ソフィアレディスクリニック

子宮頸がん検診の費用はいくら?保険適用・無料になる条件も解説

公開日:2025.06.19
更新日:2025.06.20

子宮頸がんは、早期発見により良好な治療成績が期待できるため、定期的な検診が推奨されています。子宮頸がん検診の費用については、検診の種類も多く、保険適用や無料となる条件も複雑でわかりづらいです。

子宮頸がん検診の費用は受診方法によって異なり、無料〜1万円以上かかるケースがあります。自治体によっては無料クーポンを配布していて、条件により無料になる場合もあります。

本記事では、子宮頸がん検診の種類別の費用や保険適用になる条件、無料になる条件を解説します。費用面に加え、ご自身の年齢や過去の検診結果もふまえ、最適な受診方法を見つけることが大切です。安心して検診を受けられるよう、本記事で知識を身につけましょう。

神奈川県相模原市、淵野辺駅から徒歩2分のソフィアレディスクリニックは、子宮の悩みに強みを持つ婦人科クリニックです。生理不順やPMSなどの女性特有のお悩みはもちろん、男性不妊の検査・治療にも対応し、ご夫婦のお悩みを専門医が丁寧にサポートします。

また、当院は橋本駅の長谷川レディースクリニックと密に連携し、婦人科・不妊治療を提供しています。2つの施設間で検査結果や治療方針を共有することで、よりスムーズな治療体制を整えています。体外受精をご検討の方にも、きめ細かな診療と迅速な対応をご提供していますので、お悩みの方は当院へご相談ください。

子宮頸がん検診の種類

子宮頸がん検診の主な種類は、以下の4つです。

  • 細胞診
  • HPV検査
  • 経腟エコー検査
  • コルポスコピー検査

細胞診

細胞診は、子宮頸部の表面を専用のブラシで軽くこすり、剥がれ落ちた細胞を採取し顕微鏡で観察する検査です。子宮頸がんや、前がん病変の細胞の有無を調べます。費用は6,000円程度で、検査自体は数分で終了します。個人差はありますが、多くの方は軽微な不快感程度です。

子宮頸がん検診の基本的な方法で、多くの医療機関で受けることができます。細胞診は、がんや前がん病変になっている細胞の変化を直接見つけるため、比較的進行した病変の発見に有用です。感染初期のHPV(ヒトパピローマウイルス)を見つけ出すことはできません。

HPV検査

HPV検査は、子宮頸がんの主な原因の一つであるHPVへの持続感染を調べる検査です。HPVには多くの種類があり、ハイリスク型HPVと呼ばれる特定の型が子宮頸がんの発症に関わっています。費用は細胞診とセットで8,000~10,000円程度です。

子宮頸部から細胞を採取し、細胞診と同時に行うことで、検診の精度向上が期待されています。HPVに感染していても、多くの場合、免疫の働きによってウイルスが排除されます。感染が持続した場合、数年〜十数年を経て、子宮頸がんになるリスクが高まる可能性があります。

HPV検査は、細胞診と異なる観点から子宮頸がんの可能性を調べる検査として、早期発見に役立っています。研究では、HPV検査の検出技術向上に関する取り組みが進められており、従来の検査方法の課題を解決する新しい技術の開発が報告されています。

経腟エコー検査

経腟エコー検査は、超音波を使って子宮や卵巣の状態を調べる検査です。細長いプローブを腟内に挿入し、超音波を当てて子宮や卵巣の形や大きさ、内部の状態などを画像で確認します。子宮頸がんだけでなく、子宮筋腫や卵巣嚢腫など他の婦人科疾患も発見できる場合があります。費用は5,000円程度です。

検査時間は5~10分程度で、個人差はありますが、痛みはほとんどありません。妊娠中は、妊娠週数や状態により実施できない場合もあるため、医師に相談しましょう。経腟エコー検査は子宮頸部の表面だけでなく、子宮内部の状態まで確認できる利点があります。

コルポスコピー検査

コルポスコピー検査は、コルポスコープ(拡大鏡)を使って、子宮頸部の表面を詳しく観察する検査です。肉眼では見えない小さな病変を発見できます。費用は、保険適用の場合は5,000円程度(3割負担)、自費診療の場合は15,000円程度です。検査時間は10~15分程度です。

酢酸を子宮頸部に塗布して観察するため、軽い刺激を感じる方もいます。コルポスコピー検査は、細胞診やHPV検査で異常が発見された場合、病変の範囲や性質を詳しく評価するために実施されます。必要に応じて、コルポスコピー検査の際に組織を採取して、病理検査を行うこともあり、診断の参考として活用されます。

以下の記事では、子宮頸がん検診をどのくらいの頻度で受ければ良いのか、年齢別に適したスケジュールを解説しています。検診を受けるタイミングに迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
>>子宮頸がん検診の頻度は何年ごとに受けるべき?年齢別の適切なスケジュール

子宮頸がん検診を受ける方法別の費用

子宮頸がん検診を受ける方法別の費用について、以下の3つを解説します。

  • 自治体の住民検診:無料~数千円
  • 職場の健康診断:無料~数千円
  • 人間ドック:5,000~15,000円程度

自治体の住民検診:無料~数千円

自治体の住民検診は、費用が無料~数千円と比較的安価で受診できることが利点です。自治体によって、特定の年齢層を対象とした無料クーポンを配布している場合もあります。70歳以上の方や生活保護世帯、住民税非課税世帯の方は多くの自治体で自己負担なく受診できます。

受診方法は自治体によって異なりますが、多くの場合、受診票が必要になります。事前に自治体のホームページなどで費用や対象年齢、持ち物、予約方法を確認しましょう。住民検診は、定期的な受診を促すうえで重要な役割を果たしています。

2年に1回の細胞診が基本ですが、検査項目が細胞診のみの場合、HPV感染を見逃す可能性があります。追加費用はかかりますが、必要に応じてHPV検査を受けることを検討しましょう。

職場の健康診断:無料~数千円

職場の健康診断で子宮頸がん検診が含まれている場合、会社の費用負担で受診できるケースが多いです。公費補助により自己負担がない場合もあります。多くの場合、細胞診のみで、HPV検査は実施されていないのが現状です。必要に応じて別途医療機関を受診し、HPV検査を受けることも検討しましょう。

職場の健康診断で子宮頸がん検診を受ける場合は、会社の人事部などに問い合わせ、健康診断の内容や受診方法を確認しましょう。

人間ドック:5,000~15,000円程度

人間ドックで子宮頸がん検診を受ける場合、自由診療となるため、全額自己負担となります。細胞診のみを受けると5,000円前後、HPV検査や超音波検査を追加すると1万円を超えるケースもあります。検査内容や医療機関によって費用が異なるため、事前に確認が必要です。

人間ドックでは、オプション検査を追加すると費用は高額になりますが、より詳しい検査を受けることができます。他の検査項目と合わせ、総合的な健康状態をチェックできる利点があります。

子宮頸がん検診が保険適用になるケース

子宮頸がん検診が保険適用になるケースは、以下のとおりです。

  • 症状がある場合
  • 再検査が必要な場合

症状がある場合

子宮頸がんの初期段階では自覚症状がない場合も多いですが、進行するとさまざまな症状が現れることがあります。主な症状は、以下のとおりです。

  • 不正出血
  • おりものの異常
  • 下腹部痛や腰痛
  • 排尿痛

生理期間以外の出血や性交後の出血など、普段と異なる出血がある場合は、少量でも不正出血の可能性があります。おりものの量や色、臭いの状態は、感染症やホルモンバランスの変化といった、さまざまな要因で変化するため、医師の診断が必要です。

下腹部痛や腰痛がある場合、子宮頸がん以外に子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣嚢腫など、他の婦人科疾患の可能性も考えられます。排尿時痛がある場合は、膀胱炎などの可能性がありますが、子宮頸がんが進行している場合に現れることもあります。

上記の症状は、他の疾患で起こる可能性もあります。自己判断せず医師の診察を受けましょう。

以下の記事では、生理中に検診を受けることのリスクや、検査に適さないタイミング、予約時に気をつけたいポイントについて詳しく解説しています。検診を予定している方は、事前に確認しておくと安心です。
>>子宮頸がん検診は生理中でも受けていい?NGなタイミングと注意点を解説

再検査が必要な場合

子宮頸がん検診を受け「要精密検査」と診断された場合、追加の検査が必要です。精密検査が必要なのは、細胞診の結果が「ASC-US」「LSIL」「HSIL」など、軽度から高度の異形成を意味する診断がついた場合です。

コルポスコピー検査や組織診といった追加検査が保険適用になります。必要に応じて組織を採取し、病理検査を行います。確定診断のために重要な検査です。検査の内容や費用、今後の流れなどについて、疑問や不安があれば医師や看護師に相談することが大切です。

子宮頸がん検診が無料になる条件

子宮頸がん検診が無料になる条件は、以下の4つです。

  • 市区町村のクーポンがある
  • 70歳以上である
  • 住民税非課税世帯である
  • 妊婦健診の一環として実施される

市区町村のクーポンがある

多くの市区町村では、子宮頸がん検診の費用を助成するクーポンを発行しています。クーポンを利用すれば、自己負担額を数百~数千円程度で、場合により無料になることもあります。クーポンの対象年齢や配布方法は、自治体によって異なります。

多くの自治体では、20歳以上を対象に2年に1度、クーポンを郵送しています。対象年齢に達してもクーポンが届かない場合は、お住まいの市区町村の窓口に問い合わせましょう。クーポンを利用できる医療機関も、市区町村によって指定されている場合があります。事前に確認し、指定医療機関で受診しましょう。

70歳以上である

70歳以上の方で、後期高齢者医療被保険者証をお持ちの方は、無料で受診できる場合があります。国が費用を負担する制度のため、自己負担は原則ありません。後期高齢者医療被保険者証を忘れずにご持参ください。

一部の高度な検査(HPV検査など)を追加する場合や、子宮頸がんを疑わせる症状がある場合は、保険診療となる可能性があります。具体的な費用や検査内容については、受診する医療機関に事前に確認しましょう。

住民税非課税世帯である

住民税非課税世帯に属している方も、無料で受診できる場合があります。市区町村が独自に実施している制度のため、費用や対象年齢、受診できる医療機関などは自治体によって異なります。お住まいの市区町村のホームページを確認するか、窓口に問い合わせ、詳しい情報を入手しましょう。

非課税世帯以外でも、低所得世帯を対象に検診費用を助成する制度を設けている自治体もあります。ご自身の状況に合った制度がないか、一度調べましょう。

妊婦健診の一環として実施される

妊娠中の女性は、妊婦健診の中で子宮頸がん検診を無料で受診できる場合があります。母子保健法にもとづく制度で、妊娠初期に1回、無料で受診できます。妊婦健診は、妊娠中の経過観察や母子の健康管理を目的としており、子宮頸がん検診も重要な項目の一つとして含まれています。

妊婦健診を受ける際は、医療機関に子宮頸がん検診も含まれているか確認しましょう。妊婦健診で行われる子宮頸がん検診は、細胞診のみの場合が多く、HPV検査は含まれないケースもあります。必要に応じてHPV検査を受けることを検討しましょう。

子宮頸がん検診を受ける際の注意点

子宮頸がん検診を受ける際の注意点について、以下の4つを解説します。

  • 検査前の準備・持ち物
  • 検査時の痛みや出血
  • 検査後の注意点
  • 妊娠中・授乳中の検診

検査前の準備・持ち物

子宮頸がん検診は、内診台を用いて行います。スカートなどの内診しやすい服装で来院するとスムーズです。検査自体は数分で終わり、問診や診察を含めると、全体で30分程度かかります。持ち物は、健康保険証(保険適用時)と、自治体検診の場合は受診票が必要です。

検査後に少量の出血がある場合に備えて、生理用ナプキンを用意しておくと安心です。検査前日には、腟洗浄は避けましょう。腟内環境が変化し、検査結果に影響を与える可能性があります。性交渉も控えることが望ましいです。

以下の記事では、性行為未経験の方でも子宮頸がん検診が必要とされる理由や、受診時の注意点について詳しく解説しています。不安や疑問がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
>>性行為未経験でも子宮頸がん検診は必要?受けるべき理由と注意点

検査時の痛みや出血

子宮頸がん検診では、子宮頸部の細胞を採取するために、専用のブラシやへらを使用します。軽い痛みや出血を伴う場合がありますが、痛みを感じない方もいます。痛みや出血への不安から検診をためらう方もいます。子宮頸がんの早期発見のためには、定期的な検診が不可欠です。

不安な場合は、事前に医師や看護師に相談し、検査を受けましょう。

検査後の注意点

検査後は、日常生活に特に制限はありません。激しい運動や性交渉は、子宮頸部に負担がかかる可能性があるため、数日間は控えることが推奨されます。検査後、少量の出血が続く場合もありますが、通常は数日で治まります。

大量の出血や強い痛み、発熱、悪臭のあるおりものなどの症状が現れた場合は、医療機関を受診しましょう。感染症や他の疾患の可能性も考えられます。検査結果は、通常1~2週間後に郵送または電話で通知されます。医療機関によっては、オンラインで結果を確認できる場合もあります。

結果が「要精密検査」の場合は、コルポスコピー検査や組織診などの追加検査が必要になるため、医療機関を受診しましょう。

妊娠中・授乳中の検診

妊娠中・授乳中も子宮頸がん検診を受けることは可能です。妊娠中はホルモンバランスの変化や子宮への刺激による影響を考慮する必要があります。医師に妊娠中または授乳中であることを伝え、検査の時期や方法について相談しましょう。

まとめ

子宮頸がん検診は、早期発見により良好な予後が期待できます。検診の種類は、がん細胞を直接調べる細胞診と、HPV感染を調べるHPV検査があり、費用はそれぞれ6,000円程度、8,000~10,000円程度です。

受診方法は、自治体の住民検診(無料~数千円)、職場の健康診断(無料~数千円)、人間ドック(5,000~15,000円程度)などがあります。症状がある場合や再検査が必要な場合は保険適用になり、自治体のクーポン利用、70歳以上、住民税非課税世帯、妊婦健診では無料のケースもあります。

検診の注意点について、検診前は腟洗浄や性交渉を控え、内診しやすい服装で受診しましょう。検査時の痛みや出血は個人差があります。検査後の強い痛みや大量出血の場合は速やかに医療機関に連絡してください。激しい運動や性交渉を数日間控え、結果通知を待ちましょう。

「要精密検査」の場合は追加検査が必要です。妊娠中・授乳中の方は、検診の時期や方法について、医師に相談しましょう。子宮頸がん検診の費用や方法を理解し、ご自身に合った検診を選び、早期発見・治療につなげましょう。

子宮頸がん検診で「ひっかかった」と言われた場合でも、すぐにがんが確定するわけではありません。再検査や精密検査が必要となるケースが多くあります。以下の記事では、検診で異常が見つかった場合の主な原因や、精密検査の種類、事前に知っておきたい対策について詳しく解説しています。
>>子宮頸がん検診でひっかかる原因とは?精密検査の方法や対策を解説

参考文献

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