ソフィアレディスクリニック

卵子凍結はいくらかかる?費用で諦める前に知りたい助成金・補助金や手続きを徹底解説

公開日:2025.02.26
更新日:2025.06.20

将来の妊娠に備えたいけど、今はまだそのタイミングではないと悩んでいませんか?多くの女性にとって妊娠や出産のタイミングは人生設計の重要なポイントです。最近、卵子凍結が将来の妊娠に備えるための選択肢の一つとして注目されています。

卵子凍結は保険適用外ですが、一部の自治体で助成金制度が始まっています。この記事では、卵子凍結の費用や助成金・補助金、手順、よくある質問を解説します。 

神奈川県相模原市、淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックは、妊娠の悩みに強みを持つ婦人科クリニックです。生理不順やPMSなどの女性特有のお悩みはもちろん、男性不妊の検査・治療にも対応し、ご夫婦のお悩みを専門医が丁寧にサポートします。

また、当院は橋本駅の長谷川レディースクリニックと密に連携し、婦人科・不妊治療を提供しています。2つの施設間で検査結果や治療方針を共有することで、よりスムーズな治療体制を整えています。体外受精をご検討の方にも、きめ細かな診療と迅速な対応をご提供していますので、お悩みの方は当院へご相談ください。

卵子凍結にかかる費用相場は数十万円以上

卵子凍結は主要な4ステップでの費用とその他の費用がかかります。その他の費用には診察料や各種検査費用などが含まれます。以下の項目ごとの費用を解説します。

  • 採卵費用は数十万円程度
  • 凍結費用は卵子1個あたり数万円程度
  • 保管費用は凍結保存容器1年1本あたり数万円程度
  • 融解費用は数十万円以上
  • その他費用は数万円程度

採卵費用は数十万円程度

採卵は卵子を体外に取り出すためのステップです。費用は一般的に数十万円程度ですが、採卵する卵子の数に応じて費用が異なります。詳細はクリニックへお問い合わせください。採卵を試みたものの卵子が未成熟で採取できなかった場合は費用の一部が減額されるクリニックもあります。

採卵費用には排卵誘発のための注射や診察、採卵手術、麻酔代などが含まれます。排卵誘発とは複数の卵胞を育てるための処置です。通常、女性の体は1回の生理周期で1つの卵子を成熟させます。卵子凍結では将来の妊娠に備えて複数の卵子を採取するため、注射や飲み薬を用いて卵胞を育てます。

凍結費用は卵子1個あたり数万円程度

体外に取り出された卵子は、特殊な液体窒素を用いた急速凍結技術によってすぐに凍結保存されます。細胞内の水分を結晶化させないように急速凍結することで、卵子の細胞が損傷するのを防ぎます。費用は卵子1個あたり数万円程度が相場です。費用には凍結保存に必要な資材や技術料が含まれます。

保管費用は凍結保存容器1本1年あたり数万円程度

凍結された卵子は液体窒素で満たされたタンクの中でマイナス196℃の極低温で保管されます。費用は凍結保存容器1本(通常、数個単位で保存される)あたり、1年で数万円程度かかることが多いです。保管費用には、液体窒素を補充するための費用や保管設備の維持管理費用などが含まれます。

融解費用は数十万円以上

凍結保存した卵子を融解し体外受精を行う際には別途費用が発生します。融解にかかる費用には卵子の融解や顕微授精、胚培養、胚移植などが含まれており、クリニックによって費用設定が異なります。費用は採卵費用と同額程度かそれ以上になる可能性も考慮しましょう。

その他費用は数万円程度

その他の費用として初診料や検査費用などがかかります。具体的な金額はクリニックによって異なるため、治療前にクリニックに問い合わせましょう。

当院で卵子凍結をする場合の費用は以下のページにて具体的に表でまとめているため、検討中の方は一つの例としてぜひお読みください。
>>当院の卵子凍結の料金表

卵子凍結に関する助成金・補助金

卵子凍結に関する助成金・補助金について、以下の内容を解説します。

  • 制度の概要
  • 申請方法と手続き
  • 受給資格
  • 支給額と支給条件
  • その他の支援制度

費用負担を少しでも軽減するための制度が用意されていますので、参考にしてください。

制度の概要

卵子凍結に関する助成金・補助金は、大きく分けて「医学的適応」と「社会的適応」の2種類があります。医学的適応は、がん治療や手術などにより将来の妊娠能力が失われる可能性があるなどの理由で行う卵子凍結のことです。抗がん剤治療は卵巣機能にも影響を及ぼす可能性があるため、治療前に卵子を凍結保存することで将来の妊娠の可能性を守ることができます。

社会的適応は、結婚や出産のタイミングを自身でコントロールしたいなどの理由で行う卵子凍結のことです。晩婚化やキャリア形成などライフプランに合わせて妊娠時期を選択できるよう、卵子を若い時期に凍結保存しておく選択肢があります。

助成金・補助金制度の有無や内容は自治体によって大きく異なります。医学的適応のみを対象とする自治体もあれば、社会的適応も対象としている自治体もあります。提供される金額も自治体によって異なり、数十万円単位の助成を受けられる場合もあります。

受給資格

受給資格も自治体によって異なり、年齢や所得、居住地、婚姻状況などに制限が設けられている場合があります。医学的適応の場合、年齢制限に加えて医師による病状の評価が必要な場合もあります。病状によっては助成対象とならない可能性もあるため事前に自治体に確認が必要です。

社会的適応の場合、年齢や所得制限が設けられている場合が多いです。東京都では年齢が18〜39歳であることや東京都内に住所を有することなどが受給資格の条件になっています。

支給額と支給条件

支給額と支給条件も自治体によって大きく異なります。詳細は自治体へお問い合わせください。医学的適応の場合、1回あたり数十万円の助成を受けられる場合が多いです。助成を受けられる回数に制限が設けられている場合もあります。

社会的適応の場合、支給額は医学的適応の場合よりも少なく、数万円〜数十万円程度の場合が多いです。支給条件も自治体によって異なります。

申請方法と手続き

助成金・補助金の申請方法や必要書類は自治体によって異なります。一般的には、申請書類に必要事項を記入し、医師の診断書や住民票、所得証明書などの必要書類を添付して自治体の窓口に提出します。申請書類は自治体のホームページからダウンロードできることが多いですが、窓口で直接入手することも可能です。

申請期間も自治体によって異なり、通年で申請を受け付けている場合や年に数回の特定期間のみ申請を受け付けている場合などがあります。締め切り間近になると窓口が混雑する可能性もあるため、余裕を持って申請手続きを行うことをおすすめします。

その他の支援制度

自治体の助成金・補助金制度以外にも企業が福利厚生の一環として卵子凍結をサポートする制度を設けている場合があります。卵子凍結にかかる費用の一部または全額を補助する制度や、卵子凍結を行うための休暇制度などを設けている企業もあります。

卵子凍結の手順

卵子凍結の手順は以下のとおりです。

  1. 検査・カウンセリング
  2. 排卵の誘発
  3. 採卵
  4. 凍結保存
  5. 融解・体外受精

検査・カウンセリング

最初に患者さんの体の状態や卵巣の機能を調べる検査を行います。血液検査や超音波検査は卵子凍結に適しているかを確認する重要な検査です。血液検査では、卵巣の予備能力を示すAMH(抗ミュラー管ホルモン)の値や甲状腺ホルモン、風疹抗体などを測定します。超音波検査では卵巣の状態や子宮内膜の厚さを確認します。

カウンセリングでは卵子凍結の費用やメリット・デメリット、リスクなどの説明を受け疑問や不安を解消します。不安な点はカウンセリングで何でも医師に相談してください。妊娠率や合併症のリスク、費用負担などの要素を考慮し、患者さんの希望や状況に合わせたプランを一緒に考えます。

排卵の誘発

治療プランが決まったら、排卵誘発剤を用いて複数の卵胞を育てます。排卵誘発剤とは、卵子が入った袋(卵胞)の発育を促進する薬です。排卵誘発剤には注射薬や点鼻薬、飲み薬などがあり、患者さんの状態に合わせて最適な方法を選択します。卵胞が順調に育っているか超音波検査で定期的にモニタリングを行います。

卵胞の大きさが目標値に達したら排卵を促すhCG注射を行い、採卵の準備をします。hCG注射の適切なタイミングや、副作用などは以下の記事をご覧ください。
>>hCG注射はいつ打つべき?副作用や効果、排卵のタイミングを解説

採卵

卵胞が十分に育ったら、腟から細い針を刺して卵巣にある成熟した卵子を吸引する方法で採卵します。痛みや出血を最小限に抑えるため、多くの場合は静脈麻酔を用います。麻酔中は眠っている状態なので痛みを感じることはありません。

採卵にかかる時間は通常15〜30分程度です。まれに採卵後に軽度の腹痛や出血が見られることがありますが、多くの場合は数日で治まります。

卵子凍結での痛みが不安な方は、以下の記事もご覧ください。
>>卵子凍結は痛い?実際に痛みを感じるタイミングやその対処法を紹介

凍結保存

採卵で採取した卵子はすぐに凍結保存され、マイナス196℃の液体窒素の中で長期間にわたって安全に保管します。保管期間は費用や将来のライフプランを考慮しながら医師と相談のうえ、適切に選択しましょう。

融解・体外受精

将来妊娠を希望するタイミングになったら凍結保存していた卵子を融解し、体外受精を行います。融解した卵子を体外で精子と受精させ(顕微授精)、できた受精卵を数日間培養した後に子宮に移植します。体外受精の成功率は女性の年齢や卵子の質、子宮の状態、融解後の卵子の生存率などの要因によって左右されます。

医師とよく相談し、ご自身の状況を理解したうえで治療に臨むことが大切です。医学的適応の場合、43歳未満であれば卵子凍結が可能です。女性の生殖能力は年齢とともに低下するため、より若い時期に卵子凍結を行うことで将来の妊娠の可能性を高めることが期待できます。

当院の治療の流れは以下のページに書いていますので、参考にしてみてください。
>>当院での卵子凍結の流れ

卵子凍結と他の妊娠保存法との比較

卵子凍結と他の妊娠保存法との比較について、以下の項目を解説します。

  • 胚凍結との違い
  • 卵巣組織凍結保存との違い

胚凍結との違い

胚凍結受精卵を保存する方法です。卵子凍結と比べて妊娠率が高い一方、パートナーの精子が必要という違いがあります。胚凍結ではすでに受精が完了しているため、融解後の受精過程が不要で、着床率や妊娠率が卵子凍結より高くなります

パートナーの精子が必要なため、未婚の方や将来的にパートナーが変わる可能性がある方には適用できません。倫理的・法的な観点から、離婚や死別時の取り扱いについて事前の合意が必要です。パートナーがいる場合は胚凍結、いない場合は卵子凍結が基本的な選択となります。

卵巣組織凍結保存との違い

卵巣組織凍結保存は卵巣の一部を切除して保存する方法で、急を要する治療前や思春期前の女児に適用される特殊な技術です。卵巣組織凍結保存は排卵誘発が不要で、手術により卵巣組織を直接採取するため、緊急性の高いがん治療前でも実施可能です。また、思春期前で卵子凍結ができない女児にも適用できます。

日本ではまだ実験的治療の段階で、実施施設が限られており、将来の移植時に元の病気の細胞が混入するリスクも考慮する必要があります。時間的制約がある場合や、年齢的に他の方法が困難な場合の選択肢として位置づけられています。

知っておきたい卵子凍結のリスク

卵子凍結のリスクは以下のとおりです。

  • 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
  • 感染症のリスク
  • 卵子のダメージ
  • 保管中の卵子の喪失

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)とは、卵巣が刺激された際に起こる合併症です。排卵誘発剤を使用した際に、腹痛や吐き気などの症状が現れる場合があります。重症化すると入院の可能性もあるため、注意が必要です。排卵時にまれに感染症にかかるリスクもあります。

卵子の凍結や解凍の際に卵子がダメージを受けるリスクや、自然災害などで保管中の卵子が喪失するリスクもあります。出産に関するリスクとして、35歳以上で妊娠・出産を考える場合は高齢出産のリスクを考慮しなければなりません。高齢出産では妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などのリスクが高まることが知られています。

卵子凍結で妊娠のタイミングを遅らせる場合、高齢出産のリスクを十分に検討する必要があります。

卵子凍結に関するよくある質問

卵子凍結の正しい知識を得ることが、ご自身の希望に合った治療を選ぶために重要です。卵子凍結に関するよくある以下の5つのご質問を解説します。

  • 何個の卵子を凍結すべき?
  • 保存期間と妊娠率に関係はある?
  • 融解後の体外受精成功率はどのくらい?
  • 卵子凍結のメリットは?
  • 卵子凍結で確実に妊娠できる?

何個の卵子を凍結すべき?

将来1人の出産を希望する場合、一般的に15-20個程度の卵子凍結が推奨されますが、年齢により異なります。凍結保存した卵子のすべてが無事に融解できるわけではなく、融解した卵子がすべて受精・着床するとも限りません。30歳未満では70〜80%の融解率、受精率70〜80%、着床率40〜50%程度とされています。

年齢が上がるほど、融解率や受精率が下がるため、より多くの卵子が必要です。1回の採卵で取れる卵子数には個人差があるため、複数回の採卵が必要な場合もあります。年齢と希望する子供の数を考慮し、医師と相談して最適な個数を決めることが大切です。

保存期間と妊娠率に関係はある?

適切に凍結保存された卵子の妊娠率は、保存期間の長さにほとんど影響されないとされています。液体窒素による超低温保存(マイナス196℃)では、細胞の代謝活動が完全に停止するため、理論上は半永久的に保存が可能です。

現在の急速凍結技術(ガラス化保存法)により、保存期間中の卵子の劣化はほぼ起こりません。重要なのは保存期間ではなく、凍結時の卵子の年齢と質です。

融解後の体外受精成功率はどのくらい?

凍結卵子を使用した体外受精の成功率は、凍結時の年齢により大きく異なり20代で40〜50%、30代前半で30〜40%程度です。融解後の体外受精の成功率は、融解率や受精率、着床率、継続妊娠率の複数の段階を経て決まります。着床率と継続妊娠率は卵子の年齢に大きく依存し、全体の成功率にも大きく影響します。

25歳で凍結した卵子の場合、融解率95%、受精率85%、着床率50%、継続妊娠率40〜45%となります。一方、35歳で凍結した卵子では着床率30%、継続妊娠率25〜30%程度に低下します。染色体異常率が年齢とともに上昇するためです。年齢が若いほど成功率が高く、技術の進歩により新鮮卵子との差も小さくなっています。

卵子凍結のメリットは?

卵子凍結の最大のメリットは、将来の妊娠の可能性を残せることです。卵子の数や質は年齢を重ねると低下していきます。30代後半になると妊娠率は低下し始め、40代になるとさらに妊娠が難しくなる傾向があります。

卵子凍結を行うと、結婚や出産のタイミングを自由に選べる点もメリットです。仕事に集中したい時期や最適なパートナーと出会うまでの間に安心してキャリアを積んだり、自分の人生設計を進めたりすることができます。

卵子凍結で確実に妊娠できる?

卵子凍結は、残念ながら100%妊娠を保証するものではありません。凍結保存した卵子がすべて無事に融解できるとは限らず、融解できたとしてもすべての卵子が受精するとは限りません。融解後の受精率や妊娠率、着床率は個人差があります。体外受精自体も自然妊娠と比べて妊娠率が必ずしも高いとは言えません。

卵子凍結は妊娠の可能性を高める一つの手段ではありますが、妊娠を保証するものではないことを理解しておく必要があります。

費用も考慮すべきです。卵子凍結では採卵や凍結、保管、融解など、それぞれの段階で費用が発生します。費用はクリニックによって異なりますが、全体で数十万円かかることもあります。助成金や補助金制度もありますが、すべての人が利用できるわけではなく、利用条件も厳格に定められています。

卵子凍結のデメリットについては、以下の記事でより詳細を解説しているため、リスクが気になっている方はぜひお読みください。
>>卵子凍結の5つのデメリットとは?リスクを最小限にする方法やメリットについても詳しく解説

まとめ

卵子凍結に関する費用や流れ、メリット・リスクを理解したうえで、自分に適した選択をすることが大切です。費用は、採卵や凍結、保管、融解など各ステップで発生し、合計で数十万円になることもあります。助成金や補助金制度を活用できる場合があるので、条件に当てはまるか自治体などへ確認してください。

卵子凍結は将来の妊娠に備えるための選択肢の一つとして検討できますが、100%妊娠できることを保証するものではありません。卵巣過剰刺激症候群などのリスクもあります。メリットだけでなくデメリットやリスクも考慮したうえで、ご自身の状況や希望に合わせて医師とよく相談しながら検討することが重要です。卵子凍結について全般的に知りたいという方は、以下の記事に情報を網羅的にまとめているので記事を読んでみてください。
>>卵子凍結のすべて|治療の目的や費用・流れについてもわかりやすく解説

参考文献

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