
ブライダルチェックは必要ない?検査項目から考える実施の意義とは
公開日:2025.02.26更新日:2025.02.26
妊娠や出産に向けた準備として、自分自身の健康状態を事前に把握することは重要です。しかし「本当に受ける必要があるのか」「どのような検査をするのか」といった疑問を抱く方も多いでしょう。ブライダルチェックは、自分では気づきにくい病気や体質を知る貴重な機会です。
妊娠・出産に影響を及ぼす可能性のある疾患を早期に発見できるため、将来のライフプランを考えるうえでも役立ちます。事前に検査を受けることで、健康管理の意識が高まり、万が一異常が見つかった場合でも早期対応が可能です。
この記事では、ブライダルチェックで何がわかるのか、具体的な検査項目、実施する意義を解説します。記事を読むことで、自身の身体の状態を事前に知る大切さがわかり、安心感を得るきっかけにもつながります。
神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、妊娠の悩みに強みを持つクリニックです。専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。
ブライダルチェックの目的とわかること
ブライダルチェックの目的は、将来の妊娠や出産に備えて、男女双方の健康状態をチェックすることです。ブライダルチェックでわかることは、大きく分けて「将来の妊娠や出産に関わる身体の状態」と「性感染症の有無」の2点です。女性は子宮や卵巣の状態、ホルモンバランス、男性は精子の状態などを確認できます。
不妊の原因は男性側にある場合もあるため、夫婦で一緒に検査を受けることが大切です。性感染症の有無も調べることができ、早期発見・治療につながる可能性があります。
不妊症について網羅的に知りたい方はぜひ以下の記事も合わせてご覧ください。
>>不妊症とは?定義やなりやすい人の特徴・割合についても解説
ブライダルチェックのメリットと検査項目
ブライダルチェックを受けるメリットとして下記が挙げられます。
- 将来の妊娠や出産に影響する可能性のある疾患の早期発見・治療
子宮筋腫や子宮内膜症などは、妊娠に影響を与える可能性があります。早期に発見し、適切な治療を行うことで、妊娠の可能性が高まる場合があります。 - 妊娠しやすい身体づくりに向けたアドバイス
現在の身体の状態にもとづいて、妊娠しやすい身体づくりに向けたアドバイスを受けられます。食生活や生活習慣の改善など、具体的なアドバイスを受けることで、妊娠しやすい身体づくりをサポートします。 - パートナーと協力して健康管理に取り組む意識の向上
ブライダルチェックを一緒に受けることで、パートナーと協力して健康管理に取り組む意識を高めることが期待されます。お互いの健康状態を理解し、支え合うことで、より健康的な生活を送れる可能性が高まります。
実際にどの程度の方がブライダルチェックを受けるのか、以下の記事で受け方から費用、結果の見方についても解説していますので、ぜひご覧ください。
>>ブライダルチェック受診者の割合とは?受け方や費用、結果の見方まで徹底解説
女性向け検査項目:子宮頸がん・クラミジア・淋病など
女性向けの検査項目は、子宮や卵巣の状態、ホルモンバランス、そして性感染症の有無などを確認するものが中心です。主な検査項目は以下のとおりです。
- 子宮頸がん検査
子宮頸部細胞診を行い、子宮頸がんの有無を調べる - クラミジア検査・淋病(りんびょう)検査
性感染症の有無を調べる - 超音波検査
子宮や卵巣の形や大きさ、子宮筋腫や子宮内膜症の有無を確認する - ホルモン検査
血液検査でホルモンバランスを調べ、排卵の状況や卵巣の機能を評価する - 風疹(ふうしん)抗体検査
風疹ウイルスに対する抗体の有無を調べる - その他の血液検査
貧血や肝機能、腎機能などの健康状態を調べる
男性向け検査項目:精液検査・性感染症検査など
男性向けの検査項目は、精子の状態や性感染症の有無などを確認するものが中心です。検査項目は精液検査や性感染症検査(クラミジア検査・淋病検査など)が主です。精液検査では、精子の数や運動率、奇形率などを調べ、妊娠能力を評価します。精液を採取し、顕微鏡で精子の状態を詳しく分析します。
性感染症検査では、性感染症の有無を調べます。女性と同様に、尿検査や分泌物検査を行い、クラミジアや淋病の感染の有無を確認します。
以下の記事では、精液検査でわかることや結果の見方について詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
>>精液検査でわかることとは?検査内容と結果の見方
検査費用と受診場所
ブライダルチェックは保険適用外のため、全額自己負担となります。費用は医療機関や検査項目によって異なりますが、5,000〜50,000円程度が相場です。医療機関と相談しながら検査項目を絞ることで、費用を抑えられる可能性もあります。自治体によっては助成金制度を設けていますので、事前に確認しましょう。
ブライダルチェックは、産婦人科や婦人科、一部のクリニックで受けられます。インターネットで検索したり、自治体の窓口に問い合わせたりすると、ブライダルチェックを実施している近くの医療機関を探せます。
ブライダルチェックを受ける必要性とは?
以下の方は、ブライダルチェックを受けることで、より安心して将来の家族計画を進められる場合があります。
- 近い将来、妊娠を希望している方
妊娠しやすい身体づくりに向けて今の自分の身体を知っておくことで、大きなメリットが期待できます。 - 過去の妊娠や出産で問題があった方
過去の経験を踏まえ、次の妊娠や出産に向けてより万全な準備を行えます。 - 生理不順や婦人科系の疾患がある、または過去にあった方
婦人科系の疾患は妊娠に影響を与える可能性があります。早期発見・治療は、健康な妊娠や出産につながります。 - パートナーのどちらかに不妊症の既往歴や家族歴がある方
不妊症は男女どちらにも原因がある可能性があります。パートナーと一緒に検査を受けることで、より的確な情報を得ることができます。 - 性感染症の感染が心配な方
性感染症は、自覚症状がないまま進行し、不妊の原因となる場合もあります。早期発見・早期治療が重要です。 - 自分自身の健康状態を詳しく知っておきたい方
結婚を機に、自身の健康状態を改めて確認し、健康的な生活を送るための指針とすることもできます。
ブライダルチェックを受けるタイミング
ブライダルチェックを受ける最適なタイミングは、妊娠を希望する約1年前が理想的です。検査結果によっては治療が必要となる場合があり、治療に時間を要する可能性があるためです。風疹の抗体価が低い場合、ワクチン接種後2か月間は避妊が必要です。
子宮筋腫や子宮内膜症などの疾患が見つかった場合も、治療に数か月かかることがあります。妊娠を希望する時期から逆算し、余裕を持ってブライダルチェックを受けることが望ましいです。ブライダルチェックは結婚前に限らず、結婚後でも、妊娠を考え始めたときに受けることができます。
大切なのは、ご自身のライフプランに合わせて、無理のない時期に受診することです。
子宮内膜症や子宮筋腫などは、不妊の原因となることがあります。子宮筋腫の原因・子宮内膜ポリープの手術について詳しく知りたい方は、以下の記事をぜひご覧ください。
>>子宮筋腫の原因は女性ホルモンの変化?ピルや性行為との関係についてもわかりやすく解説
>>子宮内膜ポリープは手術で治る?痛くない手術の実施方法や費用・保険適用有無について解説
ブライダルチェックを受けない場合の対策4選
ブライダルチェックを受けない場合にできる対策として、以下の4つがあります。
- 妊娠前健診
- 婦人科検診
- 性感染症の検査
- 健康的な生活習慣
妊娠前健診を受ける
妊娠前健診は、ブライダルチェックよりも費用を抑えて受診できる場合が多いため、費用が心配な方にとって良い選択肢となり得ます。風疹抗体検査や子宮頸がん検診、血液検査、尿検査など、基本的な検査項目が含まれます。
妊娠前健診で特に重要なのは、風疹抗体検査です。妊娠中に風疹に感染すると、胎児に先天性風疹症候群という深刻な障害を引き起こす可能性があります。風疹に対する免疫が低い場合、予防接種を受けることで感染リスクを減らせます。予防接種後2か月間は避妊する必要があるため、妊娠を希望する時期から逆算して計画的に受診しましょう。
甲状腺ホルモンの状態も妊娠に大きく影響する可能性があります。妊娠前健診では甲状腺機能検査を受けることで、ヨウ素の摂取量について医師から適切なアドバイスを受けることができます。ヨウ素は甲状腺ホルモンの合成に重要な栄養素ですが、過剰摂取も不足も胎児の甲状腺機能に悪影響を及ぼすおそれがあります。
婦人科検診を受ける
定期的な婦人科検診は、ブライダルチェックを受けない場合でも、女性の健康管理にとって重要です。子宮頸がんや子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣のう腫など、妊娠に影響を与える可能性のある病気を早期に発見し、治療につなげられます。
婦人科検診では、問診や内診、超音波検査などを行います。内診では、医師が子宮や卵巣の大きさや硬さを確認します。超音波検査では、子宮や卵巣の様子を画像で確認し、異常がないか詳しく調べます。
婦人科系の疾患の中には、初期段階では自覚症状がないものも多く存在します。症状が出てからの受診では遅く、病気が進行してしまう可能性もあります。定期的な婦人科検診を受けることで、自覚症状がない段階で異常を発見し、早期治療を開始できます。早期治療は、病気の進行を防ぎ、妊娠への影響を最小限に抑えるためにも重要です。

性感染症の検査を受ける
性感染症は、自覚症状がないまま進行し、不妊や流産、早産などの原因となる可能性があります。ブライダルチェックを受けない場合でも、性感染症の検査を個別に受けられます。検査方法は、血液検査や尿検査、おりもの検査などがあり、医療機関で相談しながら適切な検査方法を選択できます。
性感染症は、パートナー間の感染を防ぐためにも、パートナーと一緒に検査を受けることが重要です。感染しても自覚症状がほとんどないものもあるため、パートナーが感染していることに気づかず、自分自身も感染してしまう可能性があります。パートナーと一緒に検査を受けることで、お互いの健康状態を把握し、安心して将来の家族計画を立てられます。
健康的な生活習慣を心がける
バランスの取れた食事や適度な運動、十分な睡眠は、妊娠や出産だけでなく、健康全般にとって重要です。妊娠を希望する場合は、特に葉酸や鉄分などの栄養素を意識して摂り、健康的な食生活を送ることが大切です。
妊娠前から健康的な生活習慣を身につけておくことで、妊娠中のトラブルを予防し、健康な赤ちゃんを産む可能性を高めることができます。喫煙や過度の飲酒は、妊娠に悪影響を与える可能性があります。ストレスを溜め込まないように、リラックスできる時間を作ることも大切です。
まとめ
ブライダルチェックは、将来のパートナーと安心して明るい未来を築くため、結婚や妊娠や出産といった人生の大きなイベントを迎えるにあたって、心強い味方です。ブライダルチェックでご自身の身体の状態を事前に把握することは、妊娠の可能性を高めるだけでなく、将来の家族計画をスムーズに進めるうえでも参考になります。
検査を受けることで、将来の妊娠や出産に影響するおそれのある疾患の早期発見・治療につながる可能性が高まります。妊娠しやすい身体づくりに向けたアドバイスも受けられます。
費用や時間の都合などでブライダルチェックを受けない場合でも、妊娠前健診や婦人科検診、性感染症検査などを活用しましょう。大切なのは、パートナーとよく話し合い、ご自身に合った方法で準備を進めることです。健康管理に気を配り、安心して妊娠や出産に臨めるように準備していきましょう。
以下の記事では、ブライダルチェックを受ける前に知っておきたいことや注意点、検査項目を網羅的に解説していますので、あわせてご確認ください。
>>【医師監修】ブライダルチェックとは結婚前後や妊娠前に受ける婦人科の検診!
参考文献
American College of Obstetricians and Gynecologists. ACOG Committee Opinion No. 762: Prepregnancy Counseling. Obstet Gynecol, 2019; 133(1):e78-e89.