
子宮頸がん検診は生理中でも受けていい?NGなタイミングと注意点を解説
公開日:2025.06.19更新日:2025.06.20
子宮頸がん検診は「生理中でも大丈夫なのか」と感じたことはありませんか。検査の精度を上げるためには、受診のタイミングが重要です。子宮頸がんは、早期発見・早期治療で治癒率の高いがんです。国立がん研究センターによると、2023年に子宮頸がんで亡くなった方は、2,949人と報告されています。
この記事では、子宮頸がん検診を受けるベストなタイミングや、避けるべきタイミング、検査を受ける際の注意点などについて解説します。自分の体を守るため、正しい知識を身につけましょう。
神奈川県相模原市、淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックは、子宮の悩みに強みを持つ婦人科クリニックです。生理不順やPMSなどの女性特有のお悩みはもちろん、男性不妊の検査・治療にも対応し、ご夫婦のお悩みを専門医が丁寧にサポートします。
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生理中の子宮頸がん検診は避けるべき
子宮頸がん検診は、採取した子宮頸部の細胞を顕微鏡で観察し、がん細胞や病変の有無を調べる検査です。診断に重要な検査ですが、経血が検査に影響を与える可能性があるため、生理中の検診は推奨されません。異常な細胞を見落とす可能性(偽陰性)や、正常な細胞を異常と判断する可能性(偽陽性)があります。
子宮頸がん検診には、子宮頸部の細胞を調べる細胞診と、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染の有無を調べるHPV検査があります。HPV検査も生理中は、経血の影響を受けやすく、正確な検査結果が得られない可能性があります。生理と検診の予約日が重なる場合は、すぐに医療機関に連絡し、予約変更を相談しましょう。
予約変更が難しい場合は、経血量が少ない最終日や不正出血が少量であれば、医師の判断で検査可能な場合もあります。最終的な検査の可否は、医師が判断するため、自己判断せず医療機関に相談することが大切です。
以下の記事では、子宮頸がん検診を受ける際に気になる「費用」や「保険適用の条件」、「無料で受けられるケース」について詳しく解説しています。受診前に知っておきたい経済的なポイントを押さえておきましょう。
>>子宮頸がん検診の費用はいくら?保険適用・無料になる条件も解説
生理中以外の子宮頸がん検診のNGタイミング
生理以外の検診に適さない時期は、以下のとおりです。
- 排卵期
- 出産後6週間以内
- 腟炎やクラミジアの治療中
排卵期
排卵期は、子宮頸部の粘液が増加するため粘液が細胞を覆い、検査結果に影響する可能性があります。排卵日は、基礎体温や市販の検査薬で予測できますが、確実ではありません。生理周期は25~38日と個人差があり、ストレスや体調で変動します。排卵期の確信ができない場合は、検診前に医療機関への相談をおすすめします。
出産後6週間以内
出産後6週間以内に子宮頸がん検診を受けると、子宮がまだ回復途中のため、出血や感染の可能性があります。子宮は通常、約6週間かけて元の状態へ戻るため、子宮頸部も繊細な状態です。まずは産後6週間健診で子宮の回復状況を確認し、そのうえで検診のタイミングについて医師へ相談することをおすすめします。
腟炎やクラミジアの治療中
腟炎やクラミジアなどの性感染症に罹患している場合、子宮頸部は炎症を起こしている状態です。子宮頸がん検診を受けると、検査結果に影響したり、炎症が悪化したりする可能性があります。感染症が治癒するまでは子宮頸がん検診を控え、医師の指示に従って、適切な時期に検査を受けましょう。
カンジダ腟炎などの性感染症以外の炎症も、治まってから受診することが重要です。子宮頸がん検診前の腟洗浄や、性交を控えることが推奨されています。検査前48時間は、腟内環境の変化を防ぐために腟剤の使用も避けましょう。
子宮頸がん検診の推奨タイミング
子宮頸がん検診で推奨されている時期は、以下のとおりです。
- 出血が止まってから2日以上経過
- 妊娠中は12~20週
出血が止まってから2日以上経過
医療機関では、生理中の検診は避け、出血が完全に止まって2日以上経過した日を推奨しています。子宮頸がん検診は、経血の影響を受けやすく、正確な結果が得られない可能性があります。出血が止まってから2日以上経過後に、検査について医師と相談しましょう。
生理中に検診を受けた患者さんが、判定保留や再検査になると、時間や経済的な負担も増えてしまいます。
妊娠中は12~20週
妊娠中に子宮頸がん検診を受ける場合は、妊娠12~20週頃が推奨されています。ホルモンバランスの変化が落ち着き、子宮頸部の状態が比較的安定するため、検査による影響も少ない傾向です。時期を逃すと、出産後まで検査を待つ可能性があります。
妊娠中は、かかりつけ医に相談し、指示に従って検査を検討してください。母体と胎児の安全を最優先に考え、適切な時期に検査を受けることが重要です。
子宮頸がん検診の注意点
子宮頸がん検診を受ける際の注意点は、以下のとおりです。
- 直前の腟洗浄は避ける
- 検査の3日前から性行為を控える
- 着脱しやすい服装で行く
- リラックスして検査を受ける
- 検査の直後はナプキンを当てる
直前の腟洗浄は避ける
検査を受ける3日前から、腟洗浄を控えましょう。子宮頸がん検診の直前に腟洗浄を行うと、検査に必要な細胞が洗い流されるため、検査結果に影響する可能性があります。腟洗浄は、採取できる細胞の数が少なくなったり、細胞の状態が変化したりする場合があります。検査の精度が低下し、異常を見逃す可能性があります。
検査前に腟洗浄を行った場合は、必ず医療機関に伝えましょう。医療機関によっては、検査日を改めて設定する場合もあります。
検査の3日前から性行為を控える
性行為は、子宮頸がん検診の結果に影響を与える可能性があるため、検査の3日前から控えることが推奨されます。性行為を行うと、炎症を引き起こしたり、精液が子宮頸部に付着し細胞の状態を変化させたりする場合があります。性行為によって子宮頸部が傷つき、検査結果に影響を与える可能性があります。
子宮頸がん検診の細胞診は、細胞の状態を正確に判断することが重要です。適切な診断と治療につなげるためには、性行為を控え性感染症にも注意することが大切です。性感染症の中には、子宮頸がんのリスクを高める場合もあるため、予防にもつながります。
以下の記事では、性行為未経験の方でも子宮頸がん検診が必要とされる理由や、受診時の注意点について詳しく解説しています。不安や疑問がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
>>性行為未経験でも子宮頸がん検診は必要?受けるべき理由と注意点
着脱しやすい服装で行く
子宮頸がん検診では、下半身の衣服を脱ぐ必要があります。スカートやワンピースなど、着脱しやすい服装がおすすめです。検査着に着替える際もスムーズです。ズボンやタイツなど、脱ぎ着に時間がかかる服装は避けましょう。締め付けの強い下着やストッキングなども、検査前に脱ぐ必要があります。
子宮頸がん検診は、内診台専用の椅子に上がり、足乗せ台に足を置いた状態で行います。着脱しやすい服装であれば、内診台での体勢の変化もスムーズに行えます。
リラックスして検査を受ける
初めての子宮頸がん検診に、緊張する方もいますが、リラックスすることが大切です。子宮頸部の細胞を採取する際には、医療用の器具を使用しますが、痛みはほとんどありません。子宮頸がん検診自体は、数分で終わる簡単な検査です。医療従事者は、患者さんが安心して検査を受けるために、丁寧な説明と対応を心がけています。
緊張しやすい方は、事前に不安な点や疑問点を相談しておくと、安心して検査に臨めます。深呼吸や好きな音楽を聴くなど、自分なりのリラックス方法を実施するのもおすすめです。リラックスすると、子宮頸部の筋肉も緩み、細胞採取がスムーズに行えるため、正確な検査結果につながります。
検査の直後はナプキンを当てる
子宮頸がん検査の直後はナプキンを当て、出血量を確認しましょう。細胞を採取する際に刺激が加わるため、少量の出血が見られる場合がありますが、数日で治ります。出血が続く、または量が多い場合は、速やかに医療機関に相談してください。
出血が長引いたり、量が多かったりする場合は、感染症や他の異常の可能性があります。自己判断せずに、医療機関に相談することが大切です。検査後2~3日は、入浴による感染症リスクがあるため、シャワーで済ませましょう。
子宮頸がんの3つの対策
普段からできる子宮頸がんの予防対策は、以下の3つです。
- コンドームを使用する
- HPVワクチンを受ける
- 定期的に検診を受ける
コンドームを使用する
コンドームは、性感染症の予防だけでなく、子宮頸がんの予防にも効果的です。子宮頸がんの主な原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染です。HPVは、性交渉で感染します。コンドームの正しい使用は、HPVへの感染リスクの低減や子宮頸がんの発症リスク低減に期待できます。
性交渉の経験がある女性すべてが、HPVに感染する可能性があります。HPVの多くは、免疫によって自然に排除されますが、一部のHPVが持続感染を起こし、長期間かけて子宮頸がんへ進行する可能性があります。コンドームは感染を完全に防ぐものではありませんが、感染リスクを下げる効果が期待できます。
HPVワクチンを受ける
HPVワクチンの目的は、HPVの感染予防です。HPVには多くの型がありますが、子宮頸がんの原因となる、ハイリスク型のHPV感染の予防が期待できます。HPVワクチンは、HPVに感染していない若い世代に効果的です。日本では、小学6年生~高校1年生の女子を対象に、公費でHPVワクチンを接種できます。
定期接種の対象年齢以外でも、自費で接種できます。HPVワクチンは、子宮頸がんだけでなく、HPVが原因となる以下の予防にもつながります。
- 外陰がん
- 腟がん
- 肛門がん
- 尖圭コンジローマ
系統的文献レビューによると、HPVワクチン接種率の高い国では、発がん性HPV型の感染率や高度子宮頸部病変、子宮頸がんの発症率が減少するなどの報告があります。
定期的に検診を受ける
子宮頸がん初期段階の多くは、自覚症状がないため、定期的に検診を受けて、早期発見・早期治療につなげることが重要です。子宮頸がん検診で異常が見つかった場合は、コルポスコピー検査や組織診などの精密検査を行います。子宮頸がん検診は、多くの自治体で公費で受けられます。2年に1度、定期的に受診しましょう。
検診でがんや病変を早期に発見できれば、負担の少ない治療選択を検討できる可能性があります。子宮頸がん検診には、従来の細胞診に加え、HPV検査も普及しています。HPV検査は、子宮頸がんの原因となるHPVの感染の有無を調べる検査です。
表面増強ラマン散乱(SERS)技術と機械学習を組み合わせて、より正確な診断ができる研究が進んでいます。将来的には、負担の少ない検査方法の開発が期待されています。
以下の記事では、子宮頸がん検診をどのくらいの頻度で受ければ良いのか、年齢別に適したスケジュールを解説しています。検診を受けるタイミングに迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
>>子宮頸がん検診の頻度は何年ごとに受けるべき?年齢別の適切なスケジュール
まとめ
子宮頸がん検診は、早期発見・早期治療のために大切な検査です。検査の精度に影響があるため、以下の時期の検査は控えましょう。
- 生理中
- 排卵期
- 出産直後
- 炎症時期
子宮頸がん検診を受ける際は、腟洗浄や性交渉を避け、着脱しやすい服装でリラックスして臨みましょう。検査後は、少量の出血がある人もいますが、心配なときは医療機関に相談してください。子宮頸がんの予防には、コンドームの使用やHPVワクチンの接種、定期的な検診受診などが重要です。
自分の体を守るために普段の生活から意識し、子宮頸がんから健康を守りましょう。子宮頸がん検診で「ひっかかった」と言われた場合でも、すぐにがんが確定するわけではありません。再検査や精密検査が必要となるケースが多くあります。
以下の記事では、検診で異常が見つかった場合の主な原因や、精密検査の種類、事前に知っておきたい対策について詳しく解説しています。
>>子宮頸がん検診でひっかかる原因とは?精密検査の方法や対策を解説
参考文献
- Harper DM, Navarro-Alonso JA, Bosch FX, Paavonen J, Stanley M, Sasieni P, Yébenes M, Martínez-Martínez N, Rodriguez Á, García A, Martín-Gomez L, Vallejo-Aparicio L, Carrión H, Ruiz García Y.Impact of human papillomavirus vaccines in the reduction of infection, precursor lesions, and cervical cancer: A systematic literature review.Hum Vaccin Immunother,2025,21,1,p.2497608
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- 国立研究開発法人国立がん研究センター:がん種別統計情報 子宮頸部