
PMSによる吐き気の原因と対処法!症状を和らげる効果的な方法
公開日:2025.04.20更新日:2025.04.20
生理前に吐き気や胃のむかつきに襲われることはありませんか?生理のある女性がPMS(月経前症候群)による何らかの症状を経験しており、吐き気も代表的な症状の一つです。
この記事では、PMSによる吐き気の原因をホルモンバランスの乱れや水分貯留、ストレスの側面から、わかりやすく解説します。吐き気を和らげる5つの効果的な方法と、他の病気との見分け方もご紹介します。PMSの吐き気と適切に向き合い、快適な日々を送りましょう。
神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、PMSをはじめとした、あらゆる婦人科疾患の悩みに強みを持つクリニックです。専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。
PMSによる吐き気のメカニズム
PMS(月経前症候群)による吐き気は、日常生活に大きな支障をきたす可能性があるため、注意が必要です。PMSによる吐き気のメカニズムとして、以下の3つが挙げられます。
- ホルモンバランスの乱れ
- 水分貯留や胃腸の圧迫
- ストレスと自律神経の乱れ
メカニズムを理解し、自分に合った効果的な対処法を見つけましょう。
以下の記事では、PMSの基本的な仕組みや症状、対策方法について医師監修のもとで詳しく解説しています。基礎からしっかり理解したい方におすすめです。
>>【医師監修】PMSとは?症状や対策など女性に知ってほしい基礎知識を解説
ホルモンバランスの乱れ
生理周期は、女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の分泌量が常に変化しています。生理前の3~10日間は黄体期と呼ばれ、エストロゲンとプロゲステロンの分泌が大きく変動するため、PMSに影響します。
生理前にプロゲステロンが急激に増加すると、胃腸の動きが鈍くなり、吐き気を引き起こしやすくなります。食べたものが胃腸内をスムーズに移動せず、停滞しやすくなり胃のむかつきや吐き気につながると考えられています。
エストロゲンとプロゲステロンの役割は、以下のとおりです。
- エストロゲン:子宮内膜を厚くして妊娠の準備を整える
- プロゲステロン:妊娠を維持するために子宮内膜を安定させる
それぞれ異なる役割を担っており、バランスを取りながら体をコントロールしています。ホルモンバランスが崩れてエストロゲンが減少すると、気分の落ち込みやイライラ、頭痛などを感じやすくなります。プロゲステロンが増加すると胃腸の働き低下や吐き気、便秘など不調が現れやすくなります。
水分貯留や胃腸の圧迫
PMS中には、体内に水分が溜まりやすく、むくみが生じる場合があります。水分貯留はプロゲステロンの増加によって引き起こされ、浮腫んだ腸が胃腸を圧迫することで吐き気や不快感を感じてしまうのです。
水分貯留は、むくみだけでなく、体重増加や便秘にもつながる可能性があります。胃腸の圧迫は吐き気だけでなく、食欲不振や腹部の張りにつながります。その後、生理が始まると徐々に軽快するのが一般的です。
ストレスと自律神経の乱れ
PMSの時期は、ホルモンバランスの変動に加えて、日常生活でのストレスや不安なども重なり、自律神経が乱れやすくなります。自律神経が乱れると、胃腸の働きが乱れ、吐き気などの症状が出やすくなります。
自律神経は、交感神経と副交感神経のバランスを取りながら体の機能を調節しています。ストレスを感じると交感神経が過剰に働き、胃腸の動きが抑制されて吐き気を引き起こしやすくなります。ストレスをため込まないように、以下の内容を意識しましょう。
- リラックス時間を作る
- 趣味を楽しむ
- 適度な運動をする
自分なりのストレス解消法を見つけることが大切です。
PMSによる吐き気を和らげる5つの方法
PMSによる吐き気を和らげる5つの方法は、以下のとおりです。
- 食生活を改善する
- 適度な運動をする
- リラックスできる環境を心がける
- 市販薬・漢方・サプリメントを活用する
- 症状が重い場合は専門医へ相談する
食生活を改善する
PMSによる吐き気は、消化の良い食事を心がけることが重要です。消化の良い食べ物は、胃腸に負担をかけにくく、消化吸収がスムーズに行われるため、吐き気を軽減する効果が期待できます。消化の良い食事は以下のとおりです。
- おかゆ
- うどん
- 白米
- 豆腐
- 鶏むね肉
- 白身魚
胃腸を刺激し、吐き気が悪化する可能性のある以下の食品や飲み物は避けましょう。
- 脂っこい食べ物
- 辛い刺激のある食べ物
- 冷たい食べもの
- カフェイン・アルコール・炭酸飲料などの飲み物
水分不足は体内の水分バランスが崩れ、吐き気を悪化させる可能性があるため、こまめな水分補給を心がけましょう。一度にたくさん飲まず、少量ずつこまめに飲みましょう。常温の水や麦茶、ノンカフェインのハーブティーなどがおすすめです。
適度な運動をする
適度な運動は、血行を促進し、自律神経のバランスを整える効果があります。ウォーキングやヨガなどの軽い運動を取り入れると、心身のリフレッシュにつながりやすいです。
ウォーキングは、心拍数を適度に上げることで血行が促進され、全身の酸素供給が向上します。ウォーキングは1日30分程度行うと効果的で、気分転換やストレス軽減にも効果的です。
ヨガは、深い呼吸を意識しながら行うことで、心身のリラックスをもたらし、自律神経のバランスを整えます。ストレッチは、体の緊張をほぐし、血行を促進する効果が期待できます。
運動が難しい場合は、軽めのストレッチから始めることをおすすめします。激しい運動は逆効果になる可能性があるため、無理のない範囲で行いましょう。
リラックスできる環境を心がける
ストレスはPMSの症状を悪化させる要因の一つです。リラックスできる環境を作ることで、ストレスを軽減し、吐き気の改善が図れます。リラックスできる環境を作る方法として、以下を試してみてください。
- アロマオイルを使用する
- ハーブティーを飲む
- 瞑想をする
- 音楽鑑賞をする
- ぬるめのお湯に浸かる
ラベンダーやカモミールなどのアロマオイルや、ハーブティー(ペパーミントやカモミールなど)の香りは、心身を落ち着かせてリラックスさせます。瞑想は静かな場所で目を閉じ、呼吸に集中しましょう。5分程度から始めてみることをおすすめします。好きな音楽を聴いて気分転換すると、リラックス効果が期待できます。
ぬるめのお風呂にゆっくり浸かるのも効果的です。38〜40度程度のぬるめのお湯にゆっくり浸かると、心身のリラックス効果が高まります。副交感神経が優位になり、心身がリラックスした状態になると、胃腸の働きも正常化しやすくなります。
市販薬・漢方・サプリメントを活用する
市販薬・漢方・サプリメントを活用する方法もあります。吐き気がひどい場合は、医師や薬剤師に相談のうえで適切な対応を検討しましょう。妊娠の可能性がある場合や、他の薬を服用している場合は、医師や薬剤師に相談してから使用してください。
漢方薬の中には、体内の水分バランスに関わるものもあります。PMSに伴う症状への対応として漢方薬が用いられる場合もありますが、適切な漢方薬の選択については医師や薬剤師に相談をおすすめします。
市販薬の中には、PMS特有の吐き気には効果がない可能性があります。自己判断で使用するのではなく、医師や薬剤師に相談することが大切です。
症状が重い場合は専門医へ相談する
食事や運動、リラックスや市販薬・サプリメントなどを試しても吐き気が改善しない場合は、婦人科などの専門医に相談しましょう。適切な診断と治療を受けると、症状を改善できる可能性があります。
医師は症状や体質に合わせて、適切な対応法を検討します。PMSには明確な診断基準がないため、日常生活に支障を感じれば受診しても問題ありません。PMSの症状は個人差が大きいため、症状が重い場合は自己判断せず、専門医に相談しましょう。
吐き気を伴うPMSと他の症状・病気との見分け方
PMSの吐き気は、他の病気の症状と似ている場合があり、自己判断でPMSだと決めつけてしまうのは危険です。吐き気を伴うPMSと他の症状・病気との見分け方について、以下の4つを解説します。
- 妊娠初期症状との違い
- 食中毒や胃腸炎との違い
- 片頭痛との違い
- 月経困難症との違い
妊娠初期症状との違い
PMSの吐き気は、生理が始まる約1〜2週間前から現れ、生理が始まると落ち着いてきます。妊娠超初期の吐き気(つわり)は、生理予定日を過ぎても吐き気が続く場合が多く、妊娠によって分泌されるホルモンが関係していると考えられています。
PMSの吐き気と妊娠初期の吐き気は、症状が似ています。生理が遅れている場合は妊娠の可能性も考慮し、妊娠検査薬を使用するか、医療機関を受診して相談することが大切です。
食中毒や胃腸炎との違い
食中毒や胃腸炎による吐き気は、食べたものやウイルス、細菌が原因で起こります。多くの場合、吐き気だけでなく発熱や下痢、腹痛などの症状も一緒に現れます。PMSの吐き気は、ホルモンバランスの乱れが主な原因と考えられており、発熱や下痢などの症状は見られません。
38度以上の高熱が出たり、ひどい下痢や嘔吐が続いたりする場合は、食中毒や胃腸炎の可能性が高いです。脱水症状に陥る前に、早めに病院を受診しましょう。
片頭痛との違い
片頭痛は、頭の片側がズキンズキンと痛む頭痛で、吐き気を伴う場合があります。脈打つように痛む、拍動性の頭痛が特徴です。PMSとは異なり、生理周期とは関係なく起こりやすく、光や音、匂いなどに過敏になる人もいます。PMSに伴う頭痛は、生理前に起こり、生理が始まると落ち着いてきます。
片頭痛の拍動性の痛みではなく、頭全体が締め付けられるような鈍痛が特徴です。吐き気とともに激しい頭痛がある場合は、片頭痛の可能性もあります。市販の鎮痛剤で様子を見ることもできますが、脳神経内科や頭痛外来を受診して相談しましょう。
月経困難症との違い
月経困難症は、生理痛がひどく、日常生活に支障が出る状態です。下腹部痛に加え、吐き気や腰痛、倦怠感などを伴う場合もあります。痛みの程度は個人差が大きく、鎮痛剤が効かないほどの激痛に悩まされる人もいます。
月経困難症の痛みは、生理が始まったときから強く、生理の終わりかけには軽くなる傾向があります。PMSの吐き気は生理の1〜2週間前から始まり、生理が始まると軽くなります。
月経困難症は、子宮内膜症などの病気が隠れている場合もあるため、生理痛がひどい場合は、婦人科を受診して相談するようにしましょう。
月経前不快気分障害(PMDD)は、月経周期に伴う重篤な気分障害で、日常生活に著しい支障をきたすことが研究で判明しています。重症のPMSと区別が難しい場合があり、医療機関への受診が重要です。PMDDは、以下の精神的な症状が強く現れるのが特徴です。
- 抑うつ気分
- 不安
- イライラ
- 集中力の低下
PMSの吐き気と他の病気を見分ける最終的な診断は、医師が行う必要があります。少しでも気になる症状があれば、自己判断せずに医療機関を受診し、専門家のアドバイスを受けるようにしてください。
「PMSかも」と感じたときに、何科を受診すればよいか迷う方も多いと思います。以下の記事では、PMSで受診すべき診療科や、婦人科で行われる診察内容、受診の目安について詳しく解説していますので、参考にしてください。
>>PMSは何科に行けばよい?受診の目安や婦人科での診察内容を丁寧に解説
まとめ
PMSによる吐き気は、多くの女性を悩ませる症状です。主な原因は以下のような点があります。
- ホルモンバランスの乱れ
- 水分貯留や胃腸の圧迫
- ストレスと自律神経の乱れ
生活習慣の見直しやセルフケアで症状を和らげることができます。消化の良い食事や適度な運動、リラックスできる環境づくりを心がけましょう。アロマやハーブティー、市販薬なども役立ちます。
症状が重い場合は、我慢せずに婦人科に相談し、適切な治療を受けることが大切です。PMSとうまく付き合う方法を見つけて、快適な日々を送りましょう。
PMSでは「眠気」に悩まされる女性も少なくありません。以下の記事では、PMSによる眠気の原因とその対処法について、専門医の視点から詳しく解説していますので、同じような悩みを抱えている方はぜひご覧ください。
>>PMSによる眠気に悩む女性必見!原因と解消法を専門医が解説
参考文献
Emily Cary, Paul Simpson. Premenstrual disorders and PMDD – a review. Best Pract Res Clin Endocrinol Metab, 2024, 38, 1, p.101858