ソフィアレディスクリニック

2度の流産、甲状腺の病気?(28歳・女性)

公開日:2024.03.21
更新日:2024.03.21

私は昨年2度の流産をしました。2回とも稽榴流産でした。それから妊娠に向けて産婦人科でタイミング指導を受けてきました。 それから妊娠せず、先生から甲状腺の疑いがあるとの事で血液検査をしました。 結果はまだですが、甲状腺の病気だと不妊だとか流産の原因とか聞きます。 もし甲状腺の病気でも、自然に妊娠、出産できるのでしょうか?

甲状腺の病気は多くは女性が罹患します。また生殖機能と甲状腺機能は密接に関係していますので、甲状腺に異常がある場合にはそちらをますコントロールしてから不妊治療に入ることが肝要です。 2回の流産歴があるとの事ですから習慣性流産に準じて検査を受けておいた方がよいでしょう。

甲状腺は重要な内分泌臓器で発育・成長、たんぱく質代謝、糖代謝、脂質代謝、体温調節など生括するうえで重要な生理作用を持っています。 甲状腺に異常が起こると様々な全身的病態を起こしますが、生殖に関連しては女性の月経異常や習慣性流産、男性でも精子製造能力の低下などが引きおこされますので不妊症の検査では必要に応じて甲状腺機能検査を行わなければなりません。 実際に基礎的研究でも実験動物への甲状腺摘出術や坑甲状腺剤投与で卵巣機能が低下することが確認されています。 一般に甲状腺機能異常を示すのは女性に多く、男性の4~5倍の頻度で認められますので月経異常や習慣性流産の場合には甲状腺チエックはスクーリニングとして不可欠です。 スクーリニング検査は採血を行い、ホルモン測定をするだけですので簡単です。 ホルモン値で異常を認めた場合には甲状腺ホルモン過剰症〔機能亢進症〕と、ホルモン低下症〔機能低下〕に分けて治療を行うか否かを検討します。 機能低下症の方が不妊、妊娠に与える影響はやや高いと言われ、甲状腺機能低下症は直接中枢ホルモンを低下させ、卵巣のホルモン分泌(女性ホルモンと黄体ホルモン分泌)に直接影響を与えています。 特に坑甲状腺抗体が存在すると流産しやすいことが知られ、対照と比べて2倍の頻度にみられています。 また甲状腺ホルモン低下症ではプロラクチンが高値となり結果として無排卵症となることもあります。 上手く妊娠に成功した時には、甲状腺機能異常に気がつかないまま妊娠を継続すると胎児体重低下、死産、未熟児、時には新生児の知能障害など出現することがありますが、妊娠中にしっかりと甲状腺ホルモン補充がされて管理されていれば心配ありません。 甲状腺機能亢進症では無月経は報告されておらず、妊娠しにくいとの報告も少ないようです。 一般に妊娠すると正常例でも、胎盤より甲状腺刺激ホルモン様の物質が産生されるので、必要なホルモン量のコントロールが困難になることが多いので,産科医と甲状腺専門医との共同管理が妊娠中は重要となります。

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