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子宮筋腫の原因は女性ホルモンの変化?ピルや性行為との関係についてもわかりやすく解説

公開日:2024.05.01
更新日:2024.05.04

子宮筋腫はなぜ発症するのか疑問に感じたことはありませんか。子宮筋腫の原因は女性ホルモンだと考えられています。女性ホルモンのバランスを整えることで、子宮筋腫の予防につながる場合もあります。

この記事では、子宮筋腫の原因だけでなく、治療方法や予防についてくわしく解説します。

子宮筋腫の原因は女性ホルモンの変化である可能性が高い

子宮筋腫が発症する原因は明らかになっていませんが、女性ホルモンの1つであるエストロゲンの影響が高いと考えられています。エストロゲンは思春期である10代から分泌し、分泌量は20〜40代の性成熟期に安定し、閉経する50代前後に低下します。

30代以降の30〜40%の女性に子宮筋腫がみられ、閉経後に小さくなることから、エストロゲンが子宮筋腫の発症に関係している可能性が高いと考えられているのです。

また、性行為はエストロゲンの分泌量にほとんど影響がないため、性行為の回数は子宮筋腫の発症と直接的な関係はありません。ストレスや家族による遺伝も、子宮筋腫の発症に影響するという医学的根拠はないと言われています。

子宮筋腫になりやすい人には特徴がある

子宮筋腫になりやすい人には、以下のような特徴があります。

  • 妊娠回数が少ない人
  • 出産経験のない人

上記に該当する女性は生理の回数が多くなりやすいため、エストロゲンの分泌量が多い時間も増えます。その結果、子宮筋腫を発症しやすくなってしまうのです。

肥満や高血圧、飲酒などの生活習慣も原因という研究データもありますが、具体的には明らかにされていません。ですが、子宮筋腫と関係している可能性は否定できないため、ホルモンバランスが乱れるような生活習慣には注意しましょう。

子宮筋腫の3種類とは

子宮には、内側から子宮内膜・子宮筋層・漿膜(しょうまく)から成る「子宮壁」とよばれる壁があり、筋腫が発症する場所によって名前が異なります。それぞれの筋腫の特徴は以下のとおりです。

  • 粘膜下筋腫:子宮内膜の内側や直下に発症するもの
  • 筋層内筋腫:子宮筋層内に発症するもの
  • 漿膜下筋腫:子宮漿膜直下に発症にするもの

筋層内筋腫が最も多くみられますが、複数の筋腫が合わさって発症する場合もあります。

子宮筋腫になると現れる症状とは

子宮筋腫は自覚症状を感じない方もいますが、発症場所やサイズによって生理が重いと感じる場合もあります。具体的な症状は以下のとおりです。

  • 月経痛がひどくなる
  • 生理の際の出血量が多くなる(過多月経)
  • 生理が8日間以上続く(過長月経)

子宮筋腫が大きくなるにつれ、まわりの臓器を圧迫するようになると以下の症状がみられることもあります。

  • 腰痛
  • 頻尿
  • 便秘
  • 排尿困難
  • 貧血

筋腫の種類によっても、見られる特徴が異なります。

粘膜下筋腫は月経痛や過多月経などの症状が最も多く貧血にもなりやすい筋腫です。筋腫が大きくなることで子宮内膜が薄く引き伸ばされ、不正出血や不妊の原因にもつながります。

筋層内筋腫は小さいものであれば無症状で経過する場合も多いです。大きくなると子宮が変形し、不正出血や不妊、早産、流産などが起こるおそれがあります。

漿膜下筋腫は無症状で経過し、筋腫が大きくなってから見つかる場合があります。まれに筋腫の茎部がねじれる有茎性漿膜下筋腫を発症し、ショックを起こしたり緊急手術が必要になったりする可能性もあるため注意が必要です。

放置することで10kgを超える腫瘤になることもある

子宮筋腫は良性の腫瘍のため命にかかわるものではありませんが、放置すると急速に大きくなり、10kgを超える大きさになる場合もあります。急速に大きくなる筋腫のなかには、悪性腫瘍が含まれている場合もあるため注意が必要です。筋腫は小さくなることがあっても、消失することはありません。大きくなる前に早めの対応をとりましょう。

子宮筋腫の3つの治療方法

子宮筋腫は自覚症状がなければ経過観察で様子をみる場合もあります。ですが、症状が重かったりサイズが大きかったりした場合は治療を検討します。

子宮筋腫の治療法には、症状の緩和を目的とした治療と完治を目的とした治療の2種類があり、具体的な治療法は以下のとおりです。

  • 対症療法
  • ホルモン療法
  • 手術

それぞれの治療法について、くわしく見ていきましょう。

対症療法

子宮筋腫による症状を薬で軽減するのを目的とした治療方法です。主に鉄剤や鎮痛剤の2種類を使用します。

鉄剤の目的は貧血予防です。子宮筋腫を発症すると出血が多くなり、貧血を起こしやすくなります。子宮筋腫が発症することによって子宮内膜の面積が増え、月経の際にはがれる子宮内膜も増えることから出血量も多くなり、貧血を起こしやすくなってしまうのです。

子宮筋腫による下腹部の痛みや生理痛が強い場合、NSAIDsなどの鎮痛剤や「桂枝茯苓丸」や「芍薬甘草湯」などの漢方薬を使用することもあります。

ホルモン療法

ホルモン療法とは、薬で女性ホルモンの分泌を抑制する方法です。子宮筋腫におけるホルモン療法では、女性ホルモンの分泌量を調整し、子宮筋腫の成長を防ぎます。閉経間近や手術を避けたい場合などに用いられますが、鎮痛剤を使用しても疼痛軽減がみられない場合にもホルモン療法を検討します。

ですが、ホルモン療法は更年期障害のような症状がみられたり、骨がもろくなったりする可能性があるため半年しか使用できません。使用をやめた後には症状が再発することも理解しておきましょう。

手術

子宮筋腫に対する手術療法には、以下の2種類があります。

  • 子宮全摘術
  • 子宮筋腫核出術

子宮全摘術は子宮のすべてを摘出する方法です。子宮がなくなるため、子宮筋腫が再発することはありませんが、妊娠が不可能になります。

子宮筋腫核出術は子宮筋腫のみを摘出します。子宮自体は残すため、術後の妊娠も可能です。しかし、残した子宮に筋腫が再発する可能性はあります。

近年では開腹手術だけでなく内視鏡を使用する手術が増えています。内視鏡手術は体を切る範囲が狭いため術後の傷が目立ちにくく、回復も早いです。ただし、子宮筋腫が大き過ぎると内視鏡手術ができない場合もあります。

子宮筋腫は定期的な検査と生活習慣を整えることで予防しよう

子宮筋腫は自覚症状がなく気づかない場合もあります。不妊の原因にもなるため、定期的に検査を受けながら予防に取り組むことが重要です。

生活習慣を見直し、ホルモンバランスを整えることも子宮筋腫の予防につながります。具体的な方法は以下のとおりです。

  • 栄養バランスが保たれた食事を摂る
  • 入浴で体を温め、血行をよくする
  • ストレスを発散し、リラックスする時間を作る
  • 適度に体を動かす

生活習慣を見直し、精神的・身体的なストレスを緩和することで女性ホルモンバランスを整えられるため、子宮筋腫の予防にもつながります。

低用量ピルが子宮筋腫の予防につながる場合もある

低用量ピルの服用により女性ホルモンの分泌量を抑え、子宮筋腫の悪化を予防できる場合もあります。ただし、ピルは症状を和らげる「対症療法」として使用されるものであり、子宮筋腫そのものを根治できるものではないことを理解しておきましょう。

低用量ピルには不正出血や吐き気といった副作用がでる可能性があります。低用量ピルは医師の診断が必要ですので、服用を検討する際には専門の産婦人科へご相談ください。

子宮筋腫の症状がある場合は産婦人科を受診しよう

子宮筋腫は良性の腫瘍のため命にかかわる可能性は低いですが、自然に消失することはありません。女性ホルモンが出ている期間はそのまま放置すると大きくなり、症状が悪化する可能性もあります。産婦人科での治療や予防により、子宮筋腫の縮小や症状の緩和が可能です。ひどい生理痛や出血量、不妊など子宮筋腫の症状がみられたら産婦人科へ相談しましょう。

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