子宮頚癌ワクチンで不妊になるのか?(35歳・女性)

公開日:2024.03.21
更新日:2024.03.21

昨年3b高度異形上皮で円錐切除術をしました。 結果、癌細胞もなくその後定期検査をし順調に異常なしの結果がでました。 今年の4月にHPVの検査をし、幸いにも悪い型のウイルスはなく主治医に子宮頚癌のワクチンを打った方がいいと言われ、今時点で2回接種しました。 最近ネット上でこのワクチンを打つと不妊になると書かれていてすごく不安になりました。 妊娠を希望しているのでこの不妊説が真実かどうか知りたいです。

まずネット情報で一憂一喜するのはやめてよく主治医に確認して見ましょう。

現在HPVワクチンが不妊症を作るとの医学的情報は存在しません。 多くの無責任な不妊情報がネット上に氾濫していますが、それらは責任を持って記名したものではなく、人を混乱させるような悪質な情報も少なくない事をまず認識しましょう。 子宮頚がん予防ワクチンは素晴らしい発見で、この端緒を作った学者は昨年度ノーベル賞を授与されています。 子宮頚がんはヒトパピローマウイルス〔HPV〕感染を原因とするがんであり、日本では毎年1万5千人の方が感染し、3千5百人の方がお亡くなりになっています。 HPVはすべての女性の約80%が一生のうち一度は感染していると報告される極めてありふれたウイルスです。 しかし感染が数年持続すると子宮頚がんが発症する可能性があり、近年20代30代での頚がんの発症例が増加しています。 感染から癌の発症までかなり長い時間がかかるのできちんと検診をしていれば早期に発見でき、またワクチンでほぼ100%近く予防ができる唯一のがんです。 このワクチンは昨年12月に日本で発売されましたが世界では100番目とかなり遅く、多くの方がその存在を認知せず、費用も保険が適応されない事や値段も高価であることも問題として残っています。 多くの女性は一生のうち一度は感染すると言われていますが、その大部分は一過性の感染で自然に排除されますが、一部の持続感染をした症例の中から、ある時期を経て癌化に向かうことが知られています。 このHPVウイルスは性交で感染するので性交経験がある方は感染チャンスがあるので、性交開始年齢以前〔12歳ごろ〕までにワクチンを使用すれば、理論的には20年間ぐらいの予防効果があり、現在諸外国では積極的に児童への摂取が進められています。 不妊症の患者さんは通常よりやや感染の頻度が高いとの報告もあり、私の患者さんでもようやく妊娠に成功した症例に頚がんが見つかり、妊娠子宮ごと摘出した悲しい経験もあり、不妊治療の前にはワクチン接種を是非受けた方がよいでしょう。 接種そのもので不妊症となるとの報告はありません。また妊娠を知らずに接種した場合でも中絶する必要はありません。