ソフィアレディスクリニック

細菌性膣炎のおりものの特徴と原因を解説!正常との違いと対処法

公開日:2025.05.18
更新日:2025.05.31

おりものの変化に気づくことは女性の健康管理において重要です。おりものの量や、色、臭いなどの変化は、細菌性膣炎のサインである可能性があります。2021年には、米国疾病対策センター(CDC)が性感染症(STI)治療ガイドラインを更新し、細菌性膣炎の新たな治療オプションも示されました。

性行為は細菌性膣炎を直接引き起こす原因としては確立されていませんが、膣内環境を変化させるため、おりものの状態に注意を払うことが重要です。本記事では、細菌性膣炎のおりものの特徴や原因、そして検査・治療法までを詳しく解説します。ご自身の体と向き合い、健康を守るための第一歩を踏み出してみましょう。

神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、細菌性腟炎やおりものの悩みに強みを持つクリニックです。生理不順やPMSなどの女性特有のお悩みはもちろん、男性不妊の検査・治療にも対応し、ご夫婦のお悩みを専門医が丁寧にサポートします。

また、当院は橋本駅の長谷川レディースクリニックと密に連携し、婦人科・不妊治療を提供しています。2つの施設間で検査結果や治療方針を共有することで、よりスムーズな治療体制を整えています。体外受精をご検討の方にも、きめ細かな診療と迅速な対応をご提供していますので、お悩みの方は当院へご相談ください。

細菌性膣炎のおりものの特徴3選

細菌性膣炎はおりものの変化が目立つ病気の一つです。早期発見・治療のためにも、ご自身のおりものの状態を普段から把握しておくことが重要です。本章では、細菌性膣炎のおりものの特徴について、以下の項目に沿って詳しく解説していきます。

  • おりものの量が増える
  • 灰色っぽいおりものが出る
  • 生臭いおりものの臭いがする

おりものの量が増える

細菌性膣炎になると、おりものの量が目に見えて増えることが多く、普段はおりものが少ない方でも、下着が湿るほどになる場合もあります。膣内で炎症が起こり、細菌が異常に増殖することで、過剰なおりものが分泌されることが原因です。

おりものの形状も変化します。通常、健康なおりものは弱い粘性を持ちますが、細菌性膣炎になると、白っぽく粘り気が強くなったり、灰色がかった水っぽいおりものに変化したりします。炎症によって膣内の環境が変化し、おりものの組成が変わるためです。

性行為は細菌性膣炎を直接引き起こす原因としては確立されていませんが、膣内環境を変化させ、細菌の増殖に影響を与える可能性があるとされています。おりものの量が増えたと感じた際には、性行為の頻度やパートナーとの関係性などを振り返ってみるのも一つの手です。

特に「黄色のおりもの」が続く場合は、性感染症以外にも炎症や別の疾患の可能性があるため注意が必要です。以下の記事では、黄色いおりものの具体的な原因と、症状ごとの適切な対処法について詳しく解説していますので、ぜひご確認ください。
>>黄色のおりもの、放置は危険?原因と症状別の対処法を解説

灰色っぽいおりものが出る

健康なおりものは、無色透明、もしくは乳白色をしています。細菌性膣炎に感染すると、おりものの色が灰色っぽく変化することがあります。膣内で炎症が進行し、細菌が大量に増殖しているサインです。

おりものの色がいつもと違うと感じたら、すぐに婦人科を受診しましょう。自己判断で放置すると、症状が悪化する可能性があり、まれに骨盤内炎症性疾患などの合併症につながるリスクもあります。

以下の記事では、白いおりものの特徴から正常な状態と異常のサインを見分けるポイントについて詳しく解説しています。体調変化に敏感な方はぜひ参考にしてみてください。
>>白いおりものの正体とは?健康な状態と異常サインの違い

生臭いおりものの臭いがする

細菌性膣炎になると、おりものに独特の生臭い臭いが発生します。「アミン臭」と呼ばれ、魚が腐ったような不快な臭いを発します。細菌がタンパク質を分解する際に、アミンという物質が生成されることが原因です。

おりものの臭いは、生理周期や体調によって多少変化することはありますが、いつもと明らかに違う臭いが続く場合や、強い臭いや不快な臭いが続く場合は、放置せずに早めに医療機関を受診することをおすすめします。

細菌性膣炎の原因

おりものの異常は、多くの女性にとって不安なものです。健康な状態では、おりものは膣内環境の健康を保つ役割を果たしています。しかし、量や色、臭いなどに変化があると、細菌性膣炎などの病気が隠れている可能性があります。

細菌性膣炎の原因とメカニズムについて、以下の項目に沿って詳しく解説していきます。

  • 性行為による感染
  • 膣内のpHバランスの乱れ
  • 膣内洗浄のしすぎ
  • 抗生物質の使用
  • 子宮内避妊器具(IUD)の使用

性行為による感染

細菌性膣炎は、性行為によって直接感染する病気ではありません。しかし、性行為をきっかけに膣内の環境が変化し、細菌性膣炎を発症しやすくなることがあります。

新しいパートナーとの性行為や、複数のパートナーとの性行為は、膣内の常在菌(膣内フローラ)のバランスを崩しやすく、細菌性膣炎のリスクを高めるとされています。

膣内のpHバランスの乱れ

健康な膣内は、乳酸菌などの常在菌が産生する乳酸によってpH4.5以下の弱酸性に保たれていることが一般的です。弱酸性環境は、病原性細菌の増殖を抑制する自然のバリアとして機能しています。

さまざまな要因でpHバランスが崩れ、pH4.5以上になると、病原性細菌が繁殖しやすくなり、細菌性膣炎を発症するリスクが高まります。過度な膣内洗浄や月経、性行為などは膣内のpHバランスを変化させる可能性があります。

膣内洗浄のしすぎ

清潔を保つことは大切ですが、過度な膣内洗浄は、膣内の常在菌まで洗い流してしまう可能性があります。膣内環境のバランスが崩れ、病原性細菌が増殖しやすくなるため、細菌性膣炎のリスクを高めることにつながります。

外陰部の洗浄は、一般的に1日1~2回程度、ぬるま湯で優しく洗うことが推奨されており、膣内洗浄は医師の指示がない限り行わないことが望ましいとされています。特に、香り付きの石鹸やボディソープの使用は、膣内環境を刺激する可能性があるため避けるべきです。

抗生物質の使用

抗生物質は細菌感染症の治療に有効な薬ですが、体内の常在細菌叢(フローラ)全体に影響を与える可能性があります。膣内にも、フローラが存在し、健康な状態を維持しています。抗生物質の使用は、膣内フローラにも影響を与え、常在菌を減少させる可能性があります。

病原性細菌が過剰に増殖し、細菌性膣炎のリスクが高まる可能性があるため、注意が必要です。抗生物質を服用する際は、必ず医師の指示に従い、自己判断で服用を中断したり、量を調整したりすることは避けましょう。

子宮内避妊器具(IUD)の使用

子宮内避妊器具(IUD)は、避妊効果の高い方法として広く利用されていますが、細菌性膣炎のリスクを高める可能性があるという報告もあります。IUDが膣内環境に何らかの影響を与え、細菌の増殖を促進する可能性が示唆されていますが、メカニズムは完全には解明されていません。

細菌性膣炎の対処法

細菌性膣炎は、比較的よく見られる婦人科疾患の一つで、適切な治療を受けることで症状は改善します。細菌性膣炎の検査方法、治療の流れ、そして再発予防について以下の項目に沿って詳しく解説していきます。早期発見・早期治療が重要になるので、安心して治療に臨めるよう一緒に理解を深めていきましょう。

  • 婦人科で診察と検査を受ける
  • 抗生物質を使用する
  • 膣錠・クリームを使用する
  • パートナーへの感染を防ぐための対策を行う

婦人科で診察と検査を受ける

婦人科を受診すると、問診票への記入や口頭での問診が行われます。問診では、以下の項目について詳しく聞かれます。

  • おりものの状態(量や 、色、臭い、変化の時期など)
  • 自覚症状(かゆみや 、痛み、出血など)
  • 月経周期
  • 性行為の状況
  • 過去の婦人科疾患の有無
  • アレルギーの有無
  • 現在服用している薬

次に、内診台での診察となります。内診では、膣鏡と呼ばれる器具を用いて膣内や子宮頸部の状態を観察します。同時におりものを採取し、下記のような検査を行います。

  • pH検査
  • アミン臭検査
  • 顕微鏡検査
  • グラム染色

pH検査では、膣内の酸性度を測定します。健康な膣内は弱酸性に保たれていますが、細菌性膣炎の場合、pH値が4.5以上になり、アルカリ性に傾く傾向があります。

アミン臭検査では、水酸化カリウム溶液をおりものに混ぜ、臭いの変化を確認します。細菌性膣炎の場合、魚が腐ったような独特の生臭いにおい(アミン臭)が発生します。

顕微鏡検査では、採取したおりものを顕微鏡で観察し、細菌の種類や量、膣上皮細胞の状態などを調べます。細菌性膣炎では、通常見られない細菌(ガードネレラ・バジナリスやプレボテラなど)が多数観察され、炎症を示唆する所見(白血球の増加など)が見られることがあります。

グラム染色では、細菌を染色して顕微鏡で観察する検査です。細菌の種類を特定するのに役立ち、細菌性膣炎の診断の補助となります。2015年以前の性感染症治療ガイドラインではグラム染色が推奨されていましたが、2021年6月に米国疾病対策センター(CDC)が更新した性感染症(STI)治療ガイドラインでは、細菌性膣炎の診断にグラム染色は必須ではなくなりました。

検査結果と問診、内診所見を総合的に判断し、細菌性膣炎の診断を確定します。

抗生物質を使用する

細菌性膣炎の治療には、抗生物質が用いられます。主にメトロニダゾール(フラジール)やクリンダマイシンが処方されます。薬は細菌の増殖を抑える働きがあり、細菌性膣炎の原因菌に対して効果が期待できます。

服用方法には、内服薬(錠剤、カプセル)と膣錠があります。医師の指示に従って正しく服用することが大切です。妊娠中や授乳中の方は、胎児や乳児への影響を考慮して薬剤が選択されるので、必ず医師に伝えましょう。

膣錠・クリームを使用する

抗生物質の膣錠やクリームは膣内に直接薬剤を届けるため、細菌増殖抑制の効果が期待できます。内服薬が苦手な方や、消化器系の副作用が心配な方にもおすすめです。

使用方法は、アプリケーターと呼ばれる器具を用いて、就寝前に膣の奥深くに挿入します。医師の指示に従って使用し、自己判断で中止しないようにしましょう。

とはいえ、「市販薬で治せるのか?」「病院に行くべきか迷う…」という声も多く聞かれます。以下の記事では、細菌性膣炎に対する市販薬の種類や注意点、病院を受診するべきタイミングについて詳しく解説しています。
>>細菌性膣炎の市販薬はある?治療法と受診の判断ポイントを解説

パートナーへの感染を防ぐための対策を行う

細菌性膣炎自体は性感染症ではありませんが、性行為によって膣内環境が変化し、発症しやすくなることがあります。パートナーへの感染を防ぐ、あるいはパートナーから再感染を防ぐためには、以下の対策が有効です。

  • コンドームの使用:性感染症の予防だけでなく、膣内環境の変化を最小限に抑える効果も期待できる
  • 性行為前後の清潔保持:性行為の前後には、外陰部を清潔に保つように心がける
  • パートナーとのコミュニケーション:お互いの健康を守るために、パートナーと性に関する健康について話し合う

細菌性膣炎は適切な治療と生活習慣の改善によって、多くの場合、コントロール可能な疾患です。少しでも気になる症状があれば、早めに婦人科を受診し、医師に相談するようにしましょう。

まとめ

細菌性膣炎は、おりものの量や色、臭いの変化で気づくことが多い疾患です。おりものの量が増え、灰色っぽくなり、生臭い臭いがする場合は、細菌性膣炎の可能性があります。

細菌性膣炎は性感染症ではありませんが、性行為や膣内洗浄、抗生物質の使用など、さまざまな要因で発症リスクが高まります。日頃から、膣内環境を整えるよう心がけ、おりものの状態に気を配ることが大切です。

細菌性膣炎が疑われる場合は、自己判断せずに、婦人科を受診しましょう。医師の診察と検査によって適切な診断と治療を受けられます。抗生物質の内服薬や膣錠で治療を行い、再発予防のためにも生活習慣の改善を心がけましょう。

以下の記事では、おりものの基礎知識や色によってわかる体のサイン、注意すべき異常の特徴について詳しく解説しています。体調管理に役立つ情報としてご活用ください。
>>おりものとは?おりものの色でわかる健康状態や注意すべきおりものの特徴を解説

参考文献

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