ソフィアレディスクリニック

卵巣の痛みはなぜ起こる?考えられる病気と対処法を解説

公開日:2025.03.18
更新日:2025.03.18

下腹部に痛みや違和感を感じたことはありませんか?生理痛と症状が似ているため、しばらく様子を見ることもあるかもしれません。しかし、下腹部の痛みには病気が隠れていることもあり、原因によっては適切な治療が必要な場合があります

卵巣の痛みが長期間続く場合、不妊症に関連する疾患や、緊急対応が必要な状態の可能性もあります。この記事では、卵巣の痛みについて以下の内容を解説します。

  • 主な5つの原因
  • 症状とセルフチェック
  • 対処法と治療法

神奈川県相模原市 淵野辺駅から徒歩2分にあるソフィアレディスクリニックは、卵巣の痛みをはじめとした、あらゆる婦人科疾患に強みを持つクリニックです。専門医が相談に乗りますのでお気軽に相談にいらしてください。

卵巣の痛みの主な5つの原因:病気の可能性も?

卵巣の痛みは、一般的に以下の5つが原因であることが多いです。

  • 排卵痛
  • 卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)
  • 子宮内膜症
  • 卵管炎・卵巣炎
  • 卵巣捻転(らんそうねんてん)

卵巣捻転は適切な治療が遅れると卵巣の機能に影響を及ぼす可能性があります。原因や症状を理解し、早期に医師の診察を受けましょう。

排卵痛

排卵痛とは、卵巣から卵子が放出される際に起こる痛みです。生理開始の約2週間前に、下腹部の左右どちらか、もしくは両方にチクチクとした痛みや鈍い痛みを感じます。痛みの程度は個人差が大きく、日常生活に支障が出るほどの激しい痛みを感じる方もいます。一般的に、排卵痛は数時間〜3日程度で自然に治まります。

排卵痛を生理痛と誤認し、適切な対処をせずに過ごしてしまうこともあります。排卵痛の特徴を把握し、生理痛との違いを理解することで、適切な対処が期待できます。

卵巣嚢腫

卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)は、卵巣にできる嚢胞性の腫瘤です。多くの場合、卵巣嚢腫は良性です。自覚症状がなく、健康診断などで偶然発見されることが多いです。腫瘤が大きくなると、以下の症状が現れることがあります。

  • 下腹部にしこりや膨満感がある
  • 月経が不順になる
  • 頻尿になる

悪性の卵巣嚢腫は、卵巣がんと診断される可能性があります。卵巣がんの場合、早期の発見が重要です。良性の卵巣嚢腫は経過観察で済む場合もありますが、大きさが5cm以上の場合や、悪性の疑いがある場合は手術で摘出することがあります。定期的に婦人科検診を受け、早期発見・早期治療に努めましょう。

卵巣嚢腫になりやすい人には、体質や生活習慣に共通する特徴があるといわれています。予防のために知っておくべきポイントを詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>卵巣嚢腫になりやすい人の特徴と予防法!体質や生活習慣との関連性

子宮内膜症

子宮内膜症は、本来子宮の内側にある子宮内膜組織が、卵巣や卵管など子宮以外の場所に発生する病気です。子宮以外の場所に発生した子宮内膜組織も、正常な子宮内膜と同様に、女性ホルモンの影響を受けて増殖と剥離を繰り返します。月経周期に合わせて出血を繰り返すため、炎症や癒着が起こり、強い生理痛や性交痛、卵巣の痛みを引き起こします。

子宮内膜症は不妊の原因の一つです。妊娠を希望する方は、早期の治療が重要です。薬物療法や手術療法があり、患者さんの状態に合わせて最適な方法を選択します。

卵管炎・卵巣炎

卵管炎と卵巣炎は、卵管や卵巣に炎症が起きる病気です。2つを合わせて子宮付属器炎とも呼ばれます。細菌感染が原因で起こり、性感染症であるクラミジア感染症が原因となる場合があります。主な症状は、以下のとおりです。

  • 下腹部の痛み
  • おりものの異常
  • 発熱

炎症がひどくなると、卵管が詰まって不妊症の原因になることもあります。治療は抗生物質などの薬物療法が中心です。膿が溜まっている場合は、膿を体外に出す処置が必要になることもあります。

卵管炎・卵巣炎は、厚生労働省の調査によると20〜24歳の女性に多く見られる傾向があります。若い世代の方でも体調の変化に注意し、気になる症状がある場合は医療機関に相談することをおすすめします。

卵管や卵巣の炎症が不妊につながることもあるため、原因を正しく理解することが大切です。女性だけでなく、男性不妊や男女比についても詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>不妊症の原因について!女性のみならず男性不妊や男女比も合わせて解説

卵巣捻転

卵巣捻転は、卵巣や卵管がねじれてしまう状態です。卵巣への血流が障害されることで強い痛みを引き起こすことがあります。吐き気や嘔吐を伴う場合もあり、適切な治療が遅れると卵巣の機能に影響を及ぼす可能性があります

卵巣捻転は突然発症することが多く、早期の診断と治療が重要です。急な強い腹痛がある場合は、早めに医師の診察を受けることをおすすめします。卵巣嚢腫がある方は卵巣捻転を起こしやすいため、注意が必要です。

卵巣捻転は、激しい運動や妊娠、出産がきっかけで起こることもあります。異変を感じたらすぐに医療機関に相談することが大切です。

卵巣の痛みの症状とセルフチェック

卵巣の痛みと症状について、下記の内容を解説します。

  • 痛みの種類
  • 痛みのレベル
  • 随伴症状
  • 緊急受診が必要な症状

卵巣の痛みは、緊急性の高い病気の症状である可能性があります。体の状態を理解して適切な対応をするために、痛みの種類やレベルなどを知っておくことが重要です。

痛みの種類

卵巣の痛みは、原因や状態によって痛み方が違うことがあります。一般的に、以下のような痛みの種類があります。

  • 生理痛のような周期的な痛み
  • 急な痛み
  • 慢性的な痛み

生理痛のような周期的な痛みは、子宮内膜症などの病気が原因の可能性があります。チクチクとした痛みや鋭い痛みなどが、生理周期とは関係なく起こる場合があります。左右どちらかの下腹部が痛むことが多く、生理痛のように下腹部全体が痛むことは少ないです。

突然の激しい痛みは、卵巣捻転や卵巣出血などの緊急性の高い病気の可能性があります。卵巣出血は、卵巣の血管が破れて出血が起こる状態で、性交渉や外傷が原因となることが多いです。吐き気や冷や汗、意識がもうろうとするなどの症状がある場合は、すぐに医師の診察を受ける必要があります。

慢性的な鈍い痛みは、子宮内膜症や卵巣嚢腫などの病気が原因の可能性があります。不妊症の原因となる場合もあるため、早期の診断と治療が大切です。

特に、卵巣出血は放置すると危険な症状を引き起こすことがあります。症状の特徴や原因、注意が必要なサインについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>卵巣出血の症状と原因!放置すると注意が必要なサインと受診目安

痛みのレベル(軽い違和感から激痛まで)

卵巣の痛みのレベルは、以下のように軽い違和感から立っていられないほどの激痛までさまざまです。痛みの感じ方には個人差があるため、少しでも痛みや違和感がある場合は、医師の診察を受けることをおすすめします

軽いチクチクとした痛みや違和感程度であれば、日常生活に大きな支障はないかもしれません。痛みが軽度であっても、病状が軽いとは限らないため注意が必要です。痛みが2〜3日以上続く場合は、医師に相談することをおすすめします。

ある程度の痛みがあり、日常生活に支障が出ている場合は、早めに医師の診察を受けましょう。痛み止めなどで痛みをコントロールしながら、原因を特定し、適切な治療を受けることが重要です。

立っていられなかったり、脂汗が出たり、意識がもうろうとしたりするほどの激痛がある場合は、卵巣捻転などの緊急性の高い状態が疑われます。救急車を呼ぶか、すぐに医師の診察を受けてください。

随伴症状

卵巣の痛みとともに、以下の症状が現れることがあります。随伴症状は、痛みの原因を特定するうえで重要な手がかりとなります。

  • 発熱
    発熱は、卵管炎や卵巣炎などの感染症の可能性があります。骨盤内の感染症も卵巣の痛みの原因となることがあります。
  • 吐き気
    吐き気は、激しい痛みに伴って起こることがあります。卵巣捻転や卵巣出血などの可能性があります。
  • おりものの変化
    おりものの量が増えたり、色や臭いが変化したりする場合は、感染症が原因の可能性があります。クラミジア感染症などの性感染症が原因で卵管炎や卵巣炎が起こるケースもあります。
  • 不正出血
    生理以外の出血がある場合は、子宮内膜症や卵巣腫瘍、子宮体がん、子宮頸がんなどが考えられます。少量の不正出血は排卵痛に伴う場合もあります。少しでも気になる症状があれば、医療機関を受診しましょう。

特に、不正出血はさまざまな原因で起こるため、注意が必要です。生理との違いや受診の目安について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>不正出血を放置しないで!原因や生理との違い、受診の目安まで徹底解説

危険なサイン:緊急受診が必要な症状

以下のような症状が現れた場合は、早めに医師の診察を受けることをおすすめします。症状が強い場合は、緊急対応が必要な可能性もあります

  • 突発的な強い下腹部痛がある
  • 痛みに伴って吐き気がしたり、嘔吐したりする
  • 冷や汗が出る
  • 意識がもうろうとする
  • 高熱が出る
  • 強い腹痛と不正出血がある
  • 妊娠の可能性があり、激しい腹痛がある

卵巣の痛みの対処法と治療法

卵巣の痛みに対する対処法と治療法について、以下のポイントを解説します。

  • 市販薬
  • 家庭でのケア
  • 病院での検査
  • 病院での治療
  • 予防策

市販薬

市販薬には、卵巣の痛みを一時的に和らげるものがあります。どの市販薬も一時的な痛みの緩和が目的であり、根本的な治療にはなりません。長期間の服用は避け、痛みが続く場合は医師の診察を受けましょう。ドラッグストアなどで購入できる痛み止め(鎮痛薬)は、以下のようなものがあります。

  • アセトアミノフェンを含む薬
    アセトアミノフェンは、副作用や胃腸への影響が少ない成分とされています。比較的安全性が高く、高齢者や妊婦にも使用できます。
  • NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)
    NSAIDsには、イブプロフェンやロキソプロフェンなどがあります。炎症を抑える作用があるため、炎症を伴う痛みに効果が期待できます。胃腸障害などの副作用が現れることがあるため、空腹時の服用は避け、用法・用量を守ることが重要です。
  • 漢方薬
    漢方薬は、体全体のバランスを整えることで、痛みを根本から改善することを目指します。生理痛や生理不順、冷え症などを伴う卵巣の痛みには、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などが用いられることがあります。漢方薬は、体質に合わせて選ぶ必要があるため、薬剤師などに相談することが大切です。

家庭でのケア

軽い痛みであれば、家庭でのケアで症状が和らぐ可能性があります。下腹部を温めることで血行が促進され、痛みが和らぐことがあります。温かいタオルや湯たんぽなどを下腹部に当てて、リラックスしながら温めましょう。熱すぎると低温やけどの恐れがあるため、温度に注意してください。

十分な休息をとることも大切です。ストレスや疲労は卵巣の痛みを悪化させる可能性があり、自律神経やホルモンバランスにも影響を与えるため注意が必要です。

病院での検査

以下のような診察や検査で痛みの原因を調べます。

  • 内診
    膣や子宮、卵巣の状態を直接確認します。
  • 超音波検査
    子宮や卵巣の大きさや形、腫瘍の有無などを調べることができ、卵巣嚢腫などの診断に役立ちます。
  • 血液検査
    炎症反応やホルモンバランスなどを確認し、感染症やホルモン異常の有無を調べます。

病院での治療

子宮内膜症が原因の場合は、ホルモン療法や鎮痛薬による薬物療法が行われます。ホルモン療法は、子宮内膜症の増殖を抑える効果が期待できますが、副作用として吐き気や不正出血などが現れることもあります。

卵巣嚢腫や卵巣捻転などの場合は、手術が必要になることもあります。手術には、開腹手術と腹腔鏡手術があり、患者さんの状態や嚢腫の種類によって適切な方法が選択されます。

卵巣の健康を守るための予防策

卵巣の痛みを予防するには、生活習慣を整えることが重要です。バランスの良い食事や適度な運動、十分な睡眠を心がけるとともに、ストレスを溜め込まないよう意識しましょう。

婦人科の定期検診を受けることで、早期発見・早期治療につながります。30歳以上の女性は、1年に1回程度の定期検診を受けましょう。定期検診では、内診や超音波検査などを行い、卵巣の状態を確認します。早期発見することで、より負担の少ない治療で済む可能性があります。

まとめ

卵巣の痛みは、排卵痛のような一時的なものや、卵巣嚢腫、子宮内膜症、卵管炎、卵巣捻転などの病気の可能性があります。痛みの種類やレベル、発熱や吐き気などの随伴症状に注意し、医師の診察を受けることが大切です。

突然の激しい痛みや、意識がもうろうとするなどの症状が現れた場合は、緊急性の高い状態の可能性があるため、すぐに医師の診察を受けましょう

バランスの良い食事や適度な運動、十分な睡眠を心がけ、ストレスを溜め込まないようにしてください。定期的に婦人科の検診を受け、早期発見・早期治療に努めましょう。

卵巣の健康は妊娠にも大きく関わります。不妊症の定義やなりやすい人の特徴、割合について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>不妊症とは?定義やなりやすい人の特徴・割合についても解説

参考文献

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