必ずしも問題があるとは限りませんし、高いからといって多胎妊娠とは限りません。

大切なのは、hCG値の「推移」を注意深く観察することです。不安な場合は自己判断せず、必ず医師に相談しましょう。

不妊症について網羅的に知りたい方はぜひ以下の記事も合わせてご覧ください。
>>不妊症とは?定義やなりやすい人の特徴・割合についても解説

参考文献

Chard T. Pregnancy tests: a review. Human reproduction (Oxford, England), 1992, 7, no. 5, p.701-710

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