
黄色のおりもの、放置は危険?原因と症状別の対処法を解説
公開日:2025.04.20更新日:2025.04.20
おりものの色や状態は、女性の健康状態を反映する重要な指標です。おりものの色の変化はさまざまな原因で起こることがあり、症状によっては医療機関での診察や治療が必要な場合があります。黄色のおりものは性感染症や細菌性腟炎(BV)などが原因の場合もあり注意が必要です。
この記事では、黄色のおりものの原因や症状別の対処法について詳しく解説します。おりものの変化に伴い、かゆみや不快感、痛みなどの症状が現れることがあります。 気になる症状がある場合は、医療機関での相談をご検討ください。
神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、おりものをはじめとした、あらゆる婦人科疾患の悩みに強みを持つクリニックです。専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。
黄色のおりものの主な原因
黄色のおりものの主な原因は、以下のとおりです。
- 性感染症
- 細菌性腟炎(BV)
- 子宮萎縮性腟炎
- 頸管炎
性感染症
性感染症は、性行為によって感染する病気の総称です。黄色のおりものを引き起こす可能性がある、代表的な性感染症は以下の3つです。
- トリコモナス腟炎(ちつえん)
- 淋菌感染症(りんきんかんせんしょう)
- クラミジア感染症
トリコモナス腟炎は、おりものが黄色や黄緑色で泡状になっていることが多いです。トリコモナス原虫という寄生虫が原因で、強い悪臭や外陰部のかゆみを伴う場合もあります。性行為以外の可能性は極めて低いですが、公衆浴場やトイレの便座から感染することもあります。
淋菌感染症は、おりものが黄色く粘り気があるのが特徴です。淋菌が原因で、自覚症状がない場合もあります。症状が進行すると、不正出血や腹痛が起こることがあり、さまざまな合併症を引き起こす可能性があります。
クラミジア感染症は、黄色のおりものの他に下腹部の痛みや不正出血などの症状が現れることもあります。おりものが、水っぽいのが特徴です。クラミジアという細菌が原因で、子宮頸管炎(しきゅうけいかんえん)などを引き起こし、不妊症のリスクを高める可能性もあります。
細菌性腟炎(BV)
細菌性腟炎(BV)は、膣内の細菌のバランスが崩れることで起こる感染症です。健康な状態では、乳酸桿菌(にゅうさんかんきん)などの善玉菌が膣内を酸性に保ち、他の細菌の増殖を抑えています。性行為や過度な洗浄など、さまざまな要因で膣内のバランスが崩れることで悪玉菌が増殖し、炎症を引き起こす可能性があります。
細菌性腟炎では、灰色がかった白いおりものや黄色いおりものが出て、特徴的な臭いを伴うことがあります。かゆみを感じることもあれば、全く自覚症状がない場合もあります。細菌性腟炎は性感染症ではありませんが、性行為によって症状が悪化することがあります。
妊娠中の女性が細菌性腟炎になると、早産のリスクが高まる可能性があります。細菌性腟炎は再発することがあり、医師の指示に従って治療を受けることが重要です。場合によっては治療が効かず、細菌性腟炎が持続することもあります。治療後も定期的な検査が必要です。
白いおりものが見られたとき、それが正常なものなのか異常のサインなのかを見極めることはとても大切です。以下の記事では、白いおりものの正体と、健康な状態とそうでない状態の違いについて詳しく解説していますので、参考にしてください。
>>白いおりものの正体とは?健康な状態と異常サインの違い
子宮頸管炎
子宮頸管炎は、子宮の入り口である子宮頸管に炎症が起こる病気です。主な原因は、性感染症を引き起こすクラミジアや淋菌の感染です。細菌やウイルス感染、アレルギー反応などが原因になる場合もあります。
子宮頸管炎になると、黄色や黄緑色、灰色の粘り気のあるおりものが出ることがあります。下腹部痛や性交痛、排尿痛などの症状が現れることもあります。医療機関での適切な診断と治療が必要な場合があるため、少しでも異変を感じたら、早めに婦人科を受診することが大切です。
萎縮性腟炎
萎縮性腟炎は、主に閉経後に女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少することで、膣の粘膜が薄く、乾燥しやすくなるために起こる炎症です。エストロゲンの減少により、膣の自浄作用が低下し、細菌感染しやすくなることが原因の一つです。更年期以降の女性に多くみられます。
黄色いおりものの他に、かゆみや灼熱感、性交痛、排尿痛、出血などの症状が現れることがあります。萎縮性腟炎は自然に治ることは少なく、症状が悪化すると日常生活に支障をきたす場合もあります。更年期以降でおりものの変化や不快感を感じたら、婦人科を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
黄色のおりもので見られる主な症状
黄色のおりもので見られる主な症状は、以下のとおりです。
- かゆみ
- 痛み
- 悪臭
- 不正出血
- 腹痛
かゆみ
かゆみは、おりものの異常で最もよく見られる症状の一つです。おりものの変化に気づいた際、同時にかゆみを感じることがあります。かゆみの程度には個人差があり、軽いものから強いものまでさまざまです。かゆみの原因として、以下のことが考えられます。
- 下着との摩擦や汗、おりもの自体の刺激
- カンジダ腟炎などの真菌感染症
- トリコモナス腟炎などの性感染症
かゆみが強い場合や長引く場合は、必ず医療機関を受診してください。市販薬を自己判断で使用すると、症状の悪化や適切な治療の遅れにつながります。
痛み
痛みは、おりものの異常でかゆみと並んでよく見られる症状です。痛みを感じる場所や種類もさまざまで、外陰部のヒリヒリとした痛みや膣の性交時の痛み、下腹部の生理痛に似た痛み、排尿時の痛みなどがあります。
細菌や真菌の感染症、性感染症、萎縮性腟炎など、多くの婦人科疾患で痛みが現れる可能性があります。痛みの原因を特定し、適切な治療を受けることが重要です。
性交時に痛みを感じる場合は、細菌性腟炎や萎縮性腟炎(いしゅくせいちつえん)、性感染症などが考えられます。下腹部に生理痛に似た痛みがある場合は、子宮頸管炎、子宮内膜炎、卵管炎などの可能性があります。痛みは炎症や感染のサインであることが多いです。
悪臭
おりものに普段と異なるにおいがある場合(生臭さや魚の腐ったようなにおいを感じるとき)は注意が必要です。細菌性腟炎では、悪臭を伴う黄色いおりものがよく見られます。主な症状は、以下のとおりです。
- おりものの量が増加する
- おりものの色が変化する
- 強い悪臭がする
健康な膣内では、乳酸桿菌などの細菌が膣内環境を保っています。性行為や過度の洗浄などによって、膣内のバランスが崩れると悪玉菌が増殖し、炎症や悪臭を引き起こす可能性があります。
不正出血
不正出血は、子宮や卵巣の病気やホルモンバランスの乱れ、性感染症など、さまざまな原因で起こることがあります。黄色のおりものと不正出血が同時に見られる場合は、注意が必要です。少量の出血でも病気のサインである可能性があります。
子宮頸がんの初期症状やクラミジア感染症などの性感染症でも不正出血が見られることがあります。医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けましょう。早期発見・早期治療が重要です。
腹痛
下腹部に痛みがある場合は、子宮や卵巣、卵管などに炎症が起こっている可能性があります。黄色のおりものと腹痛が同時に見られる場合、子宮頸管炎や子宮内膜炎、卵管炎などの病気が疑われます。
腹痛の程度は、軽い鈍痛から激しく持続する痛みまでさまざまです。痛みが強い場合や発熱を伴う場合は、医療機関を受診しましょう。放置すると、不妊症などの合併症を引き起こす可能性があります。
黄色のおりものへの対処法
黄色のおりものへの対処法は、以下のとおりです。
- 婦人科への受診と適切な検査
- 薬物療法
- 市販薬でのセルフケア
- デリケートゾーンの適切なケア
婦人科への受診と適切な検査
婦人科を受診すると、黄色のおりものに気づいた時期やその他の症状の有無、過去の病歴、性生活について、医師が詳しく問診します。問診後、内診台で視診と内診を行い、おりものの色や量、臭い、膣や子宮頸部の状態をチェックするのが一般的です。
必要に応じて、おりものの検査も実施されます。採取したおりものを顕微鏡で観察することで、細菌や真菌、トリコモナス原虫などの有無を調べます。細菌性腟炎が疑われる場合は、おりもののpHを測定することが必要です。
クラミジアや淋菌などの性感染症が疑われる場合は、子宮頸部から細胞を採取し、検査を行います。超音波検査では、子宮や卵巣の状態を画像で確認し、子宮筋腫や卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)などの病気がないか調べることも重要です。
問診や内診、おりもの検査、血液検査、超音波検査などを組み合わせて、原因を特定し、適切な治療法が決定されます。婦人科の受診は緊張するものですが、医師は患者さんの健康を守るために最善を尽くしますので、不安なことがあれば遠慮なく相談してください。
薬物療法
黄色のおりものの原因が細菌感染症である場合、抗生物質が処方されます。細菌の種類に応じて適切な薬剤が選択されます。主な治療薬は以下のとおりです。
- クラミジア感染症:アジスロマイシンやドキシサイクリン
- 淋菌感染症:セフトリアキソン
服用期間は感染症の種類や重症度により異なり、通常は数日〜数週間です。真菌感染症であるカンジダ腟炎の場合、抗真菌薬が使用されます。主な剤形は、膣錠とクリームの2種類です。
通常1週間程度の使用で効果が現れます。薬物療法では、医師の指示を正しく守ることが重要です。自己判断による服用中断や量の調整は、治療効果が得られないだけでなく、薬剤耐性菌(薬が効きにくい細菌)を生む恐れがあります。副作用が現れた場合、すぐに医師に相談してください。
市販薬でのセルフケア
ドラッグストアでは、おりものの症状を緩和する市販薬が販売されています。市販薬は一時的な対処法であり、根本的な治療にはなりません。自己判断で使用すると、症状が悪化し、適切な治療が遅れる可能性があります。市販薬を使用する前に、必ず医師に相談してください。
市販薬には、カンジダ腟炎の治療薬もありますが注意が必要です。実際にはトリコモナス腟炎であるにもかかわらず、カンジダ腟炎と誤認して抗真菌薬を使用すると、症状が悪化する場合があります。性感染症が疑われる場合は、市販薬を使用せず、医療機関を受診することが重要です。
カンジダ腟炎で再発を繰り返す場合も、医療機関の受診をおすすめします。医師の診察を受けることで、再発の原因を特定し、適切な治療法を選択できます。
デリケートゾーンの適切なケア
デリケートゾーンを清潔に保つことは、おりものの異常を予防するために大切です。過度な洗浄や刺激の強い石鹸の使用は、膣内の正常な細菌叢(さいきんそう)を乱し、感染症のリスクを高める場合があります。デリケートゾーンのケアのポイントは、以下のとおりです。
- ぬるま湯で優しく洗う
- 清潔なタオルで水分を丁寧に拭き取る
- 通気性の良い下着を着用する
下着選びの注意点として、綿などの天然素材を選び、締め付けの強すぎる下着は避けてください。化学繊維は蒸れやすく細菌の繁殖を助長します。生理用品を使用する際の注意点は次のとおりです。
- 通気性の良いものを選ぶ
- タンポンは長時間使用せず、こまめに交換する
- 就寝時はナプキンを使用する
タンポンの長時間使用は、トキシックショック症候群(TSS)という感染症を引き起こす可能性があります。おりものの状態は体調を反映しています。日頃からセルフチェックを行い、異変に気づいたら早めに婦人科を受診してください。早期発見と早期治療が健康維持に重要です。
黄色のおりものを予防するために大切なこと
黄色のおりものを予防するために大切なことは、以下のとおりです。
- 規則正しい生活習慣
- バランスの良い食事
- 適切な性生活と避妊
- おりもののセルフチェックと異変への早期対応
規則正しい生活習慣
睡眠不足や過労、ストレスは免疫力を低下させ、感染症にかかりやすくなります。免疫力が低下すると、膣内環境のバランスも崩れやすくなり、黄色のおりものなどの症状が現れる可能性があります。免疫力を維持するためのポイントは、以下の3つです。
- 睡眠をしっかりとる
- 適度な運動を習慣にする
- ストレスをため込まない
毎日同じ時間に寝起きし、7〜8時間の睡眠時間を確保するように心がけましょう。睡眠不足は免疫システムの働きを弱め、感染症への抵抗力を低下させます。成長ホルモンは睡眠中に分泌されるため、睡眠不足は体の修復や細胞の再生を妨げることにもつながります。
適度な運動は血行を促進し、免疫細胞の働きを活性化させる効果があります。ウォーキングや軽いジョギング、ヨガなど、無理なく続けられる運動を見つけて習慣にしましょう。週に3回、30分程度の運動を目標にするだけでも健康維持に役立ちます。
ストレスは、自律神経のバランスを崩し、免疫機能を低下させる大きな要因となります。ストレスを感じたときは、深呼吸や瞑想、好きな音楽を聴く、温かいお風呂に入るなど、自分なりのストレス解消法を見つけて実践しましょう。友人や家族に相談することも、ストレス軽減に効果的です。
バランスの良い食事
健康な体は、バランスの良い食事から作られます。偏った食生活は、免疫力の低下を招き、黄色のおりものなどの婦人科系のトラブルを引き起こすリスクを高める可能性があります。以下の3つを意識しましょう。
- ビタミン・ミネラルを積極的に摂る
- ヨーグルトなどの発酵食品を摂る
- 糖質や脂質の摂りすぎに注意する
ビタミンAやビタミンC、ビタミンEは、抗酸化作用があり免疫機能をサポートするうえで重要な役割を果たします。緑黄色野菜や果物、ナッツ類などからバランスよく摂取しましょう。ほうれん草やニンジンにはビタミンA、柑橘類にはビタミンC、アーモンドにはビタミンEが豊富に含まれています。
ヨーグルトや納豆、キムチなどの発酵食品には、善玉菌が豊富に含まれています。善玉菌は腸内環境を整え、免疫機能も正常に働き、感染症予防に効果が期待できます。
糖質や脂質の過剰摂取は、肥満や生活習慣病のリスクを高めるだけでなく、免疫機能の低下にもつながることがあります。バランスの良い食事を心がけ、過剰な摂取は控えましょう。加工食品やファストフードに含まれるトランス脂肪酸は、免疫細胞の働きを阻害する可能性があるため、注意が必要です。
適切な性生活と避妊
性感染症の中には、黄色のおりものを引き起こすものがあります。適切な性生活と避妊は、性感染症の予防だけでなく、自分自身の体を守ることにもつながります。以下の3つのポイントを実践しましょう。
- コンドームを正しく使用
- パートナーと性生活について話し合う
- 定期的に性感染症の検査を受ける
コンドームは、性感染症の予防に最も効果的な方法の一つです。性行為の際は必ず使用し、正しい使い方をマスターしましょう。コンドームは、性感染症だけでなく、望まない妊娠の予防にも有効です。
性生活に関する悩みや不安は、パートナーとオープンに話し合うことが大切です。お互いを尊重し安心して性生活を送れるように、コミュニケーションを深めましょう。性感染症はパートナー間で感染することが多いため、お互いの健康を守るためにも、性生活について話し合うことは重要です。
性感染症の中には、自覚症状がないまま進行するものもあります。定期的に検査を受けることで、早期発見・早期治療が可能になります。パートナーにも検査をすすめることで、お互いの健康を守ることができる可能性があります。婦人科で相談し、適切な検査を受けましょう。
おりもののセルフチェックと異変への早期対応
おりものの状態をチェックすることは、婦人科系のトラブルの早期発見につながるだけでなく、自身の健康状態をより深く理解するきっかけにもなります。セルフチェックのポイントは、以下のとおりです。
- おりものの色
- おりものの量
- おりものの臭い
- かゆみや痛み、不正出血
健康なおりものは、無色透明もしくは白っぽい色をしています。黄色や緑色、茶色など、普段と違う色の場合は感染症などの病気が隠れている可能性があります。おりものの量は、生理周期や体調によって変化します。急に量が増えたり減ったりした場合は、ホルモンバランスの乱れや感染症などが考えられる可能性があります。
健康なおりものは、ほとんど臭いがありません。強い臭いやいつもと違う臭いがする場合は、感染症の可能性があります。生臭い臭いは、細菌性腟炎の特徴的な症状です。おりものに、かゆみや痛み、不正出血などが伴う場合は、性感染症や婦人科系の病気が疑われます。
症状に気づいたら自己判断せずに、早めに婦人科を受診しましょう。早期発見・早期治療が、あなたの健康を守るうえで重要です。
以下の記事では、茶色のおりものが出る原因や考えられる疾患、受診の目安について詳しく解説しています。気になる症状がある方はぜひチェックしてみてください。
>>茶色のおりものが出る原因と対処法!受診の目安と注意点
まとめ
黄色のおりものは、多くの女性が経験する症状です。主な原因として、細菌性腟炎やトリコモナス腟炎、クラミジア感染症、淋菌感染症などがあります。色や臭い、症状に変化がある場合は体からのサインと捉えることが重要です。普段からおりものの状態をチェックする習慣を身につけましょう。
自己判断せず、少しでも気になることがあれば、気軽に婦人科を受診することをおすすめします。婦人科は女性にとって心強い味方です。早期発見・早期治療で、健やかな毎日を送りましょう。
おりものの変化は妊娠初期にも見られることがあります。妊娠の可能性がある方は、色や量の特徴を知っておくことも大切です。以下の記事では、妊娠初期に見られるおりものの特徴や、生理前のおりものとの違いについて詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
>>妊娠初期のおりものの色や量などを解説|生理前のおりものとの違いも紹介
参考文献
- Makella S Coudray, Purnima Madhivanan. Bacterial vaginosis-A brief synopsis of the literature. Eur J Obstet Gynecol Reprod Biol, 2020, 245, p.143-148.
- Swati Shroff. Infectious Vaginitis, Cervicitis, and Pelvic Inflammatory Disease. Med Clin North Am, 2023, 107(2), p.299-315.