
卵子凍結の痛みはどのくらい?痛いと感じるタイミングや対処法を解説
公開日:2024.05.31更新日:2025.09.21
子どもが欲しいと思ったときに産める選択肢として、卵子凍結を選択する女性が増えています。しかし、治療や処置の痛みに関して不安がある方も多いです。この記事では卵子凍結までの治療の流れと、痛みを感じるタイミングについて解説します。痛みを軽減させる方法も合わせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
神奈川県相模原市、淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックは、妊娠の悩みに強みを持つ婦人科クリニックです。生理不順やPMSなどの女性特有のお悩みはもちろん、男性不妊の検査・治療にも対応し、ご夫婦のお悩みを専門医が丁寧にサポートします。
また、当院は橋本駅の長谷川レディースクリニックと密に連携し、婦人科・不妊治療を提供しています。2つの施設間で検査結果や治療方針を共有することで、よりスムーズな治療体制を整えています。体外受精をご検討の方にも、きめ細かな診療と迅速な対応をご提供していますので、お悩みの方は当院へご相談ください。
卵子凍結で痛いと感じるタイミング
卵子凍結の処置で痛いと感じるタイミングは以下の4つです。
- 採卵前の各種検査
- 排卵誘発剤の自己注射
- 卵子の吸引・採取
- 胚移植
なぜ痛いのか、どんな痛みなのかを具体的に紹介します。
採卵前の各種検査
採卵前の検査で痛みを感じるのは採血と経腟超音波検査です。血液検査では、卵巣に残っている卵子の数を知るためのAMH値(抗ミュラー管ホルモン)を始め、卵巣機能の指標となるホルモン値、一般的な全身状態を調べます。採血方法は健康診断と同様に注射針を使って血液を採ります。
AMH以外のホルモン値は生理周期によって変わるため、生理中の採血が必要です。経腟超音波検査では腟から超音波の検査機器を入れて、卵巣疾患の有無や卵子の発育状態を観察します。診察器具が入る際に痛みを感じる人もいます。
排卵誘発剤の自己注射
できるだけ多くの卵子を凍結保存したい場合、高刺激法と呼ばれる注射薬の排卵誘発剤を使用します。採卵までの6~10日間は毎日注射を打つため、自宅に持ち帰り自分で打つ自己注射を選ぶ方が多いです。自己注射は打ち方を間違えると痛みを感じるため、最初の処方時に病院で注射方法を教えてもらったり練習したりします。
自宅で注射する際に注射薬を冷えた状態で使用すると、痛みを感じやすいです。
卵子の吸引・採取
採卵術は腟から卵巣に針を刺して卵胞を吸引・採取するため、痛いと感じる方もいます。排卵誘発後、卵巣内の卵子は膜に包まれた卵胞と呼ばれる状態に育ちます。採卵では腟から超音波機器を入れ、その機器から出る長い針で卵巣内の卵胞ごと卵子を吸引します。
採卵時の針の太さは血液検査より少し太く、腟の粘膜や卵巣に針を刺した際や卵子の吸引時に痛みを感じる可能性があります。採卵後数日は、人によって採卵時の卵巣への刺激から卵巣過剰刺激症候群を引き起こすため、卵巣の腫れや腹水による下腹部などの症状が表れます。排卵後に違和感を感じたらすぐに病院を受診してください。
胚移植
将来、凍結した卵子とパートナーの精子を用いて顕微授精を行います。できた受精卵を子宮内に戻す際の胚移植でも痛みを感じる場合があります。移植時はカテーテルと呼ばれるチューブを腟から子宮頸管まで入れて、受精卵を子宮に移し着床を待ちます。他の処置と比べて痛みを感じることは少ないですが、子宮頸管が細いなど、体質によってはカテーテルを入れるときに痛いと感じる場合があります。

卵子凍結による実際の痛みの程度
卵子凍結に伴う痛みの程度を、以下の2つ紹介します。
- 他の医療処置と比較した場合
- 個人差による痛みの違い
他の医療処置と比較した場合
卵子凍結の痛みを他の医療処置と比較すると、排卵誘発剤の注射は予防接種程度、採卵手術は軽い内視鏡検査程度の痛みとされています。注射の痛みは一瞬で、その後の軽い腫れや圧迫感は数時間~1日程度で治まります。採卵時の痛みは、婦人科検診時の器具挿入よりもやや強い程度で、麻酔を使用するため手術中の痛みはほとんど感じません。
術後の痛みも、軽い生理痛程度で、鎮痛剤で十分に管理できるレベルです。痛みはすべて一時的なもので、適切な医療管理下で安全に行われることを理解しましょう。
個人差による痛みの違い
痛みの感じ方には個人差があります。普段から生理痛が軽い方は卵子凍結の痛みも比較的軽く感じる傾向があり、逆に生理痛が重い方は痛みを強く感じることがあります。注射に対する恐怖心が強い方は、実際の痛みよりもつらく感じることもあります。年齢も関係しており、若い方ほど卵巣の反応が良く、痛みや腫れが軽い傾向です。
体格や皮下脂肪の厚さによっても、注射時の痛みの感じ方が変わります。精神的な状態も大きく影響し、リラックスしているときと緊張しているときでは痛みの感じ方が異なります。医師は患者さん一人ひとりの状態を見ながら、痛みを最小限にする方法を提案してくれるので、遠慮なく相談することが大切です。
卵子凍結のデメリットについて詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
>>卵子凍結のデメリットとは?リスクを最小限にする方法やメリットも解説
卵子凍結の痛みへの対処法
卵子凍結の治療で感じる痛みを和らげる方法は以下の2つです。
- 医療機関を慎重に選ぶ
- 正しい自己注射の方法を習得する
自分でできる方法と病院に依頼する方法、それぞれどのように痛みを緩和するのか詳しく解説します。
医療機関を慎重に選ぶ
卵子凍結の治療方法に大きな違いはありませんが、痛みを和らげる処置にどの程度対応しているかは病院によって異なります。
例えば、経腟検査の超音波機器が古い病院と最新の機器を使用している病院では、患者さんの体にかかる負担が違います。採卵時に局所麻酔と呼ばれる部分的な麻酔や、眠った状態で処置を受ける静脈麻酔の使用も病院によっては可能です。
対応できる範囲は病院によって異なるため、痛みに寄り添ってくれる医療機関を選び、相談しながら治療を進めましょう。
正しい自己注射の方法を習得する
卵子凍結の中で痛みを感じやすいのは、排卵誘発剤の自己注射による注射部位の痛みです。自己注射は1回ではなく複数回使用することが多いため、正しく自己注射できるようになることが大切です。注射時の痛みを完全に消すことはできませんが、以下の方法で痛みを軽減できる可能性があります。
- 皮膚に対して約45度の角度から針を刺す
- 注射速度を一定に保つ
自信を持って注射できるようになるまで、看護師と一緒に練習することが大切です。また、注射部位のスキンケアをすることでも、痛みを軽減できる可能性があります。打った後の痛みが続かないように、体質に合ったスキンケア用品を選んでください。元々肌が弱い方や痛みが続く場合は、病院に相談して薬を処方してもらうことも可能です。

卵子凍結を安心して受けるための医療機関の選び方
卵子凍結を安心して受けるための医療機関の選び方のポイントを、以下の4つ紹介します。
- 料金体系
- 通院のしやすさ
- 医師の専門性
- 安全管理体制
料金体系
卵子凍結は自費診療のため、クリニックによって料金に大きな差があります。初期費用や年間保存料、将来の体外受精費用まで含めた総額を事前に確認しましょう。料金体系が明確で、追加費用についても詳しく説明してくれるクリニックを選ぶことが重要です。
分割払いやローンなどの支払い方法についても相談できるかどうか確認してください。
通院のしやすさ
排卵誘発期間中は頻繁な通院が必要になるため、アクセスの良さは重要な選択基準です。自宅や職場からの距離、診療時間、予約の取りやすさを確認してください。働く女性にとって、平日夜間診療や土曜診療の有無は大きなポイントです。
駐車場の確保や公共交通機関でのアクセス、急な体調変化に対応できる相談体制があるかも確認しましょう。
医師の専門性
安心して治療を受けるためには、経験豊富で信頼できる医師のいるクリニックを選ぶことが重要です。日本生殖医学会の生殖医療専門医資格を持つ医師や、不妊治療の豊富な経験を持つ医師が在籍しているかを確認しましょう。医師のプロフィールや専門分野、学会発表実績なども判断材料になります。
クリニックの年間採卵件数、卵子凍結・解凍の成功率、妊娠率などの具体的な実績データを確認することも大切です。丁寧な説明をしてくれる医師かどうかも重要なポイントです。
安全の管理体制
液体窒素による冷凍保存設備の管理体制、停電時のバックアップシステム、24時間監視体制の有無も重要です。万が一の事故に対する保険制度や補償について事前に確認し、長期保存における安全性が保証されているクリニックを選びましょう。
卵子凍結は34歳までに
卵子は年齢とともに数が減るだけでなく、卵子の年齢も上がるため、34歳までに卵子凍結するのがおすすめです。卵子の数は生まれた瞬間から減り続けており、精子のように新しく生産されません。35歳を過ぎると閉経に向けて卵巣機能が徐々に低下するため、卵子の数や質も低下すると言われています。
卵巣機能が下がる34歳までに卵子凍結をすれば、卵子が老化する前の状態で保存できる点がメリットです。体外受精と年齢に関する文献で、36歳までに体外受精の不妊治療を開始すれば、子どもを1人授かる可能性は90%という結果が出ています。
39歳以降の妊娠では、流産率の上昇と出産率の低下が報告されており、卵子凍結に年齢制限を設けている病院もあります。39歳以降に卵子凍結を検討するのであれば、卵子凍結の目的と処置や維持のためのコストを含めて、対応してくれる産婦人科に相談してください。
卵子凍結について詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
>>【産婦人科医監修】卵子凍結という選択肢|費用・リスク・妊娠率を正直に解説
卵子凍結の痛みでよくある質問
卵子凍結の痛みでよくある質問は、以下の3つです。
- 痛み止めは使用できる?
- 痛みはどのくらい続く?
- 痛みが我慢できない場合の対処法は?
痛み止めは使用できる?
卵子凍結の過程で痛み止めを使用することは可能ですが、使用するタイミングと薬剤の種類には注意が必要です。採卵前の注射による痛みには、市販の解熱鎮痛剤を使用できることが多いですが、必ず医師に相談してから服用してください。採卵手術では、局所麻酔や静脈麻酔が使用されるため、手術中の痛みはほとんど感じません。
術後の痛みに対しては、医師が処方する痛み止めを適切に使用します。一般的には、アセトアミノフェンやイブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬が処方されます。卵巣機能に影響を与える可能性のある薬剤もあるため、自己判断での服薬は避け、医師の指示に従うことが大切です。我慢せずに適切な痛み止めを使用することで、快適に治療を受けることができます。
痛みはどのくらい続く?
卵子凍結に伴う痛みの持続時間は、処置の種類によって異なります。排卵誘発剤の注射による痛みは、注射直後の数分〜数時間程度で、注射部位の軽い腫れや赤みは1〜2日で治まります。排卵誘発期間中の下腹部の重苦しさは、治療期間中続くことがありますが、日常生活に大きな支障はありません。
採卵手術後の痛みは個人差がありますが、多くの場合24〜48時間以内に軽減します。手術当日は安静にし、翌日からは通常の生活に戻れることがほとんどです。重いものを持ったり激しい運動をしたりするのは、術後1週間程度控えることが推奨されます。痛みが予想以上に長引く場合や、発熱を伴う場合は、速やかに医師に連絡しましょう。
hCG注射について詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
>>hCG注射はいつ打つ?副作用や効果、適切なタイミングを医師が解説
痛みが我慢できない場合の対処法は?
痛みが我慢できないレベルになった場合は、遠慮なく医療スタッフに相談してください。採卵前であれば、より効果が期待できる痛み止めの処方や、注射方法の調整が可能です。採卵手術中に痛みを感じた場合は、すぐに医師に伝えることで、麻酔の追加や処置方法の変更ができます。術後の強い痛みには、処方薬の変更や追加投与で対応します。
痛みが異常に強い場合は、合併症の可能性も考慮して詳しい検査を行います。痛みを正確に伝えることで、医師はより適切な治療を提供できます。痛みの程度を10段階で評価したり、どのような痛みかを具体的に説明したりすることで、医師の判断材料となります。
24時間対応の相談窓口を設けているクリニックも多いので、夜間や休日でも安心して相談できます。
まとめ
卵子凍結は卵巣から卵子を採取する前に受ける検査や排卵誘発剤、採卵時にも針を使用するため痛みを感じるポイントが何度かあります。人によって痛みを感じる処置は異なるため、注射や処置内容に合わせて痛みを軽減する方法を活用しましょう。卵子凍結は将来に向けて卵子の老化を止めるために選択する不妊治療の一つです。卵子凍結が適切な方法であるか、他の不妊治療を検討すべきなのかを含めて、卵子凍結の痛みなどで悩んでいる方は、専門の産婦人科へ相談してください。
参考文献
Khalife D, Nassar A, Khalil A, Awwad J, Abu Musa A, Hannoun A, El Taha L, Khalifeh F, Abiad M, Ghazeeri G.Cumulative Live-Birth Rates by Maternal Age after One or Multiple In Vitro Fertilization Cycles: An Institutional Experience.International Journal of Fertility & Sterility,2020,14,1,p.34-40